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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ドライアイスの しろい けむりは、なにで できて いるの?

ドライアイスの白い煙は二酸化炭素ではない ── 見えない気体の周りで起きていること

ドライアイスの白煙の正体 ── 昇華、水蒸気の凝結、水中の実験と未決着の点

分野:自然

ドライアイスを おゆに いれると、しろい けむりが もくもくと でます。この けむりは、二酸化炭素にさんかたんそだと おもって いませんか。

でも、二酸化炭素にさんかたんそは、すきとおって いて 見えません。それなら、しろく 見えて いる ものは、なんでしょう。いっしょに かんがえて みましょう。

ドライアイスから、白いもくもくが流れ出ます。あれを「二酸化炭素の煙」と思っている人は多いかもしれません。ところが、気体の二酸化炭素は無色透明で、目には見えません。

では、白く見えているのは何でしょうか。空気中の水がどう関わるのか、冷えた気体だけを水に通したらどうなったのか、そして専門家の間でもまだ決まっていないことは何かを、資料を突き合わせて見ていきます。

ドライアイスから出る白いもくもくは、二酸化炭素そのものではなく、水(水滴や氷の粒)でできていると説明される[2]。気体の二酸化炭素は無色透明で見えない。

この記事では、昇華という変化、空気中の水蒸気が冷えて凝結するという教育資料の説明、冷えた二酸化炭素だけでは白煙が出なかったとする水中の実験、粒の中身が水滴か氷かという未決着の点を整理する。論文の扱いは実験の章にまとめる。

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1. ドライアイスは、とけて みずに なるの?

1. 液体にならずに気体になる氷

1. 昇華 ── -78.5℃で固体から直接気体へ

ドライアイスは、二酸化炭素にさんかたんそが かたまりに なった ものです。とても ひくい おんどで、-78.5℃ほどの つめたさです[1]。

こおりは、あたたまると とけて みずに なります。ドライアイスは ちがいます。とけずに、かたまりから そのまま きたいに なって いきます。これを、昇華しょうかと いいます。

ドライアイスの まわりで もくもくが でるのは、その きたいが でて いる ときです。でも、その きたいそのものは 見えません。

ドライアイスは、二酸化炭素を固体にしたものです。1気圧のもとでは、約-78.5℃で液体を経ずに直接気体になります。この変化を昇華といい、ドライアイスには沸点がなく、昇華する温度だけが示されています[1]。

氷は溶けて水になりますが、ドライアイスは溶けた液体が残りません。そのため、保冷に使っても水びたしにならず、周りには冷たい気体だけが出ていきます。

ここで出てくる二酸化炭素の気体は無色透明です[2]。もくもくとして見える白いものは、別のものです。

ドライアイスは固体の二酸化炭素で、1気圧では-78.5℃(昇華点)で液体を経ず直接気体になる。安全データシート(SDS)は融点・凝固点を-78.5℃(昇華点)とし、沸点は「なし」と記す[1]。

SDSには三重点として-56.6℃・0.518MPaも載る。大気圧は約0.101MPaなので、この圧力に届かず液体にならない、という整理ができる[1]。0.518MPaは約5.1気圧にあたる。

昇華で生じる二酸化炭素の気体は無色透明であり、白く見えるものは気体そのものではない[2]。

2. しろい ものは、どこから きたの?

2. 白い粒の材料は、まわりの空気にあった水

2. 空気中の水蒸気の凝結

つめたい ジュースを コップに いれて おくと、コップの そとがわに みずが つきます。そとの 空気に ういていた 水が、つめたい コップに ひやされて、つぶに なった ものです。

ドライアイスの まわりでも、にた ことが おきて いると せつめいされます。ドライアイスが とても つめたいので、まわりの 空気の すいじょうきが ひやされて、ちいさな 水の つぶに なります。それが しろく 見えます[3]。

ただし、コップの ばあいは つぶが コップに くっつきます。ドライアイスの ばあいは、つぶが 空気の なかを ういて、けむりの ように 見えます。

冬の白い息と同じ仕組みで説明されることが多く、ドライアイスの場合は、非常に冷たいので周りの空気中の水蒸気が冷やされ、細かい水の粒になって白い湯気のように見えると説明されています[3]。水蒸気は目に見えない気体で、見えるのは冷えて粒になったあとの姿です。

ドライアイスを扱うメーカーも、空気中の水蒸気が急に冷やされて凝結し、白い霧状の粒子になると説明しています。昇華した二酸化炭素そのものは無色透明とも書いています[4]。

煙と呼ばれますが、ものが燃えたときの煙ではありません。湯気や霧に近い種類のものです[2]。

国立国会図書館のレファレンス協同データベースに載る教育書の説明では、ドライアイスが非常に冷たいため周囲の空気中の水蒸気が冷やされて細かい水の粒になり、白い湯気に見えるとされる[3]。メーカーの解説も、空気中の水蒸気が急冷されて凝結し、白い霧状の粒子になると述べる[4]。

科学館の解説では、白いもくもくの正体は水で、氷の粒や水の粒でできているとされる[2]。いわゆる「煙」だが、燃焼による煙ではなく、湯気や霧と同じ類の白いものである。

この説明はいずれも教育・解説資料によるもので、空気中の粒を測った研究として示されているわけではない。

3. つめたい きたいだけ なら、けむりは でるの?

3. 冷えた気体だけを水に通した実験

3. 松川の実験 ── 冷えたCO2ガスでは白煙が出なかった

ここで ふしぎな じっけんの はなしが あります。ドライアイスから でた つめたい 二酸化炭素にさんかたんそだけを、ながい くだを つかって 水の なかに おくった、と いう じっけんです。

この じっけんでは、水の なかでも 水の うえでも、しろい けむりは でなかった、と ほうこくされて います[6]。

もう ひとつ、しょくようの あぶらに ドライアイスを いれると、あわは でるのに しろい けむりは でない、と いう ほうこくも あります[7]。

どちらも、しろい けむりに 水が かかわって いる ことの てがかりと して しょうかいされて います。

東大寺学園の松川利行さんは、ドライアイスが昇華してできた冷たい二酸化炭素の気体だけをビニール管で水に通す実験を行いました。この実験では、水中でも水面でも白煙は生じなかったと報告されています[6]。冷えた気体だけでは煙が出ない、という結果です。

もう一つ、サラダ油にドライアイスを入れると泡は出るが白い煙は出ない、という報告があり、白煙に水が関わる根拠の一つとして紹介されています[7]。

ここで気をつけたいのは、この実験が「水に入れた場合」の話だということです。空気中の煙まで同じ結果になるとは、この実験だけでは言えません。

松川利行(東大寺学園)は、サイエンスネット34号の論文で、昇華で生じた冷たいCO2ガスだけをビニール管で水に通した場合、水中・水面とも白煙は生じないと論じる。この点から、水中では「空気中の水蒸気が冷やされて霧になる」という説明は成り立たないと主張している[6]。

サラダ油にドライアイスを入れると白煙が出ないという報告もあり、水が白煙に関わる根拠として引かれる[7]。

ただし、これは水に入れた場合の議論であり、空気中の煙まで否定したものではない。論文は、冷やした二酸化炭素を水に通しても白煙が出なかったと報告している。

4. しろい つぶは、みずなの? こおりなの?

4. 粒は水滴か、氷か

4. 微粉末の氷説と、未決着の点

白い つぶが、水の しずくなのか、とても ちいさな こおりなのかは、しりょうでも、はっきり わかって いない、と かかれて います[2]。

「こおりの つぶ」だと かんがえた ひとも います。さっきの あぶらの じっけんに くわえて、水いがいの えきたいに ドライアイスを いれても けむりが でる ことが あるからです[6]。

ただし、これは「こうかもしれない」と いう かんがえです。ほんとうの ことは、これから しらべて いく ひとが いるかも しれません。

白い粒の中身について、科学館の解説は「氷の粒や水の粒」と書き、どちらかは決めていません。粒が水滴か氷かは、はっきり分かっていないとも書かれています[2]。

松川さんは、酢酸やベンゼンなど水以外の液体にドライアイスを入れても白煙が出る場合があることに注目しました。そこから、白煙の正体は入れた液体が細かい粉末の固体になったもので、水なら氷の微粒子ではないか、と考えました[6][7]。論文自身が「間接的な証明」と位置づける考え方です。

「水蒸気が凝結した」という教育資料の説明と、「氷の微粉末」という考えは、同じ白煙を別の角度から説明しようとしているようにも見えます。どちらが実際に近いのか、資料からは決められません。

粒が水滴か氷かは、科学館の解説でも「はっきり分かっていない」とされ、資料により書き方が分かれる[2]。

松川は、酢酸・ベンゼンなど水以外の液体でも白煙が出る場合があることから、白煙の正体は溶媒が微粉末の固体になったもの(水なら氷)と推定し、水に入れた場合の白煙の正体を実証した学術文献は見当たらないと論文冒頭で述べる[6][7]。論文自身も、この結論を間接的な証明としている点に注意が要る。

空気中の煙について、教育資料の水蒸気説と、水中での氷微粉末説の関係は資料から整理しきれていない。なお論文は、水中の白煙について実証した学術文献を見つけられなかったと述べている。

5. けむりは、どうして したに ながれて、きえるの?

5. 煙が下へ流れ、やがて消える理由

5. 低い所に集まる性質と、粒が消えること

ドライアイスの けむりは、うえに のぼらずに、つくえの うえを はうように ながれます。ひやされた 空気は おもく、二酸化炭素にさんかたんそも 空気より おもいので、ひくい ところに たまりやすいのです[1]。

そして、けむりは しばらくすると 見えなく なります。つぶが すいじょうきに もどるからだと、ドライアイスを うる みせは せつめいして います[5]。

なくなったのでは なくて、見えない すがたに もどった、と いうことです。

ドライアイスの煙は、上に昇らず、机の上を這うように流れます。冷たい空気は重く、さらに二酸化炭素は空気より重いので、低い所にたまりやすいと安全データシートは注意しています[1]。煙が下へ流れる理由は、冷たさと二酸化炭素の重さが重なった結果と考えられますが、資料には流れる理由を実験で確かめたものは見つかっていません。

煙はしばらくすると消えます。ドライアイスの販売店は、氷や水の粒が水蒸気に戻るためと説明しています[5]。

湯気が消えるのと同じで、水が見えない気体に戻った、と読めます。

SDSは、二酸化炭素が空気より重く、低い所に滞留して高濃度になりやすいと注意する[1]。煙が下へ流れるのは、冷えた気体・粒を含む空気の重さと二酸化炭素の重さが重なるためと考えられる。

煙が消える理由は、ドライアイスの販売店が、氷や水の粒が水蒸気に戻るためと説明している[5]。

6. ドライアイスは、いつ できたの?

6. 商品になるまで

6. 1924年の特許申請と1925年の事業化

1925ねんに、アメリカで ドライアイスを つくる 会社が できました。その 名まえから「ドライアイス」と いう ことばが ひろまった、と いわれます[9]。

商品として工業的に作られはじめたのは、1920年代のアメリカです。1924年にスレートが特許を申請し、1925年には「ドライアイス・コーポレーション」が設立されて、ドライアイスという名前が広まりました。以上は国立国会図書館のレファレンス事例にある昭和炭酸の歴史の説明に基づきます[9]。

1924年にアメリカのスレートが特許を申請し、1925年に「ドライアイス・コーポレーション」が設立され、Dry iceの名が広まった。以上は国立国会図書館のレファレンス事例にある昭和炭酸の歴史の説明に基づく[9]。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

おうちの ひとと いっしょに、つめたい ジュースを コップに いれて、そとがわが どのくらいで ぬれるか 見て みましょう。ぬれた ぶんは、空気の すいじょうきが つぶに なった もの、と せつめいされて います。ジュースを ひやした ときと、あまり ひやさない ときで くらべても おもしろいです。

ドライアイスを もらったら

ドライアイスは、ぜったいに、てで さわらないで ください。かならず おとなと いっしょに、てぶくろを つかいます。ぴったり とじた ふくろや ペットボトルには いれません。きたいが ふくらんで、やぶれる ことが あるからです。まどを あけた ひろい ところで あつかいます[1][8]。

今日できること

冷たい飲み物を入れたコップの外側が、どのくらいで濡れるかを見てみます。飲み物の冷やし方だけを変えて(部屋の温度は同じにして)比べ、濡れ方の違いを見ます。ドライアイスの煙と、同じ仕組みで説明できるかどうかを考える材料になります。

ドライアイスを扱うとき

触れると凍傷のおそれがあり、目に入ると失明のおそれがあるとされています[1]。1kgのドライアイス(約0.64リットル)は昇華して約500リットルの気体になるため、ビンやペットボトルなど密閉した容器に入れると破裂するおそれがあります[8]。高濃度の二酸化炭素を吸うと中毒症状が出ることもあるので、換気の悪い場所では使いません[8]。

今日できること

冷たい飲み物を入れたコップの外側が、どのくらいで曇るかを、飲み物の温度だけを変えて(部屋の温度は同じにして)比べる。空気中の水蒸気が冷やされて凝結する点は、ドライアイスの白煙の教育資料の説明と同じ仕組みで説明できる。

資料を読むなら

白煙の粒の中身については、松川利行「水に投じたドライアイスで生じる白煙の正体について ── 氷微粉末(固体)である一証明」(サイエンスネット34号)が原典にあたる。本文が読みにくい場合は、ねとらぼの紹介記事とあわせて読むとよい。安全面は福井県の注意喚起とSDSにまとまっている。

取り扱いの注意

1kg(約0.64L)が約500Lの気体になる[8]。密閉容器では破裂の危険がある[1]。触れれば凍傷、目に入れば失明のおそれ、高濃度の二酸化炭素で意識不明の例もあるとされる[1]。二酸化炭素中毒は、酸素があっても吸う空気の二酸化炭素濃度が高いと、呼気から二酸化炭素を出しにくくなって起こるとされる[8]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

昇華・安全面は事業者の安全データシートと福井県の注意喚起、白煙の説明は教育資料・科学館・メーカー解説、水中の実験は松川の論文と解説記事、歴史は国立国会図書館のレファレンス協同データベースによる。

  1. 大陽日酸北海道「ドライアイス 安全データシート(SDS)」2024年4月改訂第3版 https://nsdo.jp.nipponsanso.com/dcms_media/other/k-g014_202404.pdf (昇華点、三重点、重さ、安全面)
  2. 科学館日記「白いもくもくの正体は?」 https://sciencemuseum.jp/cp-bin/wordpress/2019/08/02/%E7%99%BD%E3%81%84%E3%82%82%E3%81%8F%E3%82%82%E3%81%8F%E3%81%AE%E6%AD%A3%E4%BD%93%E3%81%AF%EF%BC%9F/ (二酸化炭素は見えない、白い粒は水や氷、決着していない点)
  3. レファレンス協同データベース(国立国会図書館)、折井雅子『科学deクイズ1・2・3 実験観察編』大日本図書、2002年の引用 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000154867 (水蒸気が冷やされて水の粒になるという説明)
  4. 株式会社アイスバーグ「ドライアイスの煙は、二酸化炭素?」 https://www.dry-iceberg.co.jp/20250601-2 (メーカーによる凝結の説明)
  5. ドライアイスのユウキ「ドライアイスの煙って?」 https://www.dryice.ne.jp/product/smoke/ (煙が消える理由の説明)
  6. 松川利行「水に投じたドライアイスで生じる白煙の正体について ── 氷微粉末(固体)である一証明」サイエンスネット34号 https://www.chart.co.jp/subject/rika/scnet/34/sc34-1.pdf (水中の実験と氷微粉末説)
  7. ねとらぼ「ドライアイスの白煙」を扱った記事(2018年5月) https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1805/29/news028.html (食用油の実験と氷微粉末説の紹介)
  8. 福井県「棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に関する注意喚起」 https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kenan/syohi/dry.html (体積の変化、二酸化炭素中毒の説明)
  9. レファレンス協同データベース(国立国会図書館)「ドライアイスの歴史」に関する回答 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000049176 (1835年の観察と1925年の事業化)

なおした ところ

更新履歴

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