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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ズボンの ベルトの わは、むかしは なかったの?

ズボンの「ベルトを通す輪」は、いつ、なぜ付くようになったのか

ベルトループの登場 ── 1922年のリーバイス501と、サスペンダー・シンチとの同居

分野:歴史・文化

大人の ズボンの こしには、ちいさな わが ぐるっと ついて います。ベルトを とおす ための ものです。

ところが むかしの ジーンズ(501)には、この わが ありませんでした。いつ、どうして つく ように なったのか、たどって みましょう。

大人のズボンのウエストには、ベルトを通すための小さな輪が並んでいます。あまりに当たり前で、気にしたことがない人も多いかもしれません。

けれども、この輪は、たとえばリーバイスの501には、もともとあったわけではありません。ジーンズの会社が輪を足した1922年ごろを手がかりに、どんな服の使い方から生まれたのかを見ていきます。

ズボンのウエストに付くベルトループ(ベルト通し)は、ベルトが広まる過程で後から加わった部品である[1]。リーバイスが501にループを足したのは1922年とされ、それ以前の501にはループがなく、サスペンダー用のボタンが付いていた[1]。

このメモでは、ループが付いた時期、店のレジでシンチを切ったという話、目的として言われるいくつかの説を、公式の記事と二次資料を突き合わせて整理する。世界で最初のループがどれかは、確認できた範囲では分からない。

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1. むかしの ズボンは、つるして はいた

1. ズボンは「ベルトで締める」のではなく「吊る」ものだった

1. サスペンダーの時代 ── ボタンで吊るズボン

むかしの 501には、こしの ところに ボタンが ついて いました。ここに サスペンダーを とめて、かたから ズボンを ぶらさげる ことが できました[1]。

ベルトで しめる 人も いましたが、1920年代に なると、サスペンダーの 人気は だんだん へって いきました[5]。

腰のボタンは、サスペンダー用

リーバイスの501には、もともとウエストにサスペンダー用のボタンが付いていました[1]。サスペンダーで肩から吊るなら、腰に輪をつけてベルトを通す必要は、あまりなかったのでしょう。

1920年代、ベルトの時代へ

1920年代になると、ベルトが規格化に向かい、サスペンダーは、とくにくだけた場面で少しずつ人気を失ったと説明されています[5]。ベルトが増えれば、ズボンの側にも通す場所がほしくなります。

ジーンズの501には、ウエストバンドの元からの部品として、サスペンダー用のボタンがあった[1]。サスペンダーで吊るズボンでは、ベルトを通す輪は必須の部品ではなかった。

ベルトの側の事情としては、1920年代にベルトが規格化に向かい、サスペンダーがとくにくだけた場面で徐々に人気を失ったという説明がある[5]。ただしこれは服飾系の企業ブログの記述であり、統計的な裏づけまでは確認していない。

2. 1922年、リーバイスが わを たした

2. 1922年、リーバイスが501にループを足した

2. 1922年 ── 501へのベルトループ追加(リーバイス公式の記事より)

ジーンズで ゆうめいな 会社、リーバイスは、1922年に 501という ジーンズに ベルトを とおす わを たしました[1]。

そのころ、はやりが かわって きて いたので、会社が それに あわせた、と つたえられて います[1]。

ただし 「せかいで はじめての わ」と いうわけでは ありません。ほかの 会社が さきに つけたのか どうかは、わかって いません。

リーバイス社の公式ブログは、501にベルトループが加わったのは1922年で、それはちょうど百年ほど前だったと紹介しています[1]。流行が変わり、会社がそれに合わせた、という説明です。

注意したいのは、これが「世界で最初のベルトループ」という意味ではないことです。他の会社が先に輪を付けていたかは分かっていません。

リーバイス社の記事「Countdown to 150」は、501にループが加わったのは1922年だと述べ、流行の変化に会社が合わせたと説明する[1]。別の解説(Denim Cellar)も、1922年にベルトループ付きの501XXが売られたとする[3]。

ここで言えるのは「リーバイスがジーンズに足した年」までである。ループの世界初の年や発明者は、確認できた資料の中には見当たらなかった。他社の先行の有無は不明なので、「最初」とは書かない。

3. ハサミで、うしろの ひもを ちょきん

3. レジのハサミで「シンチ」を切ってもらう

3. シンチを切る ── ベルトを選んだ客と、レジの大バサミ

501の うしろには、シンチと いう、ウエストを しめる ための ひもが ありました[1]。

ベルトで はきたい 人は、この ひもを きりとって はきました。おおきな ハサミを レジに おいて、おきゃくさんが 店を でる まえに きって くれる 店も あった そうです[1]。

かった ばかりの ズボンを、店で きって もらう ことも あった そうです。

1922年にループが付いたあとも、501のうしろにはシンチと呼ばれる、ウエストを調節するための部分がありました。ベルトで履きたい客は、このシンチを切り取って履いたといいます[1]。

リーバイスの記事によると、店によってはレジに大きなハサミを置いて、客が店を出る前に切ってくれたそうです[1]。買ったばかりのズボンを、その場で「ベルト用」に仕立て直してもらう光景でした。

501のバックには、シンチ(cinch、後ろ身頃のウエスト調節部分)があった。ベルトで履きたい男性はこれを切り落とし、店によってはレジに大きなハサミを置いて、客が店を出る前に切ったと、リーバイス社は紹介している[1]。

この逸話は公式記事に基づくが、すべての店で行われた習慣とは書かれていない。「そういう店もあった」と読むのが妥当だろう。

4. どうして わを つけたの?

4. 目的は、ひとつには決まらない

4. ループの目的 ── 二次資料に見られる複数の説

どうして わを つけたのかは、いくつか いわれて います。

ひとつは、こしの すこし ひくい ところで はく ズボンが ふえた ことです[4]。そう なると、ベルトの ほうが つかわれる ように なって いった と いわれます。

もうひとつは、はらの まわりの 大きさが 人に よって すこし ちがっても、ベルトなら ちょうど よく しめられる ことです[2]。

うまに のる 人には、ベルトの ほうが うごきやすかった、という せつも あります[3]。ただし、どれが ほんとうの 理由か、はっきり きまって いません。

ループが付いた理由は、公式に一つだけ示されているわけではなく、資料によっていくつかの説明があります。

ひとつは服の形の変化です。1920年代には腰の低い位置ではくズボンが増え、実用の面でも流行の面でも、ベルトが選ばれるようになったと説明されています[4]。もうひとつは調節のしやすさで、ウエストの大きさに多少のばらつきがあっても合わせられるデザインだった、とされます[2]。

三つ目は、馬に乗るときの都合です。馬に乗る人には、ベルトのほうが動きやすかったという説もあります[3]。ただし、これは個人の解説で、リーバイス社が公式に述べた理由ではありません。

目的については、次のような説明が並ぶ。①腰の低い位置で履くズボンが1920年代に増え、実用と流行の両面でベルトが優勢になったとされる[4]。②多少のサイズのばらつきがあってもウエストを調節できるデザインとされる(オーダースーツ店のブログ)[2]。③馬上ではサスペンダーよりベルトのほうが動きやすかったとの説明がある(個人ブログ)[3]。

いずれも二次資料の説であり、リーバイス社の公式の理由として一本に確認できたものではない。互いに排他的でもなく、複数が重なった可能性はあるが、その比重は資料からは判断できない。

5. ボタンと わが、ならんで いた じき

5. ボタンとループが並んでいた時期

5. 併用期 ── サスペンダー用ボタンは残された

1922年に わを つけたあとも、サスペンダー用の ボタンは のこされました。サスペンダーで はきたい 人の ためです[1]。

おなじ ズボンに、ベルト用の わと、サスペンダー用の ボタンが ならんで いた じきが あったのです。しばらくは、どちらでも えらべました[3]。

いま おおくの ズボンには、わだけが のこって います。ボタンは、だんだん すがたを けして いったと 考えられます。

ループを足したからといって、サスペンダー用のボタンがすぐになくなったわけではありません。リーバイスは、サスペンダーとシンチを使いたい客のために、ボタンを残しました[1]。

同じズボンにベルト用の輪とサスペンダー用のボタンの両方がついている時期が続き、しばらくはどちらでも選べたようです[3]。今の私たちのズボンに輪だけが残っているのは、その後、ベルトのほうが主流になっていった結果だと考えられます。

1922年のループ追加後も、サスペンダー用ボタンは、サスペンダーとシンチを使いたい客のために残された[1]。ベルトとサスペンダーは、しばらく両用できたとされる[3]。

ボタンとシンチは、その後しだいに使われなくなった。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちの ズボンの こしの まわりを、よく 見て みましょう。わは なんこ ありますか。おとなの ズボンと、子どもの ズボンで、わの かずや ちいさな ボタンの ありなしを くらべると、おもしろいですよ。

ふるい しゃしんが あれば、ズボンを どうやって とめて いるか、さがして みましょう。

今日できること:家にあるズボンのウエストを見て、ベルトを通す輪の数や位置、内側にボタンがあるかどうかを調べてみましょう。年代や種類の違うズボンを比べると、時代の違いが見えてくるかもしれません。古い写真があれば、サスペンダーをしている人がいないか探すのもおすすめです。

公式情報:リーバイスの公式サイトに、501の歴史が書かれた記事があります(英語)。日本語で読みたいときは、服飾の歴史をまとめた本や資料館の解説などをあたってみてください。

一次に近い資料として、リーバイス社の記事「Countdown to 150: The First Belt Loops」[1]は英語だが短く、シンチとレジのハサミの記述もここにある。サスペンダーの衰退やベルトの規格化については[5]、腰の低いズボンへの流れについては[4]が、いずれも英語の解説である。

日本語では、[2]と[3]が読みやすい。ただし二次資料なので、上の記事と読み比べて、どこまでが確かな事実で、どこからが解釈かを分けて読むとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:リーバイス社の公式記事を軸に、日本語・英語の解説記事を突き合わせた。リーバイス社以外は企業や個人のブログであり、説として扱っている。何に使ったかは、各項目の最後に書いた。

  1. Levi Strauss & Co.「Countdown to 150: The First Belt Loops」。https://www.levistrauss.com/2022/05/18/countdown-to-150-501-fab-facts-the-first-belt-loops/ (1922年のループ追加、サスペンダー用ボタン、シンチ、レジのハサミについて)
  2. Global Style ブログ「脇尾錠」「ベルトループ」の起源。https://www.global-style.jp/archives/413641 (1920年代ごろの登場、ウエスト調節という説について)
  3. Denim Cellar(note)「ジーンズのベルトループはまだ100年」。https://note.com/denimcellar/n/n8aaeceadff20 (501XXの1922年、馬上で動きやすいという説、両用について)
  4. He Spoke Style「A Complete History of Suspenders」。https://hespokestyle.com/suspenders-history/ (1920年代に腰の低いズボンが増えたという説明について)
  5. Bredal Wild「When Did Leather Belts Replace Suspenders?」。https://bredal-wild.com/en/blogs/press-release/when-leather-belts-took-over-for-suspenders (1920年代のベルトの規格化とサスペンダーの人気低下について)

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