このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

おなかの 中の 赤ちゃんは、どうして 指を すうの?

おなかの中の赤ちゃんは、なぜ指をしゃぶるのか

胎児の指しゃぶり ── 吸啜の発達段階、右親指への偏り、「哺乳の練習」仮説の限界

分野:からだ

おなかの 中の 赤ちゃんが、指を 口に 入れて いる。そんな すがたが、とくべつな きかい(ちょうおんぱ)の 画面に うつる ことが あります。

まだ 息も おっぱいも 知らない はずなのに、どうして 指を すうのでしょう。いつごろから 見られるのか、「れんしゅう」と いえるのかを、しりょうで 調べます。

超音波検査の画面に、口へ親指を運ぶ赤ちゃんが映ることがあります。まだ息もおっぱいも経験していないのに、なぜ指を吸うのでしょうか。

指しゃぶりはいつ始まるのか、生まれてからの哺乳の練習といえるのか、そしてなぜ右の親指が多いのか。資料をもとに、分かっていることと、まだ分からないことを分けてたどります。

胎児は妊娠中期から、超音波で指を口へ運ぶ動きが観察される。吸啜・嚥下の発達段階、「出生後の哺乳の準備」とされる説明とその限界、右の親指を吸う胎児が大多数を占めるという観察と利き手との関係を、総説・追跡研究・学会の提言から整理する。週数の数え方は資料により異なる点にも注意する。

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1. おなかの 中で 指を すって いる

1. 超音波の画面に映る、親指を吸う赤ちゃん

1. 超音波による観察 ── 出現時期と意図性

おなかの 中の 赤ちゃんは、いつごろから 指を すうのでしょうか。ちょうおんぱの けんさでは、おなかに 赤ちゃんが できて 15週ごろに、親指を すって いるように 見えると されて います[1]。

でも、赤ちゃんが 「すおう」と 思って 動かして いるのか、たまたま 手が 口に 当たっただけなのかは、はっきり 分かって いません[1]。

超音波検査では、妊娠15週ごろ(受精から数えた週数)に、胎児が親指を吸う様子が見えるとされています[1]。まだ肺で息をしていない時期に、口と手の動きがそろっているわけです。

ただし、それが赤ちゃんの意図した動きなのか、たまたまの動きなのかは、はっきり分かっていません[1]。この記事では、分からない部分はそのまま残して進みます。

超音波検査では、受精から数えて15週ごろには胎児が親指を吸う様子が観察されるという。ただし、それが随意的な動きか偶発的な動きかは確定していない[1]。この資料は「受精から」の週数で書かれており、他の資料の在胎週数(最終月経から)とは基準が異なる可能性があるため、以下の週数は資料ごとの数え方の差を含む目安として扱う。

2. すう動きは、少しずつ できて いく

2. 飲みこむ、吸う ── 段階的な育ち

2. 嚥下・吸啜の発達段階

すう動きは、ある日 とつぜん できる わけでは ないようです。あるまとめの ろんぶんでは、羊水を 飲みこむのは 12〜14週ごろから、すう動きは 15週ごろから 見られると 書かれて います[2]。

しりょうによって 週の 数字が ちがう ことが あります。「このころ」という はばを もって 読みます。

吸う動きは、ある日突然できるものではなく、段階を踏んで育つようです。ある総説は、胎児が羊水を飲みこみ始めるのは12〜14週ごろ、吸う動きが現れるのは15週ごろと述べています[2]。

資料によって週数の基準や観察する動きが異なるため、開始時期には幅があります。週数は目安として読みます。

総説によれば、胎児は12〜14週ごろから羊水の嚥下を始め、15週ごろに吸啜運動が現れる[2]。

資料によって週数の基準や観察する動き(口の動き、嚥下、手を口へ運ぶ動き)が異なるため、開始時期には幅がある。週数は目安として読む。

3. 生まれてからの「れんしゅう」なの?

3. 「哺乳の練習」という説明と、その限界

3. 練習仮説とその反証的データ

子育ての サイトでは、24週ごろに 指を くわえる 動きが 見え、32週ごろには 指を すいながら 羊水を 飲みこむ。これは 生まれてから おっぱいを じょうずに すう れんしゅうだ、と せつめいされて います[3]。

ただ、これは 「そうかもしれない」と いう 考え方です。口や くちびるの 動きを 24〜36週で 調べた 研究では、口を あけてから すぼめる、おっぱいを すう ときに 近い 動きは、週が ふえても ふえませんでした。口を あける 動きは、むしろ 少なく なって いました[2]。

この 研究の 人たちは、生まれてから 口に ほんとうの しげきが 入る ことが、この けっかに かんけい して いるのかも しれない、と 考えて います。「おなかの 中で れんしゅうして じょうずに なる」とは、かんたんには いえないのです。

育児情報サイトでは、24週ごろに指をくわえる動きが見え、32週ごろには指をしゃぶりながら羊水を飲みこむ、これは生まれてからおっぱいを上手に吸うための練習だ、と説明されています[3]。

ただ、この「練習」は、あくまで仮説です。胎児の口と唇の動きを24〜36週で調べた研究では、口を開いてからすぼめるという、哺乳に近い連続した動きは、週数とともに増えず、口を開く動きはむしろ減っていました[2]。

この研究の著者らは、生まれてから唇に実際の刺激が入ることが、この結果に関係しているのかもしれない、と考察しています[2]。「おなかの中で練習して上手になる」とは、単純には言えないようです。

育児情報サイトでは、24週ごろに指をくわえる動き、32週ごろに指しゃぶりをしながらの羊水嚥下が見られ、これは出生後に乳を上手に吸うための練習と説明される[3]。ただし、これは説明の一つであって、実証された結論ではない。

24〜36週の胎児の口唇運動を調べた研究では、口を開いてからすぼめる哺乳に近い連続動作は週数とともに増加せず、口を開く動作はむしろ減少した。著者らは、出生後に唇へ実際の刺激が入ることがこの結果に関係する可能性を考察している[2]。したがって「胎内での練習による習熟」という単純な説明は、この結果とは整合しにくい。ただし、この研究は口の動きの一部を見たもので、指しゃぶり全体を否定するものではない。

5. ききては、おなかの 中で 分かる?

5. 吸う指から、利き手を予想できるか

5. 胎児期の選好と利き手の追跡研究

それでは、どちらの 指を すって いたかで、大きく なってからの ききてが 分かるのでしょうか。おなかの 中で 親指を すって いた 75人を、10〜12才に なるまで 追いかけた 研究が あります[5]。

右の 親指を すって いた 60人は、ぜんいんが 右ききでした。左の 親指の 15人は、10人が 左きき、5人が 右ききでした[5]。

左を すって いた 15人の 3分の 2ほどが 左ききに なった、という ことです。かならず 左ききに なるわけでは ありません。この 研究は、ききてが 決まる りゆうを せつめいする ものでも ありません。

では、吸う指から、大きくなってからの利き手が分かるのでしょうか。胎児期に親指を吸っていた75人を、10〜12歳になるまで追った研究があります(ヘッパーらの2005年の論文)[5]。

右の親指を吸っていた60人は、全員が右利きでした。左の親指を吸っていた15人のうち、10人が左利き、5人が右利きでした[5]。

左を吸っていた15人の3分の2ほどが左利きになった、という計算です。「左を吸う胎児は必ず左利き」ではありません。この研究は、利き手が決まる原因を説明するものでもありません。

Hepperら(2005)は、胎児期に親指を吸っていた75名を10〜12歳で追跡した。右親指を吸っていた60名は全員が右利き、左親指を吸っていた15名は、10名が左利き、5名が右利きだった[5]。左親指群の左利き率は15分の10で、約67%になる。

胎児期の親指選好は利き手と関連するが、対応は一対一ではなく、この研究は利き手が決まる原因を示したものでもない。

6. 生まれてからの 指しゃぶり

6. 生まれてからの指しゃぶりは、どう考えられているか

6. 出生後の口遊びと、やめる時期の目安

子どもの 歯の 学会(日本の 学会)は、指を すったり、おもちゃを くわえたりする あそびは、ごはんを 食べる ための じゅんびに かかわるので、むりに やめさせないように、と すすめて います[6]。くちびるや した、あごを 動かして、食べ物の 大きさを 感じる 練習に なるからです。

やめる 時期の めやすとして、学会の べつの ページ(おしゃぶりの せつめい)では、おくばが 生える 1才半ごろから やめる じゅんびを して、2才すぎまでに やめられると いいと 書かれて います[7]。ただし、これは おしゃぶりの ページです。

気に なる ときは、家の 人や、歯医者さんや ほけんの 人に 聞いて みましょう。

日本小児歯科学会は、指を吸う、おもちゃをくわえるといった遊びは、離乳食を食べるために唇や舌、あごを動かし、食べ物の大きさなどを感じる準備行動に関わるので、無理にやめさせないようにと提言しています[6]。

やめる時期の目安として、学会のおしゃぶりのページは、奥歯が生える1歳半ごろからやめる準備を始め、2歳過ぎまでにやめられるとよいとしています[7]。後者は主題がおしゃぶりなので、指しゃぶりの助言そのものとして受け取るのは控えます。

気になるときは、家の人や歯科医、保健師などに相談するのがよさそうです。

日本小児歯科学会は、指しゃぶりや玩具をくわえる遊びは、離乳食の摂取に必要な口唇・舌・顎の運動や食物の大きさの知覚に関わる準備行動であるとして、無理に中止させないよう提言している[6]。

中止時期の目安として、同学会のおしゃぶりのページは、奥歯が生える1歳半ごろから準備を始め2歳過ぎまでの中止を勧める[7]。後者は主題がおしゃぶりであり、指しゃぶりの医学的助言として断定しない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

「おなかの 赤ちゃんの 動き」を のせた 本を 図書館で さがして みましょう。しりょうごとに 「何週ごろ」の 数字が ちがう ところを、見つけて みてください。

もっと 知りたい とき

子どもの 歯の 学会(日本の 学会)の ホームページには、口の あそびや 指しゃぶりの せつめいが あります。家の 人と いっしょに 読んで みましょう。

今日できること

図書館で、胎児の発達を扱った本を探し、口や手の動きが何週ごろとされているかを読み比べてみましょう。資料によって数字がちがうか、見比べてみましょう。そのずれの理由を考えてみるのも一つの調べ方です。

公式情報・資料

日本小児歯科学会のホームページで、口の遊びや指しゃぶりの説明が読めます。研究の数字は、何人を調べたものかを確かめながら読んでください。

今日できること

胎児期の運動の発達を扱った発生学・産科の入門書を図書館で探し、口の運動の開始週が資料ごとに違う点に注目して読み比べる。週数の基準(受精から・最終月経から)が書かれているかも確かめる。

資料を読むなら

出典[6][7]は日本語で、日本小児歯科学会のサイトから読める。出典[2][5]は英語の論文で、題名や著者名から検索できる。原論文の数字と二次的な紹介の数字が一致するかを確かめると、言い切れる範囲が分かる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料の一覧です。内容は執筆時点(2026年9月29日)に確かめたものです。

  1. Wikipedia「Thumb sucking」 https://en.wikipedia.org/wiki/Thumb_sucking (15週ごろの観察。意図性は不明という記述)
  2. Prenatal mouth movements(PMC3395146) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3395146/ (嚥下・吸う動きの時期、24〜36週の口の動き)
  3. たまひよ「赤ちゃんの指しゃぶりは止めさせるべき?」 https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=21097 (哺乳の練習という育児情報での説明)
  4. Psychology Today「Does Left-Handedness Develop Before or After Birth?」 https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-asymmetric-brain/202006/does-left-handedness-develop-before-or-after-birth (右親指の割合の紹介)
  5. Hepper, Wells & Lynch (2005) Neuropsychologia https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15707608/ (胎児期の親指と利き手の追跡。要旨の紹介で確認)
  6. 日本小児歯科学会「食育提言」 https://www.jspd.or.jp/recommendation/article07/ (口の遊びと離乳食の準備)
  7. 日本小児歯科学会 質問ページ(おしゃぶり) https://www.jspd.or.jp/question/2years_old/ (やめる時期の目安。主題はおしゃぶり)

なおした ところ

更新履歴

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