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ひかりの ない どうくつで、いきものは どうやって いきて いるの?

光のない洞窟で、生きものはどうやって生きているのか

光のない洞窟で、生きものはどうやって生きているのか

分野:生きもの

メキシコの どうくつに すむ さかなの 赤ちゃんには、目が ある。

でも、大きく なる うちに、その目は 見えなく なって しまう。

メキシコの洞窟にすむ魚の赤ちゃんには、ちゃんと目がある。

でも、大きくなるうちに、その目は見えなくなってしまう。

メキシコの洞窟にすむある魚は、卵からかえったばかりのときには水晶体をそなえた目の原基を持つ。しかし成長するにつれてその細胞がみずから死んでいき、視覚は失われていく。

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1. どうくつの いきものには、3つの グループが ある

1. 洞窟の生きものには、3つのグループがある

1. 洞窟への依存度で、生きものは3つに分けられる

どうくつに かかわる いきものは、どのくらい どうくつに たよって いるかで、3つに わけられる。たまに まよいこむだけの もの、どうくつの 中でも 外でも くらせる もの、そして ふつうは どうくつの 中でしか 見られない ものだ[1]

洞窟にかかわる生きものは、どのくらい洞窟にたよっているかで、3つにわけられる。たまに迷いこむだけの生きもの、洞窟の中でも外でもくらせる生きもの、そしてふつうは洞窟の中でしか見られない生きものだ[1]

洞窟にかかわる生きものは、依存度に応じて「迷洞穴性(たまたま迷いこんだだけのもの)」「好洞穴性(洞窟を好むが、洞窟の外でも生活できるもの)」「真洞穴性(通常は洞窟内でしか見られないもの)」の3つに分類される[1]

2. どうくつの さかなは、大きく なると 目が 見えなく なる

2. 洞窟の魚は、大きくなると目が見えなくなる

2. 洞窟の魚は、成長の過程で目の細胞が自ら死んで視覚を失う

どうくつの 中でしか 見られない いきものの 中には、目 その ものを うしなった ものも いる。メキシコの どうくつに すむ「ブラインドケーブフィッシュ」と いう さかなの なかまは、むかし 地上に すんで いた さかなの グループが、なんども べつべつに どうくつに 入りこんで、目を うしなって いったと 考えられて いる。たまごから かえった ときには、目の もとに なる ぶぶんが できて いる。でも 大きく なる うちに、まず レンズの さいぼうが みずから 死んで、つづいて 目の おくの ぶぶんの さいぼうも うしなわれて、見えなく なって いく[2]

そうした「洞窟の中でしか見られない」生きものの中には、目そのものを失ったものもいる。メキシコの洞窟にすむ「ブラインドケーブフィッシュ」という魚の仲間は、もともと地上にすんでいた魚のグループが、何度も別々に洞窟に入りこんで、目を失っていったと考えられている。卵からかえったときには、目のもとになる部分ができる。でも大きくなるうちに、まずレンズの細胞がみずから死んで、続いて目の奥の部分(網膜)の細胞も失われ、見えなくなっていく[2]

真洞穴性の生きものの中には、目そのものを失ったものもいる。メキシコの洞窟にすむブラインドケーブフィッシュ(メキシカンテトラの洞窟型)は、地表にすんでいた祖先の集団が、少なくとも3回、別々の時期に洞窟へ入りこんで、それぞれ独立に目を失う進化を遂げたと考えられている。孵化直後には水晶体をそなえた目の原基が形成されるが、成長するにつれてまず水晶体の細胞がアポトーシス(細胞の自発的な死)を起こし、続いて網膜の一部の細胞も失われて、視覚機能が失われていく[2]

3. 目と のうの 見る ぶぶんは、たいりょくを つかって しまう

3. 目と脳の見る部分は、体力をたくさん使ってしまう

3. 目と脳の視覚部位を維持するには、大きなエネルギーがかかる

目や のうの 見る ための ぶぶんは、たくさんの エネルギーを つかう。ある けんきゅうでは、育つ とちゅうの 魚が じっと している ときに つかう エネルギーの うち、目と のうの 見る ぶぶんに つかう ぶんが、目が 見える なかまと くらべて、やく15%も あった[3]。えさが すくない どうくつでは、見えない ほうが、生きのこりやすいのかも しれない。

目や、脳の中で見るための部分は、たくさんのエネルギーを使う。ある研究では、育つとちゅうの魚がじっとしているときに使うエネルギーのうち、目と脳の見る部分にあてられる分が、目の見える地表にすむ仲間とくらべて、およそ15%を占めることが分かった[3]。えさが少ない洞窟では、見えないほうが、生きのこりやすいのかもしれない。

光を感じる細胞や神経は、多くのエネルギーを必要とする。「Science Advances」誌に発表された研究では、成長期の若い個体の安静時代謝(じっとしているときに使うエネルギー)のうち、目と視覚関連の脳組織にあてられるコストが、目の見える地表型の近縁種と比較しておよそ15%を占めることが酸素消費量から示された[3]。栄養に乏しい洞窟環境では、この差が生きのこりやすさに関わっている可能性がある。

4. 目の かわりに、ほかの かんかくが するどく なる

4. 目のかわりに、ほかの感覚がするどくなる

4. 視覚を失うかわりに、側線と味覚が発達する

目が 見えない ぶん、水の うごきを かんじる からだの せんや、あじを かんじる ちからが するどく なって いると 考えられて いる。だから 目が 見えなくても、くらい 水の 中で えさを 見つける ことが できる[4]

目が見えないぶん、水のわずかな動きを感じる「側線」というからだの器官や、あじを感じる力がするどくなっていると考えられている。だから目が見えなくても、暗い水の中でえさを見つけることができる[4]

視覚を失うのと引きかえに、体表を走る感覚器官「側線」がわずかな水の振動を敏感に感じ取れるよう発達し、味を感じる細胞も増加する。目の発生にかかわっていた遺伝子の一部が、こうした別の感覚を担う機能に振り向けられているとされる[4]

5. 7年間、ほとんど うごかなかった どうぶつ

5. 7年間、ほとんど動かなかった動物

5. ホライモリ ── 極端な低代謝と長寿命

目が 見えなく なるだけでなく、うごく ことじたいを ほとんど やめて しまった いきものも いる。ヨーロッパの どうくつに すむ「ホライモリ」と いう いきものは、目が 見えず、体が 白っぽい。ある ちょうさでは、7年間の あいだに、数センチしか うごかなかった ホライモリが いた[5]

目を失い、感覚を発達させるだけでなく、活動そのものを極限まで落とした生きものもいる。ヨーロッパの洞窟にすむ「ホライモリ」という生きものは、目が見えず、体が白っぽい。ある調査では、2659日(約7年)のあいだに、数センチしか動かなかったホライモリがいた[5]

エサが無くても10年ほど生きた実験例もある。フランス・ムーリスで長く続く飼育個体群の記録をもとにした研究では、平均寿命は68.5年ほどと推定され、予測される最大の寿命は100年をこえるとされる[5]

目を失い、感覚を発達させるだけでなく、活動そのものを極限まで落とすことで洞窟に適応した生きものもいる。スロベニアなどディナル・アルプスのカルスト洞窟に固有のホライモリは、目が退化して皮膚に覆われ、わずかな色素で黄白色からピンク色を帯びた薄い皮膚を持つ。ある2659日間(約7年間)の追跡調査では、この間ほとんど動かなかった個体が確認されている[5]

代謝を極端に落とすことで、実験下では餌なしで10年間生存した例がある。フランス・ムーリスで1950年代末から続く飼育個体群の記録をもとにした研究では、成体の寿命は平均68.5年ほどと推定され、予測される最大寿命は100年を超えるとされる[5]

6. せかいの あちこちで、にた すがたに なった

6. 世界のあちこちで、似たすがたになった

6. 系統の異なる生きものが、同じ環境で似た姿にたどり着く(収斂進化)

体の いろが うすく なる、体が すこし 大きく なる、あしが 長く なる。こういう へんかは、ちゅうごくの どうくつに すむ、おたがいに 遠い なかまの ヤスデどうしを くらべた けんきゅうで、どの くみあわせでも おなじように 見つかった。まるで、はなれた 国に すむ 人たちが、たがいに しらないのに、さむい ところでは 同じような あつい 服を 着るように、おなじ どうくつと いう くらしに あわせた けっか、にた すがたに なったのだ(ただし ほんとうは、しめしあわせたのでは なく、それぞれが べつべつに その すがたに たどりついた)。

体の色がうすくなる、体がやや大きくなる、あしが長くなる。こういう変化は、中国南部の洞窟にすむ、おたがいに縁の遠いヤスデの仲間どうしをくらべた研究で、どの組み合わせでも共通して見つかった。目をもつ種にかぎっては、眼点(単眼)の数や色が減る傾向も見られたが、比較した相手にもともと目のない種もふくまれていたため、この変化は他の3つほどには全体で確認されていない。まるで、はなれた国に住む人たちが、たがいに知らないのに、寒い地域では同じように厚着をするように、同じ洞窟というくらしに合わせた結果、似たすがたになったのだ(ただし本当は、しめしあわせたのではなく、それぞれが別々にその姿にたどりついた)。

中国南部の洞窟性ヤスデを対象に、互いに近縁でない4目6科にわたる6組の「洞窟性の種」と「地表にすむ近縁種」を比較した研究では、体色がうすくなること、体がやや大きくなること、あし(とくに大腿節・跗節)が伸びることの3系統の形質が、比較したすべての組で共通して見つかり、それぞれ独立に進化したと結論づけられている[6]。目をもつ種にかぎっては眼点の数や色が減少する傾向も見られたが、比較対象には元々目をもたない種も含まれていたため、この変化は他の形質ほど全種で確認されたわけではない。

これは、系統的に無関係な生物が似た環境条件に応じて似た形質にたどり着く「収斂進化」の一例であり、洞窟という特殊な環境が、分類群を問わず同じような解決策を導きやすいことを示している[6]

くらやみを たいけんして みる

暗闇を体験してみる

暗闇を体験してみる

テーブルの 上に、あぶない ものが ないか たしかめてから、目を つぶって、手だけで ものを さがして みよう。目が つかえない とき、ほかの かんかくが どれだけ たよりに なるか、じぶんで たしかめて みよう。

テーブルの上に、刃物や熱い飲み物などの危ないものがないか確かめてから、目を閉じて、手だけでものをさがしてみよう。目が使えないとき、ほかの感覚がどれだけたよりになるか、自分でたしかめてみよう。

刃物や熱い飲み物など危ないものがない場所を選び、目を閉じた状態で身のまわりの物を探ってみると、触覚や聴覚にどれだけ意識が向くかを体感できる。図鑑や水族館で、洞窟性の生きものが実際にどんな姿をしているか探してみるのもおもしろい。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. フリー百科事典『ウィキペディア』「洞穴生物」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/洞穴生物 (洞穴にかかわる生きものが「迷洞穴性」「好洞穴性」「真洞穴性」の3つに分類されることはウィキペディア「洞穴生物」による)
  2. 森の中の水族館スタッフブログ「ブラインドケーブカラシン」、Bradic, Teotonio, Borowsky (2013) "The Population Genomics of Repeated Evolution in the Blind Cavefish Astyanax mexicanus"(Molecular Biology and Evolution)、Ma, Strickler et al. (2017) "Lens apoptosis in the Astyanax blind cavefish is not triggered by its small size or defects in morphogenesis"(PLOS ONE)。 https://morinonakanosuizokukan.kikyouya.co.jp/2022/09/15/ブラインドケーブカラシン/ https://academic.oup.com/mbe/article/30/11/2383/1257682 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0172302 (地表にすんでいた祖先の集団が少なくとも3回、別々の時期に洞窟へ入りこみ、それぞれ独立に目を失う進化を遂げたと考えられていることはBradic, Teotonio, Borowsky (2013)による。孵化直後に水晶体をそなえた目の原基が形成されるが、成長にともないまず水晶体の細胞がアポトーシスを起こし、続いて網膜の一部の細胞も失われて視覚機能が失われていくことはMa, Strickler et al. (2017)、および水族館ブログによる)
  3. ナショナル ジオグラフィック日本版「洞窟の魚が目を失ったのは、省エネのためだった」、Science News "Loss of vision meant energy savings for cavefish"、Moran, Softley, Warrant (2015)(Science Advances)。 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/091500259/ https://www.sciencenews.org/article/loss-vision-meant-energy-savings-cavefish https://doi.org/10.1126/sciadv.1500363 (「Science Advances」誌に発表された研究で、成長期の若い個体の安静時代謝のうち目と視覚関連の脳組織にあてられるコストが、目の見える地表型の近縁種と比較しておよそ15%を占めることが酸素消費量から示されたことは同研究、およびナショナル ジオグラフィック日本版・Science Newsの解説記事による)
  4. 森の中の水族館スタッフブログ「ブラインドケーブカラシン」、Yoshizawa et al. "Evolutionary convergence of a neural mechanism in the cavefish lateral line system"(eLife)、Gross et al.(Communications Biology)。 https://morinonakanosuizokukan.kikyouya.co.jp/2022/09/15/ブラインドケーブカラシン/ https://elifesciences.org/articles/77387 https://www.nature.com/articles/s42003-024-06635-2 (視覚を失うかわりに側線の感覚器が発達しわずかな水の振動を感じ取りやすくなることはeLife掲載の研究による。味覚にかかわる細胞〈味蕾〉が増加することはCommunications Biology掲載の研究による。目が見えなくても側線・嗅覚などで餌を探せることは水族館ブログによる)
  5. フリー百科事典『ウィキペディア』「ホライモリ」、ナゾロジー「ホライモリは7年間で数センチも動いていなかった!」、Voituron et al. (2011) "Extreme lifespan of the human fish (Proteus anguinus): a challenge for ageing mechanisms"(Biology Letters)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/ホライモリ https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/51792 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3030882/ (ホライモリの目が退縮し皮膚に覆われていること、わずかな色素で黄白色からピンク色を帯びた薄い皮膚を持つこと、餌なしで10年間生存した実験例があることはウィキペディア「ホライモリ」による。フランス・ムーリスで1950年代末から続く飼育個体群の記録をもとに、成体の平均寿命が68.5年ほど、予測最大寿命が100年を超えると推定されたことはVoituron et al. (2011)による。2659日間〈約7年間〉の追跡調査でほとんど動かなかった個体が確認されたことはナゾロジーによる)
  6. "Convergent Evolution of Unique Morphological Adaptations to a Subterranean Environment in Cave Millipedes"(PMC5298257)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5298257/ (中国南部の洞窟性ヤスデを対象に、互いに近縁でない4目6科にわたる6組の洞窟性種・地表性近縁種を比較し、体色がうすくなること・体がやや大きくなること・脚〈大腿節・跗節〉が伸びることの3系統の形質が、比較した全ての組で共通してそれぞれ独立に進化していたこと、目をもつ種にかぎり眼点の減少も見られたが元々無眼の種も比較対象に含まれるためこの形質は他ほど全体には確認されなかったことは同論文による)

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