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ここに書いてあることは、誰かが実際に手を動かして調べ、考え、作り上げてきたものを拾い集めています。専門の本や論文、作品、そしてそれを生み出した人たち。気になったことがあれば、ぜひそのおおもとに直接ふれてみてください。このメモには書ききれない熱を、感じてもらえると思います。

「せいぶんかい」の ふくろは、うみに おちても きえるの?

「生分解性」の袋は海で消えるのか ── 3年残った袋と、海の試験装置で3か月以内に消えた袋

生分解性プラスチックの「条件」 ── 原料との違い・分解環境・海と深海での実験

分野:技術

ふくろに「せいぶんかい」と 書いて あります。うみに おちても、そのうち きえて くれる ふくろ なのでしょうか。

イギリスの 大学の 研究チームが、その ような ふくろを 海と 土に 3年 おいて みました。どう なったのでしょう。

スーパーの袋や容器に「生分解性」と書いてあると、海に落ちても、そのうち消えてくれそうな気がします。

ところが、イギリスの大学の実験では、そうした袋が海や土に3年置かれても、荷物を運べる状態のまま残っていました。生分解性とは何を約束する言葉なのかを、国の資料や基準、研究をもとに順に見ていきます。

2019年、英プリマス大学の研究は、「生分解性」などの袋が土や海に3年以上置かれても荷物を運べる状態を保ったと報告した[10]。この結果は、「生分解性=どこでもすぐ分解」という読み方が成り立たないことを示す。

生分解性とは何を指し、何を約束していないのか。環境省などのロードマップ、日本バイオプラスチック協会(JBPA)の基準、深海実験まで、事実を突き合わせて確かめる。

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1. 3年 たつと、ふくろは どう なった?

1. 3年たっても荷物を運べた袋と、海の試験装置で3か月以内に消えた袋

1. 英プリマス大学の実験(2019年)── 土と海に3年以上置いた袋

イギリスの 大学で、ふくろを 海と 土に おいて、どう なるかを しらべました[10]。3年 たった あとも、にもつを はこべる ままの ふくろが ありました。「せいぶんかい」などと 書かれた ふくろも、その 中に ふくまれて います。

「コンポストできる」と 書かれた ふくろは、海の 実験じっけんそうちの 中では 3か月の うちに なくなりました。ところが 土の 中では、27か月 たっても のこって いました。「コンポスト」は、生ごみなどを 微生物びせいぶつの 力で 堆肥たいひに する しくみです。

ふくろの 名前が にて いても、おかれた ばしょで、こんなに ちがう ことが あります。ただし これは 1回の 実験じっけんです。すべての ふくろが こう なる とは 言えません。

では「せいぶんかい」は、なにを やくそくして いる 言葉なのでしょう。

2019年、イギリスのプリマス大学の研究チームは、「生分解性」などとされた袋を土や海に置いて、その後を観察しました[10]。3年以上たっても、荷物を運べる状態を保った袋がありました。

いっぽう、「コンポスト可能」とされた袋は、海の試験装置からは3か月以内に消えました。ところが土に置いた袋は、27か月後にも残っていました。「コンポスト」は、生ごみなどを微生物の力で堆肥にする仕組みのことです。

同じような名前の袋でも、置かれた場所で結果が大きく違いました。ただし、これは1回の試験です。「生分解性の袋は必ず残る」とまでは言えません。この結果は、「生分解性」が何を約束する言葉なのかを確かめる、きっかけになります。

プリマス大学のNapperとThompsonによる2019年の研究(Environmental Science & Technology)は、「生分解性」などの袋を土や海などに置き、年単位で観察した。報道解説によれば、3年以上たっても荷物を運べる状態を保った袋があった[10]。

「コンポスト可能」とされた袋は、海の試験装置からは3か月以内に消えたが、土では27か月後にも残っていた[10]。同じ「分解する」袋でも、場所によって結果は大きく異なる。

これは1回の試験で、「生分解性の袋は必ず残る」という結果ではない。この実験から言えるのは、表示の言葉だけでは分解の速さや場所を決められない、という点にとどまる。次に、そもそも「生分解性」は何を指すのかを確かめる。

2. 「せいぶんかい」って、どういう こと?

2. 生分解性とは、微生物が「ある条件のもとで」分解する性質

2. 定義と基準 ── 「一定の条件の下で」二酸化炭素と水まで、60%以上

「せいぶんかい」は、とても 小さな いきもの、微生物びせいぶつが、ものを 分解ぶんかいする ことです。さいごは、二酸化炭素にさんかたんそと 水に なると 言われて います[1]。

だいじな 言葉が あります。「ある 一定の じょうけんの もとで」です[1]。どこでも、いつでも、では ありません。

日本には、ふくろなどに つける しるし(マーク)の きじゅんが あります。そのうち「コンポストできる ふくろ」の きじゅんでは、ふくろに 入って いる ほとんどの ざいりょうが、きめられた ためし方で 60% いじょう 分解ぶんかいした とき、つけて よい ことに なって います[3]。

ここで 気を つけたい ことが あります。60%は、ためした ときの 数字です。「60%しか 分解ぶんかいしない」と いう 意味では ありません。

環境省などがまとめたロードマップによると、生分解性プラスチックは、プラスチックとしての働きをもつうえに、ある一定の条件のもとで、自然界にいる微生物の働きで分解し、最後は二酸化炭素と水になる性質をもつものです[1]。

大事なのは「一定の条件のもとで」という部分です。どこでも、いつでも分解するとは言っていません。

日本では、日本バイオプラスチック協会(JBPA)が、生分解性プラの識別表示の基準を決めています。基準書の表紙には2000年4月(第1版)とあります。そのうち、コンポスト化できる生分解性プラの基準では、1重量%以上ふくまれるすべての有機材料が、決められた生分解性の試験で60%以上の生分解度を示すことが求められます。

この60%は、試験で確かめる「分解の度合い」の基準です。「60%しか分解しない」という意味ではありません。

ロードマップの定義では、生分解性プラスチックは、プラスチックとしての機能・物性をもったうえで、ある一定の条件の下で自然界に豊富にいる微生物などの働きにより分解し、最終的に二酸化炭素と水にまで変化する性質をもつ。原料は、植物などの再生可能な有機資源でも、化石資源でもよい[1]。要点は「一定の条件の下で」で、無条件ではない。

JBPAの生分解性プラ識別表示基準は2000年4月(第1版)の制定だ。そのうち「コンポスト化可能生分解性プラ」の識別表示基準は、1重量%以上ふくまれるすべての有機材料が、指定の生分解性試験で60%以上の生分解度を示すことを求める[3]。

コンポストでの生分解度試験(ISO 14855/JIS K 6953)は、約58℃の高温のコンポスト条件で、発生する二酸化炭素の量から生分解度を求める、と試験機関が解説している[5]。60%は試験上の生分解度であり、「40%は分解せずに残る」という意味の数字ではない。

3. しょくぶつから 作った ふくろは、ぜんぶ きえるの?

3. 植物から作ったプラスチックが、分解するとは限らない

3. バイオマスプラと生分解性プラ ── 「原料」と「分解」は別の軸

「しょくぶつから 作った ふくろは、ぜんぶ 分解ぶんかいする」と 思う 人が います。でも、なにから 作るかと、分解ぶんかいするかどうかは、べつの はなしです[1]。

しょくぶつから 作っても、分解ぶんかいしない ものが あります。せきゆから 作っても、分解ぶんかいする ものが あります[1]。

日本で 広まって いる 分解ぶんかいする プラスチックは、7わりぐらいが しょくぶつから 作られた ものでした。これは 2018年の しらべで、日本の はなしです[1]。のこりは、せきゆの なかまが もとです。

しょくぶつから 作った 分解ぶんかいしない ふくろが、ごみを 堆肥たいひに する 工場に 入ると、のこって しまって じゃまに なります[1]。

プラスチックの分類には、「原料」で決まるものと、「使ったあとの性質」で決まるものがあります。植物など再生可能な資源を原料にするものが「バイオマスプラスチック」、微生物によって分解する性質をもつものが「生分解性プラスチック」です。両方をまとめて「バイオプラスチック」と呼びます[1]。

原料と分解は別の話なので、植物由来でも分解しないものがあります。たとえば、植物からつくるポリエチレン(バイオPE)やPET(バイオPET)です。反対に、PBATのように、原料は石油なのに分解する種類もあります[1]。

日本で広まっている生分解性プラのうち、約7割はバイオマス由来でした(2018年度、識別表示マーク取得品の出荷量の調査)。残りは、化石資源のナフサを主な原料にしています[1]。この7割は日本の数字で、世界全体のことではありません。

分解しないバイオマスプラスチックは、堆肥をつくる工程やバイオガスをつくる工程では分解せずに残り、工程に悪い影響を与えます[1]。「植物由来だから自然に返る」とは限りません。

バイオマスプラスチックは「原料」に植物などの再生可能な有機資源を使うもの、生分解性プラスチックは「使用後の性質(分解する)」で決まるもので、両者の総称がバイオプラスチックだ。表2-3では、PBATの原料は石油とされる[1]。植物由来でも分解しないもの(バイオPE、バイオPET)があり、石油由来でも分解するもの(PBAT)がある。

ロードマップによれば、日本で普及している生分解性プラの約7割はバイオマス由来で、これは2018年度の識別表示マーク取得品の出荷量調査に基づく。残りは化石資源のナフサが主原料だ。PHAの一種であるPHBHには、油脂が原料に使われる[1]。世界全体の数字ではない。

非生分解性のバイオマスプラスチックは、堆肥化などの肥料生産やバイオガス化の工程で分解せず残存し、工程に悪影響を及ぼす[1]。「植物由来=環境にやさしい」という等式は、少なくとも「分解する」という意味では成り立たない。

4. おかれた ばしょで、分解ぶんかいの しかたは かわる?

4. 分解は「どこで」で変わる ── 高温のコンポストと、ふつうの土

4. 分解環境 ── 工業コンポスト・家庭コンポスト・土・海ごとに条件がちがう

分解ぶんかいする ばしょは、いろいろ あります。大きな 工場の コンポスト、おうちの コンポスト、土の 中、海の 中です[1]。

大きな 工場の コンポストは、微生物びせいぶつが はたらきやすい ように、高い 温度に して います。おうちの コンポストは、そこまで 高く なりにくく、入れられる りょうも 少なめです[1]。国は、分解ぶんかいする ばしょに あった ふくろを えらぶ ことが 大切だと 言って います[1]。

おべんとうの ごはんは、あつい 夏には すぐ いたむのに、れいぞうこでは なかなか いたみません。いたむのは、微生物びせいぶつが はたらくからです。あたたかさなど、まわりの ようすで、微生物びせいぶつの はたらき方は かわります。ただし ほんとうは、ごはんが いたむ はなしと、プラスチックが 分解ぶんかいする はなしは、べつです。たとえは、「まわりの ようすで かわる」ところだけを 見て ください。

ポリにゅうさんと いう プラスチックは、高い 温度の コンポストでは 分解ぶんかいする 一方、ふつうの 温度の 海や 土では、ほとんど 分解ぶんかいしない ことで 知られて います[7]。

生分解性は、分解する環境ごとに分けて考えます。工業コンポスト、家庭コンポスト、土壌、海洋などです。工業コンポストは、発酵のために高温に保つ専用の施設です。家庭コンポストは、発酵の温度が低く、量も小さくなります[1]。国のロードマップは、分解する環境に合った生分解性プラを選ぶことに気をつけるよう、求めています。

分解の試験も、条件を決めて行います。コンポストでの生分解度の試験(ISO 14855、JIS K 6953)は、約58℃の高温で、出てくる二酸化炭素の量から分解の度合いを求める方法だと、試験機関が説明しています[5]。

たとえば、ポリ乳酸(PLA)は、コンポストなどの条件では分解する一方、常温の環境や海、深海ではほとんど分解しない例として知られています。ただし国立環境研究所は、常温でもPLAを分解する酵母が、イネの葉から見つかったと報告されていることも紹介しています[7]。

ほかの素材と組み合わせたり、可塑剤や添加剤が加わったりすると、生分解性を妨げる要因になりえます[1]。

ロードマップは、生分解性を、工業コンポスト、家庭コンポスト、土壌、海洋などの「分解環境」ごとに整理し、分解環境に適した製品を選ぶよう留意を求める[1]。工業コンポストは、発酵のため高温に保つ専用施設で、家庭コンポストは発酵温度が低く、容量も小さい。他素材との複合や、可塑剤・添加剤の添加も、生分解性を阻害する要因になりうる。

ISO 14855/JIS K 6953の試験温度は約58℃で、高温のコンポストを模した条件だ[5]。

国立環境研究所の環境展望台は、ポリ乳酸(PLA)を、コンポストなどでは分解する一方、常温や海、深海ではほとんど分解しない例として知られると説明する。同時に、常温でPLAを分解できる酵母(イネの葉の表面から見つかったシュードザイマ属)が報告されていることも紹介する[7]。素材の性質だけでなく、温度などの環境が結果を左右する、という一例だ。

5. ふかい 海の そこでは、どう なる?

5. 深海と海 ── 分解した素材と、しなかった素材

5. 深海実験(2024年)・海洋生分解性の基準(2023年)・ISO 16636(2025年)

日本の 研究チームが、水深 757メートルから 5,552メートルまでの 5つの ばしょに、プラスチックを おきました。3か月から 14か月 あと、ふつうの プラスチックは 分解ぶんかいして いませんでした。「せいぶんかい」の プラスチックは、ポリにゅうさん いがいは、微生物びせいぶつに 分解ぶんかいされて いました[8]。

「深い 海でも ぜんぶ 分解ぶんかいする」の では ありません。ポリにゅうさんは 分解ぶんかいしませんでした。ものと ばしょの くみあわせで、けっかが かわります。

海で 分解ぶんかいする ことを しめす 日本の きじゅんも、2023年に できました。コンポストの 60%より きびしい、90% いじょうが もとめられます[4]。

それでも、こくれんが 2015年に 出した ほうこくは、「分解ぶんかいする」と 書いた ものが 広まっても、海に 入る ごみの りょうや きけんは、あまり へらないと のべました[6]。

東京大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの研究チームは、水深757〜5,552mの5地点の深海底に、生分解性プラスチックと汎用プラスチックを3〜14か月置きました。ポリ乳酸を除く生分解性プラスチックは微生物に分解されましたが、汎用プラスチックとポリ乳酸は分解されなかったと、2024年1月に報告しています[8]。

「深海でもすべての生分解性プラが分解する」わけではなく、ポリ乳酸は除かれます。分解するかどうかは、素材と環境の組み合わせで決まります。

海のための基準も作られています。JBPAは、1重量%以上ふくまれる有機材料が、指定の海洋生分解性試験で90%以上の生分解度を示すことを求めます。コンポストなどの60%より厳しい基準で、第1版は2023年7月です[4]。カネカのPHBHは、海水中30℃で6か月以内に生分解度が90%以上になる、という基準の認証を、2017年9月にベルギーの機関から取りました[9]。これは試験室の30℃の海水での結果で、実際の海で同じ期間で消えるという保証ではありません。

いっぽう、国連環境計画(UNEP)の2015年の報告は、プラスチックの完全な生分解は、海ではめったに満たされない条件で起こると指摘し、「生分解性」の表示品が広まっても、海に入るプラごみの量や危険は大きく減らない、と結論しました[6]。国連ニュースの記事による確認です。

東京大学農学生命科学研究科・JAMSTECなどの研究チームは、水深757〜5,552mの5地点の深海底に、生分解性プラスチックと汎用プラスチックを3〜14か月置き、2024年1月に結果を報告した(Nature Communications)。汎用プラスチックとポリ乳酸は分解されず、ポリ乳酸を除く生分解性ポリエステルと多糖類エステル誘導体は、いずれの深海底でも分解された[8]。「深海でもすべての生分解性プラが分解」とは書けず、素材と環境の組み合わせが結果を決める。

JBPAの海洋生分解性プラの識別表示基準は、1重量%以上の有機材料が、指定の海洋生分解性試験で90%以上の生分解度を示すことを求め、コンポスト等の60%より厳しい。第1版は2023年7月で、ポジティブリストの申請受付は同年7月12日、マーク申請は8月1日からだった[4]。

カネカのPHBHは、2017年9月にベルギーの認証機関Vinçotteの「OK Biodegradable MARINE」認証を取得した。海水中(30℃)で6か月以内に生分解度が90%以上になることが基準とされる[9]。試験室の30℃の海水での結果で、実際の海で同じ期間に消えることを保証するものではない。

UNEPの2015年の報告書は、完全な生分解は海ではめったに満たされない条件(産業用コンポスターや50℃超の高温が長く続く条件を要する例)で起こると指摘し、表示品が広まってもプラごみの量や危険は大きく減らない、と結論した。これは国連ニュースの記事で確認したもので、報告書本体は読めていない[6]。

海洋での評価法は整備の途上にある。2025年5月12日には、海洋生分解性プラスチックの実環境での生分解性を実証する評価手法として、ISO 16636:2025が発行された[11]。2021年のロードマップは、海洋での分解度合いやスピードを制御する技術の確立には時間を要する、と述べていた[1]。

6. どんな ところで やくに たつの?

6. 使いどころと、ポイ捨ての言いわけにならないこと

6. 使いどころ ── 生ごみ袋・農業用フィルム、製造量の約0.6%(2018年)、ポイ捨ての誤解

国は、生ごみを 入れる ふくろを、つかいどころの 1つに あげて います。生ごみと ふくろを いっしょに 堆肥たいひや ガスに できる からです[2]。畑の 土に まぜて いい フィルムや、うっかり 海や 川に 出て しまう かもしれない 道具も、あげられて います。

世界で 作られる プラスチックの うち、しょくぶつから 作った ものと、分解ぶんかいする ものを、あわせても 0.6%ぐらいです(2018年)。170こに 1こ ぐらいの わりあいです[1]。

そして、だいじな ことが あります。「分解ぶんかいするから、すてても いい」は まちがいです。国も、そう 思う 人が ふえない ように ちゅういして います[1]。ごみは、きまりどおりに すてます。

国のロードマップが想定する使いどころは、生ごみを堆肥やバイオガスにするときの収集袋、農地にすき込めるマルチフィルム、肥料の被覆材、一部の漁具のように、意図せず環境に流れ出るおそれのある製品です[2]。食品くずと袋をいっしょに処理できれば、廃棄物を減らせるという考え方です。ただし、2018年時点で、生ごみを堆肥化・バイオガス化する自治体などの施設は、全国で101施設と限られていました。

世界のプラスチックの製造量は年に約360,000千トンでした(2018年)。そのうち、バイオマスプラ(非生分解性)の製造能力は約1,198千トン、生分解性プラは約912千トンで、あわせて約2,110千トンです。全体の約0.6%、およそ170分の1にあたります[1]。この割合は、上の数字から計算した値で、2018年時点の古い統計です。日本でも、国内のプラスチック投入量に占めるバイオプラスチックの割合は、2018年時点で0.5%程度でした。

国のロードマップは、「生分解性プラスチックは自然に分解するからポイ捨てしても構わない」という消費者の誤解が、ポイ捨てを助長しないよう気をつける必要がある、と述べています。生分解性の有無にかかわらず、ポイ捨てはしてはいけません[1]。また、生分解性プラがまざると、今のところリサイクルの異物になりうるとされています。

ロードマップが想定する用途は、食品残渣の収集袋(堆肥やメタンガスに再資源化され、袋も生分解されるので廃棄物削減につながる)、農地にすき込めるマルチフィルム、肥料の被覆材、一部の漁具など、意図せず環境に流出しうる製品だ[2]。ただし2018年度の統計で、生ごみを堆肥化・バイオガス化する自治体等の施設は101施設(ごみ肥料化90、メタン化9、飼料化2)と限られる。

世界のプラスチック製造量は年約360,000千トン、バイオマスプラ(非生分解性)の製造能力は約1,198千トン、生分解性プラは約912千トン(いずれも2018年)。合計約2,110千トンは、全体の約0.6%(約170分の1)だ。この割合は2,110÷360,000の自分の計算である。日本では、プラスチック国内投入量に占めるバイオプラの割合が2018年時点で0.5%程度だった[1]。統計は古く、最新の値は確認していない。

ロードマップは、生分解性の有無にかかわらずポイ捨て(不法投棄)はしてはならないとしたうえで、「自然に分解するからポイ捨てしても構わない」という消費者の誤解でポイ捨てが助長されないよう留意が必要だと述べる[1]。また、生分解性プラの混入は、現状ではリサイクルの異物になりうるという。

「自然に還る」という言葉が指すのは、条件がそろった場所での分解であって、置いた場所で自動的に消えることではない。原料の話(植物か石油か)と分解の話(どこでどれだけ)は別々に確かめる、という順で読むと、表示の意味がつかみやすい。

7. じぶんでも たしかめて みよう

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

おみせで、「せいぶんかい」や「コンポスト」と 書いて ある ふくろや ようきを さがして みましょう。どこで 分解ぶんかいする ことを かんがえて 作られて いるのか、書いて あるでしょうか。おうちの 人と、見つけた ものを 見くらべて みます。

見つけても、土に うめたり、海や 川に すてたり しては いけません。ごみは、町の きまりどおりに すてます。

今日できること

家にある袋や容器、お店の袋や容器で、「生分解性」「コンポスト」「バイオマス」などの言葉やマークを探します。書かれているのは、原料の話でしょうか、分解の話でしょうか。分解の話なら、どんな場所で分解するのかが書いてあるかも見てみましょう。

出かけてできること

自分の町のごみの分け方の表で、そうした袋や容器が、どの分類になっているかを探します。見つけても、土に埋めたり、海や川に捨てたりはしません。町のきまりどおりに捨てます。

公式情報

日本バイオプラスチック協会(JBPA)の識別表示の基準[3]と、環境省などのロードマップ[1]を読むと、言葉の定義が確かめられます。

今日できること

手元の袋や容器の表示を、「原料についての表示」と「分解についての表示」に分けて読む。分解の表示があれば、どの分解環境(工業コンポスト・家庭コンポスト・土壌・海洋)が想定されているかも探す[1]。

出かけてできること

自治体のごみの分別表で、生分解性をうたう製品の扱いを調べる。書かれていなければ、自治体の窓口に尋ねる手もある。実験として土に埋めたり、海・川に捨てたりはしない。

公式情報

JBPAの識別表示基準[3]、海洋生分解性プラ識別表示制度のページ[4]、環境省などのロードマップ[1]が一次資料になる。深海実験は、東京大学のプレスリリース[8]からNature Communicationsの原論文をたどれる。ただし英文の資料が中心になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:環境省ほかのロードマップ、NEDO、国立環境研究所は公的機関の資料です。JBPAは業界団体、カネカは企業の発表です。東京大学は大学のプレスリリース、ボーケン品質評価機構は試験機関の解説、国連ニュースとphys.orgは報道・解説です。一部は解説記事や検索結果の抜粋で内容を確かめました。

  1. 環境省・農林水産省・経済産業省・文部科学省「バイオプラスチック導入ロードマップ」(2021年1月)。 https://www.env.go.jp/content/900534511.pdf (定義、原料と分解の違い、分解環境、ポイ捨ての注意、製造量の数字)
  2. 環境省ほか バイオプラスチック導入ロードマップ関連の資料(別のPDF)。 https://www.env.go.jp/content/900534469.pdf (使いどころの例、生ごみを堆肥化・バイオガス化する施設の数)
  3. 日本バイオプラスチック協会(JBPA)「生分解性プラ識別表示基準」。 https://www.jbpaweb.net/assets/documents/SP_01.pdf (60%以上の生分解度、基準の第1版が2000年4月であること)
  4. 日本バイオプラスチック協会(JBPA)「海洋生分解性プラ識別表示制度」。 https://www.jbpaweb.net/identification/identification-marinebiodegradable/msp_info.html (90%以上の生分解度、2023年の制度開始日)
  5. ボーケン品質評価機構「ISO 14855-1 好気的究極生分解度試験」の解説。 https://www.boken.or.jp/find_tests/chemical_analysis/biodegradability/15120/ (コンポスト試験の温度が約58℃であること)
  6. UN News「Biodegradable plastics are not the answer to reducing marine litter, says UN」(2015年)。 https://news.un.org/en/story/2015/11/515792-biodegradable-plastics-are-not-answer-reducing-marine-litter-says-un (UNEP報告書の指摘の要約)
  7. 国立環境研究所 環境展望台「生分解性プラスチック」。 https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=54 (ポリ乳酸の分解と、常温で分解する酵母の報告)
  8. 東京大学大学院農学生命科学研究科・JAMSTEC プレスリリース(2024年1月26日)。 https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20240126-1.html (深海底での分解実験の結果)
  9. カネカ ニュースリリース(2017年11月15日)。 https://www.kaneka.co.jp/topics/news/nr201711151/ (PHBHの海洋生分解性の認証と、その基準)
  10. phys.org「Biodegradable plastic bags still full of shopping after three years in the environment」(2019年。原論文はNapper & Thompson, Environmental Science & Technology, 2019)。 https://phys.org/news/2019-04-biodegradable-bags-full-years-environment.html (土と海に3年以上置いた袋の観察結果。原論文ではなく解説記事で確認)
  11. NEDO ニュースリリース(海洋生分解性の評価手法 ISO 16636 の発行)。 https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101847.html (ISO 16636:2025の発行日と目的)

なおした ところ

更新履歴

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