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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

たいいくかんの 「キュッ」は、くつの うらで なにが おきて いるの?

体育館の「キュッ」は、靴底を走る波の音 ── 床の弾力と何色もの線のわけ

体育館シューズの「キュッ」と開放スリップパルス(Nature 2026)── 溝と音の高さ、床の規格、コートの線

分野:技術

たいいくかんで くつを こすると、「キュッ」と なります。この おとは、くつの ゴムが ゆかから はなれては くっつく ことが、ものすごい はやさで くりかえされて でると、2026ねんに はっぴょうされました[1]。

その はやさは、じしんで だいちが われて いく はやさに ならぶ ことも あると いいます[2]。どうして そんな ことが おきるのでしょう。ゆかの ひみつと、いろいろな いろの せんの わけも わかります。

体育館で急に止まったときの「キュッ」という音は、靴底のゴムが床から離れては付く動きの繰り返しで、その速さは地面の割れ目(断層)が壊れていく速さに並ぶこともあると、2026年にNatureで報告されました[1][2]。

ゴムは、いったいどんな動きをしているのでしょう。靴底の溝がなぜ音の高さに関わるのか、床のつくりとボールの跳ね方、床に線が何色も引かれているわけまでが分かります。

体育館シューズの「キュッ」は、ゴム底の微小な領域が床から剥がれては再び接触する「開放スリップパルス」が繰り返されて生じる。この機構は2026年2月にNatureで報告された[1]。しかもそのパルスは、地質の断層が破壊される速さに匹敵するか、それを上回りうると研究者は述べている[2]。

ゴムの中で何が起きているのか、なぜ溝があると音の高さが決まるのか。体育館の床は何を基準につくられ、ボールの跳ねは場所で違うのか、線はなぜ複数の色で引かれるのか。ニュース・大学発表・競技団体の規則から、分かることと、まだ言い切れないことの境目まで分かる。

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1. 「キュッ」は、どこから くるの?

1. 急に止まると、なぜ「キュッ」と鳴るのか

1. 「キュッ」の従来の説明と、2026年の新しい説明

バスケットボールの しあいで、せんしゅが きゅうに とまると、「キュッ」と おとが します。ゆかと くつの あいだで、なにか おきて いそうです。

むかしから、「くつの ゴムが くっついては すべるから」と せつめいされる ことが ありました。でも、ほんとうに それだけなのでしょうか。

2026ねんに、これとは ちがう みかたが しめされました[1]。

バスケットボールやバレーボールの試合中、選手が急に向きを変えると、体育館に「キュッ」と音が響きます。あの音を出しているのは、靴底のゴムと床の間です。

「ゴムが床にくっついては、滑る。その繰り返しで鳴る」という説明を聞いたことがある人もいるかもしれません。ところが、2026年2月にNatureに発表された研究は、少し違う姿を示しました。ゴムの小さな部分が形を変え、床から離れては、また付く動きが、音のもとになるというのです[1]。

その動きは、どうやって見つけたのでしょうか。

靴底が床を滑るときの摩擦音は、「固着と滑りを繰り返す」という素朴な説明で語られることが多い。だが、2026年2月にNatureで発表された研究(ハーバード大学ほか)では、ゴム底の微小な部分が変形し、床との接触を失っては再び取り戻す「開放スリップパルス」が繰り返されることが音の原因だと示された[1]。紹介記事では、従来の説明だけでは足りないという扱いになっている。

では、その動きをどうやって観察したのか。

2. ゴムの うごきを、どう みたの?

2. 光るガラス板と、毎秒100万コマのカメラ

2. 実験の方法 ── LEDつき透明ガラスと高速度撮影

けんきゅうする ひとたちは、とうめいな ガラスの うえで、ゴムを すべらせました。ゴムが ガラスに ふれて いる ところは、ひかるように しました[4]。

その ようすを、1びょうに 100まんまいも とれる カメラで うつしました。1まいは、100まんぶんの1びょうです。とても みじかい じかんの うごきが、わかります。

すると、ゴムが ぜんたいで ずるずる すべるのではなく、ちいさな ところが はなれては くっつく うごきが みえました。

研究者たちは、LEDの光を仕込んだ透明なガラス板の上でゴム片や靴を滑らせました。ゴムが触れている部分だけが光るので、どこが接触していて、どこが離れたのかが見えます[4]。

撮影には、毎秒100万コマの高速度カメラが使われたと紹介されています。1コマは100万分の1秒です。1回の「キュッ」の中で起きている変化を、コマ送りで追える速さです。

その結果、ゴムの表面を、離れて付き直す小さな波が走っていることが分かりました。大きな力をかけたときには、小さな放電(ごく小さな雷)がパルスのきっかけになる場合もあったと紹介されています[4]。

この波は、いったいどれほどの速さで走るのでしょうか。

実験では、LEDを備えた透明なガラス板の上でゴム片や靴を滑らせ、ゴムが接触している部分の発光を、毎秒100万コマの高速度カメラで撮影した[4]。1コマは百万分の1秒(1マイクロ秒)にあたる。接触の有無が光で分かるので、ゴム底の表面で局所的に接触が失われ、再び回復する過程を時間を追って観察できる。

大きな力をかけた条件では、微小な放電がパルスの引き金になる場合もあったと紹介されている[4]。

では、そのパルスはどれほどの速さで進むのか。

3. その なみは、どれくらい はやいの?

3. 断層が壊れる速さと並ぶ波

3. パルスの速さ ── 断層破壊との比較

ゴムの うえを はしる この なみは、ゴムの なかを つたわる ゆれの はやさぐらいで すすむと いいます[2]。

けんきゅうする ひとは、これを 「じしんで、じめんの われめが こわれて いく はやさに ならぶ」と のべて います[2]。

ただし、くうきの なかを つたわる おとの はやさより はやい、という いみでは ありません。ゴムの なかで くらべた はなしです。

ゴムの表面を走る波は、ゴムの中を伝わるせん断波(ずれるように伝わる波)と同じくらいの速さで進むとされます[2]。研究者は、これが地質の断層が壊れていく速さに並ぶか、それを上回りうると述べています[2]。

ここでいう「超音速」は、空気中の音の速さと比べたものではありません。ゴムの中を伝わる波の速さと比べています。

靴を止めるほんの一瞬に、靴底の表面ではこんなにも速い波が走っているのです。では、なぜ体育館では、あんなに高い澄んだ音になるのでしょうか。

パルスは、ゴム中を伝わるせん断波の速さ程度で進むと説明され、「超音速」と表現される[2]。この「超音速」は、空気中の音速ではなく、ゴム内の波の速さを基準にした比較である。研究者は、その速さが地質の断層が破壊される速さに匹敵するか、それ以上になりうると述べている[2]。

速さの話は分かった。では、なぜ体育館シューズの音は、まとまった高い音になるのか。

4. くつの みぞは、なんの やくに たつ?

4. 溝があると、音が高くそろう

4. 靴底の溝(トレッド)と音の高さ ── パルスの閉じ込め

スポーツシューズの うらには、ほそい みぞや でっぱりが あります。たいらな ゴムだと、おとは はっきりしません。ふぞろいな おとに なります[3]。

みぞが あると、なみが みぞの あいだに とじこめられて、いつも おなじ あいだで くりかえされます。この くりかえす かいすうが、おとの たかさに なります[3]。

なわとびを まわす はやさで、「ヒュッ、ヒュッ」の ひびきが かわるのと、すこし にて います。ただし、ほんとうは ゴムの なかの なみの はなしで、なわとびとは しくみが ちがいます。

靴底が平らなゴムだと、パルスは不規則に起きるので、はっきりした音の高さになりません。ところが、細い溝や隆起がつくと様子が変わります。パルスが閉じ込められて、一定の間隔で繰り返されるようになるのです[3]。

その繰り返しの回数が、そのまま音の高さになります。体育館の「キュッ」が、ノイズではなく、ある高さを持った音に聞こえるのは、この規則正しさのためだと考えられています。

たとえば、ロープを揺らして波を作るとき、両端を押さえると、波が行ったり来たりして決まった揺れ方になります。溝の間でパルスが起こす繰り返しも、それに近い感覚です。ただし本当はゴムの内部で起きる波の話で、ロープとは仕組みが違います。

平らなゴムでは、パルスは不規則に発生し、明瞭な音高を持たない。これに対して、細い溝や隆起(トレッド)をつけると、パルスが閉じ込められて周期的になり、より焦点の絞られた音高が生じることが示された[3]。発生の間隔が揃えば、その回数が周波数、つまり音の高さとして現れる。

また、ゴムのブロックの高さや硬さによって音高が決まるという、高さと周波数の関係も示されている[3]。スポーツシューズの底の模様は、グリップのためだけでなく、音の性質にも関わる可能性がある。

では、その靴が踏む床は、どのような基準でつくられているのか。ボールの跳ねは、場所で違うのか。

5. ゆかは、どう つくられて いるの?

5. 床の下の支えと、ボールの跳ね方

5. 体育館の床の規格と、ボールの跳ね方の場所差

たいいくかんの ゆかは、うえから みると たいらな いたです。でも、その したには、ゆかを ささえる ものが あります。ささえ かたで、ゆかの たわみ かたが かわります。

ゆかを ささえる ざいりょうには、やわらかさを はかる きまりが あると いわれます[5]。

ボールの はねかたが ばしょで ちがう ことが ある、という はなしも あります。でも、どの たいいくかんでも そうだ、とは いえません。

体育館の床は、表面の板の下に「下地」と呼ばれる骨組みがあります。下地は昔は木で組まれていましたが、今は鋼製の材で組む床へ移ってきたと説明されています[6]。下地の支え方が、床のたわみ方を左右します。

床の下地の材料には基準があります。JIS A 6519「体育館用鋼製床下地構成材」は、体育館の鋼製の床下地に使う材料を対象にした規格で、弾力性や緩衝効果を重りを落とす試験などで測ると紹介されています[5]。

では、場所でボールの跳ね方が変わることはあるのでしょうか。アメリカの特許には、床の構造によってボールの跳ね返りが場所で不均一になる「デッドスポット」が起こりうる、という課題が書かれています。支えの位置や柔らかさが関係するそうです[7]。ただし、これは特許が挙げる一つの課題です。

体育館の床下地は、木造から鋼製材の組床へ移ってきたとされ、下地の支え方が床のたわみ方に関わる[6]。JIS A 6519「体育館用鋼製床下地構成材」は体育館の鋼製床下地に使う構成材を対象とする規格で[5]、弾力性や緩衝効果は、5kgの重りを80cmの高さから落とす試験で測るとされる[6]。

ボールの跳ねが場所で変わるかについては、米国のスポーツ床に関する特許には、床構造によりバスケットボールの反射が不均一になり、デッドスポットが生じるという課題が記されている。支えの位置や柔らかさが関係するとされる[7]。これは特許が挙げる課題であり、日本の体育館一般で場所ごとに跳ねが違うと言える根拠にはならない。

床の話は、ここまでにする。次は、床の表面に引かれた、色とりどりの線だ。

6. せんは、どうして いろいろな いろなの?

6. 何色もの線は、競技の線が重なった跡

6. コートの線 ── 競技規則と、同じ床に重なる理由

たいいくかんの ゆかには、いろいろな いろの せんが あります。あかや あおや しろ。おおくの せんが、かさなって います。

これは、バスケットボール、バレーボール、バドミントンなど、ちがう スポーツの せんが、おなじ ゆかに ひかれて いるからだと かんがえられます[11]。

バスケットボールの せんの はばは 5センチです。バレーボールも 5センチです。バドミントンの せんは、それより すこし ほそい 4センチです[8][9][10]。せんの いろは、ゆかと はっきり ちがう いろに します。

体育館の床にはたくさんの色の線が引かれています。これは、バスケットボール、バレーボール、バドミントンなど、競技ごとのコートの線が、同じ床に重ねて引かれているからです[11]。自治体の体育館の仕様書には、いくつもの競技のラインを同じ床に併記するコート配置が示されているものがあります。

線の太さや色は、競技団体の規則で決まっています。バスケットボールは幅5cmで、白かそのほかの対照的な色[8]。6人制バレーボールも幅5cmで、床や他のラインと違う明るい色[9]。バドミントンは幅40mm(4cm)で、色は見分けやすいものとされます[10]。

どの競技の線も、見えやすさを大切にしています。ただ、どの色がどの競技かは、体育館ごとの決めごとで、全国で同じではありません。

コートの線は競技ごとに規則で定められている。バスケットボールでは、全てのラインが幅5cmで、白またはその他の対照的な色ではっきり見えるように引く[8]。バレーボール(6人制)では、幅5cm、明るい色で、床および他のラインと異なる色でなければならない[9]。バドミントンは幅40mmで、色は見分けやすいものとされる[10]。ただし、バスケットボールは3x3の規則の要旨で確認したもので、5人制の条文は確認できていない。

体育館の整備仕様書では、バスケットボール、バレーボール(6人制・9人制)、バドミントンなどのコートラインを同じ床に併記するコート配置が示されている例がある[11]。何色もの線が並ぶのは、こうして競技ごとの線が同じ床に重なるためと考えられる。どの色がどの競技に当たるかは仕様書ごとに異なり、決めつけられない。

床を踏む靴、床を弾むボール、その上に引かれた線。体育館という一つの場所に、材料の物理と競技の規則が重なっていることが分かる。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

きょう できること

きれいな くつの うらを、つくえの うえに おしつけて、てで もって ゴシゴシと こすって みましょう。みぞの ある ところと、たいらな ところで、おとを くらべます。ゆかで やると ころびやすいので、てで もって やりましょう。

でかけて できること

たいいくかんに いったら、せんの いろと ふとさを みて、なんの スポーツの せんか かんがえて みましょう。

今日できること

汚れていない靴を手に持ち、机の上でゴム底を押し当てて滑らせます。溝のある部分と平らな部分で、音の高さや澄み方が違うか聞き比べてみましょう。床の上でやると転びやすいので、必ず手で持って行います。

出かけてできること

学校や地域の体育館で、床の線を色ごとに追い、どの競技の線か考えてみましょう。太さの違いにも気づけるかもしれません。

家で確かめる

家にある靴の底の溝を見比べて、溝の幅や向きが違う靴があるか探してみましょう。記事で読んだ「溝と音の高さ」の説明と、見つけた形を照らしてみると、ちがいに気づけるかもしれません。

今日できること

汚れていない靴を手に持ち、机の上でゴム底を滑らせて、溝のある部分と平らな部分で音の高さがどう違うか聞き比べる。床の上では転倒の恐れがあるため、手に持って行う。パルスの周期が音高になる、という記事の説明と照らせるか考えてみるとよい。

出かけてできること

体育館の床の線を色別にたどり、競技団体の規則にある幅と、実際の太さを見比べる。

公式情報を読む

Nature論文(2026年2月)、Physics World と Harvard SEAS のニュース、日本バスケットボール協会・日本バレーボール協会・日本バドミントン協会の競技規則、JIS A 6519 を、原文で読むと確かめられる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

検索結果の要約が中心のため、Nature論文本体、JIS原文、各規則PDFの本文は確認できていません。数値は要約で確認したものです。

  1. Physics World「The physics of why basketball shoes are so squeaky」 https://physicsworld.com/a/the-physics-of-why-basketball-shoes-are-so-squeaky/ (キュッの仕組み)
  2. Physics World(Nature要旨の紹介) https://physicsworld.com/?p=126882 (パルスの速さ)
  3. Harvard SEAS「The physics of the squeak」 https://seas.harvard.edu/news/physics-squeak (溝と音の高さ)
  4. GIGAZINE「ゴム底の靴がキュッと鳴る仕組み」(2026年2月27日) https://gigazine.net/news/20260227-rubber-sneaker-squeaks/ (実験の方法)
  5. 日本規格協会 JIS A 6519 プレビュー https://webdesk.jsa.or.jp/preview/pre_jis_a_06519_000_000_2018_j_ed10_ch.pdf (床の規格)
  6. 北海道立総合研究機構 資料 https://www.hro.or.jp/upload/10429/21302052532.pdf (床下地と硬さ)
  7. 米国特許 US7127857 https://image-ppubs.uspto.gov/dirsearch-public/print/downloadPdf/7127857 (デッドスポットの課題)
  8. 日本バスケットボール協会 3x3競技規則 https://japanbasketball.jp/files/referee/rule/2026_3x3rule.pdf (線の幅と色)
  9. 日本バレーボール協会 2026年度版 6人制競技規則 https://www.jva.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/Vb_6nin_WEB-V2.pdf (線の幅と色)
  10. 日本バドミントン協会 2026年版ルールブック https://www.badminton.or.jp/asset/pdf/corporate/concerned/referee/baj_rulebook_2026_rules.pdf (線の幅と色)
  11. 堺市 体育館整備仕様書 https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/sports/sports_shisetsu/seibi/ohama/pfi.files/besshi_8.pdf (コートラインの併記)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

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