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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

タオルは どうして ふわふわに なるの? ─ じゅうなんざいの ふしぎ

柔軟剤は、なぜ衣類をふわふわにするのか ── 水中で引き合い、乾くと向きを変える

柔軟剤はどう働く? ── 繊維に付く成分と、使いすぎたときの変化

分野:技術

せんたくした あとの タオルに、ふわっと やわらかい ものと、ごわっと かたい ものが あります。じゅうなんざいを 入れると、なにが かわるのでしょうか。

すすぎの みずの なかで おきる、目に 見えない ちいさな つぶの うごきを、いっしょに 見て みましょう。

柔軟剤を入れて洗った衣類は、手ざわりがなめらかになります。液体を注いだだけなのに、布そのものが変わったように感じます。

水の中で起きる「プラスとマイナスの引き合い」と、乾くときに起きる「向きの入れ替わり」に注目して、その仕組みと、入れすぎたときの意外な落とし穴までを見ていきます。

柔軟剤の主成分は陽イオン系の界面活性剤で、水中で負に帯電した繊維表面に吸着し、乾燥後は親油基を外向きにして並ぶ。その結果、繊維間の摩擦が減って手ざわりがなめらかになり、静電気も起きにくくなる[1][3]。

このメモでは、メーカー各社のQ&A、製品の歴史年表、家電メーカーの案内を突き合わせて、この過程と、使いすぎで吸水性が落ちる理由を整理する。開発の背景を述べた資料は二次資料にとどまるため、その点は断定を避ける。

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1. ごわごわを なんとか したかった

1. 「ごわごわ」の困りごとから生まれた

1. 日本初の柔軟剤(1962年)と、生まれた事情

にほんで さいしょの じゅうなんざいは、1962ねんに でました。かおうの「かおうソフター」です[5]。

ひろまりはじめた ごうせいせんざいで あらうと、ふくが ごわごわに なる こまりごとが あった、と いわれます[6]。その こまりごとを なくす ために、じゅうなんざいが つくられたようです。

どうして ごわごわが なおるのか。その ひみつは、すすぎの みずの なかに ありました。

1962年の新製品

日本で最初の柔軟剤は、1962年に花王が発売した「花王ソフター」です。花王の年表では「衣料用柔軟仕上げ剤・帯電防止剤」と紹介され、1966年に「ハミング」と名前を変えました[5]。同じ1966年には、ライオン油脂もライオンソフターを出しています[6]。

なぜ必要だったのか

背景については、合成洗剤で洗った衣類がごわごわになる問題があり、それを解決するために作られた、とされています[6]。

花王の製品年表には、1962年に「衣料用柔軟仕上げ剤・帯電防止剤」として花王ソフターを発売したとあり、これが日本初の柔軟剤とされる。1966年に「ハミング」へ改称した[5]。同年にライオン油脂がライオンソフターを発売している[6]。

開発の動機については、合成洗剤で洗うと衣類がごわつく問題への対処だった、とされている[6]。

2. マイナスの いとに プラスの つぶ

2. 水の中で、プラスとマイナスが引き合う

2. 陽イオン界面活性剤の繊維への吸着

せんいは、みずに ぬれると、マイナスの でんきを おびます[1]。せんいとは、ふくや タオルを つくっている、ほそい いとの ことです。

じゅうなんざいの おもな つぶは、プラスの せいしつを もつ ものです[1]。プラスと マイナスは、ひきあいます。じしゃくの Nきょくと Sきょくが くっつくのに にています。

ただし ほんとうの つぶは、じしゃくのように 目に 見える ものでは ありません。すすぎの みずの なかで、いつのまにか せんいの まわりに あつまって いきます。

ぬれた繊維はマイナスの電気を帯びる

衣類の繊維は、水にぬれると表面がマイナスの電気を帯びます[1]。

プラスの成分がくっつく

柔軟剤の主成分は、陽イオン系の界面活性剤です。この分子は、水になじむ親水基の側がプラスの性質を持っています。すすぎの水に柔軟剤を入れると、この親水基がマイナスの繊維表面に吸着します[1]。

洗う洗剤の界面活性剤とは役割が別で、陽イオン系の界面活性剤は、汚れを落とす力は小さい一方、柔らかく仕上げる働きと静電気を防ぐ働きがあるといわれます[4]。柔軟剤を入れるのが、汚れを落としたあとのすすぎの段階なのは、そのためでもあります。

繊維表面は水中で負に帯電する。すすぎ水に柔軟仕上げ剤(陽イオン系界面活性剤)を加えると、その親水基が繊維表面に吸着する[1]。この引き合いが、柔軟成分が布に残る出発点になる。

陽イオン系界面活性剤は洗浄力が低い一方、柔軟仕上げ効果と帯電防止効果を持つ[4]。洗う洗剤とは役割が別であり、柔軟剤が「すすぎの段階で入れる仕上げ剤」であることとも合う。

3. かわくと、むきが かわる

3. 乾くと向きが入れ替わり、油の膜になる

3. 乾燥時の配向と潤滑作用

つぶには、みずが すきな ところ(しんすいき)と、あぶらが すきな ところ(しんゆき)が あります[1]。ぬれている あいだは、みずが すきな ほうが せんいに くっついて います。

せんたくものが かわくと、つぶの むきが かわります。あぶらが すきな ほうを そとに して、せんいの まわりに きれいに ならびます[1]。

すると、せんいの まわりが、あぶらの うすい まくで おおわれた ような すがたに なります。まくの おかげで、せんいどうしが すべりやすく なるのです[2]。

てに ハンドクリームを ぬって こすりあわせると、つるつる すべりますよね。それと にた はたらきです。ただし ほんとうは、クリームでは なく、目に 見えないほど うすい まくです。

乾燥で「向き」が変わる

洗濯物が乾いていくと、柔軟成分は親油基を外側に向けて、繊維の表面にきれいに並びます[1]。水の中で繊維につかまっていたのは親水基の側でした。乾くと、油になじむ尾の側が表に出るわけです。

油の膜が摩擦を減らす

その結果、繊維の表面には油の膜ができたような状態になり、繊維どうしがこすれるときの摩擦が小さくなります[1]。別のメーカーも、潤滑油のような役割をして繊維どうしがすべりやすくなり、衣類が柔らかくなると説明しています[2]。

指を這わせたときに「ふんわり」「なめらか」と感じるのは、布が柔らかくなったというより、繊維の表面がすべりやすくなったから、と考えると分かりやすくなります。

洗濯物が乾燥すると、柔軟成分は親油基を外側に向けて繊維表面に整列し、油膜を形成したような状態になる。摩擦抵抗が下がり、繊維間の滑りがよくなって、ふんわりなめらかな仕上がりになる[1]。

別の事業者も、カチオン系界面活性剤が繊維表面に付着し、潤滑油に似た役割を果たして繊維どうしが滑りやすくなると説明しており[2]、この説明は二社の資料で一致する。ここでいう「柔らかさ」は、繊維そのものが軟化するというより、繊維間の摩擦が下がった結果として感じられる触感と読める。

4. パチパチも へるのは なぜ?

4. 静電気が起きにくくなる二つの理由

4. 静電気が起きにくくなる二つの理由

じゅうなんざいには、せいでんきを へらす はたらきも あります[4]。ふくを ぬぐとき、パチパチ するのを ふせいで くれます。

わけは ふたつ あります。ひとつめは、しんすいきが、くうきの なかの みずと むすびつき、でんきを ながしやすく する ことです。たまった でんきは、すぐ にげて いきます[3]。

ふたつめは、まさつが へる ことです。こすれる ことが へるので、せいでんきの できかたも すくなくなります[3]。

電気を逃がす

陽イオン系界面活性剤の親水基は、空気中の水分子と結びついて電気を流しやすくします。繊維に静電気がたまりかけても、すぐに逃げていきます[3]。

そもそも起こりにくくする

もう一つの理由は、前の章の油の膜です。摩擦が減るので、こすれて静電気が生まれること自体が少なくなります[3]。

電気を打ち消すのではなく、「逃がす」と「生みにくくする」の二本立てで働く、という点が花王の説明のおもしろいところです。

帯電防止の機序は二つ説明されている。一つは、親水基が空気中の水分子と結合して導電性を与え、発生した電荷が速やかに逃げること。もう一つは、摩擦が減ることで静電気の発生自体が少なくなることである[3]。

前章の潤滑作用が、静電気の抑制にも二重に効く構図になる。「電荷を中和する」という単純な説明とは異なる点に注意したい。

5. みずいろから ピンクと いい にほいへ

5. 水色の液体から、色と香りの時代へ

5. 製品の変遷 ── 色と香りの付加(1976年ソフランS)

さいしょの じゅうなんざいは、みずいろの ものが おおかった、と いわれます[4]。うりは、やわらかさと せいでんきを ふせぐ ことでした。

1976ねんに、ライオンゆしが「ソフランS」を だします。ピンクいろや、しょくぶつの にほいが ついた ものだと、しょうかいされて います[4]。

やわらかく するだけでは なく、せんたくものが いい にほいに なる ことも、たのしみに なっていった ようです。

柔らかさと帯電防止が売りだった時代

初期の柔軟剤は水色の製品が多く、売りは柔らかさと帯電防止でした。1976年にライオン油脂が発売したソフランSでは、色がピンクになり、植物性の香りが付くなどの変化が見られた、とWikipediaは説明しています[4]。

ここで話が「効き目」から「気分」へも広がっていったようです。

初期の柔軟剤は水色の製品が多く、柔軟性と帯電防止を訴求していた。1976年10月にライオン油脂が発売したソフランSでは、着色(ピンク)や植物性の香料の付与が行われたと、Wikipediaは記す[4]。1962年の初代花王ソフターから約14年後のことになる[5]。

機能面(潤滑)から嗜好面(色・香り)への移行という読みは、仮説にとどまる。

6. いれすぎると、みずを はじく

6. 入れすぎると、水をはじくことがある

6. 過剰使用と吸水性の低下、ほかの原因

ふわふわに する つぶは、みずを はじく せいしつも もって います。かわいた あと、あぶらが すきな ほうが そとを むいて いるからです[8]。

たくさん つかったり、なんども つづけたりすると、せんいの うえに つぶが たまって、みずを はじく ように なる ことが あります[7]。タオルや したぎが、みずや あせを すわなくなったら、それが めじるしです。

そんな ときは、しばらく じゅうなんざいを つかわずに あらうと、よぶんな ぶんは せんざいで おとせる、と かおうは あんないして います[7]。

タオルの ごわごわには、ほかの わけも あります。わの けが ねて いたり、かたまって いたりするのも、ひとつです[9]。

ふわふわとの引き換え

柔軟剤の成分は、乾くと親油基が外向きに並びます。油になじみ、水をはじく側が表に出るので、水を吸う力は弱まる傾向があり、これは柔軟剤の欠点の一つとされます[8]。

使いすぎたら

使いすぎたり、長く使い続けたりすると、衣類に成分がたまって水をはじいたり、風合いが変わったりすることがあります。タオルや下着が水や汗を吸わなくなったら、しばらく柔軟剤を使わずに洗えば、余分な分は洗剤で落とせると花王は案内しています[7]。

ごわつきにはほかの原因も

タオルがごわつく原因は柔軟剤の有無だけではありません。日立の案内では、輪の形をした毛(パイル)が寝たり固まったりしていることが考えられ、柔軟剤を使ってもごわつくときは洗濯機の「やわらか」コースを試すよう案内されています[9]。

柔軟成分が乾燥後に親油基を外向きにして並ぶ構造は、水になじみにくい面を表面に作る。このため吸水性が落ちる傾向があり、柔軟剤の欠点の一つとされる[8]。花王の説明も同様で、使いすぎると衣類に蓄積して撥水性が出たり風合いが変わったりする場合があるという。吸水性が落ちたら、柔軟剤を止めて洗剤で洗うことで余剰分を落とせるとされる[7]。

条件は「使いすぎ・継続使用」であり、適量の使用が直ちに問題になるとは述べられていない。また、吸水の悪さやごわつきの原因は一つとは限らない。日立の案内は、パイルが寝る・固まる、といった物理的な原因を挙げ、対処として「やわらか」コースを示している[9]。

7. じぶんで ためして みよう

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

みずを ひとしずく

おうちの かわいた タオルを、おとなに えらんで もらいます。じゅうなんざいを つかって いる ものと、つかって いない ものを ならべます。

すみっこに、みずを スプーンで 1てきだけ たらします。すいこまれる はやさを くらべて みましょう。ちがいが 出ないことも あります。それも 大きな はっけんです。

タオルは かわいた ものを つかい、ぬれたら おとなと ふきます。

今日できること

家にある乾いたタオルを二枚選びます。柔軟剤を使っているものと使っていないものがあれば、その二枚です。同じくらいの場所に、スプーンで水を一滴ずつたらし、しみ込むまでの時間を比べます。

洗い方や使った回数はそろっていないので、差が出ても柔軟剤のせいと言いきることはできません。そこから「何をそろえたら比べられるか」を考えるのが、次の一歩になります。

もっと調べるなら

柔軟剤の容器の裏には、成分の名前が書かれています。「陽イオン」という言葉が出てくる資料を探して、どうしてその名前で呼ばれるのかを調べると、プラスとマイナスの話がさらに深まります。

今日できること

柔軟剤を使っているタオルと使っていないタオルを、乾いた状態で同じ場所から水一滴のしみ込み時間を比べる。洗濯回数・洗い方・生地が異なるため、結果は参考にとどめ、条件を揃える方法を考える材料にする。

資料を読むなら

仕組みは花王の製品Q&A([1][3][7])が短く読みやすい。別事業者の説明との突き合わせには[2]、吸水性の欠点は[8]、ごわつき対策は[9]が手がかりになる。開発の背景([6])と色・香りの変遷([4])は二次資料に基づくため、社史や当時の広告で確かめる余地がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の説明に使った資料です。洗剤の歴史やすすぎの詳細は、既存のメモ「合成洗剤の歴史」「洗剤のすすぎ」に譲り、ここでは扱いません。

  1. 花王 製品Q&A「柔軟仕上げ剤の成分と働きは?」 https://www.kao.com/jp/qa/detail/16543/ (繊維への吸着、乾燥時の並び方と油膜)
  2. コープクリーン Q&A「柔軟剤を使うとなぜやわらかく仕上がるのですか」 https://www.coopclean.co.jp/qa/jyuunan_01/ (潤滑油のような働きの別事業者による説明)
  3. 花王 製品Q&A「柔軟仕上げ剤には静電気防止効果もあるの?」 https://www.kao.com/jp/qa/detail/18474/ (静電気を防ぐ二つの理由)
  4. Wikipedia「柔軟剤」 https://ja.wikipedia.org/wiki/柔軟剤 (陽イオン系の特徴、初期製品の色と香りの変化。二次資料)
  5. 花王「製品の歴史」 https://www.kao.com/jp/corporate/history/products-history/ (1962年の花王ソフター、1966年の改称)
  6. Wikipedia「花王ソフター」 https://ja.wikipedia.org/wiki/花王ソフター (開発の背景、ライオンソフター。二次資料)
  7. 花王 製品Q&A「柔軟仕上げ剤を使いすぎるとどうなるの?」 https://www.kao.com/jp/qa/detail/18485/ (使いすぎと吸水性、対処)
  8. 木村石鹸「もう少し知って欲しい柔軟剤の話」 https://www.kimurasoap.co.jp/a/c/journal/l/somali/about-softener (親油基が外向きになると吸水性が落ちる、という説明のみ使用)
  9. 日立 家電ファン「タオルなどのゴワゴワを抑える方法」 https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/wash/q_a/a115.html (タオルのごわつきのほかの原因)

なおした ところ

更新履歴

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