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ここに書いてあることは、誰かが実際に手を動かして調べ、考え、作り上げてきたものを拾い集めています。専門の本や論文、作品、そしてそれを生み出した人たち。気になったことがあれば、ぜひそのおおもとに直接ふれてみてください。このメモには書ききれない熱を、感じてもらえると思います。

人は なぜ ねむるの

人はなぜ眠るのか

人はなぜ眠るのか

分野:からだ

人は、いっしょうの うち、およそ 3分の1もの じかんを ねて すごす。

ただ 休んで いるだけでは なく、ねむって いる あいだに、のうは、おきて いる ときには できない しごとを して いる。

人は、一生のうち、およそ3分の1もの時間を眠ってすごす。

ただ休んでいるだけではなく、眠っているあいだに、脳は、起きているときにはできない仕事をしている。

人は一生のおよそ3分の1を睡眠にあてる。単に体を休めているだけでなく、眠っているあいだの脳は、老廃物の除去や記憶の整理など、覚醒時には行えない作業を進めている。

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1. ねむりには、2しゅるいが ある

1. 眠りには、2種類がある

1. レム睡眠とノンレム睡眠、2つの眠りが交互に訪れる

ねむって いる あいだ、目だまが きょろきょろ うごいて、のうが かつどうして いる「レムすいみん」と、のうも からだも しっかり 休んで いる「ノンレムすいみん」が、こうごに やって くる[1]

眠っているあいだ、目玉がきょろきょろ動いて、脳が活動している「レム睡眠」と、脳も体もしっかり休んでいる「ノンレム睡眠」が、交互にやってくる[1]

この2つが1セットになって、ひと晩に3〜6回ほどくり返される[1]

睡眠は一様ではなく、急速眼球運動をともない脳が覚醒時に近い活動を見せる「レム睡眠」と、脳・体ともに休息状態に入る「ノンレム睡眠」に分かれる[1]

この2つが対になった睡眠単位は、通常90〜120分の周期でひと晩に3〜6回くり返され、睡眠後半になるほどレム睡眠の割合が増えていく[1]

2. ねむって いる あいだに、のうが あらわれる

2. 眠っているあいだに、脳が洗われる

2. 脳脊髄液が脳を巡り、老廃物を洗い流す

のうの まわりには、すきとおった えきが ながれて いる。ねむって いる あいだ、この えきが のうの すきまを ながれて、いらなく なった ごみのような ものを あらいながすと かんがえられて いる[2]。ちょうど、へやを つかって いない よるの あいだに そうじきを かける ような ものだ(ただし ほんとうは、ロボットそうじきでは なく、えきが しぜんに ながれて きれいに して いる)。

脳のまわりには、すきとおった脳脊髄液という液がながれている。眠っているあいだ、この液が脳のすきまをながれて、いらなくなった老廃物を洗いながすと考えられている[2]。この仕組みは「グリンパティックシステム」と呼ばれている。

脳の周囲を満たす脳脊髄液が、睡眠中に脳内の間隙を通り抜けて循環し、アミロイドβをはじめとする老廃物を洗い流すとする「グリンパティックシステム仮説」が提唱されている。おもに動物実験にもとづく仮説で、覚醒時より睡眠中に活発になると考えられているが、人での詳しい仕組みの解明はまだ進行中とされる[2]

3. レムすいみんは、きおくを せいりして いる

3. レム睡眠は、記憶を整理している

3. レム睡眠のあいだに、日中の記憶を整理して定着させる

レムすいみんの あいだ、のうは その日 おぼえた ことを、ならべなおしたり、たいせつな ことだけを のこしたり して いる[3]

レム睡眠のあいだ、脳はその日おぼえたことを、ならべなおしたり、たいせつなことだけをのこしたりしている[3]。よく勉強したり練習したりした日は、レム睡眠のようすが変わるという研究もある。

レム睡眠は一晩の睡眠のおよそ20%を占め、日中に得た情報の整理と記憶の定着に関わっている。学習後にレム睡眠のようすが変化したとする研究もあるが、変化のしかたは課題や測定方法によって異なり、単純に「学習量が多いほど割合が増える」と言い切れるものではない[3]

4. からだが 大きく なる ホルモンも、ねている あいだに 出る

4. 体が大きくなるホルモンも、寝ているあいだに出る

4. 入眠直後の深いノンレム睡眠にあわせ、成長ホルモンが分泌される

ねむり はじめて さいしょに くる、いちばん ふかい ノンレムすいみんの ときに、からだを 大きく する「せいちょうホルモン」が、たくさん 出される[4]

眠りはじめて最初にくる、いちばん深いノンレム睡眠のときに、体を大きくする「成長ホルモン」が、たくさん出される[4]

時計の時刻そのものよりも、ぐっすりねむれているかどうかが大事だとされている。

入眠後、最初に訪れる深いノンレム睡眠(徐波睡眠)にあわせて、成長ホルモンが集中的に分泌される。この最初の深い眠りで分泌される量が、一晩の総分泌量の大部分を占めるという[4]

「夜10時から2時がゴールデンタイム」としばしば言われるが、成長ホルモンの分泌は時計の時刻そのものより、入眠直後にどれだけ深く眠れるかと結びついている[4]

5. 11日間 ねむらなかった 高校生が いた

5. 11日間眠らなかった高校生がいた

5. 1964年、264時間の断眠記録が示したこと

1964年、アメリカの 17さいの 高校生 ランディ・ガードナーが、じゆう けんきゅうとして、11日間、ねむらずに すごした。日が たつに つれて、あたまが うまく はたらかなく なって いった[5]

けんきゅうを おえた あとは、いつもより 長く ねむり、2日ほどで もとの ようすに もどった。でも、とても きけんな ことなので、ぜったいに まねを しては いけない[5]

1964年、アメリカの17歳の高校生ランディ・ガードナーが、冬休みの自由研究として、264時間(11日間)ものあいだ眠らずに過ごした。大学の睡眠研究者や、健康を見守る軍医もこれに立ち会った[5]

日がたつにつれ、集中力が落ち、気分が不安定になり、幻覚のようなものまで見えるようになった。研究を終えたあとは、いつもより長く眠り、2日ほどでもとの様子にもどった。しかし、とても危険なことなので、絶対に真似をしてはいけない[5]

1964年、当時17歳の高校生ランディ・ガードナーは、冬休みの自由研究として264時間(11日)にわたり断眠を続け、当時の記録を更新した。スタンフォード大学の睡眠研究者ウィリアム・C・デメント博士が終盤の観察に加わり、健康状態は医師が監視した[5]

日を追うごとに、分析力・知覚・意欲・記憶・運動機能への影響が現れ、4日目ごろには幻覚や妄想的な思考も報告された。実験終了後はいつもより長く眠り、その後の短期間の追跡調査では目立った異常は報告されなかった[5]

この記録はその後も何度か更新されたが、1997年、ギネス世界記録は、睡眠不足の危険性や、計測が難しい「マイクロスリープ(瞬間的な居眠り)」の存在などを理由に、断眠記録の監視・計測をやめた[5]

6. どうぶつに よって、ねむる 時間は ぜんぜん ちがう

6. 動物によって、眠る時間はぜんぜんちがう

6. コアラとキリンの極端な違いから、睡眠の進化が見えてくる

コアラは、1日に 18から 22じかんも ねむる。たべて いる ユーカリの はっぱが、えいようが すくない うえに しょうかしにくく、しょうかに たくさんの エネルギーが いるので、それ いがいの ことを して エネルギーを つかわない ように して いると いわれて いる[6]

いっぽう キリンは、とても みじかい じかんしか、よこに なって ねむらない どうぶつだ。野生の キリンを しらべた けんきゅうでは、くびを 大きく まげて じめんに よこに なる、ふかい ねむりの すがたを する 時間は、へいきんすると、一ばんに 10ぷんも なかった[6]

コアラは、1日に18〜22時間も眠る。食べているユーカリの葉は栄養が少ないうえに消化しにくく、消化にたくさんのエネルギーがいるため、それ以外のことでエネルギーを使わないようにしていると考えられている[6]

いっぽうキリンは、とても短い時間しか横になって眠らない動物だ。野生のキリンを調べたある研究では、首を大きく曲げて地面に横たわる、深い眠り(レム睡眠)のときの姿勢をとる時間は、一晩に平均10分もなかった。ただし、立ったままじっとしている時間はもっと長く、キリンの「眠り」をどこまでとするかは、研究者のあいだでも簡単には決められないという[6]

コアラは1日18〜22時間を睡眠と休息に費やす。主食のユーカリの葉は繊維質が多く栄養に乏しいため、消化に多くのエネルギーと時間を要し、それ以外の活動を極力減らす省エネルギー戦略を取っている[6]

対照的にキリンは、横臥して眠る時間が極端に短い動物として知られる。2018〜2019年に野生のアンゴラキリン3頭を調べた研究では、首を大きく曲げて地面に横たわる、レム睡眠に特徴的な姿勢を取る時間は、一晩に平均8.6分ほどしかなかった。ただし立ったままじっと休む時間はこれよりはるかに長く、キリンにとって「睡眠」をどう定義するかは研究者のあいだでも簡単ではないとされる[6]

じぶんでも しらべて みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

1しゅうかん、ねた 時こくと おきた 時こくを、ノートに かいて みよう。日に よって、ねむった 時間が どのくらい ちがうか くらべて みよう。

1週間、寝た時刻と起きた時刻をノートに書いてみよう。日によって、眠った時間がどのくらいちがうか、くらべてみよう。よく眠れた日と、寝不足だった日で、朝の気分や集中力にちがいがあるかも記録してみると面白い。

1週間、就寝時刻と起床時刻を記録し、睡眠時間を計算してみよう。あわせて、その日の集中力や気分を簡単にメモしておくと、睡眠時間と体調の関係を自分のデータで確かめることができる。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. 相談e-眠り「レム睡眠とノンレム睡眠について」。 https://e-nemuri.eisai.jp/article/rem-nonrem/ (急速眼球運動をともない脳が覚醒時に近い活動を見せる「レム睡眠」と、脳・体ともに休息状態に入る「ノンレム睡眠」に分かれること、この対が90〜120分周期でひと晩に3〜6回くり返されること、睡眠後半になるほどレム睡眠の割合が増えることは同ページによる)
  2. 日本脳科学関連学会連合「脳内の老廃物排除の仕組み:グリンパティックシステム」。 https://www.brainscience-union.jp/trivia/trivia4349 (脳脊髄液が睡眠中に脳内の間隙を通り抜けて循環しアミロイドβなどの老廃物を洗い流す「グリンパティックシステム」という仕組みが、覚醒時より睡眠中に活発になるとされることは同学会連合による)
  3. アリナミン製薬「レム睡眠とノンレム睡眠とは?」。 https://alinamin-kenko.jp/navi/navi_kizi_rem_nrem.html (レム睡眠が一晩の睡眠のおよそ20%を占め日中の記憶整理・定着に関わるとされることは同ページによる)
  4. スクスクのっぽくん「成長ホルモンと子供の身長の関係」、SBC整形外科クリニック「成長ホルモンは夜10時〜2時に分泌?」。 https://www.suku-noppo.jp/3youso/suimin.html https://www.sbc-seikeigeka.com/qacolumn/seichouki/322.html (入眠後30分から1時間ほどで訪れる最初の深いノンレム睡眠にあわせ成長ホルモンが集中的に分泌され、この時間帯の分泌量が一晩の総分泌量の大部分を占めるとされることはスクスクのっぽくんによる。成長ホルモンの分泌が時計の時刻そのものより入眠直後の深い睡眠と結びついているとされることはSBC整形外科クリニックによる)
  5. Guinness World Records「What's the limit to how long a human can stay awake?」、フリー百科事典『ウィキペディア』「ランディ・ガードナーの断眠実験」。 https://www.guinnessworldrecords.com/news/2023/1/whats-the-limit-to-how-long-a-human-can-stay-awake-733188 https://ja.wikipedia.org/wiki/ランディ・ガードナーの断眠実験 (1964年、当時17歳のランディ・ガードナーが264時間の断眠記録を作ったこと、スタンフォード大学のウィリアム・C・デメント博士が終盤3日間の観察に加わったこと、分析力・知覚・意欲・記憶・運動機能への影響と4日目ごろの幻覚・妄想的思考、1997年にギネス世界記録が睡眠不足の危険性やマイクロスリープの計測困難を理由に断眠記録の監視・計測をやめたことはGuinness World Recordsによる。軍医が健康状態を監視したこと、実験終了後いつもより長く眠り短期の追跡調査で目立った異常が報告されなかったことはウィキペディア「ランディ・ガードナーの断眠実験」による)
  6. オーストラリア・コアラ財団「The Koalas' Diet & Digestion」、Davies et al.(2023)"Behavioural and physiological insights into the natural history of sleep in wild giraffe"(Frontiers in Mammal Science)。 https://savethekoala.com/about-koalas/koalas-diet-digestion/ https://www.frontiersin.org/journals/mammal-science/articles/10.3389/fmamm.2023.1243883/full (コアラが1日18〜22時間を睡眠と休息に費やし、ユーカリの葉が繊維質で栄養に乏しく消化に多くのエネルギーを要するため省エネルギー戦略を取っているとされることはオーストラリア・コアラ財団による。2018〜2019年に野生のアンゴラキリン3頭を対象に行われた調査で、首を大きく曲げて地面に横たわるレム睡眠に特徴的な姿勢を取る時間が一晩平均8.6分だったこと、立ったまま休む時間はこれよりはるかに長く睡眠の定義自体が研究者間で簡単でないことはDavies et al.(2023)による)

なおした ところ

更新履歴

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