1. どうして、ほそい すみの せんなの?
1. 高価な白金をやめて、細い炭素の線をねらった理由
1. 白金の限界と、炭素への着目 ── 高抵抗のランプという発想
でんきゅうの 中には、ほそい せんが あります。電気が とおると、この せんが 光ります。この せんを、フィラメントと いいます。
エジソンは、電気を あまり つかわない あかりを つくりたいと かんがえました。そのため、エジソンは ほそくて ながい せんを ためしました。ほそくて ながい せんは、電気が とおりにくく、電気を ながすと あつく なって 光ります[1]。
さいしょに ためした ものは、白きんと すみ(炭素)でした[1]。白きんは、とけにくい きんぞくです。でも、電気が とおりやすく、ねだんも とても たかいものでした[2]。
当時、町の明かりの中心だったアーク灯は、たくさんの電力を使いました。エジソンがめざしたのは、それよりずっと小さな電力で足りるランプです。そのために、電気が通りにくい「高抵抗」の方式を考えた、と説明されます[1]。細くて長い線ほど電気が通りにくくなります。電気が通りにくい線に電流を流すと熱くなって光るので、小さな電力でも光らせやすくなります。
実験の中心になったのは、白金と炭素でした[1]。白金は、タングステンを除けば金属でもっとも融点が高く、熱に強い素材です。ところが電気は比較的通しやすく、とても高価でもありました[2]。白金だけでは、うまく解決できなかったのです。
では、もう一方の炭素を、細い線にして光らせることはできないのでしょうか。
2. ひとばん ひかった もめんの いと
2. 炭の線がすぐ燃えた ── 真空ポンプと、約14時間の木綿糸
2. 炭素フィラメントの失敗と真空 ── 1879年10月、約14時間
すみの せんには、こまった ことが ありました。空気が のこっていると、光る まえに もえて しまうのです。
エジソンの けんきゅうしつの ポンプでは、でんきゅうの 中の 空気を ぬく ちからが たりませんでした[2]。そこで、一どは すみを あきらめたと いわれます。
のちに、もっと よく 空気を ぬける ポンプを 手に いれます。すると、1879ねんの 10月、すみに した もめんの いとが、およそ 14じかん 光りました[1]。ひとばん 光った、と いえる ながさです。
たとえば、ろうそくに ガラスの コップを かぶせると、空気が なくなって ひが きえます。でんきゅうの 中は、その 反たいで、空気を ぬく ほど すみが もえにくく なります。
空気があると、炭は燃えてしまう
炭素の線には困った弱点がありました。電球の中に空気が残っていると、熱くなった炭素が燃え尽きてしまうのです。エジソンの研究所にあった手動の真空ポンプでは、それを防げるほどの真空がつくれず、炭素のフィラメントは一度あきらめられたとされます[2]。
転機は、性能のよいスプレンゲル式の真空ポンプでした。1879年ごろに手に入れたとされ、電球の中の空気をよりよく抜けるようになりました[1]。
木綿糸が、約14時間灯る
1879年10月21日から22日にかけて、炭にした木綿糸のフィラメントが研究所で灯りつづけました。時間は資料によって13時間半から14時間半までゆれるため、約14時間と書くのが無難です[1]。ふつうの糸が、炭の線になって一晩光ったことになります。
ただ、この糸が最終の答えではありませんでした。商品として売るには、もっと長持ちし、同じ品質でそろえられる素材が要ります。
3. 6000しゅるい いじょうを ためした?
3. 「6000以上」の素材をためした、という言葉の重み
3. 素材探しの規模 ── 特許の候補と、エジソン本人の見積もり
もめんの いとで 光ったのなら、それで おしまいでしょうか。エジソンは、もっと よい ものを さがしました。
エジソンは、「6000しゅるい いじょうの しょくぶつを ためし、せかいじゅうから ざいりょうを さがした」と かたった と いわれます[4]。これは、エジソン ほんにんの 見つもりです。
とっきょの しょるいには、もめんや あさの いと、木の きれはし、かみなどが のっています[1]。つりいと、ヤシの せんい、ともだちの ひげまで ためした、という はなしも あります[6]。
4. なぜ、きょうとの ちかくの たけが えらばれたの?
4. 助手が極東へ ── 八幡の竹が、1000時間をこえた
4. ムーアの極東行きと八幡の竹 ── 1000〜1200時間という数字
エジソンは、じょしゅの ムーアさんを、とおい 国へ おくりました。たけの みほんを あつめる ためです[1]。
いちばん よかったのは、京都の ちかくの 八幡の たけでした。いわしみずはちまんぐうの ちかくの はやしの たけだったと いわれます[5]。
すみに した たけの せんは、1000じかん いじょうも もつと いわれます[5]。さいしょの もめんの いとより、ずっと ながく 光りました。
この たけは、そのあと およそ 10ねん、エジソンの でんきゅうの ふつうの ざいりょうに なりました[1]。
助手のムーアが、極東で竹を集めた
エジソンは助手のウィリアム・H・ムーアを極東へ送り、竹の標本を集めさせました[1]。
1000時間をこえた
もっともよかったのは、京都近くの八幡の竹でした。質のよさで全国に知られていた石清水八幡宮の近くの林の竹だった、といわれます[5]。炭にした竹のフィラメントは、日本語の解説では1000時間以上、英語の資料では1200時間以上もったとされます[1][5]。数字が資料で違うので、ここでは「1000時間以上」と書きます。木綿糸の約14時間と比べると、桁がちがいます。
同じ1880年の12月初めまでに、エジソンは商品のランプに竹を最良の素材として選んだ、と伝えられます[3]。八幡の竹はその後およそ10年、エジソン電球の標準になりました[1]。ただし、八幡の竹だけがすべてではなく、各地の竹も試されています。
エジソンは助手のウィリアム・H・ムーアを極東へ送り、竹の標本を集めさせた。もっともよい結果を出したのが、京都近くの八幡の竹で、以後およそ10年、エジソン電球の標準になった[1]。日本の解説では、これは質の高さで知られた石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)近くの林の竹だったと「言われている」[5]。
炭化した竹の持続時間は、英語資料では1200時間以上、日本語の解説では1000時間以上と食いちがう[1][5]。どちらとも矛盾しない「1000時間以上」を採ると、木綿糸の約14時間の70倍超だ(1000÷14≒71。上限でなく下限どうしの比較なので、実際の差はこれ以上になりうる)。1880年12月初めまでに、エジソンは商用ランプの素材に竹を選んだ[3]。
5. たけの あかりは、そのあと どうなったの?
5. 竹の次に来たもの、そして八幡に残った記念碑
5. 炭素からタングステンへ ── 八幡のエジソン記念碑
たけの でんきゅうが つかわれたのは、およそ 10ねんです。そのあと、でんきゅうの せんは、きんぞくの タングステンに かわって いきました[7]。
それでも、京都の 八幡には、エジソンの きねんひが のこって います。さいしょの ものは、1934ねんに いわしみずはちまんぐうの なかに たちました[5]。
6. みの まわりの たけを みて みよう
6. 身のまわりの竹の「すじ」を見てみる
6. 出口 ── 竹の繊維を観察する/原典をたどる
おうちに、たけで できた ものは ありませんか。たけの ざる、ものさし、うちわなどです。
さがしたら、ひょうめんを よく 見て みましょう。ほそい すじが、たてに ならんで いませんか。ゆびで なぞると、ざらざらする ことも あります。
この ほそい すじが、せんいです。エジソンは、こういう しょくぶつの すじを、すみに して 光らせようと しました。
ただし、おうちの たけを やいたり、もやしたり しては いけません。見るだけに しましょう。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:エジソン関連の解説サイト、大学のエジソン・ペーパーズ、国土交通省の解説、報道・紹介記事を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- ETHW(Engineering and Technology History Wiki)「Edison's Incandescent Lamp」。https://ethw.org/Edison's_Incandescent_Lamp (高抵抗の考え方、真空、木綿糸、特許の素材、竹について)
- Rutgers Edison Papers「The Platinum Filament Lamp」。https://edison.rutgers.edu/life-of-edison/biographical-essays/lighting/the-platinum-filament-lamp (白金の問題点と、手動ポンプの限界について)
- Rutgers Edison Papers「From research to development」。https://edison.rutgers.edu/life-of-edison/biographical-essays/lighting/from-research-to-development (竹が商用ランプの素材に選ばれた時期について)
- Amusing Planet「How Japanese Bamboo Helped Edison Make the Light Bulb」。https://www.amusingplanet.com/2019/05/how-japanese-bamboo-helped-edison-make.html (エジソン本人の「6000種以上」という見積もり。紹介記事)
- 国土交通省 観光庁 多言語解説文データベース「石清水八幡宮 エジソン記念碑」。https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R2-01481.html (八幡の竹、1000時間以上、記念碑と祭りについて)
- Time「Thomas Edison」。https://time.com/3517011/thomas-edison/ (釣り糸・ヤシの繊維などを試したという話。報道)
- Smithsonian National Museum of American History「William D. Coolidge」。https://americanhistory.si.edu/lighting/bios/coolidge.htm (竹のあと、タングステンに置きかわった流れについて)
なおした ところ
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