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ヒアリは、どうして みずぎわで とめなきゃ いけないの?

ヒアリは、なぜ水際で止めなければならないのか

ヒアリは、なぜ水際で止めなければならないのか

分野:生きもの

2017年5月、ひょうごけんの あまがさきしで、コンテナの にもつを 出して いた 人が、見なれない アリの むれに 気づいた。

それが、日本で はじめて 見つかった「ヒアリ」だった。

2017年5月、兵庫県の尼崎市で、コンテナの荷物を取り出していた人が、見慣れないアリの群れに気づいた。

それが、日本で初めて見つかった「ヒアリ」だった。

2017年5月26日、兵庫県尼崎市。中国から神戸港に着いたコンテナの積み荷を取り出していた作業員が、見慣れないアリの群れに気づいた。

それが、日本で初めて確認されたヒアリだった。以来、日本はこの小さな虫を、定着させないための最前線に立ち続けている。

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1. コンテナの 中から 見つかった アリ

1. コンテナの中から見つかったアリ

1. 2017年、神戸港からのコンテナで見つかった経緯

2017年5月15日、中国広東カントンの「南沙なんさこう」と いう みなとから、にもつを のせた 船が 出た。5月20日、その 船は 神戸こうに ついた。そして 5月26日、あまがさきしで コンテナを あけて にもつを 出して いた とき、中に アリの むれが いる ことに 気づいた[1]

せんもんの 人が しらべた けっか、6月9日、それは「ヒアリ」と いう、日本には いなかった はずの きけんな アリだと わかった[1]

2017年5月15日、中国・広東省広州市の南沙港から、荷物を載せた船が出た。5月20日、その船は神戸港に着いた。そして5月26日、尼崎市でコンテナを開けて荷物を出していたとき、中にアリの群れがいることに気づいた[1]

専門の人が調べた結果、6月9日、それは「ヒアリ」という、日本にはいなかったはずの危険なアリだと分かった[1]

2017年5月15日、中国・広東省広州市の南沙港を出港した貨物船が、5月20日に神戸港へ入港し、コンテナを陸揚げした。5月26日、そのコンテナ1個の積み荷を尼崎市で取り出す作業中に、アリのコロニーが発見された[1]

通関業者からの報告を受け専門機関が同定した結果、6月9日、これが特定外来生物のヒアリ(Solenopsis invicta)であることが確認された。日本国内での初確認だった[1]

2. さされると、やけるように いたい

2. 刺されると、焼けるように痛い

2. 毒の正体 ── ソレノプシンと、まれなアナフィラキシー

なぜ ヒアリは、そんなに おそれられて いるのだろう。

ヒアリに さされると、やけどを した ような、はげしい いたみを かんじる。しばらく すると、しろい にきびの ような ものが できる。たいていの 人は、しばらく すると なおって いく。でも アレルギーの ある 人は、いきぐるしく なったり、いしきを うしなったり する、とても きけんな じょうたいに なる ことが あるので、すぐに びょういんに いく ひつようが ある[2]

なぜヒアリは、そんなに恐れられているのだろうか。

ヒアリに刺されると、やけどをしたような、激しい痛みを感じる。しばらくすると、白いにきびのようなものができる。たいていの人は、しばらくすると治っていく。でもアレルギーのある人は、息苦しくなったり、意識を失ったりする、とても危険な状態になることがあるので、すぐに病院に行く必要がある[2]

ヒアリがこれほど警戒される理由は、その毒にある。

ヒアリの毒液の大部分は、ソレノプシン類と呼ばれる水に溶けにくいピペリジン系アルカロイドの混合物で占められている(代表的な成分はtrans-2-methyl-6-n-undecylpiperidine)。刺されると熱感を伴う激しい痛みが生じ、30分ほどで水疱状に腫れ、やがて白い膿疱ができる。症状が治まるまでの期間には個人差があるとされる。毒液にはこのほかに約46種類のタンパク質成分も含まれており、アレルギー体質の人が刺されると、じんましんや息苦しさ、めまい、意識障害などを伴うアナフィラキシーショックを起こすことがある。処置が遅れると命に関わるため、異常を感じたら速やかな医療機関の受診が必要とされる[2]

3. じょおうアリは、1日に やく2000こも たまごを うむ

3. 女王アリは、1日に約2000個も卵を産む

3. 南米から来たヒアリがもつ、驚異的な繁殖力

ヒアリの もとの すみかは、南アメリカ大りくだ。はたらきアリは 2.5から 6ミリ、じょおうアリは 7から 8ミリくらいの 大きさで、赤茶色を して いる[3]

1つの すには、すうせんから すうじゅうまん ひきもの ヒアリが すんで いる。じょおうアリは、1日に さいだい やく3000こも たまごを うむ ことが できる。まるで、たまごを 作る きかいが 1台 ずっと 動きつづけて いる みたいだ(ただし ほんとうは きかいでは なく、1ぴきの じょおうアリが 生きて うみつづけて いる)。ありづか(アリの すの もりあがった ぶぶん)が 目だつ 大きさに なるまでには、2年から 3年 かかる[3]

ヒアリの元のすみかは、南アメリカ大陸だ。働きアリは2.5から6ミリ、女王アリは7から8ミリくらいの大きさで、赤茶色をしている[3]

1つの巣には、数千から数十万匹ものヒアリが住んでいる。女王アリは、1日に最大約3000個も卵を産むことができる。アリ塚(アリの巣の盛り上がった部分)が目立つ大きさになるまでには、2年から3年かかる[3]

ヒアリの原産地は南米大陸で、タイプ標本の産地はブラジルとされる。働きアリは体長2.5〜6mm、女王アリは7〜8mm、雄アリは5〜6mmで、体色は主に赤茶色をしている[3]

1つのコロニーには数千から数十万匹の働きアリが生活し、目立つアリ塚が形成されるまでには2〜3年を要する。繁殖力は際立っており、女王アリの産卵数は、働きアリの世話や幼虫の数といったコロニー内の条件によって大きく変動するが、条件が整えば1日に最大約3000個の卵を産み続けることができるとされる[3]

4. アメリカでは、とめる ことが できなかった

4. アメリカでは、止めることができなかった

4. 1930年代に北米へ侵入し、今も止まらない拡大

この つよい はんしょくりょくが、アメリカで げんじつに おきた ことを 見て みよう。

1930年ごろ、南アメリカから アメリカに、船で ヒアリが はこばれて しまった。アメリカでは、あとから いろいろな ほうほうで ヒアリを へらそうと したが、とめる ことが できず、今も 広い はんいに すみついて しまって いる[4]

この強い繁殖力が、アメリカで現実に起きたことを見てみよう。

1930年ごろ、南アメリカからアメリカに、船でヒアリが運ばれてしまった。アメリカでは、あとからいろいろな方法でヒアリを減らそうとしたが、止めることができず、今も広い範囲に住みついてしまっている[4]

この繁殖力の強さが、アメリカで実際にどのような結果を招いたかを見てみよう。

ヒアリは1930年代、南米(ブラジルまたはアルゼンチン北部とされる)から、アメリカ・アラバマ州のモービル港を通じて侵入したと考えられている。その後、北米大陸南部に急速に拡大し、現在に至るまで根絶できていない。農作物への被害や、農作業中に刺される被害が広がり、耕作放棄や離農者の増加を招いた地域もある。世界的に見ても、ヒアリが定着した国・地域の多くは、多額の費用をかけて駆除を続けているにもかかわらず、根絶には至っていない[4]

5. ニュージーランドは 3回とも とめきった

5. ニュージーランドは、3回とも食い止めた

5. 根絶に成功したニュージーランドと、日本の現状

でも、とめられた 国も ある。

ニュージーランドでは、2001年、2004年、2006年の 3回、べつべつの ばしょで ヒアリが 見つかった。でも その たびに、しっかり くじょ(たいじする こと)して、いまでは 3回とも ぜんぶ とめきった ことが たしかめられて いる[5]。日本でも、2017年に はじめて 見つかって から、たくさんの けんで 見つかって いるが、これまでの ところ、日本の 中に すみついた ヒアリは 見つかって いない[6]

でも、止められた国もある。

ニュージーランドでは、2001年、2004年、2006年の3回、別々の場所でヒアリが見つかった。でもそのたびに、しっかり駆除(退治すること)して、今では3回とも全部止めきったことが確かめられている[5]。日本でも、2017年に初めて見つかってから、たくさんの県で見つかっているが、これまでのところ、日本の中に住みついたヒアリは見つかっていない[6]

水際対策が功を奏した例もある。

ニュージーランドでは、2001年のオークランド国際空港と2004年のネーピア港で、それぞれ単独の巣が早期に見つかり駆除された。2006年には、ネーピア近郊のウィリナキで、遺伝的にはそれ以前の侵入とは別系統の、より規模の大きい巣が見つかったが、3年間の監視と防除の末、2009年に根絶が宣言された。3件とも、国内に定着する前に食い止められたことになる[5]。日本でも、2017年6月の初確認以降、環境省の集計で20都道府県171事例が確認されているが、これまでのところ国内での定着は確認されていない。発見のたびに緊急調査と防除を行う体制が、今のところ機能していることになる[6]

6. てんてきや、わさびの においで たたかう

6. 天敵や、わさびのにおいで戦う

6. 天敵バエやAIを使って、ヒアリの定着を防ぐ

ヒアリを おそう「ノミバエ」と いう ハエの なかまが、てんてきとして つかわれる ことが ある。また、わさびに ふくまれる にがい せいぶんに、ヒアリを ちかづけない こうかが ある ことも たしかめられて いる[7]

ヒアリを襲う「ノミバエ」というハエの仲間が、天敵として使われることがある。また、わさびに含まれる辛味成分に、ヒアリを近づけない効果があることも確かめられている[7]

ヒアリに寄生して弱らせる天敵として、南米原産のノミバエ(Pseudacteon属)が知られる。アメリカではすでに複数種が野外に定着し、ヒアリの個体数を減らす効果が報告されている。日本ではまだ野外への導入段階にはなく、水際での防除が中心だ。また、わさびの辛味成分アリルイソチオシアネートを樹脂でマイクロカプセル化し、ゆっくり揮発させることでヒアリを寄せつけない技術が兵庫県立大学などの研究グループにより開発され、コンテナ内での忌避効果が試験で確かめられている。このほか、国立環境研究所は、ヒアリのDNAを短時間で検出できる検査キットを開発して自治体などに試験配布しているほか、台湾企業と共同でスマートフォンの写真からヒアリかどうかをAIが判定するアプリの開発も進めている。実用化の段階は技術ごとに異なるが、水際で発見・駆除を続ける体制と、こうした技術の積み重ねが、日本の「定着ゼロ」を支えている[7]

じぶんでも しらべて みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

かんきょうしょうの ホームページには、ヒアリの しゃしんと、にた 虫との みわけかたが のって いる。たとえば「キイロシリアゲアリ」の じょおうアリは、いろが にて いて まちがえやすいそうだ。大人と いっしょに 見て、とくちょうを くらべて みよう。もし にた アリを 見つけても、さわらずに 大人に つたえよう。

環境省のホームページには、ヒアリの写真と、似た虫との見分けかたが載っている。たとえば、巣づくりのため飛び出してくる「キイロシリアゲアリ」の女王アリは、色が似ていて間違えやすいそうだ。大人と一緒に見て、特徴を見比べてみよう。もし似たアリを見つけても、さわらずに大人に伝えよう。

環境省の特設サイトには、ヒアリの特徴や似た在来種との見分け方、発見時の通報先がまとめられている。港や空港の近くに住んでいる場合はとくに、実際にどんな姿をしているかを確認しておくとよい。見慣れないアリを見つけても、直接触れずに、写真を撮って自治体や環境省に連絡することが推奨されている。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. 環境省「ヒアリ(Solenopsis invicta)の国内初確認について」。 https://www.env.go.jp/press/104185.html (2017年5月15日に中国・広東省広州市南沙港を出港した貨物船が5月20日に神戸港に入港・陸揚げしたこと、5月26日に兵庫県尼崎市でコンテナの積み荷を取り出す際にアリのコロニーが発見されたこと、6月9日に特定外来生物ヒアリと確認されたことは環境省の報道発表による)
  2. 環境省「ヒアリの基礎情報」、フリー百科事典『ウィキペディア』「ヒアリ」。 https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/02_general/index.html https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒアリ (刺されると焼けるような痛みとかゆみ・膿が生じること、アレルギー体質の人は息苦しさや意識障害を伴うアナフィラキシーショックを起こすことがあり処置が遅れると生命に関わることは環境省による。毒液の大部分がソレノプシン類〈代表例trans-2-methyl-6-n-undecylpiperidine〉という水に溶けにくいピペリジン系アルカロイドの混合物で占められること、プロテオミクス解析で約46種類のタンパク質が毒液から同定されていることは、学術レビュー論文「Chemistry and Functions of Imported Fire Ant Venom」〈PMC10467070〉による)
  3. 環境省「ヒアリの基礎情報」、フリー百科事典『ウィキペディア』「ヒアリ」、USDA Agricultural Research Service「Fighting a Ferocious Foe: ARS Seeks a Fire Ant Fix」、Tschinkel, W.R. (1988) "Social control of egg-laying rate in queens of the fire ant"(書誌情報のみ確認、本文未確認)。 https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/attention/02_general/index.html https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒアリ https://www.ars.usda.gov/oc/utm/fighting-a-ferocious-foe-ars-seeks-a-fire-ant-fix/ https://resjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1365-3032.1988.tb00484.x (働きアリが2.5〜6mm・女王アリが7〜8mm・雄アリが5〜6mmであること、赤茶色をしていること、1つの巣に数千から数十万匹が生活すること、アリ塚が目立つ大きさになるまで2〜3年かかることは環境省による。原産地が南米大陸〈タイプ標本の産地はブラジル〉であることはウィキペディア「ヒアリ」による。女王アリが1日最大約3000個の卵を産みうることはUSDA ARSによる。産卵数がコロニー内の幼虫数や働きアリの世話といった条件で変動することはTschinkel(1988)の研究による〈書誌情報のみ確認、論文本文は未確認〉)
  4. USDA Agricultural Research Service「Fighting a Ferocious Foe: ARS Seeks a Fire Ant Fix」、フリー百科事典『ウィキペディア』「ヒアリ」。 https://www.ars.usda.gov/oc/utm/fighting-a-ferocious-foe-ars-seeks-a-fire-ant-fix/ https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒアリ (ヒアリが1930年代に南米〈ブラジルまたはアルゼンチン北部〉からアメリカ・アラバマ州モービル港を通じて侵入し北米大陸に拡大したことはUSDA ARSによる。農作物や農作業者への被害が耕作放棄や離農者増加を招いた地域があること、世界的に定着した国・地域の多くが多額の費用をかけても根絶に至っていないことはウィキペディア「ヒアリ」による)
  5. Pacific Invasive Ant Toolkit「Red imported fire ant response case study」、Professional Pest Manager「Red imported fire ant (Solenposis invicta) in New Zealand」、NZ Farm Forestry Association「Red imported fire ant, Whirinaki」。 https://piat.org.nz/index.php?page=red-imported-fire-ant-response https://professionalpestmanager.com/nz/ants/red-imported-fire-ant/ https://www.nzffa.org.nz/.../red-imported-fire-ant-whirinaki/ (ニュージーランドでヒアリが計3度発見され、いずれも早期に駆除・根絶されたことはPacific Invasive Ant ToolkitおよびProfessional Pest Managerによる〈2001年のオークランド国際空港での発見と対応は複数の二次資料が伝えるが、一次資料を直接確認できていない〉。2006年にネーピア近郊のウィリナキで、2004年のネーピア港での侵入とは遺伝的に別系統の巣が見つかったこと、これが国内3件目の発見であったことはNZ Farm Forestry Associationによる。3年間の監視の末2009年に根絶が宣言されたことはPacific Invasive Ant Toolkitによる〈NZ Farm Forestry Associationのページは2008年時点の記述で、根絶宣言は「2009年4〜5月頃に行う予定」とする見込みの記載にとどまる〉)
  6. 環境省「2025年度のヒアリ確認事例一覧」。 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/2025hiari.html (2017年6月の国内初確認以降、20都道府県で171事例が確認されていることは環境省による、随時更新される集計値。発見された個体はすべて駆除され国内での定着を防いでいることは環境省の過去の報道発表による継続的な方針である)
  7. USDA Agricultural Research Service「Phorid Flies as Biocontrol Agents」、兵庫県立人と自然の博物館の研究発表、国立環境研究所「ヒアリ早期発見のためのLAMP法によるヒアリDNA検出キットの試験配布」、日本経済新聞、フリー百科事典『ウィキペディア』「ヒアリ」。 https://www.ars.usda.gov/southeast-area/gainesville-fl/cmave/imported-fire-ant-and-household-insects-research/docs/phorid-flies-as-biocontrol-agents/ https://www.hitohaku.jp/research/h-research/20220427news.html https://www.nies.go.jp/whatsnew/20180508/20180508.html https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE262BD0W3A920C2000000/ https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒアリ (南米原産のノミバエ〈Pseudacteon属〉が複数種アメリカで野外に定着しヒアリの個体数減少に寄与していることはUSDA ARSによる。マイクロカプセル化わさび成分の忌避効果は兵庫県立人と自然の博物館の研究による。DNA検出キットの試験配布は国立環境研究所による。AI画像判定アプリの台湾企業との共同開発は日本経済新聞の報道による)

なおした ところ

更新履歴

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