このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

釣り針つりばりは どうして あんな 形なの?

釣り針の形にはわけがある ── かえし・ふところ・タタキの役目と引きかえ

釣り針の各部(カエシ・フトコロ・タタキ)の機能と設計上のトレードオフ ── 約2万3千年前の貝製の針から現代まで

分野:海・釣り

まっすぐな 針はりでも、魚が つれる ことが あります。それなら、どうして ふつうの 釣り針つりばりは まがって いるのでしょう。

まがり方、さきの ぎざぎざ、ねもとの 平らな ところ。ぜんぶに わけが あります。この メモを 読むと、それが 分かります。

まっすぐな針でも、魚が釣れることがあるそうです[1]。それなのに、ふつうの釣り針は曲がっていて、先にはかえしまであります。

手間のかかる形には、それぞれ役目と、引きかえにするものがあります。かえし・ふところ・タタキの3つを取り上げ、大昔の針の話までつないで、形の理由が分かるようにします。

直線の針でも魚が釣れることがある[1]。それでも釣り針が曲がり、かえしを備えるのはなぜか。

各部の役目と、それぞれに伴う損得を、メーカーの解説・行政機関の調査報告・古代の遺物の報告を突き合わせて整理し、約2万3千年前の貝製の針から続く工夫の流れが分かるようにする。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. まっすぐな はりで つれるって ほんとう?

1. まっすぐな針でも釣れる ── それでも曲げる理由

1. 直線の針は釣れるか ── 掛かる仕組みと曲がりの意味

さかなが えさを ぱくっと すいこむと、まっすぐな はりが ぜんぶ 口の 中に はいる ことが あります。かたほうの さきが ささると、はんたいがわが くるっと むきを かえて、口の 中で ひっかかる ことが あるそうです[1]。

でも、この やり方は さかなへの ダメージが 大きく なると 考えられて います。にがして あげる つりには むきません。

そこで、はりを まげて、さきに「かえし」を つけます。かえしは、えさが はずれるのと、はりが 口から ぬけるのを ふせぐ ものです[2]。

魚がエサを吸い込んだとき、まっすぐな針が口の中に丸ごと入ることがあります。そこで片方の針先が刺さると、反対側が回って口の中でつっかえ、魚が釣れるという説明があります[1]。

ただし、この方法は魚へのダメージが大きいと思われ、釣った魚を放す釣りには向かないとも書かれています。曲げた針は、口にひっかけて止める働きを、魚の吸い込みに頼らず針の側にあらかじめ作っておく工夫だと考えられます。

針先の内側には、かえしも付いています。かえしは、エサが外れるのと、針が魚の口から抜けるのを防ぐ部分だと説明されています[2]。

直線の針でも、魚が針全体を吸い込み、片方の針先が刺さると、反対側が反転して口内で引っ掛かる形で釣れることがあるという。ただし魚への損傷が大きいと考えられ、リリース前提の釣りには向かない、とも記される[1]。

曲がりと針先のカエシは、この「口に掛けて止める」働きを、魚の吸い込みに頼らず針の側に作り込んだものと読める(複数の説明を踏まえた本稿の整理で、単一の出典の断言ではない)。カエシの役目は、エサの脱落と魚の口からの針の脱落を防ぐことだと説明される[2]。

2. かえしは、いいことばかり?

2. かえしは万能ではない ── 逃げにくさと外しやすさの引きかえ

2. カエシの有無 ── 釣果と負傷・死亡率への影響(USGSの報告)

かえしが あると、さかなは にげにくく なります。では、かえしは あった ほうが いいのでしょうか。

アメリカの 役所の しらべに、メキシコわんの つりで、かえしの ある はりと ない はりを くらべた ものが あります。かえしの ある はりの ほうが、つりあげた さかなが 約やく22%おおかった、と 書かれて います[3]。100ぴき つれる はりなら、122ひきに なる 計算です。

いっぽう、かえしの ない はりは、はずすのが はやく、はずす ときの けがも へりました。でも、さかなが しんでしまう わりあいは、へらなかったと ほうこくされて います。

この しらべは、メキシコわんの つりの ものです。さかなの しゅるいや ばしょが かわれば、けっかも かわるかも しれません。

アメリカ合衆国の地質調査所(USGS)の資料に、メキシコ湾の遊漁でかえしありとなしの針を比べた調査が載っています。かえしありの針のほうが、釣り上げた魚が約22%多かったそうです[3]。かえしなしで100匹なら、ありで122匹になる計算です。

その一方で、かえしなしの針は外すのが早く、外すときのけがも減りました。ただ、針にかかって死んでしまう割合は、かえしなしでも下がらなかったと報告されています。

ここで大切なのは、これがメキシコ湾での1つの調査だという点です。魚の種類や場所が変われば、結果も変わるかもしれません。かえしは「あれば絶対に良い」ものではなく、逃げにくさと外しやすさを引きかえにした形だと見ると、つじつまが合います。

米国地質調査所(USGS)の出版物にある、メキシコ湾の海面遊漁での調査では、カエシ付きの針はカエシなしより約22%多くの魚を取り込めた(カエシなしを100とすると約122という換算)。カエシなしは針を外すのが早く、外す際の負傷は減ったが、針掛かりによる死亡率は下げなかったとされる[3]。

これは1つの海域・漁法での結果であり、魚種や場所によって傾向が異なる可能性がある。「逃げにくさ」と「外しやすさ・扱いやすさ」の交換という整理は成り立つが、日本の釣りにそのまま当てはまるかは、この出典だけでは判断できない。

3. ふところの ひろさは なにで きまるの?

3. ふところの広さと軸の長さ ── 魚の大きさで選ぶ

3. フトコロの開きと軸長 ── 対象魚の大きさによる選択

はりの まがった ところの 内がわの すきまを「ふところ」と よびます。はりの さきと、まっすぐな ぶぶんを むすんだ せんより 内がわの ところです[5]。

メーカーの 説明せつめいでは、ふところの ひらき方と、まっすぐな ぶぶんの 長さで、はりの 形が きまります[4]。

小さい さかなには 短めの はり、大きい さかなには 長めの はりが、にげられにくいと おぼえる とよい、と 書かれて います。

ただし、ふところが 広ければ かならず よく つれる、という ことでは ありません。

針の曲がった内側の空間を、ふところと呼びます。針先と軸を結んだ線より内側の部分がそれにあたります[5]。

ダイワの解説では、針の形はふところの開き具合と高さ(軸の長さ)で決まり、長軸・短軸・角軸などに分けられます。小さな魚には短めの針、大きな魚には長めの針がバレにくい、と覚えるとよいそうです[4]。

ただ、ふところが広いと必ずよく掛かる、と言い切れる資料は今回は見つかっていません。形は目安として、釣りたい魚に合わせて選ぶものだ、と受け取るのが安全です。

フトコロは、ハリ先と軸を結ぶ線より内側の空間を指す[5]。DAIWAの解説では、針の形はフトコロの開き具合と高さ(軸の長さ)で決まり、長軸・短軸・角軸に分類される。小さな魚には短めが適し、大きな魚は長めのほうがバレにくい、という目安が示される[4]。

フトコロの幅と掛かり方の関係は、専門誌の解説などにとどまる。「広いほど掛かる」と言い切らず、対象魚に合わせた目安として読むのが妥当だ。

4. ねもとが ぺったんこなのは どうして?

4. 根元をつぶす理由 ── タタキの役目と強さの引きかえ

4. タタキとチモト ── 糸の固定と強度のトレードオフ

はりの ねもとは、たたいて 平らに してあります。これが「タタキ」です[5]。ここに 糸を むすぶと、糸が ぬけにくく なります。

タタキの はばを 広く するほど、糸は とまりやすく なります。でも、たたいて のばして いるので、広く するほど うすく なり、強さは 弱く なります[6]。

はばは、はりの まっすぐな ぶぶんの 太さの 約やく2ばいが ふつうと されます。タタキの さきが 外がわに 少し 角度が ついて いるのは、さかなが かかった とき、糸が こすれて 切れるのを ふせぐ ためです。

釣り針の根元には、平らにつぶした部分があります。これがタタキ(耳)です[5]。糸を巻くこの付近はチモトと呼ばれ、ダイワの解説でも、結んだ針が抜け落ちない工夫がされていると説明されています[4]。

タタキは軸の端を叩き伸ばして作るため、幅を広げるほど糸は止まりやすくなる一方、薄くなって強度は落ちます。幅は軸の約2倍が一般的だそうです。外側に角度がついているのは、魚が掛かったときに糸が擦れて切れるのを防ぐためとされています[6]。

ここにも、止めやすさと強さの引きかえがあります。ちなみに、ダイワの説明にある「切り込み式」のカエシは、根元の切り込みのことで、針先のかえしとは別ものです。

タタキ(耳)は、軸の端を叩き伸ばして作る平らな部分で、糸の抜けを防ぐ[5]。幅を広げるほど糸は止まりやすいが、広いほど薄くなるため強度は落ちる。一般的な幅は軸の約2倍とされる(固定値ではなく目安)。外側の角度は、掛かった魚の引きで糸が擦れて切れるのを避けるためとされる[6]。

DAIWAの解説では、チモトは結んだ針が抜け落ちないよう工夫されており、平打ち式が一般的、切り込み式は「カエシ」があってさらに抜けにくいとされる[4]。ここでの「カエシ」は根元の切り込みを指し、針先のカエシとは別である。

なお、タタキの糸止め効果を裏づけるメーカーの技術資料は今回見つけられず、専門解説の突き合わせにとどまる。

5. むかしの はりは なにで できていた?

5. 貝や角から金属へ ── 針の材料の移り変わり

5. 貝・骨角・金属 ── 針の材料の変遷

沖縄おきなわの サキタリどうという いせきから、約やく2万3千年まえの、貝で 作った はりが 見つかって います。せかいで いちばん ふるい なかまと される はりです[7]。

北海道の 函館はこだての といかいづかからは、約やく4千年まえの、エゾシカの 角で 作った 大小の はりが 出て います。ていねいに 作られて いると、ぶんかちょうの データベースに あります[8]。

ざいりょうは、ほねや 貝から、金属きんぞくへ うつって いきました。ヨーロッパでは、1600年代までに はがねの はりが おおくなったと されます[2]。日本で いつ 金属きんぞくに なったかは、ここでは 分かりません。

今のところ見つかっている、世界で最も古い部類の釣り針は、沖縄島のサキタリ洞遺跡から出た、約2万3千年前の貝製のものです。巻き貝を加工して作られ、2016年にアメリカの科学雑誌PNASで報告されました[7]。

縄文時代にも、針は作られています。北海道函館市の戸井貝塚(縄文中期末〜後期初頭、約4千年前)からは、エゾシカの角で作った大小の精巧な釣り針が出土しました[8]。

材料は骨や貝から金属へ移り、ヨーロッパでは1600年代までに鋼の針が主流になったとされています[2]。日本で金属の針がいつ始まったかは、今回の資料では分かりませんでした。

ここまで見てきたかえし・ふところ・タタキは、そうした長い工夫の積み重ねの先にある形です。

沖縄島のサキタリ洞遺跡から、貝(巻き貝)製の釣り針が見つかり、約2万3千年前のものとされ、世界最古級と報じられた。2016年にPNASで報告されている(藤田祐樹ら)[7]。年代の詳細は報道ベースの確認にとどまり、正確な数値は原論文で確かめる必要がある。

縄文中期末〜後期初頭(約4千年前)の北海道函館市・戸井貝塚出土品には、エゾシカ角製の大小の精巧な釣り針が含まれる(文化庁の国指定文化財データベース)[8]。

材料は骨・貝から金属へ移り、ヨーロッパでは1600年代までに鋼が主流になったとされる[2]。日本の金属針の開始時期は、今回の資料では未確認である。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

つりぐを 売る みせで、はりを 見るだけ 見て みましょう。「ふところ」「かえし」「タタキ」を、さがして みます。ゆびで さわるのは、あぶないので やめて、見る ことに します。

はりの 大きさや 形が 魚ごとに ちがう のかも、ならべて 見ると わかります。

釣具店や、家にある針の写真などで、ふところ・かえし・タタキを探してみましょう。針そのものには触らず、見るだけにします。

小さな針と大きな針を並べて、ふところの広さや軸の長さを見比べると、ダイワの解説(出典[4])にある「小さな魚には短め」の意味が見えてきます。

釣具店の陳列や、公式サイトの製品写真で、フトコロ・カエシ・タタキの形を比べられる。針に直接触れず、見るだけにする。

小さな針と大きな針を並べて写真を見比べ、フトコロの広さや軸の長さが魚の大きさとどう対応するかを、DAIWAの解説(出典[4])と照らして確かめてみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った出典です。調べた日は2026-09-30です。

  1. BE-PAL「真っすぐな釣り針でも魚が釣れるって本当?」 https://www.bepal.net/archives/535794 (まっすぐな針の説明)
  2. Wikipedia「釣り針」 https://ja.wikipedia.org/wiki/釣り針 (かえしの役目、材料の移り変わり)
  3. USGS「Performance of barbed and barbless hooks in a marine recreational fishery」 https://pubs.usgs.gov/publication/1000847 (かえしの有無の比較調査)
  4. DAIWA「釣りの基礎知識 ハリ」 https://www.daiwa.com/jp/beginner/tackle/needle (ふところと軸の長さ、チモト)
  5. 釣り人ドットコム「釣り針入門 各部の名前」 https://web.tsuribito.co.jp/beginner/shoseki-tsuribari01 (各部の名前)
  6. 釣り人ドットコム「釣り針入門 タタキとアイ」 https://web.tsuribito.co.jp/beginner/shoseki-tsuribari02 (タタキの役目と強度)
  7. Asian Scientist Magazine「World's Oldest Fishhooks」 https://www.asianscientist.com/2016/09/topnews/worlds-oldest-fishhooks-japan-okinawa-limestone-cave/ (サキタリ洞の貝製の針)
  8. 文化遺産オンライン「戸井貝塚出土品」 https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/377854 (エゾシカ角製の釣り針)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  • 初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。