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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ねこの 目は、どうして 夜に 光るの?

ねこの目は光を出していない? 暗い所で光って見える理由

ねこの目が暗所で光る仕組み ── 網膜後方のタペタム(輝板)による反射と、感度・視力のトレードオフ

分野:生きもの

くらい 夜の 道で、車の ライトが ねこの 目を てらしました。すると 目が、ぴかっと 光ります。ねこが 自分で 光を 出して いるのでしょうか。

じつは、ちがいます。目の おくに、光を はねかえす ものが あるのです。その ふしぎな しくみと、ひきかえに ねこが あきらめて いる ものを、いっしょに 見て みましょう。

夜道で車のライトがねこの目に当たると、目だけが不気味なほど光って見えます。まるで目がライトのように光を出しているようですが、真っ暗な部屋ではねこの目は光りません。

光っているのは、外から入った光が目の奥ではね返り、外へ出てきたものです。その「はね返す層」が何のためにあるのか、光り方が変わるのはなぜか、人の目とは何が違うのかを、いくつかの資料をつき合わせて整理します。

ねこの目が暗所で光って見えるのは、網膜のすぐ後ろにあるタペタム(輝板)が、網膜を通り抜けた可視光を反射し、視細胞へもう一度送り返すためだとされる[1][2]。目が発光しているのではなく、入ってきた光の反射である。

このメモでは、反射の仕組みと、暗所での見やすさに寄与する要因、視力とのトレードオフ、光の色の違い、人の目との違いまでを扱う。

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1. 目は、光を 出して いるの?

1. 光っているのは目そのものではない

1. 発光ではなく反射 ── 暗闇では光らない

ねこの 目が 光って 見えるのは、まわりに 光が あるときだけです。まっくらな へやでは、ねこの 目は 光りません。

ですから、目が 光を 出して いるのでは なさそうです。入って きた 光が、目の おくで はねかえされて、外に 出て きた ものだと いわれて います[2]。

ためしに 思い出して みましょう。じてんしゃの うしろに ついている 赤い 反射はんしゃ板も、ライトが 当たった ときだけ 光ります。ねこの 目にも、にた はたらきの ものが あるのです。

ただし 本当は、ねこの 目は 反射はんしゃ板よりも ずっと 大切な しごとを して います。それは、次の 章で 見ます。

ライトを消すと、光も消える

「ねこの目は暗い所で光る」とよく言いますが、正確には「暗い所で、わずかな光を受けたときに光って見える」です。目が自分で光る生きものは、ホタルなどごく限られています。ねこの目の光は、入ってきた光がタペタムという層で反射され、外へ出てきたものと説明されています[1][2]。

自転車の後ろについている反射板が、ライトを当てたときだけ光るのと似ています。ただし、ねこの目のほうは、光を返すだけでなく、見ることそのものを助ける役目も持っています。それが次の章の話です。

暗所で目が光って見える現象(eyeshine)は、発光ではなく、入射光がタペタムで反射されて眼外へ出ることで生じる[1]。ニデックの解説も、ねこの目自体が発光しているのではなく光を反射しているだけ、という趣旨で説明している[2]。光源のない完全な暗闇では、光って見えない。

この点は、「目が光を出す」という誤解を避けるために先に押さえておく。反射光の一部は網膜に届かずに眼外へ出るため、外から光って見える。

2. 目の おくに ある、はねかえす ばん

2. 網膜のうしろにある、光をはね返す層

2. タペタム(輝板)の位置と働き ── 網膜の直後の再帰反射体

目の いちばん おくには、光を かんじる 網膜もうまくが あります。ねこの 目では、その すぐ うしろに、光を はねかえす ばんが あります[2]。

この ばんを、タペタムと よびます。名前は むずかしいですが、「目の おくの 鏡かがみのような もの」と おぼえると いいでしょう。

網膜もうまくを 通りぬけた 光が、この ばんに 当たると、また 網膜もうまくの ほうへ もどされます[1]。

網膜の外側の反射板

目に入った光は、まず網膜にある光を感じる細胞(視細胞)に当たります。ところが光の一部は、視細胞に受け止められないまま網膜を通り抜けてしまいます。

ねこの目では、網膜のすぐ外側にタペタム(輝板)という層があり、通り抜けた光を反射して、もう一度網膜へ送り返しています[2]。網膜の直後にあって、可視光をほぼ来た向きへ返す「再帰反射体」として働くと説明されています[1]。

タペタムは網膜の直後に位置する層で、可視光を反射する再帰反射体(レトロリフレクター)として働き、網膜を通過した光を再び網膜に通して視細胞が利用できる光を増やす[1]。ねこでは、網膜の外側にある反射板の役割を持つ層として説明される[2]。

反射の素材や層の構造は動物ごとに異なり、ねこの素材は資料によって記述が割れている。ここでは深入りしない。

3. 光に、もう一回の チャンス

3. 一度すり抜けた光に「二度目のチャンス」

3. 光子の「第二の機会」── 2度通過による捕捉

光は、はじめに 網膜もうまくを 通る とき、ぜんぶが 光を かんじる さいぼうに ぶつかる わけでは ありません。すりぬけて しまう ものも あります。

すりぬけた 光が、タペタムで はねかえされて、もう一度 網膜もうまくを 通ります。その とき、こんどは さいぼうに ぶつかる かもしれません[3]。

光を むだに しないための、しくみです。外から 光って 見えるのは、この とき 一部の 光が、網膜もうまくに とどかずに 目の 外へ 出て くる からです[1]。

ぶつかりそこねた光の再挑戦

最初の通過で視細胞に受け止められなかった光は、タペタムで反射され、二度目に網膜を通るときにもう一度とらえられる可能性があります[3]。光を「第二の機会」に回す、と説明されています。

外から光って見えるのは、その副産物

反射された光がすべて網膜に届くわけではなく、一部は網膜をすり抜けて目の外へ出ていきます[1]。それがライトを当てたときの、あの光です。つまり、目が光って見えるのは、暗い所で光を無駄にしないための仕組みの、いわば「こぼれた分」といえます。

この反射により、最初の通過で視細胞に衝突しなかった光子が、2度目の通過で捕捉される機会を得る(Skeptical Inquirer の解説)[3]。

反射光の一部は網膜に届かず眼外へ出る。これが eyeshine として観察される[1]。つまり eyeshine は、感度を上げる機構の副産物として外から見えている光といえる。

4. 暗い 所で、どれだけ 見えるの?

4. 暗がりで、人の6分の1ほどの光でも見えるという目安

4. 暗所感度 ── 約1/6の光量という目安(複数要因の合計)

ねこは、人の 六分の一ほどの 光でも、ものを 見られる ことが あると する 本も あります[4]。

これは、タペタム だけの ちからでは ありません。暗い 所で はたらく さいぼうが 多い ことや、目に 入る 光の おおさを かえる 目の まん中の あなの はたらきなども、あわさって いると 考えられて います[4]。

ねこの 目の 中には、暗い 所で はたらく さいぼうが、人の 6ばいほど あると いう 人も います[2]。ただ、数は 本に よって ちがうので、「たくさん ある」と おぼえて おけば 十分です。

感度は、いくつもの工夫の合計

ねこは、人が必要とする光のおよそ6分の1で物を見られるとする資料があります[4]。ただ、これはタペタムだけの効果ではありません。暗い所で働く細胞(桿体)の多さ、瞳の開き方、そしてタペタムなどが組み合わさった結果とされています[4]。

桿体の数について、眼科機器メーカーの解説には「人の約6倍」という記述があります[2]。数には資料によってばらつきがあります。

ねこは人が必要とする光の約1/6の光量で見られるとする資料がある[4]。ただしこれは桿体の多さ・瞳孔・タペタムなど複数要因の合計であり、タペタム単独の効果ではない。タペタムが感度を何%上げるかについては、数値が二次資料ごとにばらつくため、ここでは定性的な記述にとどめる。

桿体細胞が人の約6倍とする解説があるが[2]、ピーク密度など数値は資料間で一致せず、一次論文で照合できていない。断定は避けたい。

5. ひきかえに、ぼやける ことも

5. 引きかえに、細かいところは苦手になる

5. 暗所での感度と視力の目安(20/100〜20/200)

暗い 所で よく 見える ものは、いい ことばかりでは ありません。ねこは、こまかい ものを 見わける ちからが、人より 弱いと されます。

人が 20〜30メートル はなれた 所から 見える ものを、ねこは 6メートルまで 近づかないと 見えない、と いわれて います[4]。

暗い 所に 強い 目は、光を 集める ことを だいじに して いる ぶん、こまかい ところは あきらめて いるようです[5]。

ただし、この 理由が タペタムの せいなのかは、はっきりしません。目の まん中の あなが 大きい ことや、暗い 所で はたらく さいぼうが 多い ことも、かんけい して います。

細かさより明るさを選んだ目

ねこの視力は、視力検査の表記で20/100〜20/200ほどとされます。人が20〜30メートル離れて見える物を、ねこは6メートルまで近づかないと見分けにくい、という程度です[4]。

暗所に強い目には、感度を優先するかわりに細かい部分の見分けが弱くなる傾向がある、とまとめた総説があります[5]。ただしその説明は、大きな瞳と桿体が多い網膜についての一般論で、タペタムだけが原因という話ではありません。

ねこは、昼間に人と同じ細かさで見るかわりに、夕方や夜の暗がりで動く物をとらえる目を選んだ、と考えるとイメージしやすいでしょう。

ねこの視力は20/100〜20/200程度で、人が20〜30 m で判別できる対象を約6 m で判別する程度とされる[4]。

夜行性の種に多い大きな瞳孔と桿体優位の網膜は、細部の知覚を犠牲にして感度を優先する、という総説の記述がある[5]。ただしこの説明は、瞳孔と桿体についてのものである。

6. 光る 色は、いつも 同じ?

6. 光る色は見る角度や動物で変わる

6. 光色の多様性 ── 角度と反射物質による違い

ねこの 目の 光は、いつも 同じ 色とは かぎりません。白っぽい ときも、青や 緑や 黄色に 見える ときも あります[6]。

光が 当たる 角度で、見える 色が かわる ことが あるのです。目の おくの ばんの もとに なる ものも、どうぶつに よって ちがいます[1]。

ですから、夜に どうぶつの 目が 光って 見えても、色だけで 「これは ねこだ」と 決める ことは できません。

白、青、緑、黄色、ときには赤

目の光は、白・青・緑・黄・ピンク・赤など、いろいろな色で見えることが報告されています[6]。色を決めるのは、光が当たる角度と、タペタムのもとになっている物質だと説明されています[1][6]。

ですから、夜に光る目を見つけても、色だけで動物の種類を決めつけることはできません。

eyeshine の色は、白・青・緑・黄・ピンク・赤など一定しない。観察角度とタペタムの結晶を構成する物質によって変わるとされる[1][6]。

個体や動物種の違いも大きく、色から種を同定することは難しい。

7. 人の 目には、ないの?

7. 人の目にはなく、別々の動物で何度も生まれた

7. 人のタペタム欠如と赤目、収斂進化説

人の 目には、タペタムは ありません。人は 昼間に よく 動く なかまの ひとつで、この なかまには、タペタムが ありません[1]。

フラッシュで 写真を とると、人の 目が 赤く 光る ことが あります。これは 目の おくの、血の 流れる ばんが 弱く 光を はねかえして いるからです。タペタムの せいでは ありません[1]。

タペタムは、いろいろな どうぶつで、べつべつに 生まれたと 考えられて います[3]。暗い 所で 生きる ための、大切な しくみなのかも しれません。

人にはない。でも、弱い反射はある

人を含む昼行性の霊長類にはタペタムがありません[1]。ただし人の目にも、網膜の外側にある血管の多い層(脈絡膜)から弱い反射があります。フラッシュ写真で目が赤く写る「赤目」は、この反射が原因で、タペタムによる光り方とは別ものです[1]。

何度も別々に進化した、という見方

タペタムは、いろいろな動物で何度も別々に進化したとされ、種類や構造、成分が多様です[3]。その理由の一つとして、脊椎動物の網膜が「光が視細胞の手前の層を通る、いわば逆さの向き」になっていることを補う適応だ、という説が紹介されています。ただし、これは仮説の段階です[3]。

ヒトを含む昼行性の真猿類にはタペタムがない。ヒトの眼にも脈絡膜由来の弱い反射があり、これがフラッシュ撮影時の赤目として現れる[1]。

タペタムは複数の系統で独立に生じたとされ、種類・組織構造・化学組成が多様であるのは収斂進化の結果と解釈されている[3]。脊椎動物の「逆さ網膜」を補う適応だとする説も紹介されているが、これは仮説にとどまる[3]。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

おうちの 人と いっしょに、ためして みましょう。まず、じてんしゃの 反射はんしゃ板や、くつの 反射はんしゃする 部分を さがします。

くらい へやで、ライトを 反射はんしゃ板に 当てて みます。ライトを 目の 近くから 当てて 見ると、ぴかっと 光ります。ライトの 向きは そのままで、立つ 場所を 少し ずらして 見ると、どうでしょう。

ただし、ライトを 人や ねこの 目に 向けては いけません。とても まぶしいです。ねこが いる 家でも、ねこの 目に ライトを 当てないで ください。夜の 外では、ひとりで 出かけません。

今日できること:家にある自転車の反射板や、反射材つきの服やくつを、暗い部屋でライトで照らして、光り方を確かめてみましょう。ライトを目の近くから当て、ライトの向きを保ったまま立つ位置を少しずらして、見え方を見比べてみてください。ライトを人やペットの目に向けるのは危険なので、絶対にやめます。

調べるなら:図書館では、動物の目や暗い所での見え方の本を探すと、ほかの動物の反射板のことも出ています。

家にある自転車の反射板や反射材を暗い部屋でライトで照らし、ライトを目の近くから当てたまま立つ位置や角度を変えて、見え方を比べてみるとよい。次に読むなら、資料[3]の Skeptical Inquirer の記事が、タペタムと逆さ網膜の関係を原論文とあわせて紹介している。原論文まで進めば、種ごとの構造や反射物質の議論を確かめられる。

感度の数値(1/6、桿体の倍率など)は二次資料の記述にばらつきがある。原論文で照合すれば、どの要因がどれだけ効いているかを自分で確かめられる。なお、動物の目に強い光を向けることは避ける。ねこの目の異常が気になる場合は、獣医師に相談すること。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:百科事典・眼科機器メーカーの解説・雑誌記事・総説を使った。原論文の本文を確かめていないものは、それぞれの項目の最後に書いた用途の範囲にとどめている。

  1. Wikipedia「Tapetum lucidum」。https://en.wikipedia.org/wiki/Tapetum_lucidum (タペタムの位置と働き・光って見えるのは反射であること・人にないこと・赤目・色の多様性について)
  2. ニデック アイストーリー Vol.22「猫の目が光るのはなぜ?」。http://www.nidek.co.jp/eyestories/vol-22-%e7%8c%ab%e3%81%ae%e7%9b%ae%e3%81%8c%e5%85%89%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%9c%ef%bc%9f/ (ねこの網膜の外側の反射板と、桿体細胞の多さについて)
  3. Skeptical Inquirer (2022), The Night Begins to Shine: The Tapetum Lucidum and Our Backward Retinas。https://skepticalinquirer.org/2022/12/the-night-begins-to-shine-the-tapetum-lucidum-and-our-backward-retinas/ (光の第二の機会・複数回の進化・逆さ網膜との関係について)
  4. Wikipedia「Cat senses」。https://en.wikipedia.org/wiki/Cat_senses (約1/6の光量と、視力の目安について)
  5. Adaptations of the Vertebrate Retina to Low-Light Conditions: A Review。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12093289/ (暗所適応の目が細部より感度を優先する傾向について)
  6. Panthera「Spooky Science: Glowing Eyes in Cats」。https://panthera.org/blog-post/spooky-science-glowing-eyes-cats (光る色が角度で変わることについて)

なおした ところ

更新履歴

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