このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

つりいとは、どうして むすびかたで きれやすさが かわるの? むすびめは さかなに みつかる?

釣り糸の結び方で強さが変わるわけ ── 曲がり・熱・すべりから考える

釣り糸の結節強度 ── 結び方による差、摩擦熱と濡らし締め、電車結びとFGノットの使い分け

分野:海・釣り

おなじ つりいとを、おなじ ふとさで むすんでも、むすびかたが ちがうと、きれる ちからが 4ぶんの 1ほどに なる ことが あります。

どうして なのでしょう。むすんだ ところで、いとに なにが おきて いるのかが わかります。くちで しめらせる わけ、むすびめが さかなに みつかるのかも、おはなしします。

釣り糸は、同じ太さの同じ糸でも、結び方によって切れる強さが4分の1ほどに落ちたり、ほとんど落ちなかったりします。ある釣り具メーカーの実験では、数字が26%から96%まで開きました。

結んだところで糸に何が起きているのでしょうか。結び目が弱くなる理由、口や水で濡らしてから締めるわけ、電車結びとFGノットの使い分け、結び目が魚に見つかるのかという疑問について、分かっていることと分かっていないことが分かります。

釣り糸は、結ぶと必ず弱くなるといわれる。ホンダ釣り部の実験では、直線の糸の強さを100%として、結び方によって26%から96%まで開いた[1]。

この差は、結び目での力の偏りと、締めるときの摩擦熱で説明されることが多い。この記事では、その理由、濡らして締める意味、すべりとほどけやすさ、電車結びとFGノットの使い分け、結び目と魚の視覚の問題が分かる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. むすぶと、どれくらい よわく なるの?

1. 結ぶと、どれくらい弱くなるのか

1. 結節強度の実験値 ── 26%〜96%

つりいとは、まっすぐの ときが いちばん つよいと いわれます。むすぶと、かならず すこし よわく なると されて います。

あるメーカーの じっけんでは、まっすぐな いとの つよさを 100と して、むすんだ あとの つよさを くらべました。

クリンチノットという むすびかたは 26、まっすぐな いとの 26%で、ほぼ 4ぶんの 1です。ダブルクリンチは 84。エイゾウスペシャルという むすびかたは 96で、まっすぐな いとに ちかい つよさでした[1]。

おなじ いとなのに、むすびかたの くふうで、こんなに かわります。

釣り糸は、まっすぐな状態がいちばん強いとされます。その強さを直線強力といい、結ぶと確実に落ちると説明されています[1]。ただし上手な結び方なら、直線に近い強さも出せます。

ホンダ釣り部の実験では、直線の強さを100%として、次のような結果でした[1]。ただ結んだだけの結び目が73%、クリンチノットが26%、ダブルクリンチが84%、パロマーが82%、エイゾウスペシャルが96%です。

意外なのは、ただ結んだだけの結び目より、針に結ぶ定番のクリンチノットのほうが低い点です。結び方は、複雑なほど強いとは限らないようです。この数字は、この実験で使われた糸や条件での値で、結び方ごとに決まった値ではありません。

釣り糸は直線状態で最も強く(直線強力)、結び目を作ると切れるまでの強さは確実に低下するとされる[1]。ただし、これは多くの解説に共通する説明であり、原理的な証明ではない。

ホンダ釣り部の実験(釣り実験室 vol.02)では、直線強力を100%として、単純な結び目が73%、クリンチノット26%、改良クリンチ36%、ダブルクリンチ84%、改良ダブルクリンチ88%、パロマー82%、エイゾウスペシャル96%という値が示された[1]。単純な結び目より定番のクリンチが低い点が目を引く。

ただし、試験した糸や回数は資料から確認できていない。ノット名ごとの固定値としては読めず、「結び方の工夫で数字が大きく動く」という傾向として受け取るのが妥当と考える。

2. どうして むすんだ ところで よわく なるの?

2. 結び目で糸に起きていること ── 曲がりと熱

2. 弱くなる二つの理由 ── 荷重の集中と摩擦熱

ひとつめの わけは、いとが まがる ことです。

ロープや ぶあつい ひもは、たくさんの ほそい せんいで できて います。むすびめで きゅうに まがると、ちからが ぜんぶの せんいに ひとしく かからず、いちぶの せんいに かたよる ことが あると いわれます[4]。かたよった ところから、きれて いきます。

これは ロープの はなしです。つりいとは ほそい いっぽんの いとなので、おなじ ことが おきるかは、ここでは いいきれません。

ふたつめの わけは、ねつです。むすびめを ぎゅっと しめると、いとどうしが こすれて あつく なり、いとが よわく なると せつめいされて います[2]。

結び目で弱くなる理由として、大きく二つが挙げられています。

一つ目は、曲がりによる力の偏りです。ひもの繊維は、結び目で強く曲げられると、荷重が全部の繊維に均等にかからず、一部の繊維に集まります。集中したところから切れていく、という説明です[4]。一般のひもやロープでは、最も強い結びでも約2割、単純な一結びでは5割以上強さが落ちるとされます。ただしこれはロープの話で、釣り糸の数字ではありません。

二つ目は、締めるときの摩擦熱です。強い力がかかって糸が急に締まると熱が生まれ、それが釣り糸を弱くするとホンダ釣り部は説明しています[2]。熱で何度まで上がるかといった数値は、この資料には出ていません。

結び目の影響は、水産大学校の研究報告でも取り上げられています。高分子でできた糸は、時間や温度によって性質が変わる複雑なふるまいをするとされています[5]。

理由は主に二つの説明がある。第一は曲げによる荷重の偏りで、結び目で糸が強く曲げられると、荷重が繊維間で均等に分担されず一部に集中し、そこから破断が始まる[4]。この資料はロープ一般を扱っており、最も強い結びで約20%、単純なオーバーハンドで50%以上強度が下がるとされるが、単繊維の釣り糸の結果ではないので、数字は当てはめない。

第二は、強い力で急に締まるときの摩擦熱である。ホンダ釣り部は、これが釣り糸を弱くする一因だと説明する[2]。ただし熱の実測値や溶ける温度は資料に示されていない。

学術面では、小川和雄・末武孝朗「釣り糸の引張り強度に与える結び目の影響 糸と金属との結合の場合」(水産大学校研究報告57巻1号、2008年、65-72頁)があり、高分子の糸が時間・温度依存の複雑な力学挙動を示すと述べる[5]。本文は画像のPDFで、結果の数値は確認できていない。

3. どうして くちで しめらせて から しめるの?

3. 濡らしてから締めるのはなぜか

3. 濡らし締めと摩擦熱の抑制

つりびとは、いとを むすぶとき、くちに ふくんだり、みずで ぬらしたり する ことが あります。

ぬらして、すべりを よくして から しめる ほうが よいと、すすめられて います[3]。

ナイロンや フロロカーボンの いとでは、こすれた ねつで ひょうめんが とけて しまい、むすびめが きれやすく なる ことが あると いわれます。ちいさな しゅうかんには、ちゃんと わけが あるのですね。

釣りをする人が、結び目を口に含んだり水に浸したりしてから締める場面があります。これは、糸を濡らして滑りをよくしてから締める方法として勧められています[3]。

ナイロンやフロロカーボンのモノフィラメントでは、摩擦で糸の表面が溶け、結び目が切れやすくなることがあるとされます。前の章の摩擦熱の話が、ここでつながります。

ただし、濡らすことでどれだけ強さが増えるのかを数字で測った資料は、今回の範囲では見つかりませんでした。原理としての説明までです。

結び目を口に含む、または水で濡らして潤滑してから締める方法が勧められている[3]。ナイロン・フロロカーボンのモノフィラメントでは、摩擦により糸表面が溶融して結び目が破断しやすくなることがあるとされる。

前章の摩擦熱の説明[2]と整合するが、濡らしの効果を数値で測った資料は今回の範囲では確認できなかった。PEラインについては、濡らすと滑りやすくなるという指摘もある。

4. かたく むすぶ だけで いいの?

4. 強いだけでなく、ほどけにくい結び方

4. 滑りとほどけやすさ ── 摩擦を稼ぐ設計

もうひとつ、だいじな ことが あります。すべりやすい いとほど、むすびめが ほどけやすい のです[1]。

いまの ナイロンの いとは、ひょうめんが つるつるです。だから、いとと いとが ふれる ところを ふやして、すべりにくく する むすびかたが いります。

たとえば、できあがりの あとに ハーフヒッチという かるい むすびを なんども くわえると、さっきの エイゾウスペシャルの 96に なる、と じっけんで しめされました。

釣り糸の結び目には、強さのほかに、ほどけにくさも求められます。滑りやすい糸ほど、結び目がほどけやすいからです[1]。

いまのモノフィラメントは表面がなめらかなので、糸どうしや糸と金属が触れる面を増やして、摩擦を稼ぐ結び方が要るとされます。

実験では、仕上げのハーフヒッチを複数回行ったものがエイゾウスペシャルで、96%の強さでした[1]。

滑りやすい糸ほど結び目はほどけやすく、現在の表面のなめらかなモノフィラメントでは、糸と金属の接触面を増やして摩擦を稼ぐ結び方が求められる[1]。強度とほどけにくさは、別々の性能として考える必要がある。

ホンダ釣り部の実験では、仕上げのハーフヒッチを複数回行うエイゾウスペシャルが96%だった[1]。なお別の検証(釣りハック)では、フロロカーボン3号で外掛け結び96.0%、内掛け結び94.5%、漁師結び98.0%、フィンガーノット95.5%と、基本の結びが95%前後まで出た[6]。二つの数字は糸・測り方・試行が別のため、同じ表に並べて比べることはしない。

5. でんしゃむすびと FGノットは、なにが ちがうの?

5. 電車結びとFGノット ── 速さか、強さか

5. 電車結びとFGノット ── 速さと強さのちがい

つりいとと つりいとを つなぐ むすびかたも、たくさん あります。

「でんしゃむすび」は、かんたんで はやく できます。じっけんでは、へいきんで 1ぷん 6びょうでした[7]。

「FGノット」は、むすびめが ちいさく、つりざおの わっかを とおりやすい むすびかたです。そのかわり、つくるのに へいきんで 2ふん 15びょうかかりました。

この じっけんの かいせつでは、「はやさなら でんしゃむすび、つよさなら FGノット」と まとめられて います(PEの 1ごうの いとと、フロロカーボンの 3ごうの いとで、それぞれ 3かい)。

PEラインとリーダーをつなぐ結び方にも、たくさんの種類があります。電車結びは、ユニノットという結びを二つ組み合わせたシンプルな結び方で、糸の材質を選ばずにつなげます[7]。

FGノットは、結び目が小さく、竿のガイドを通りやすい結び方で、強度が約80%ともいわれます。ただし、この80%は解説サイトの中心的な見立てです。

作る時間は、ある実験で電車結びが平均1分6秒、FGノットが平均2分15秒でした。この比較実験(PE1号とフロロカーボン3号を使い、各3回)では「速さなら電車結び、強さならFGノット」と整理されています。魚が次々に食う状況では、速さのほうが大事になる場面もあるようです。

電車結び(ダブルユニノット)は、ユニノット2つを組み合わせた簡易な結びで、ラインの材質を選ばずに結束できる[7]。

PEラインとリーダーの接続に使われるFGノットは、結束強度が約80%ともいわれ、結び目が小さくガイドを通りやすい。実験での作成時間は、電車結びが平均1分6秒、FGノットが平均2分15秒で、PE1号・フロロカーボン3号を各3回ずつ使ったこの比較では「速さなら電車結び、強さならFGノット」と整理された[7]。

80%という値は、この解説サイトを中心とする見立てで、独立した複数の検証では確認できていない。時間のかかる結びを選ぶか、簡単な結びで素早く投入し直すかは、釣り場の状況による判断として書かれている。

6. むすびめは、さかなに みつかるの?

6. 結び目は魚に見つかるのか

6. 結び目の視認性 ── 分かっていないこと

「むすびめが おおきいと、さかなに みつかって、たべて くれないのでは?」と、きに なりますね。

これを、むすびめだけを ちょくせつ しらべた じっけんは、さがした かぎりでは みつかりませんでした。だから、みつかる とも、みつからない とも、いいきれません。

さかなに みつかるかは、ここでは わかりません。ただ、ちいさい むすびめには、つりざおの わっかを とおりやすい という、べつの いいところが あります。

結び目が水の中で魚に見つかって、食いつきが悪くなるのでは、と気になる人もいるでしょう。

この点を直接調べた実験は、今回の範囲では確認できませんでした。見つかるとも、見つからないとも言えません。糸の見えやすさの研究は魚種や条件が限られていて、結び目の話には使えないためです。

分かっているのは、FGノットのように結び目が小さいと、ガイドを通りやすいという別の利点があることです[7]。針に結ぶときに結び目を小さくしたほうがよいかは、根拠が確認できず、断定しません。

結び目が水中で魚に発見されるかを直接調べた実験は、今回の範囲では確認できなかった。糸の視認性に関する研究は存在するが、魚種・条件が限られ、結び目自体の視認性を扱ったものではないため、ここでは根拠に使わない。

結び目が小さいことの利点として資料で確認できたのは、FGノットのガイド通過性のみである[7]。針の結びでの結び目サイズが釣果に影響するかは、根拠を確認できず、断定を避ける。

結節強度については、直線強力に対する比率の実験が複数あり、結び方・糸・条件で値が動くことを踏まえて読む必要がある。

7. じぶんでも しらべて みたく なったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

いえに ある ひもで、しらべて みましょう。おなじ ふとさの ひもで、ひょうめんが すべりやすい ものと、ざらざらした ものを、おなじ むすびかたで むすんで、かるく ひっぱって みます。ほどけやすさが ちがうか、くらべて みてください。ひもの しゅるいでも かわるので、ちがいが でても、ひょうめんの せいだけとは いえません。つよく ひっぱると てが いたいので、かるく で だいじょうぶです。

つりの おみせや ホームページで、つりいとの むすびかたの ページを おとなと いっしょに 見て みるのも いいですね。

家にあるひもで試せます。同じくらいの太さで、表面がつるつるしたひもと、ざらざらしたひもを用意して、同じ結び方で結び、軽く引いてほどけやすさを比べます。ひもの種類でも結果は変わるので、表面だけのちがいとは言い切れません。強く引くと手が痛いので、軽い力にとどめます。

釣具メーカーのホームページには、結び方の解説や実験が載っています。実験の条件(糸の種類、回数)が書かれているかを、確かめながら読んでみてください。数字は条件しだいで変わります。

家庭でできる比較として、太さと種類の近いひもで、表面の滑りやすいものとざらざらしたものを同じ結び方で結び、軽い力で引いてほどけやすさを比べる方法がある。ひもの種類でも結果は変わるため、差の原因を表面だけに決めない。強く引くと手を痛めるので、軽い力にとどめる。

資料としては、ホンダ釣り部の釣り実験室、釣りハックの結束強度検証、水産大学校研究報告57巻1号の論文が入り口になる。各資料の試験条件(糸の種類・試行回数・測定法)を読み比べると、数字を単純に並べられない理由が見えてくる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の数字は、以下の資料の記述にもとづく。結節強度の値は糸や条件で変わり、資料どうしで直接比べられない。

  1. ホンダ釣り部「釣り実験室 vol.02」 https://www.honda.co.jp/fishing/labo/vol02/ (結節強度の実験値、滑りとほどけやすさ)
  2. ホンダ釣り部ニュース(2021-08-03) https://www.honda.co.jp/fishing/news/news-20210803/ (摩擦熱の説明)
  3. British Sea Fishing, Tying the knot: fishing's critical connections https://britishseafishing.co.uk/tying-the-knot-fishings-critical-connections/ (濡らして締める説明。英語)
  4. Massive Science「結び目の強さ」 https://massivesci.com/articles/knot-strength-sailing-climbing-granny-shoelaces/ (ひもの繊維と曲がり。ロープ一般。英語)
  5. 小川和雄・末武孝朗「釣り糸の引張り強度に与える結び目の影響 糸と金属との結合の場合」水産大学校研究報告57巻1号(2008年)65-72頁 https://ypir.lib.yamaguchi-u.ac.jp/fu/journals/fu000001/v/57/i/1/item/210 (結び目の影響を扱った研究の存在)
  6. 釣りハック「結束強度検証」 https://tsurihack.com/4551 (針に結ぶ基本の結びの検証値)
  7. 釣りハック「FGノットvs電車結び」 https://tsurihack.com/3751 (電車結びとFGノットの比較)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。