1. 赤ちゃんは どこから 来るの?
1. 「種」は天然のシラスウナギ
1. 種苗の依存 ── シラスウナギを池に入れて育てる
うなぎの 赤ちゃんは、シラスウナギと よばれます。ほそくて すきとおった 小さな 魚で、体の 重さは 0.2グラムほど。1円玉の 五分の一の 重さです[3]。
冬から 春に、日本や 中国、かんこく、たいわんの 川の 口に やって 来ます[1]。それを つかまえて、養殖の 池に 入れるのです。
池では 半年から 一年半ぐらい かけて、一ぴき 200〜300グラムまで そだてます[3]。1000ばいから 1500ばいに なる わけです。
2. むかしの 深川で
2. 明治12年、深川の2haの池
2. 養殖の始まり ── 1879年(明治12年)の千田新田
うなぎの 養殖は、いまから 百四十年 あまり 前に はじまった、と いわれます。
はっとり くらじろう さんが、1879ねんに 東京の 深川で 大きな 池を つくって ためした のが、さいしょ とされて います[2][4]。
その 池は、2ヘクタール。たてが 100メートル、よこが 200メートルの 長方形に すると、それぐらいの ひろさです。ただし、その ころの 池の くわしい ようすは、しらべた 本や ページには 書いて ありませんでした。
3. ハウスの 中の あたたかい 水
3. 広い池から、温めるハウスへ
3. 水づくり ── 加温ハウス・地下水・ろ過
いまの 養殖池は、四角い コンクリートの 池です。上を ビニールハウスで おおって、水を 28ど ぐらいに あたためます[3]。
うなぎは、30どの 近くの 水で、いちばん よく そだつ からです[5]。冬でも 育てられるので、一年じゅう 養殖が できます[4]。
びょうきの ときには、水を 33どまで あげて、ばいきんを 弱らせる こともあります[3]。
水は、おもに 地下水を つかい、ごみを とる そうちで きれいに します[4]。むかしの ひろい 池より、水の ようすを 見やすく なりました[3]。
28℃と30℃の間
愛知県水産試験場は、うなぎは30℃付近の水温でいちばんよく育つので、ビニールハウスの中で温めて育てていると説明しています[5]。業界団体の資料では、四角いコンクリート池をハウスで覆い、水温は28℃前後です[3]。資料によって、水温は28℃前後、30℃付近と示されています。
病気を防ぐために水温を33℃まで上げ、病原菌を殺す方法もあります[3]。
水質を守る道具
養鰻には、水産用水基準を満たした地下水(一部は河川水)を使います。近年は、コンクリートやビニールの水槽、循環ろ過装置、水温の調節によって、水質・衛生の管理が進み、病気や死亡が減って、一年中の養殖ができるようになりました[4]。
池の水の色や、水質を数字で示した公的な資料は見つかりませんでした。
現在の養殖池は、四角いコンクリート池をビニールハウスで覆い、水温28℃前後に加温する。病気対策として33℃まで上げて病原菌を殺すこともある。かつての広い露地池より飼育管理が容易になった[3]。愛知県水産試験場は、ウナギは30℃付近の水温で最もよく育つため、ハウス内で加温して育てると説明する[5]。28℃前後と30℃付近という違いは出典間で残る。
用水は、水産用水基準を満たした地下水(一部は河川水)を用いる。コンクリート・ビニール製水槽と循環ろ過装置、水温調節の導入で水質・衛生管理が向上し、病気と死亡率が減り、周年の養殖が可能になった[4]。
加温施設は1971年に魚病対策として試験的に始まったとする資料もあるが[2]、年の原文確認ができていないため、ここでは年を断定しない。水質を数値(アンモニア・酸素・pH)で示す公的資料も得られていない。
4. うなぎは どこで 生まれる?
4. 日本の南、2500kmの海で
4. 産卵場所の解明 ── 2005年の仔魚、2008〜2009年の親ウナギ
うなぎの 赤ちゃんは、どこで 生まれるのでしょう。長い あいだ、だれも 知りませんでした。
2005ねんに、東京大学の 人たちが、グアムとうの 近くの 海で、生まれて 数日の 赤ちゃんを つかまえました。日本から 南へ 2500キロも はなれた、あつい 海です[6]。
2008ねんから 2009ねんには、大きな 親の うなぎを 12ひき つかまえました。海で およいで いる 大人の うなぎを 見た 人は、それまで だれも いませんでした[6]。
5. シラスウナギが 少なく なった
5. 減っていく稚魚と、池入れ量の管理
5. 採捕量の減少・IUCN・池入れ量管理(2014〜2015年)
シラスウナギは、むかしは たくさん とれました。1966ねんより 前は、日本で 一年に 100トンを こえる ことも ありました[1]。
それが だんだん 少なく なり、2019ねんは 3.7トンと、いちばん 少なく なりました。2025ねんは 14.8トンと 見つもられて います[1]。
どうして 少なく なったのかは、はっきり わかって いません。海の かんきょうの かわりかた、川や 海べの へんか、とりすぎ などが 考えられて います[7]。
そこで 2015ねんから、池に シラスを どれだけ 入れて よいかを きめる きまりが できました[8]。
100トン超から、3.7トンへ
シラスウナギの国内の採捕量は、1966年以前は100トンを超えていました。1971年以降は100トンを下回り続け、1990年には初めて20トンを割り込みました。2019年の漁期は3.7トンで過去最低、2025年の漁期は14.8トン(推定)です[1]。
理由は、一つに決まっていない
減った要因として、海洋環境の変動、生息環境の悪化、シラスウナギの乱獲が挙げられていますが、特定はされていません[7]。2014年6月、国際自然保護連合(IUCN)はニホンウナギを絶滅危惧IB類としてレッドリストに載せました[7]。
入れる量に、上限を
2015年に、日本・中国・韓国・台湾で池入れ量の管理が始まりました。日本ではうなぎ養殖業が農林水産大臣の許可制になり(2015年6月1日)、業者ごとに池入れの上限が割り当てられています[8]。
シラスウナギの国内採捕量は、1966年以前は100トン超、1971年以降は100トン未満で推移し、1990年に初めて20トンを割った。2019年漁期は過去最低の3.7トン、2025年漁期は14.8トン(推定)である[1]。
減少の要因には、海洋環境の変動、生息環境の悪化、乱獲が指摘されるが、特定されていない[7]。IUCNは2014年6月にニホンウナギを絶滅危惧IB類として掲載した[7]。
2015年に日中韓台で池入れ量の管理が始まり、日本では養殖業が農林水産大臣の許可を要する指定養殖業(2015年6月1日)となって、業者ごとに上限が割り当てられた[8]。日本の池入れ上限は21.7トンとされる[1]が、許可数量は年度で変わりうる。国産ウナギの供給量は2000年の約16万トンから、近年は約4万トンに減った(輸入を含む供給量で、国内の養殖生産量ではない)[7]。
6. たまごから そだてる ちょうせん
6. 卵から育てる ── 完全養殖と、その先の壁
6. 人工ふ化から完全養殖へ ── 1973年・2002年・2010年
それなら、シラスウナギを 人の 手で 作れないでしょうか。じつは 1973ねんに、北海道大学が、世界ではじめて 人工の ふかに せいこうしました[6]。
けれど そのあと 20年 いじょう、生まれた 赤ちゃんを そだてる ことが できませんでした。いちばんの なやみは、えさ でした。サメの たまごを よく 食べる ことが わかって、2002ねんの 春、人工で 生まれた シラスウナギが たんじょうしました[6]。
2010ねんの 3月の おわりには、人工で うまれた うなぎが 親に なり、つぎの 赤ちゃんが 生まれる 「かんぜん養殖」が、世界ではじめて できました[6]。
でも、これで すぐ お店に ならぶ わけでは ありません。たくさん 作る ぎじゅつが、まだ 必要 だと されて います[6]。
20年以上の足踏みと、餌の発見
人工ふ化は1973年に北海道大学が世界で初めて成功しましたが、その後20年以上、孵化した赤ちゃんを育てることができませんでした。最大の課題は餌で、サメの卵をよく食べることが分かり、2002年の春に人工ふ化のシラスウナギが誕生しました[6]。
メスを作る特別な餌
もう一つの壁は、人工ふ化のシラスウナギの多くが、養殖環境ではオスになってしまうことでした。卵を産む母親候補には、シラスの時期に特別な餌を食べさせてメスにする必要がありました[6]。
完全養殖の先
2010年3月末に、人工ふ化ウナギを親にして次の世代を得る完全養殖が、世界で初めて実現しました。ただし、養殖の現場で役立てるには、シラスウナギを大量に作る技術が必要だと、同じ資料は述べています[6]。現在の流通や、いつ商業化されるのかは、今回の資料では確認できていません。
人工ふ化は1973年に北海道大学が世界で初めて成功したが、その後20年以上、ふ化した仔魚(レプトセファルス)を育てられなかった。最大の課題は餌で、サメの卵をよく食べることが分かり、2002年春に人工ふ化のシラスウナギが誕生した[6]。
人工ふ化個体は養殖環境ではほとんどが雄になるため、卵を採る母親候補にはシラスの時期に特別な餌を与えて雌化する必要があった[6]。2010年3月末、人工ふ化ウナギを親にして次世代を得る完全養殖が世界で初めて実現した[6]。
ただし同じ資料は、実際の養殖に役立てるにはシラスウナギの大量生産技術の開発が必要だと述べる。完全養殖の成功は商業化と同義ではない。市場流通の現状や量産化の時期は、今回の資料では確認できていない。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちの 人と、スーパーや お店で うなぎを 見つけたら、パックの ひょうじを 見て みましょう。「養殖」と 書いて あるか、どこの 国や 県の ものか、さがして みます。
本や ホームページで しらべるなら、すいさんちょうの 「ウナギに かんする 情報」が、日本語で 読めます。
今日できること:うなぎのパックや店のメニューの表示を見て、産地や「養殖」の文字を探してみます。表示を見つけたら、そのうなぎがどこかの池で育ったのだと思うと、身近な食べものの背景が少し見えてきます。
公式情報:水産庁の「ウナギに関する情報」や、水産研究・教育機構の資料は、日本語で読めます。数字は年ごとに更新されるので、日付を確かめてください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:水産庁・水産研究・教育機構・愛知県水産試験場などの公的資料と、業界団体の資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- 令和7年度国際漁業資源の現況 83 ニホンウナギ(水産庁・水産研究・教育機構)。https://kokushi.fra.go.jp/R07/R07_83S_ELJ.pdf (種苗の依存、シラスウナギ採捕量の推移、池入れ上限について)
- 日本養鰻漁業協同組合連合会「ウナギ養殖の歴史」。https://www.unagi-nichimanren.or.jp/history.html (1879年の養殖の始まりについて)
- 日本養鰻漁業協同組合連合会「国産ウナギについて」。https://www.unagi-nichimanren.or.jp/domestic.html (育つまでの期間、加温ハウス、水温について)
- 養鰻場.com「養殖技術の歴史と未来」。https://yomanjo.com/facility/technology/ (深川の池、地下水、ろ過による水質管理について)
- 愛知県水産試験場「あいちのウナギの話」。https://www.pref.aichi.jp/soshiki/suisanshiken/0000085723.html (30℃付近で育ちがよいこと、ハウスでの加温について)
- 水産総合研究センター 第8回成果発表会(2010)。https://www.fra.go.jp/home/kenkyushokai/book/files/seika_abs/220529.pdf (産卵場所、親ウナギの捕獲、人工ふ化と完全養殖について)
- 水産庁・農林水産技術会議事務局「ウナギをめぐる状況と対策について」(2016)。https://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/pdf/meguru.pdf (減少の要因、IUCN掲載、供給量について)
- 水産庁「ウナギに関する情報」。https://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/unagi.html (許可制と池入れ量管理について)
なおした ところ
更新履歴
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