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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

なんきょくは だれの 国? みんなで 使う ために 決めた やくそく

南極条約 ── 「うちの土地だ」を棚上げして、みんなで観測する道を選んだ

南極条約(1959年)と環境保護議定書(1991年)── 領土主張の凍結、平和利用、科学協力、鉱物資源活動の禁止

分野:歴史・文化

なんきょくは、氷で できた 大きな 大陸たいりくです。ここは、どこの 国の ものなのでしょう。

じつは、「ここは うちの 土地だ」と 言う 国が いくつも ありました。その 国たちが、どうやって なかよく 使う ことに したのか、たどって みましょう。

南極には、「この部分は自分の国の土地だ」と主張する国が7つありました。しかも、その範囲は一部が重なっていました。ふつうなら、争いのもとになりそうです。

ところが1959年、国々は「争う前に、まず一緒に調べよう」という道を選びました。南極条約ができるまでの流れと、そのルールを見ていきます。

1959年12月1日、国際地球観測年(1957〜58年)に南極で活動していた12か国が、ワシントンで南極条約に署名した。日本も原署名国のひとつである[1][6]。条約は領土主張を「凍結」し、平和利用と科学協力を定めた。

その後1991年に環境保護議定書が採択され、鉱物資源活動も禁じられた。条約の構造と、国際協力が先に立った経緯を、公的機関の資料で確かめる。

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1. 「ここは うちの 土地だ」と 言う 国が 7つ

1. 7つの国が言った「ここは自分の国だ」

1. 領土権を主張する7か国と、重なる範囲

むかし、南極なんきょくの 一部を 「うちの 土地だ」と 言う 国が ありました。イギリス、ノルウェー、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、アルゼンチンの 7つです[5]。

しかも、言って いる 場所が、少し かさなって いる ところも ありました。

ここから、話が おもしろく なります。この 国たちは、言い合いを する 前に、ある ことを して いました。

南極の一部について、自分の国の領土だと主張していたのは、イギリス、ノルウェー、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、アルゼンチンの7か国です[5]。

その主張の範囲は、一部が重なっていました[5]。一方、日本のように、そもそも主張しない立場の国もありました。ですから「南極はどこの国のものでもない」と言い切ることはできません。

国ごとに立場がちがうまま、どうやって一つのルールをつくったのでしょうか。手がかりは、条約ができる少し前の出来事にあります。

南極の一部に領土権を主張していたのは、英国・ノルウェー・フランス・オーストラリア・ニュージーランド・チリ・アルゼンチンの7か国である。主張範囲は一部で重なり、日本などは主張しない立場をとった[5]。

のちの条約は、主張国・非主張国の双方の立場を損なわない形でつくられた[5]。この点は第3章で扱う。

2. 先に 一しょに はたらいた 科学者たち

2. 条約の前にあった、国際地球観測年

2. 1957〜58年:国際地球観測年と昭和基地

1957ねんから 1958ねんに かけて、世界中の 科学者が 力を あわせて 地球を 調べる 「国際こくさい地球観測かんそく年」が ありました。

南極なんきょくでも、いくつもの 国の 科学者が はたらきました。日本も 1957ねんに 昭和しょうわきちを つくって、観測かんそくを はじめました[6]。

自分の 国の ためだけに 動くのでは なく、同じ 大陸たいりくで、同じ ねらいで 調べる。この 科学で 力を あわせる ことを つづけるのは、あとの 条約じょうやくの ねらいの ひとつに なりました。

1957年から翌年にかけて、国際地球観測年という、世界規模の観測が行われました。南極でも、多くの国の科学者が活動しました。その科学協力を続けることは、後の条約の目的の一つになりました[1]。

日本もこのとき、閣議で第1次南極地域観測隊の派遣を決め、1957年に昭和基地を開きました[6]。

国の立場はちがっても、同じ氷の上で同じ空を観測する仲間になっていた。争いになる前に、そうした協力の関係があったことが、この物語の大事な背景です。

国際地球観測年(IGY、1957〜58年)には、南極とその周辺で多くの国の科学者が活動した。南極条約に署名した12か国は、この期間に南極で科学者が活動していた国々である[1]。

日本は1956年の閣議決定に基づいて第1次南極地域観測隊を派遣し、1957年にオングル島へ上陸して昭和基地を開設した[6]。

領土をめぐる立場の違いより先に、IGY中の科学協力を続けることは、条約の目的の一つとして前文で確認できる。

3. 1959ねん、あらそいを「しまって おく」ことに

3. 1959年、領土の主張を「凍結」する

3. 第4条:領土権主張の凍結

1959ねん12月1日、12の 国が アメリカの ワシントンで 条約じょうやくに 名前を 書きました。これが 南極なんきょく条約じょうやくです[1]。日本も 入って います。

この 条約じょうやくの 大事な ところは、「うちの 土地だ」と いう 言い分を、いったん しまっておく ことです。あたらしく 言い出したり、広げたり しない、と 決めました[4]。

国ごとの 言い分は 消しません。そのかわり、あたらしい 言い分を ふやさない 約束やくそくを しました。言い合いが すっかり おわった わけでは ありません。

南極条約は、1959年12月1日にワシントンで署名されました。効力が生じたのは1961年です[1]。署名から発効までに、少し時間がありました。

中心にあるのが第4条です。国がこれまでの領土の主張をやめる必要はありません。でも、条約が続いているあいだの活動は、主張の根拠になりません。新しい主張をしたり、今の主張を広げたりもしません[4]。これを、主張の「凍結」と呼びます。

主張は「なくなった」のではなく、「棚上げ」になったのです。主張する国も、しない国も、自分の立場を失わずに済むしくみでした[5]。

南極条約は1959年12月1日に署名され、1961年に発効した[1]。適用範囲は南緯60度以南である(第6条)[4]。

第4条は、既存の領土権主張を放棄させない一方、条約有効期間中の活動を主張の根拠とせず、新たな請求権の主張や既存請求権の拡大を認めない[4]。放棄でも承認でもなく、法的な立場を棚上げした形である。俗に「南極はどこの国のものでもない」と言われるが、条文の上では主張が消えたわけではない点に注意したい。

4. 南極なんきょくで やって いい こと、いけない こと

4. 平和・科学・おたがいの査察

4. 第1〜3・5・7条:平和利用、科学の自由、核の禁止、相互査察

南極なんきょく条約じょうやくには、ほかにも 大事な 約束やくそくが あります。

一つ目は、南極なんきょくを 平和の ためだけに 使う こと。ぐんの きちを つくったり、へいきの 実験じっけんを したり する ことは できません。二つ目は、科学の 調査ちょうさを 自由に して よく、わかった ことを 分け合う こと[1]。

三つ目は、ちゃんと 守って いるか、おたがいに 見に 行って よい こと[2]。「しんじる」だけで なく、「見せ合う」のが とくちょうです。

条約の第1条は、南極を平和的な目的だけに使うと決めています。軍事基地や要塞をつくったり、兵器の実験をしたりすることは禁止です。ただし、科学の調査や平和的な目的のために、軍の人や道具を使うことは許されています[2]。軍人がまったくいない、という意味ではありません。

第2条と第3条では、科学の調査を自由にすること、計画や人、観測の結果を交換して、誰でも使えるようにすることが決まっています[1]。核爆発や、放射性廃棄物を捨てることも禁じられました[7]。

第7条には、変わった仕組みがあります。各国が指名した監視員は、南極のどの地域や基地にも、いつでも出入りしてよいのです。船や飛行機も、南極で人や貨物を積み降ろしする地点にあれば、対象になります[2]。おたがいに見せ合うことで、約束が守られていると確かめられます。

第1条は南極を平和的目的にのみ利用すると定め、基地・要塞・兵器実験などの軍事的性質の措置を禁じる。ただし科学研究や他の平和目的のための軍要員・装備の使用は妨げない[2]。

第2・3条は科学的調査の自由と協力を続けることを定め、計画・要員・観測結果の交換と自由な利用を規定する[1]。第5条は核爆発と放射性廃棄物の処分を禁止する。[7]。

第7条は、各協議国が指名する監視員に、基地・設備を含む南極のすべての地域へ「いつでも出入する完全な自由」を与える。船・航空機は、南極で貨物や人員を積み降ろし・積み込みする地点にあるものが対象である[2]。相互査察によって、条約の履行を互いに検証する設計である。

5. 大地の 下の たからものは ほらない 約束やくそく

5. 1991年、自然を守る議定書

5. マドリッド議定書(1991年採択・1998年発効)と「2048年」の誤解

南極なんきょくの 地面の 下には、石油せきゆなどの しげんが あるかもしれない、と いう 話が ありました。

そこで 1991ねんに、新しい 約束やくそくが 作られました。南極なんきょくを 「平和と 科学の ための 自然しぜんの まもる 場所」と し、科学の 調査ちょうさを のぞいて、地面の 下の しげんに かかわる ことを 禁止きんししました[3]。

日本も この 約束やくそくを 守る ために、日本の 中の 法律ほうりつを 作りました[8]。

1991年10月4日、マドリッドで「環境保護に関する南極条約議定書」が採択されました。1998年に効力が生じています[3]。

この議定書は、南極を「平和と科学に献身する自然保護地域」と位置づけます。科学調査を除いて、鉱物資源にかかわる活動は禁止です[3]。日本も1997年に国内法を整え、1998年1月14日に効力が生じました[8]。

「2048年に採掘が解禁される」と聞くことがありますが、これは誤解のようです。議定書は2048年に期限が切れるわけではなく、2048年以降は、協議国が見直しの会議を求められるようになる、というのが資料の説明です[3]。

環境保護に関する南極条約議定書(マドリッド議定書)は1991年10月4日に採択され、1998年に発効した。第2条は南極を「平和と科学に献身する自然保護地域」とし、第7条は科学調査を除くすべての鉱物資源活動を禁止する[3]。

日本は1997年5月28日に国内法「南極地域の環境保護に関する法律」を制定し、同年12月15日に議定書を寄託。1998年1月14日に効力が生じた[8]。

「2048年に採掘が解禁される」という説は誤解である。1998〜2048年の50年間は改正に協議国全員の一致が要り、2048年以降は協議国が見直し会議を求められる。条約・議定書に期限は定められていない(第25条2項)[3]。

6. 地図で 南極なんきょくを さがして みよう

6. もっと知りたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

今日できること:地図帳か ちきゅうぎで、南極なんきょくを さがして みましょう。南極なんきょくの まわりに、なんい60度の 線が 見つかれば、そこから 南が 条約じょうやくの はんいです[4]。

出かけてできること:科学館かがくかんなどで、南極なんきょくの 展示てんじが あるか、行く前に ホームページで 調べて みましょう。

くわしく 知りたい ときは、国立極地研究所こくりつきょくちけんきゅうじょの ページが あります[6]。

今日できること:地図帳か地球儀で、南極大陸のまわりの南緯60度の線を探してみましょう。条約はその線より南に適用されます[4]。

出かけてできること:科学館や博物館に南極の展示があるか、ホームページで調べておきましょう。

公式情報:国立極地研究所の日本の南極観測のページで、昭和基地からの観測の様子が読めます[6]。条約の締約国の数は、南極条約事務局によると2026年時点で58か国とされています[1]。

今日できること:南極条約事務局(ATS)は、条約と議定書の条文や締約国の一覧を公開している。ATSによると、締約国は2026年時点で58か国だ[1]。締約国の数は今も変わりうるので、最新の一覧で確かめてみよう。

出かけてできること:国立極地研究所の日本の南極観測のページから、昭和基地での観測の歴史を読んでみるとよい[6]。

公式情報:条文の日本語原文は外務省・環境省のページにある。解釈を深めるなら、外務省・環境省の条文日本語版を読んでみよう[8]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

条約の内容は、南極条約事務局と国内の公的機関の資料を突き合わせました。締約国の数などは今後変わることがあります。

  1. 南極条約事務局(ATS)「The Antarctic Treaty」 https://www.ats.aq/e/antarctictreaty.html (署名・発効・科学協力・締約国数)
  2. 南極条約事務局(ATS)「Peaceful use and Inspections」 https://www.ats.aq/e/peaceful.html (平和利用・査察)
  3. 南極条約事務局(ATS)「Protocol on Environmental Protection」 https://www.ats.aq/e/protocol.html (議定書・2048年)
  4. データベース「世界と日本」南極条約 全文 https://worldjpn.net/documents/texts/mt/19591201.T1J.html (適用範囲・第4条)
  5. 環境省 南極キッズ「南極はみんなの財産」 https://www.env.go.jp/nature/nankyoku/kankyohogo/nankyoku_kids/donnatokoro/dokonokuni/index.html (領土を主張する7か国)
  6. 国立極地研究所「日本の南極観測について」 https://www.nipr.ac.jp/antarctic/aboutjare/ (昭和基地の開設)
  7. JOGMEC 石油・天然ガス用語辞典「南極条約」 https://journal.jogmec.go.jp/oilgas/termsearch/list/naninuneno/antarctic-treaty.html (核爆発の禁止)
  8. 外務省「南極環境保護議定書」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/k_hogo.html (日本の批准と発効)

なおした ところ

更新履歴

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