1. 目は、光を 出して いるの?
1. 光っているのは目そのものではない
1. 発光ではなく反射 ── 暗闇では光らない
ねこの 目が 光って 見えるのは、まわりに 光が あるときだけです。まっくらな へやでは、ねこの 目は 光りません。
ですから、目が 光を 出して いるのでは なさそうです。入って きた 光が、目の おくで はねかえされて、外に 出て きた ものだと いわれて います[2]。
ためしに 思い出して みましょう。じてんしゃの うしろに ついている 赤い 反射板も、ライトが 当たった ときだけ 光ります。ねこの 目にも、にた はたらきの ものが あるのです。
ただし 本当は、ねこの 目は 反射板よりも ずっと 大切な しごとを して います。それは、次の 章で 見ます。
2. 目の おくに ある、はねかえす ばん
2. 網膜のうしろにある、光をはね返す層
2. タペタム(輝板)の位置と働き ── 網膜の直後の再帰反射体
目の いちばん おくには、光を かんじる 網膜が あります。ねこの 目では、その すぐ うしろに、光を はねかえす ばんが あります[2]。
この ばんを、タペタムと よびます。名前は むずかしいですが、「目の おくの 鏡のような もの」と おぼえると いいでしょう。
網膜を 通りぬけた 光が、この ばんに 当たると、また 網膜の ほうへ もどされます[1]。
3. 光に、もう一回の チャンス
3. 一度すり抜けた光に「二度目のチャンス」
3. 光子の「第二の機会」── 2度通過による捕捉
光は、はじめに 網膜を 通る とき、ぜんぶが 光を かんじる さいぼうに ぶつかる わけでは ありません。すりぬけて しまう ものも あります。
すりぬけた 光が、タペタムで はねかえされて、もう一度 網膜を 通ります。その とき、こんどは さいぼうに ぶつかる かもしれません[3]。
光を むだに しないための、しくみです。外から 光って 見えるのは、この とき 一部の 光が、網膜に とどかずに 目の 外へ 出て くる からです[1]。
4. 暗い 所で、どれだけ 見えるの?
4. 暗がりで、人の6分の1ほどの光でも見えるという目安
4. 暗所感度 ── 約1/6の光量という目安(複数要因の合計)
ねこは、人の 六分の一ほどの 光でも、ものを 見られる ことが あると する 本も あります[4]。
これは、タペタム だけの ちからでは ありません。暗い 所で はたらく さいぼうが 多い ことや、目に 入る 光の おおさを かえる 目の まん中の あなの はたらきなども、あわさって いると 考えられて います[4]。
ねこの 目の 中には、暗い 所で はたらく さいぼうが、人の 6ばいほど あると いう 人も います[2]。ただ、数は 本に よって ちがうので、「たくさん ある」と おぼえて おけば 十分です。
5. ひきかえに、ぼやける ことも
5. 引きかえに、細かいところは苦手になる
5. 暗所での感度と視力の目安(20/100〜20/200)
暗い 所で よく 見える ものは、いい ことばかりでは ありません。ねこは、こまかい ものを 見わける ちからが、人より 弱いと されます。
人が 20〜30メートル はなれた 所から 見える ものを、ねこは 6メートルまで 近づかないと 見えない、と いわれて います[4]。
暗い 所に 強い 目は、光を 集める ことを だいじに して いる ぶん、こまかい ところは あきらめて いるようです[5]。
ただし、この 理由が タペタムの せいなのかは、はっきりしません。目の まん中の あなが 大きい ことや、暗い 所で はたらく さいぼうが 多い ことも、かんけい して います。
6. 光る 色は、いつも 同じ?
6. 光る色は見る角度や動物で変わる
6. 光色の多様性 ── 角度と反射物質による違い
ねこの 目の 光は、いつも 同じ 色とは かぎりません。白っぽい ときも、青や 緑や 黄色に 見える ときも あります[6]。
光が 当たる 角度で、見える 色が かわる ことが あるのです。目の おくの ばんの もとに なる ものも、どうぶつに よって ちがいます[1]。
ですから、夜に どうぶつの 目が 光って 見えても、色だけで 「これは ねこだ」と 決める ことは できません。
7. 人の 目には、ないの?
7. 人の目にはなく、別々の動物で何度も生まれた
7. 人のタペタム欠如と赤目、収斂進化説
人の 目には、タペタムは ありません。人は 昼間に よく 動く なかまの ひとつで、この なかまには、タペタムが ありません[1]。
フラッシュで 写真を とると、人の 目が 赤く 光る ことが あります。これは 目の おくの、血の 流れる ばんが 弱く 光を はねかえして いるからです。タペタムの せいでは ありません[1]。
タペタムは、いろいろな どうぶつで、べつべつに 生まれたと 考えられて います[3]。暗い 所で 生きる ための、大切な しくみなのかも しれません。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちの 人と いっしょに、ためして みましょう。まず、じてんしゃの 反射板や、くつの 反射する 部分を さがします。
くらい へやで、ライトを 反射板に 当てて みます。ライトを 目の 近くから 当てて 見ると、ぴかっと 光ります。ライトの 向きは そのままで、立つ 場所を 少し ずらして 見ると、どうでしょう。
ただし、ライトを 人や ねこの 目に 向けては いけません。とても まぶしいです。ねこが いる 家でも、ねこの 目に ライトを 当てないで ください。夜の 外では、ひとりで 出かけません。
今日できること:家にある自転車の反射板や、反射材つきの服やくつを、暗い部屋でライトで照らして、光り方を確かめてみましょう。ライトを目の近くから当て、ライトの向きを保ったまま立つ位置を少しずらして、見え方を見比べてみてください。ライトを人やペットの目に向けるのは危険なので、絶対にやめます。
調べるなら:図書館では、動物の目や暗い所での見え方の本を探すと、ほかの動物の反射板のことも出ています。
家にある自転車の反射板や反射材を暗い部屋でライトで照らし、ライトを目の近くから当てたまま立つ位置や角度を変えて、見え方を比べてみるとよい。次に読むなら、資料[3]の Skeptical Inquirer の記事が、タペタムと逆さ網膜の関係を原論文とあわせて紹介している。原論文まで進めば、種ごとの構造や反射物質の議論を確かめられる。
感度の数値(1/6、桿体の倍率など)は二次資料の記述にばらつきがある。原論文で照合すれば、どの要因がどれだけ効いているかを自分で確かめられる。なお、動物の目に強い光を向けることは避ける。ねこの目の異常が気になる場合は、獣医師に相談すること。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:百科事典・眼科機器メーカーの解説・雑誌記事・総説を使った。原論文の本文を確かめていないものは、それぞれの項目の最後に書いた用途の範囲にとどめている。
- Wikipedia「Tapetum lucidum」。https://en.wikipedia.org/wiki/Tapetum_lucidum (タペタムの位置と働き・光って見えるのは反射であること・人にないこと・赤目・色の多様性について)
- ニデック アイストーリー Vol.22「猫の目が光るのはなぜ?」。http://www.nidek.co.jp/eyestories/vol-22-%e7%8c%ab%e3%81%ae%e7%9b%ae%e3%81%8c%e5%85%89%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%9c%ef%bc%9f/ (ねこの網膜の外側の反射板と、桿体細胞の多さについて)
- Skeptical Inquirer (2022), The Night Begins to Shine: The Tapetum Lucidum and Our Backward Retinas。https://skepticalinquirer.org/2022/12/the-night-begins-to-shine-the-tapetum-lucidum-and-our-backward-retinas/ (光の第二の機会・複数回の進化・逆さ網膜との関係について)
- Wikipedia「Cat senses」。https://en.wikipedia.org/wiki/Cat_senses (約1/6の光量と、視力の目安について)
- Adaptations of the Vertebrate Retina to Low-Light Conditions: A Review。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12093289/ (暗所適応の目が細部より感度を優先する傾向について)
- Panthera「Spooky Science: Glowing Eyes in Cats」。https://panthera.org/blog-post/spooky-science-glowing-eyes-cats (光る色が角度で変わることについて)
なおした ところ
更新履歴
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