1. うみに ながれついた かたまりは なに?
1. 海岸に打ち上がる黄色い塊の正体
1. 難破船の積み荷 ── オレゴン沖のみつろう
1693年、スペインの 船が フィリピンの マニラを 出ました。船には、絹や やきものの ほかに、みつろうの かたまりが つまれて いたと みられて います[10]。
この 船は、アメリカの 西の 海岸の 近くで しずんだ と 考えられて います。ながれついた かたまりは、二百年よりも 前から 海岸で 見つかって きたそうです。
みつろうは、ろうそくを 作る ざいりょうでした。スペインが おさめて いた 土地では、ろうそく用の みつろうが ほしがられて いたと いわれて います。
1693年にマニラを出たスペインのガレオン船が、オレゴン沖で失われたとみられています。積み荷には絹や陶磁器のほか、みつろうの塊がありました[10]。船の正体は推定で、確定していません。
資料には、みつろうの用途としてろうそくが挙がっています。スペインの植民地では、ろうそく用のろうが必要だったからです[10]。塊はその後、少なくとも二百年にわたって海岸で見つかってきたとされます。
絹や陶磁器と並んで、ろうが船に積まれる。ハチの体から出たものが、遠い国へ運ぶ価値のある品だったことを、この難破船は伝えています。
オレゴン沖の「みつろうの難破船(Beeswax wreck)」は、1693年にマニラを出たスペインのガレオン船サント・クリスト・デ・ブルゴスとみられている。この同定は推定である[10]。積み荷には絹・陶磁器のほか、ろうそく用のみつろうの塊があり、塊は少なくとも二百年以上前から海岸に打ち上がってきたとされる[10]。
ろうそくの需要がスペイン植民地にあったことが、ろうが船荷になった背景として説明される[10]。以下、蝋がなぜ用途に恵まれたのかを、生産の手間(2章)、物性(3章)、用途別(4〜7章)の順に見る。出典はWikipediaと百科事典系の記事で、船の同定や年代の細部は一次資料で確かめる必要がある。
2. ハチは どうやって ろうを 作るの?
2. 働きバチの体から出る、うろこ状のろう
2. 生成 ── 分泌腺、うろこ、蜂蜜との換算
みつろうを 作るのは、はたらきバチです。おなかに ろうを 出す ばしょが 8つ あり、そこから うすい うろこの ような ろうが 出て きます[1]。
ハチは それを かみこねて、六かくけいの へやを つみ かさねて いきます。
ろうを 1グラム 作るには、うろこが 1100まいほど いると 書かれた 本が あります[3]。1キログラムは 1グラムの 1000ばいなので、うろこは 110万まいほどです。
ろうを 作る ために、ハチは はちみつも 使います。1キログラムの ろうに、はちみつが 7〜10キログラムほど いると いう はなしが あります。本に よって 数が ちがうので、はばで おぼえて おきましょう[3]。
3. みつろうは、なぜ つかいやすいの?
3. 体温より高い温度でとける、という性質
3. 物性 ── 融点62〜64℃前後
みつろうが とける 温度は、60度 台の 前半ごろです[3]。人の 体温より ずっと 高い ので、手に もっても とけません。ふつうの へやの 中では、かたい ままです。
でも、あたためると とけて 形を 自由に かえられます。ひやすと、また かたまります。
「手では とけないが、火の ねつでは とける」。この ちょうど よい 温度が、いろいろな つかい道の もとに なって います。
4. ろうそくとして、どこで つかわれた?
4. 神殿・寺・教会のあかり ── ろうそくの歴史
4. 蝋燭 ── ローマ、中世ヨーロッパ、奈良時代の日本
みつろうで 作った ろうそくは、とても 古い 時代から あった ようです。ローマの 人 プリニウスの 本には、おみやで つかった ろうそくの ことが 書かれて いる と いわれて います[6]。
ヨーロッパの 昔の 教会でも、みつろうの ろうそくが おもに 使われた と いわれます[4]。
日本には、奈良時代に ぶっきょうと いっしょに 中国から つたわった とされて います。はじめは とても めずらしく、おしろや お寺だけで つかわれた と いわれて います[5]。
古代ローマの著述家プリニウスの『博物誌』に、パピルス草などの束にみつろうを塗った、寺院用のろうそくの記述があるとされます[6]。ただし、そのろうそくがいつからあったのかは、この資料だけでは分かりません。
中世ヨーロッパでは、みつろうが教会用ろうそくの主な原料だったと日本語版Wikipediaは述べています。英語版Wikipediaによれば、アルプス以北で見つかった、傷みの少ない最古のみつろうそくは6〜7世紀のものです[3][4]。
日本には奈良時代(8世紀)に、仏教とともに唐から蜜ろうそくが伝わったとされます。当初は貴重で、宮廷や寺院に限られました[5]。別の資料は、722年に元正天皇が大安寺に贈った品に蝋燭の名が見えるとしますが、「みつろうそくが最初」という言い方は「〜とされる」の強さにとどまります[6]。のちに、ハゼやウルシの実から作る木蝋の和ろうそくが広まり、蜜ろうそくに代わっていったとされます。
プリニウス『博物誌』には、パピルス草や藁を束ねたものに蜜蝋を塗り、寺院で使ったとの記述がある[6]。使われ始めた年代は、この資料だけでは確定できない。中世ヨーロッパでは教会用ろうそくの主原料で、アルプス以北で発見された最古の無傷のみつろうそくは6〜7世紀とされる[3][4]。
日本では、8世紀の奈良時代に仏教とともに唐から蜜蝋燭が渡来し、貴重品として宮廷・寺院に限られたとされる[5]。日本ローソクの資料は、722年に元正天皇が大安寺に賜った品に蝋燭の名が見えるとする[6]。蜜蝋燭を最初とする点は「とされる」の強さで読むべきである。のち、櫨(はぜ)や漆の実から作る木蝋の和蝋燭が広まり、蜜蝋燭に代わった[6]。
5. きえて なくなる ぞうって なに?
5. 消えることで金属の像を作る ── ロストワックス
5. 蝋型鋳造(ロストワックス)── 原型が消える鋳造
みつろうは、金ぞくの ものを 作る ときにも 使われます。まず、ろうで 形を 作ります。それを ねんどなどで つつんで、あたためます。
すると、ろうだけが とけて 外へ 出て、中に あなが のこります。その あなに、とけた 金ぞくを 流しこみます[7]。
たとえば、氷で 作った 形を すなで かためて、あたためて 水に して 流すと、あなが のこります。ろうも 同じように、「けして」かたに します。ただし 本当は、ろうは 水では なく、ねつで とけて 流れ出します。
むかしの ギリシャや ローマでも、この やり方で 青銅の ぞうを 作った と 言われます[8]。
6. ろうで 字を かいて、けして…?
6. ろうを塗った書き板 ── 書いて消せるノート
6. 蝋引き書き板(tabula cerata)と書き直し
ローマの 人たちは、木の 板の くぼみに ろうを ながして、その 上に 字を かきました。とがった ぼうで ひっかいて 書き、ぼうの 平らな ほうで ならすと、字が 消えて 書きなおせます[9]。
いまの 消しゴムつきの ノートのような ものです。ただし 本当は、消しゴムでは なく、ろうを ならして 消します。
イギリスの ヴィンドランダと いう いせきからは、ろうの そうに 書かれた 板が 400まいほど 見つかって います。多くは、せいれき100年ごろの もの だそうです[9]。
7. いまの くらしでは、どこに あるの?
7. いまの暮らしの中のみつろう
7. 現代の用途 ── 化粧品基剤、食品、クレヨン、ろうけつ染め
いまの くらしでも、みつろうは いろいろな ところで 使われて います。
リップクリームや クリームなどの、化しょうひん。クレヨンや えんぴつ。ものを みがく ワックス。ぬのを おる 前に、いとに ぬって すべりを よくする ことも あると いわれて います[2]。
体温より 高い 温度で とけるので、手で さわっても とけにくい。この せいしつが、はだや くちびるに ぬる ものの もとに ちょうど よい と 考えられて います[4]。
8. みつろうを 自分で さがして みよう
8. 身のまわりで「ろう」を探してみる
8. 出口 ── 成分表示と一次資料
おうちに ある リップクリームや クレヨン、ワックスの うち、せいぶんが 書いて ある ものを えらんで、見て みましょう。「みつろう」と 書いて あるか さがして みます。
もう ひとつ、ねんどを 平らに のばして、つまようじで 字を かきます。じょうぎの 平らな ほうで ならすと 消えます。ローマの 書き板の 気もちを、ちょっとだけ 味わえます。
火は 使いません。ろうそくを とかす じっけんは、大人が いない ときには しないで ください。
家にあるリップクリーム、クレヨン、木のワックスなどの成分表示を見て、「みつろう」があるかどうか探してみてください。書いてあれば、この記事の用途のどれにあたるか、考えてみましょう。
もう1つ、粘土を平らにのばして、つまようじで字を書き、定規の平らな側でならすと、書き板のように書き直せます。力は入れすぎないようにします。
火を使う実験は、大人がいるときだけにしてください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で参照した資料の一覧です。事実の確認にはこれらを使い、文章は自分の言葉で書いています。
- 山田養蜂場. ミツロウとは. https://www.bee-lab.jp/megumi/mitsurou/index.html (ろうの分泌、蜂蜜との換算量)
- 山田養蜂場. ミツロウの使いみち. https://www.bee-lab.jp/megumi/mitsurou/use.html (現代の用途)
- Wikipedia. Beeswax. https://en.wikipedia.org/wiki/Beeswax (うろこの数、蜂蜜との換算量、融点、古い蝋燭)
- Wikipedia. ミツロウ. https://ja.wikipedia.org/wiki/ミツロウ (融点の差、中世の蝋燭、現代の用途)
- 日本キャンドル協会. What's CANDLE. https://japan-candle.org/what%CA%BCs-candle/ (日本への蜜蝋燭の伝来)
- 日本ローソク. ローソクの歴史. https://www.nihon-rosoku.co.jp/ (プリニウス、722年の記録、木蝋への移り変わり。トップページのみ記載)
- 高岡銅器振興協同組合. 蠟型鋳造法. https://douki-takaoka.jp/about/rogata (ロストワックスの手順と材料)
- The Met. Technique of Bronze Statuary in Ancient Greece. https://www.metmuseum.org/essays/the-technique-of-bronze-statuary-in-ancient-greece (古代の直接法と間接法。検索結果で確認)
- Wikipedia. Vindolanda tablets. https://en.wikipedia.org/wiki/Vindolanda_tablets (蝋引き書き板の書き方と出土数)
- Wikipedia. Beeswax wreck. https://en.wikipedia.org/wiki/Beeswax_wreck (オレゴン沖の難破船とみつろうの塊)
なおした ところ
更新履歴
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