1. どうして まだ ひらいて いないのに「とうかく」なの?
1. 「当確」を出しているのは、だれ?
1. 「当確」は公式の結果ではなく、報道機関の判断
せんきょの よるは、テレビで「とうかく」の ことばが 出ます。「とうせん まちがいなし」と いう いみです。
この ことばを 出して いるのは、せんきょを しきる やくしょでは ありません。テレビや 新聞の 会社が、じぶんたちで 考えて 出して います[6]。
では、会社の 人は なにを 見て きめて いるのでしょう。まず、とうひょうじょの 出口で 聞く 話から 見て いきます。
2. 出口で、だれに どうやって 聞くの?
2. 出口で、どうやって聞くのか
2. 出口調査の設計 ── 2段階の抽出と偏りを減らす工夫
出口の 調査は、とうひょうじょを 出て きた 人に「だれに 入れましたか」と 聞く ものです。答えるか どうかは、その 人の 自由です[3]。
聞く 人が すきな 人ばかりに 声を かけると、かたよって しまいます。そこで、出て くる 人を かぞえて、同じ 人数ごと、または 同じ 時間ごとに、おねがいする やり方が あります[3]。
ある 新聞社の 記者が やって みた 話では、年れいや 男女が かたよらないように、グループからは 1人だけ、時間も あけて 聞いたと いいます[2]。
NHKの 東京都の 調査では、420 かしょの とうひょうじょで 7万816人に おねがいして、3万5908人から 答えが ありました[1]。
出口調査は、投票を終えた人に、誰に投票したかを尋ねる聞き取り調査です。答えるかどうかは任意です[3]。
ここで大事なのは、聞く相手が偏らないことです。出口調査は、まず調べる投票所を選び、次にその出口を通る人を選ぶ、という2段階でおこなわれるといわれます。調査員は出口を通る人を数え、決まった人数または時間の間隔でお願いします[3]。神戸新聞の記者が体験した調査では、年代や性別が偏らないよう、同じグループからは1人だけに、時間も空けて聞いたと紹介されています[2]。
規模も大きくなります。NHKの東京都の出口調査のページには、都内420の投票所で7万816人に依頼し、50.7%にあたる3万5908人から回答を得た例が載っています[1]。では、何人ぐらい聞けば、結果を言い当てるのに足りるのでしょうか。
出口調査は、投票を終えた有権者に投票先などを尋ねる聞き取り調査で、回答は任意だ[3]。統計の前提は「標本が偏っていないこと」なので、調査の設計は偏りを減らすことに重心がある。
資料によれば、調査は投票区の抽出と投票者の抽出の2段階で行う。調査員は出口を通る人を数え、均等な人数間隔または時間間隔で協力を依頼する[3]。神戸新聞の体験記では、時間帯・年代・性別・場所が偏らないよう、グループから1人だけ、時間を空けて聞くとされる。回答は1〜3分で、タブレットから自動で本社に送られる[2]。
NHKの東京都の出口調査ページでは、都内420の投票所で7万816人に依頼し、50.7%の3万5908人が回答した例が示されている。ただし、これは当日の投票者が対象で、期日前投票は含まれない[1]。この規模なら誤差は小さくなりそうだが、では誤差は具体的にどう計算されるのか。
3. 何人に 聞けば、たりるの?
3. 何人に聞けば足りるのか ── 96人と384人
3. 標本誤差 ── 1.96×√(0.25/n) という計算
おおぜいの 人に 聞かないと いけないと 思うかも しれません。でも、えらぶ 人が かたよって いなければ、ちがいます。
ある 記事では、96人に 聞くと、「だいたい この はんいに 入る」と いえる はばが、10%くらいと 書かれて います。384人に 聞くと、5%くらいです[4]。
たとえば、「あの 人に 入れた 人は 55%くらいでした」と いう 調査を 384人で した とします。すると、ほんとうの 数は、100回の うち 95回ぐらいは、およそ 50%から 60%の あいだに 入る、と 考えます。
ただし、これは えらぶ 人が かたよって いない ときの、いちばん はばが 広い 場合の 目やすです。ほんとうの 出口の 調査は、答えるか どうかが 自由なので、この はばと 同じとは かぎりません。
無作為に選んだ人の回答から、得票率の範囲を見積もれます。ある解説では、96人に聞けば誤差10%以内、384人に聞けば5%以内で、その候補の得票率の予想される範囲を95%の信頼度で求められる、と説明されています[4]。「95%の信頼度」とは、同じ調査を何度も繰り返したとき、そのうち約95%の調査で本当の値が範囲に入るという意味です。
この数字を、自分で確かめてみます。誤差は、1.96×√(0.25÷人数)で計算できます。96人なら約0.100、384人なら約0.050、つまり10%と5%です。同じ解説の例では、50人中35人(70%)が投票したと答えると、範囲は57.3〜82.7%になります。1.96×√(0.7×0.3÷50)が約12.7ポイントなので、この範囲と合います[4]。
注意が要るのは、10%や5%が、得票率50%前後のときの最も広い場合の目安だということです。差が大きければ、範囲はもっと狭くなります。この誤差の式は、無作為に選んだ場合の目安です。実際の出口調査は2段階で選び、答えるかどうかも任意なので、同じ幅になるとは限りません。
無作為に選んだ標本から、母集団の得票率の範囲を見積もれる。ある解説によると、95%の信頼度で、96人なら誤差約10%以内、384人なら約5%以内である[4]。95%の信頼度とは、同じ調査を繰り返すと、約95%の調査で真の値が区間に入る、という意味だ。
検算する。標本比率p、人数nのとき、誤差は1.96×√(p(1−p)/n)で、p(1−p)はp=0.5で最大の0.25になる。n=96で1.96×√(0.25/96)≒0.100、n=384で1.96×√(0.25/384)≒0.050となり、資料の値と一致する。同じ記事の例、50人中35人(70%)は、1.96×√(0.7×0.3/50)≒12.7ポイントで、57.3〜82.7%となる[4]。
この10%・5%は、得票率50%前後の最も広い場合の目安であり、差が大きいほど区間は狭くなる。また、式は単純無作為抽出の目安であり、現実の出口調査は投票区・投票者の2段階抽出で、回答も任意だ。同じ誤差幅になるとは限らないので、以上は「統計の考え方の例」として読む必要がある。
4. 「はば」の したが 半分を こえたら?
4. 「幅」の下限が半分を超えたとき
4. 2候補なら、区間の下限が50%を超えれば過半数と言える
たとえば、2人だけで きそう せんきょで、400人に 聞いて、ある 人に 入れた 人が 56%だったと します。
はばは、およそ 51%から 61%です[5]。いちばん 下に ずれても 51%なので、半分を こえて います。この とき、ひらく 前でも「かちそうだ」と 考えられます。
もし 下の 数が 48%だったら、まだ 分かりません。だから、「はばの 下」が 大事です。
候補が2人の選挙で考えてみます。ある大学の公開講座では、区間の下限が50%を超えていれば、開票前でも過半数と言える、と説明されています[5]。
たとえば400人に聞いて、ある候補に入れた人が56%なら、範囲はおよそ51〜61%です。誤差は1.96×√(0.56×0.44÷400)≒0.049なので、下限は約51%で、50%を超えています。もし範囲が48〜58%なら、半分を超えたとは言い切れません。
なお、候補が3人以上の選挙では、単純に「50%を超えるか」だけでは決まりません。また、この講座では、無作為に選ばれた400人程度が必要と考えられていると紹介されています[5]。ここまでは統計だけの話です。では、実際の当確は出口調査だけで出しているのでしょうか。
候補が2人なら、得票率の信頼区間の下限が50%を超えていれば、開票前でも過半数と判断できる。この考え方は、岡山理科大学の公開講座の説明にある[5]。
例:n=400で得票率56%なら、誤差は1.96×√(0.56×0.44/400)≒0.049で、区間は約0.511〜0.609。下限が0.5を上回る。仮に区間が0.48〜0.58なら、過半数とは言えない。同講座は、無作為に選ばれた400人程度が必要と考えられている、とも述べる[5]。
ただし、候補が3人以上の選挙では、この「50%」の基準は単純には使えない。これが成り立つのは、2候補で偏りのない標本という前提のときだけだ。実際の当確が出口調査だけで決まるのかは、別の資料で見る必要がある。
5. 出口の 声だけで きめて いるの?
5. 出口調査は、判断の材料の1つ
5. 複数の情報を重ねる ── 出口調査は根拠の1本
いいえ。出口の 声は、ざいりょうの 1つです。
ある 大学の せつめいでは、ひらいた 数の すすみぐあい、まえの 調査、その 人の 名まえの 知られかた、おうえんする 人の 多さ、記者の 見方などを、あわせて 予想して いると あります[5]。
ほかに、おうえんする じむしょへの しゅざいや、電話での 調査、あらかじめ 投票した 人の ようすも あつめると、つたえられて います[6]。
いろいろな 見方を かさねる ほど、まちがいが 少なく なりそうです。
6. それでも 外れる ことは あるの?
6. それでも当確が外れるのは、どんなとき?
6. 限界 ── 期日前投票の増加・僅差・誤報
あります。まず、投票の 日より 前に 投票する 人が、ふえて います。この 人たちには、当日の 出口では 聞けません[1]。
2026年2月8日の せんきょでは、前に 投票した 人が 2701万7098人でした。投票できる 人の 26.10%で、およそ 4人に 1人です。新聞が 国の はっぴょうとして つたえました[7]。
また、2014年12月の せんきょでは、テレビの まちがいが 6けん ありました[6]。ごく 少ない ちがいの ときは、外れやすく なると 考えられます。
だから、前に 投票した 人には、べつの 場所で 聞く やりかたも とられて います[3]。
限界の1つは、期日前投票です。総務省の発表として報じられた数字では、2026年2月8日の衆院選小選挙区の期日前投票者は2701万7098人で、有権者の26.10%、つまり約4人に1人でした。2024年の衆院選から606万1648人(約3割)増えています[7]。
当日の出口では、この人たちに聞けません。NHKの東京都の出口調査も、期日前投票は含まれません[1]。また、期日前と当日では投票の傾向が異なるとされ、期日前投票所で別に調査する対応も取られています[3]。
もう1つの限界は、僅差です。得票率の差が誤差より小さければ、幅の下限は50%を超えません。実際に、2014年12月の衆院選では、テレビ報道で6件の誤報(キー局3件、ローカル局3件)があったとまとめられています[6]。
報道機関は、こうした限界を知ったうえで、慎重に判断していることになります。では、この仕組みは、いつ、どこで始まったのでしょうか。
第一の限界は、期日前投票の増加だ。総務省発表として報じられた数字では、2026年2月8日の衆院選小選挙区の期日前投票者は2701万7098人で、有権者の26.10%(約4人に1人)に上り、2024年衆院選(2095万5450人)から606万1648人、約3割増えた[7]。
出口調査は当日の投票者が対象で、NHKの都内調査も期日前を含まない[1]。期日前と当日で投票傾向が異なるとされ、そのため期日前投票所でも別に調査する対応が取られる[3]。当日の標本がいくら整っていても、全体を代表しない可能性が生じる。
第二は僅差だ。得票率の差が誤差より小さければ、区間の下限は50%を超えず、根拠が足りなくなる。政治山は、2014年12月の衆院選で、テレビ報道の誤報が6件(キー局3件、ローカル局3件)あったと整理している[6]。
では、出口調査はいつ、どこで始まったのか。
7. この やり方は、いつ 生まれたの?
7. 出口調査は、いつ、どこで生まれたのか
7. 米国の1967年から、日本の1989年・1993年まで
アメリカでは、1967ねんに、ミトフスキーさんという 人が、テレビ会社の CBSの ために、ケンタッキー州の せんきょで 大きな 出口の 調査を したと いわれます[9]。ただし、ほかの 国が 先だったと いう 話も あり、「せかいで 一ばん」とは いえません。
日本では、1989ねん 5月の 青森市の しちょうせんきょで、青森放送が はじめて とりいれたと されます[3]。
NHKが しゅうぎいんの せんきょで はじめて やったのは、1993ねんです。この せんきょでは、じみんとうが 38ねんぶりに やとうに なりました[8]。
そのころは、ひとつの 区から 何人も とうせんする きまりで、まえの 調査だけでは、あらそいの はげしい 区を 当てにくかった、と つたえられて います[8]。
米国では、1967年にウォーレン・ミトフスキーがCBSのために、ケンタッキー州知事選で最初の大規模な出口調査を行ったとされます[9]。出口調査単独でなく、実際の開票結果と組み合わせて予測する仕組みを作った人としても紹介されています。ただし、オランダの1967年の選挙を起源とする説もあり、「世界初」とは言い切れません[9]。
日本の出口調査の最初は、1989年5月の青森市長選挙で、青森放送が取り入れたとされます。同じ年の参院選では、TBS系(JNN)が17都県で実施しました(ここはWikipediaによる記述です)[3]。
NHKが総選挙で初めて出口調査を実施したのは1993年です。自民党が38年ぶりに野党になり、細川政権ができた総選挙でした。当時の中選挙区制では、事前の世論調査では激戦区を予測するのが難しかった、と紹介されています[8]。ここまで見ると、出口調査は、事前調査では見えない分を補うために広まったと考えられます。ただ、日本メディアの「最初」は、地方選・参院選・総選挙で違う点に注意が必要です。
米国では、1967年にウォーレン・ミトフスキーがCBSのためにケンタッキー州知事選で最初の大規模な出口調査を行ったとされる。全米規模は1972年。出口調査の結果を、実際の開票結果と組み合わせて予測する仕組みも作った、という[9]。ただし、オランダの1967年の総選挙を起源とする説もあり、「世界初」とは断定できない。
日本では、1989年5月の青森市長選挙で青森放送が初めて取り入れ、同年の参院選ではTBS(JNN)が17都県で実施した、とWikipediaにある[3]。総選挙で最初に実施したのはNHKで、1993年、自民党が38年ぶりに下野し、細川政権ができた総選挙だ。当時の中選挙区制では事前の世論調査で激戦区を予測しにくい事情があった、と日本記者クラブの記事にある[8]。「日本初」は、地方選・参院選・総選挙で区別して書く必要がある。
これで、出口調査の統計が、中選挙区制の困難や、期日前投票の増加といった制度の変化と、どう関わってきたかが読める。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日 できること: 10円玉を 10回 なげて、おもてが 出た 数を 書きます。これを 3回 くりかえします。つぎに、30回 なげて、おもての わりあいを 出します。5わりに 近づくか、見て みましょう。安全の ために、なげる ときは つくえの 上で します。
出かけて できること: つぎに せんきょの そくほうを 見る ときは、「とうかく」が 出た 時間と、どれくらい ひらいて いたかを メモして みましょう。
公式の ページ: テレビ会社や 新聞社の サイトには、「とうかく」の 出し方を せつめいした ページが ある ことが あります。読んで みましょう。
今日できること: 10円玉を10回投げ、表の回数を記録します。これを3回繰り返し、次に30回投げて、表の割合が5割に近づくかを見ます。数が多いほど割合が安定しやすいことが、体で分かります(投げるときは机の上で行います)。
出かけてできること: 次の選挙の速報番組で、「当確」が出た時刻と、そのときの開票の進み具合を書き留めます。当確が早い区と遅い区の違いを、票差などから考えてみます。
公式の情報: 各報道機関の選挙報道のサイトには、出口調査の説明ページがあることがあります。この記事で見た考え方と比べてみてください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
数字や制度は、下の資料を突き合わせて書いています。誤差の数字は、統計の考え方の例です。
- NHK選挙 首都圏 出口調査 https://news.web.nhk/senkyo2/sp/shutoken/18/ (調査規模・回答率の例、期日前を含まない点)
- 神戸新聞「当選確実 開票前になぜ分かる」 https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202207/0015453690.shtml (記者の体験、偏りを減らす工夫)
- Wikipedia「出口調査」 https://ja.wikipedia.org/wiki/出口調査 (調査の進め方、日本での始まり、期日前投票への対応)
- All About「開票率0%で当確はなぜ分かる」 https://news.allabout.co.jp/articles/o/23580/ (96人・384人の誤差、計算例)
- 岡山理科大学 経営学部 公開講座「なぜこんなにも早く当確が出るの?」 https://www.mgt.ous.ac.jp/about/management/lecture/lecture_d-02/ (下限が50%を超える考え方、ほかの情報との組み合わせ)
- 政治山「開票前の当選確実は信用できるのか」 https://seijiyama.jp/article/news/nws20160710.html (当確は報道機関の判断、誤報の例)
- 秋田魁新報(総務省発表の報道) https://www.sakigake.jp/news/article/20260208CO0075/ (2026年衆院選の期日前投票者数)
- 日本記者クラブ「出口調査事始め」 https://www.jnpc.or.jp/journal/interviews/28309 (NHKの総選挙での初実施)
- CBS News「Exit the exit poll master」(英語) https://www.cbsnews.com/news/exit-the-exit-poll-master (米国での始まり)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
- 調べた側の事情を述べる文(「確かめられなかった」など)を減らし、読みやすく整えた(事実・数字・出典は変えていない)。
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