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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

フェネックの おおきな みみは、なんの ため?

フェネックの大きな耳は、暑さ対策と獲物探しの二役をする

フェネックの耳 ── 放熱と集音を兼ねる器官と、砂漠の暮らしの組み合わせ

分野:生きもの

フェネックは、ネコより ちいさい きつねです。それなのに、みみが あたまと おなじくらい おおきく 見えます。からだの わりの みみの おおきさは、ほにゅうるいで いちばん だと いわれます[1]。

どうして こんなに おおきいのでしょう。ひるは あつく、よるは えものが 見えにくい さばくで、この みみが ふたつの しごとを して いるようです。ひるは ねつを にがし、よるは すなの したの えものの おとを きく ことも あります。この きじを よむと、その わけが わかります。

フェネックは、家ネコより小さいイヌ科の動物です。それなのに、耳の大きさは体に対する割合で哺乳類の中で最大とされています[1]。顔よりも耳のほうが目立つほどです。

なぜ、そこまで大きくなったのでしょうか。動物園や辞典の説明によると、同じ耳が昼の暑さで熱をにがす役と、夜に砂の下の獲物の音を集める役を兼ねているようです。この記事を読むと、耳と、夜行性・巣穴・水の節約がどうつながって砂漠の暮らしを支えるのかが分かります。

フェネック(Vulpes zerda)は、体に対する耳の大きさの割合が哺乳類中で最大とされ、イヌ科でも最大である[1][2]。体はイヌ科で最小級なのに、耳は体長の4分の1から4割ほどに当たる計算になる(出典の数字の幅の上下をそのまま組み合わせた概算)。

この耳は、なぜここまで大きいのか。動物園や辞典の記述では、放熱と、砂の下を動く獲物の位置探しの両方に役立つとされる[3]。大きな耳は、昼に熱をにがし、夜には砂の下の獲物の音を集める。この記事を読むと、耳の二つの役割と、夜行性・巣穴・水の節約が砂漠の暮らしにどうつながるのかが分かる。

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1. ちいさな からだに、なぜ おおきな みみ?

1. 家ネコより小さな体に、大きな耳

1. 体はイヌ科で最小級、耳は最大級

フェネックの おもさは、1キロぐらいです。おとなの ネコより かるいと いわれます[3]。

みみの ながさは、しりょうに よって 10センチから 15センチまで、ちがいます[2]。ちいさな からだには、とても おおきいですね。

この みみは、あつさを にがす はたらきが ありそうです。

体重は約0.8〜1.5kg、体長は約36〜41cmで、イヌ科で最も小さいとされます[3][2]。家ネコより小さいという説明もあります。

耳の長さは、資料によって幅があります。スミソニアン国立動物園は約10〜15cm[2]、動物事典のADWは約15cmと書きます[3]。測り方や個体で差が出るのかもしれず、ここでは「約10〜15cm」と幅で書きます。

「割合が最大」というのは、体に比べての話で、絶対的な長さが最大という意味ではありません。では、この耳は何の役に立っているのでしょうか。まず、昼の暑さから見ていきます。

体重は約0.8〜1.5kg(ADW)、体長は約35.6〜40.6cm(スミソニアン国立動物園)で、イヌ科で最小とされ、家ネコより小さいという記述もある[3][2]。

耳の長さは出典で差がある。スミソニアンは約10.2〜15.2cm[2]、ADWは約15cm[3]と書く。単一の数字で断定せず、ここでは約10〜15cmの幅で扱う。「割合が最大」は体比の話で、絶対的な長さの最大を意味しない。

体が小さく、耳が大きいという組み合わせは、次の問いにつながる。この耳は、砂漠のどんな困りごとに答えているのか。まず、昼の暑さから考える。

2. ひるの あつさを、どう のりきる?

2. 昼の暑さを、耳と巣穴でしのぐ

2. フェネックは夜に動き、巣穴や耳で昼の暑さをしのぐ

さばくの ひるは、とても あつくなります。フェネックは、ひるは すあなで やすみ、よるに うごく いきものです[2]。

すあなは、じぶんで ほります。トンネルが ながい ときは、10メートルぐらいに なる ことも あります[2]。

そとで あつく なった ときは、はあはあと あえぎます。そして、みみです。みみには けっかんが とおっていて、かぜに あたると ねつが にげると、どうぶつえんは せつめいして います[1]。かぜが あたると ねつが にげる のです。

ただし、みみだけで からだを ひやして いるわけでは ありません。

砂漠の昼は、小さな動物にとって危険な暑さです。フェネックは主に夜行性で、昼は自分で掘った巣穴で過ごします。巣穴のトンネルは、長いもので約10mに達することがあります[2]。

巣の外で暑くなると、激しいあえぎ(パンティング)で体温を調節します。呼吸数が1分間に23回から最大690回に上がるという記述があり、最大では約30倍です[2]。

そして耳です。京都市動物園は、耳に血管が通っていて、風を受けることで熱をにがし、体温の上昇を防いでいると説明しています[1]。サンディエゴ動物園の資料も、同じ趣旨を述べています[4]。

ただし、耳だけで体温を下げるわけではありません。巣穴、夜の活動、あえぎ、耳を組み合わせた結果です。耳からの放熱量を測った数字は、今回の資料には見つかっていないので、「何度下がる」とは書けません。

昼の砂漠は、体重1kg前後の動物には過酷な環境になる。フェネックは主に夜行性で、日中は自分で掘った巣穴で過ごす。トンネルは最長約10mに達することがある[2]。

それでも外で暑くなれば、激しいパンティングで体温を調節する。呼吸数は毎分23回から最大690回に上がる(最大で約30倍)とされる[2]。

では、耳はどう関わるのか。京都市動物園は、耳に血管が通っていて、風を受けることで熱が逃げ、体温上昇を防ぐと説明する[1]。サンディエゴ動物園[4]とADW[3]も、放熱の役割を共通して挙げる。

耳が体温調節の一つの手段であることは複数の資料が述べる。一方で、耳からの放熱量を測った定量値は今回確認できておらず、耳だけで何度下がるかは言えない。日が沈んだあと、この耳はもう一つの仕事に使われる。

3. よるに、すなの したの えものを どう さがす?

3. 夜、砂の下の音を耳で拾う

3. 夜のえさ探し ── 可動の耳と、砂の下の獲物

よるに なると、すずしく なります。フェネックは、えさを さがしに でかけます。

えものは、すなの したに かくれて いる ことが あります。フェネックは、おおきな みみで すなの したの おとを ききます。どこに いるか わかったら、よっつの あしで すなを ほって つかまえると いわれます[2]。

みみは、きんにくで うごかせます。むきを かえて、いろいろな ほうこうの おとを きけます[1]。

にがす ためにも、あつめる ためにも、おなじ みみが はたらくのですね。

夕方から夜になると、気温が下がり、フェネックの活動の時間が始まります。獲物は、砂の下を動くこともあります。

フェネックは、大きな耳で砂の下の獲物の音を聞き、位置が分かると、四本の足で掘って捕まえるとスミソニアン国立動物園は説明します[2]。京都市動物園によると、耳を動かす筋肉が発達していて、向きを変えていろいろな方向から音を聞くことができ、砂の中の獲物が出す音を集める働きもあります[1]。

ADWは、耳は何センチもの砂を通した音を選び取り、鳴き声の細かな違いも聞き分けられると書きます[3]。

獲物は、小型のネズミの仲間、トカゲ、鳥、卵、昆虫など様々です[3]。同じ一つの耳が、昼は放熱、夜は集音と、二つの仕事を受け持っているようです。

気温が下がると、フェネックの採食の時間になる。獲物には、砂の下を動くものもいる。

スミソニアン国立動物園は、大きな耳で砂の下の獲物の音を聞き、位置を特定すると四肢で掘って捕らえると説明する[2]。京都市動物園は、耳を動かす筋肉が発達していて、特定の方向に向けて角度を変え、さまざまな方向から音を聞けること、砂の中の獲物の音を集める働きがあることを述べる[1]。ADWは、砂を数cm通しても音を選び取り、鳴き声の細かな違いも聞き分けられるとする[3]が、砂の何cm下まで聞こえるかという数値は示されていない。

食べ物は小型げっ歯類・トカゲ・鳥・卵・昆虫が代表的で、果実・葉・根も食生活の重要な一部とされる[3]。同じ耳が、昼は放熱、夜は集音という二役を担っているように見える。

ここまでは、動物園と辞典の説明による。では、聞く仕組みの内側はどうなっているのか。その前に、もう一つの困りごとがある。水だ。

4. みずが ない さばくで、どうやって くらす?

4. 水を飲まなくても足りる暮らし

4. 水の確保 ── 腎臓の節水と、食べ物・植物からの水分

さばくには、みずが ほとんど ありません。フェネックは、みずを のまなくても くらせると、じてんに かいて あります[3]。

むしや ねずみ、くだものなどを たべて、そこから みずを とって いるようです[2]。おしっこで にがす みずも すくないと いわれます[4]。

いちども みずが いらない、という わけでは ありません。のまなくても たりる、という ことです。

砂漠で困るのは暑さだけではありません。水もほとんどありません。ADWは、フェネックは水を飲まなくても暮らせ、必要なときは近くの植物から水分をとると述べます[3]。スミソニアン国立動物園は、食べ物から水分をとるとします[2]。

さらに、腎臓が水を節約し、尿として失う水が少ないとされています[4]。

ここで大事なのは「一生まったく水がいらない」ではなく、「飲まなくても足りる」という点です。昼を巣穴で過ごし、夜に動くのは、暑さと水の減りを避ける行動です。耳やあえぎで熱をにがすのは、体の働きです。どれも、体から水が出ていくのを抑える暮らしの一部です。

水も、砂漠の重要な制約になる。ADWは、フェネックはサハラの気候によく適応していて、水を飲む必要がなく、必要なら近くの植物から水分をとると述べる[3]。スミソニアン国立動物園は、食べ物から水分をとるとする[2]。腎臓が水を節約し、尿として失う水が少ないという記述もある[4]。

ただし「一生まったく水が要らない」のではなく、飲まなくても足りる、という読み方が正確である。

昼の巣穴、夜の活動、あえぎと耳による放熱、腎臓の節水、食べ物からの水分。これらは別々の工夫だが、体から水が失われるのを抑えるという同じ方向に働く。ただし、それぞれの寄与の大きさを比べた数字は今回の資料にない。

5. みみの なかは、どう なって いるの?

5. 耳の内側について、分かっていること

5. 砂漠の小型哺乳類の耳の研究と、フェネックで分かっていること

じつは、フェネックの みみの なかの ようすは、まだ よく わかって いない ことが あります。

ちいさな さばくの どうぶつでは、みみの おくの ふくろが おおきい ものが いると、ろんぶんに かいて あります[5]。ひくい おとが きこえやすく なると、かんがえられて います。

でも これは ジャービルなどの はなしで、フェネックで しらべた ものでは ありません。

耳の外側の大きさは、見ればわかります。では、内側はどうでしょうか。

2016年の論文によると、体の小さな砂漠の哺乳類(ジャービル、トビネズミ、ハネジネズミ)では、中耳の空洞(聴胞)が大きく、低い音の聞き取りに役立つと考えられています[5]。ただし、これはフェネックを調べた論文ではありません。フェネックの可聴域などの測定値は、今回の資料には見つかりませんでした。

耳がどれくらい大きいか、何に使われているかは、動物園や辞典の説明で分かります。でも、耳の内側の性質は、これから調べられる楽しみが残っています。

耳の外側の大きさは資料で示されるが、内側の性質はどうか。Mason(2016)は、体の小さな砂漠の哺乳類(ジャービル、トビネズミ、ハネジネズミなど)で中耳の空洞が大きく、低周波の聴覚に役立つこと、小型の砂漠の哺乳類に低周波聴覚の適応的な利点がいくつか提案されていることを述べる[5]。

ただし、これはフェネックを対象とした研究ではなく、一般論として読む必要がある。フェネック自体の聴力(可聴域や低音の得意さ)の測定値は、今回の資料には見つかっていない。したがって、フェネックが低い音に特に敏感だと言い切ることはできない。

放熱の定量値、耳の内部構造、聴力。動物園や辞典の説明の外側には、論文で確かめる余地が残っている。

6. じぶんで しらべて みよう

6. 自分でも調べてみたくなったら

6. 自分でも調べてみたくなったら

いまできること

てのひらを、みみの うしろに ふんわり あてて みましょう。まわりの おとが おおきく きこえるか、ためして みます。てを はなすと どう かわるでしょう。ネコや イヌが いえに いたら、みみが うごく ようすも 見て みましょう。

でかけて できること

どうぶつえんで フェネックを 見る ことが あったら、みみが どっちを むいて いるか、ひるは どこに いるか、見て みましょう。

しらべる とき

どうぶつえんの しょうかいや、どうぶつの ずかんを よむと、フェネックの くらしが もっと わかります。

今日できること

手のひらを耳の後ろに丸めて当て、周りの音の聞こえ方が変わるか試してみましょう。手を離すとどう変わるでしょう。家にネコやイヌがいれば、音がしたときの耳の向きを観察してみてください。耳の動きが、フェネックの「耳を動かす筋肉」の話と重なります。

出かけてできること

動物園でフェネックに会えたら、耳の向きと動き、活動の時間帯を見比べてみてください。昼は巣穴で休んでいることも多く、見える時間や場所は動物園によって違います。

公式情報

動物園の解説や、動物図鑑のフェネックの項に、暮らしのくわしい説明があります。

今日できること

手のひらを耳の後ろに丸めて当て、聞こえ方の変化を比べる。家にネコやイヌがいれば、音に対する耳の向きの動きを観察する。可動の耳が向きを変えて音を集める、という説明との対応を考えるとよい。

出かけてできること

動物園でフェネックの耳の動きと活動時間帯を観察する。飼育下の行動が、資料の記述とどこまで一致するかを考える。

公式情報

出典に挙げた動物園・辞典の解説を読み、Mason(2016)などの論文で、砂漠の小型哺乳類の聴覚の比較を読んでみるのもよい。耳からの放熱の測定や、フェネック自体の聴力の測定を扱った論文が別にあるかどうかも、探す価値がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

耳の役割は動物園と辞典の説明による。耳からの放熱量やフェネックの聴力の測定値は資料になく、耳の内側の話は他の砂漠の小型哺乳類の研究による。

  1. 京都市動物園 御意見箱回答(令和7年10月) https://zoo.city.kyoto.lg.jp/zoo/uploads/image/anone761.pdf (耳の大きさの割合・放熱・耳の筋肉)
  2. Smithsonian's National Zoo: Fennec fox https://www.nationalzoo.si.edu/animals/fennec-fox (耳の長さ・体の大きさ・巣穴・獲物探し・あえぎ)
  3. Animal Diversity Web: Vulpes zerda(ミシガン大学) https://animaldiversity.org/accounts/Vulpes_zerda/ (耳の役割・砂を通した聴覚・食べ物・水)
  4. San Diego Zoo Wildlife Alliance factsheet https://ielc.libguides.com/sdzg/factsheets/fennec-fox/characteristics (耳の放熱・水の節約)
  5. Mason MJ (2016) Journal of Anatomy 掲載の中耳に関する論文(PMC)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4718170 (砂漠の小型哺乳類の中耳の一般論)

なおした ところ

更新履歴

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