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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

火山が ない ところでも 温泉おんせんは あつい どうして?

火山のない町でも温泉が熱いのはなぜ? 地面の下の熱のみなもと

温泉の熱源 ── マグマだまり・地温勾配・有馬温泉、温泉法の25℃まで

分野:自然

ちかくに 火山が ない のに、あつい お湯が わく 温泉おんせんが あります。お湯の あつさは、どこから くるのでしょう。地面の 下の あつさの ひみつを、たどって みます。

大阪や神戸のすぐ近くに、活火山はありません。それなのに、兵庫県の有馬温泉には熱いお湯が湧いています。温泉の熱はどこから来るのか。火山の下の話から始めて、火山のない場所の説明までたどります。

温泉の熱源は、火山地帯ではマグマだまりの熱とされる。火山のない地域では、地温勾配、過去のマグマの余熱、沈み込むプレートに由来する水などが挙がっている。有馬温泉を例に、熱源の分類と、温泉法が定める「温泉」の条件を整理する。

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1. わいて くるのは マグマ?

1. 湧いてくるのは、マグマなのか

1. 湧出するのはマグマではない

「温泉おんせんの お湯は、マグマが わいて きたの?」と 思う人が いるかも しれません。

ちがいます。出て くるのは、地面に しみこんだ 雨や 雪の 水などが、地下で あたためられた ものです[1]。マグマそのものは、出て きません。

では、その 水を あたためる ねつは どこから くるのでしょう。

温泉と聞くと、地下からマグマが湧き出す様子を思い浮かべる人がいるかもしれません。実際に出てくるのは、地面にしみ込んだ雨や雪などの地下水が温められたものです[1]。

ですから問いは「水を温める熱はどこから来るのか」に置きかわります。火山のある所とない所で、答えが変わります。

温泉として湧き出るのは、マグマそのものではない。地中にしみ込んだ雨水や雪解け水などの地下水が、何らかの熱源で温められたものである[1]。したがって論点は熱源の種類になる。以下、火山性と非火山性に分けて見る。

2. 火山の 下には あつい マグマだまり

2. 火山の下にある、1000℃以上のマグマだまり

2. 火山性温泉:マグマだまりの熱

火山の ある ところでは、地下の ふかい ところに マグマだまりが あります。マグマだまりは、1000度 いじょうの ものも ある あつさです[1]。

マグマだまりの ねつが、ガスや お湯、まわりの 岩を とおって 地下の 水に つたわり、水が あたためられて 温泉おんせんに なります。これが、火山の 近くに わく 温泉おんせんです。

マグマだまりが ある ふかさは、地下 数キロメートル いじょうと いわれます。ただし、しりょうに よって 数字が すこし ちがいます[3]。

火山地帯では、地下にマグマだまりができています。温度は1000℃以上になると説明されています[1]。この熱が火山ガスや熱水、まわりの岩などを通じて地下水に伝わり、温められた水が火山性温泉になります。

マグマだまりのある深さは「地下数km〜数十km」とする資料と、「数km〜10数km」とする資料があり、幅があります[1][3]。1つの数字にせず、数kmより深い所、くらいに考えておくのが安全でしょう。

火山性温泉の熱源は、地下に形成されたマグマだまり(1000℃以上)の熱である。この熱が火山ガス・熱水・熱伝導などを通じて地下水に伝わる[1]。深さについては、神奈川県温泉地学研究所は「数km〜数十km」、日本温泉協会は「数km〜10数km」としており、資料間で幅がある[1][3]。単一の値は採らない。

火山のある所では、こうして温められた地下水が温泉になるという説明が標準的である。

3. ふかく ほると、だんだん あつく なる

3. 掘るほど熱くなる:100mで2〜3℃

3. 非火山性温泉①:地温勾配

火山が なくても、地面は ふかく ほるほど あつく なります。100メートル ふかく なるごとに、2〜3度ほど あがると いわれます[2]。

たとえば 地面の ちかくが 15度だと して、1000メートル ほると どうなるか、けいさんして みます。100メートルで 2.5度 あがるなら、1000メートルでは 10ばい。15たす 25で、40度に なります。おふろ くらいの あたたかさです。

これは めやすで、場所に よって ちがいます[1]。階だんを 1だん おりる ごとに、ゆかが すこしずつ あたたかく なって いくような ものです。ただし、本当は 階だんの ように 1だんずつ ではなく、なめらかに 温度が あがります。

地下は深いほど温度が上がります。この性質を地温勾配(地下増温率)といい、100mにつき2〜3℃くらい上がることが知られています[2]。

計算してみましょう。地表を15℃、上がり方を100mあたり2.5℃とすると、1000m掘った所は15+2.5×10=40℃です[2]。上がり方を2〜3℃にすれば、35〜45℃です。1500mなら45〜60℃の見当になります[1]。

この数字は目安で、地表の温度も上がり方も場所によって違います。

火山のない地域の熱源の一つが、深さとともに地温が上がる性質(地温勾配、地下増温率)で、100mあたり2〜3℃程度とされる[2]。掘削が届く約10000m級までの平均は、約2.5〜3℃/100mと整理されている[4]。

地表を15℃と仮定すると、1000mでは15+2.5×(1000÷100)=40℃、勾配を2〜3℃とすれば35〜45℃、1500mでは45〜60℃となる[1][2]。地表温度15℃は仮定値であり、場所によって異なる。

4. 地球の 中は、どうして あつい?

4. 地球の中の熱と、熱い場所

4. 地球内部の熱源と地熱地域

そもそも、地球の 中は どうして あついのでしょう。地面の 中の とくべつな 石が かわる ときに 出る ねつと、地球の いちばん ふかい ところから くる ねつが もとだと、考えられて います[4]。

この ねつの 出かたは、どこも 同じでは ありません。地面の あつさが へいきんの 10ばい いじょうに なる ところも あると 書かれて います[4]。

地球内部の熱のもとは、放射性物質が壊れるときに出る熱(崩壊熱)と、地球のいちばん深いところ(核)から伝わる熱とされています[4]。

地面の下の温度の上がり方は、場所によって差があります。平均の10倍以上になる地熱地域もあると、地熱学会の資料には書かれています[4]。

地球内部の熱の源は、放射性物質の崩壊熱と、最深部の核から供給される熱とされる[4]。

地温勾配は一様でなく、平均値の10倍以上になる地熱地域がある[4]。ここまでの説明は、1000℃級のマグマだまりがなくても、地下水が温泉の温度まで温まりうることを示している。

5. むかしの マグマや、ふるい 海水も

5. 昔のマグマの余熱や、古い海水

5. 非火山性温泉②:余熱・高温岩帯・化石海水

火山が ない ところの 温泉おんせんには、ほかの わけも あります。

神奈川かながわ県の 中川温泉おんせんは、およそ 2000万年前に あがって きた マグマの、のこりの あつさで 温まって いると せつめいされて います[1]。ずっと むかしの マグマの ねつです。

また、地面の 中に とじこめられた ふるい 海の 水が、地下の ねつで あたためられる 場合も あります[3]。

火山がなくても、過去のマグマの余熱が熱源になる例があります。神奈川県の中川温泉は、約2000万年前に上昇したマグマ(石英閃緑岩)の余熱によると説明されています[1]。

ほかにも、高温の岩石が熱源になる型や、地中に閉じ込められた古い海水(化石海水)が地熱で温められる型があります[3]。化石海水は塩分が多いので、温泉法の条件にも当てはまります。

非火山性温泉の熱源は地温勾配だけではない。神奈川県の中川温泉は、約2000万年前に割れ目に沿って上昇した石英閃緑岩(せきえいせんりょくがん)マグマの余熱が熱源とされる[1]。ほかに、高温の岩石(高温岩帯)を熱源とする型や、地中に閉じ込められた化石海水(かせきかいすい)が地熱で温まる型が整理されている[3]。

化石海水は塩分を多く含むため、後述の温泉法の基準で温泉に該当する[3]。

6. 火山が ない 有馬温泉ありまおんせんの なぞ

6. 火山のない有馬温泉と、沈み込むプレート

6. 有馬温泉:沈み込むプレート由来の水という説明

兵庫ひょうご県の 有馬温泉ありまおんせんは、近くに 活火山が ないのに、あつい お湯が わきます。

神戸大学の 研究者の せつめいでは、日本の 下に もぐりこんで いく プレートの 中の 水が、あつく なって 出て きて、地面の われめに そって のぼって くると 考えられて います[5]。

まだ 研究が すすめられて いる ところで、これで 決まりと いえる だんかいでは ありません。

有馬温泉は、近くに活火山がないのに高温のお湯が出ます。神戸大学の研究者への取材記事では、沈み込むフィリピン海プレートの内部の水が高温の流体として放出され、断層に沿って上がってくる、と説明されています[5]。

2023年の『地学雑誌』の論文も、近畿の40℃を超える温泉を日本海沿岸・有馬周辺・紀伊半島南部に分けて整理し、こうした非火山性温泉がプレート内の水やプレート境界の熱・流体の手がかりになると述べています[6]。

ただし、これは研究者の説明の段階で、「解明された」とまでは書かれていません。

有馬温泉(兵庫県)は近くに活火山がないが高温である。神戸大学の研究者への取材では、沈み込むフィリピン海プレート内の水が高温流体として放出され、有馬高槻断層沿いに上昇するためと説明される[5]。これは研究者の説明であり、確定した結論とは書かれていない。

『地学雑誌』132巻1号(2023)の論文は、近畿の40℃超の温泉を日本海沿岸・有馬周辺・紀伊半島南部に区分し、非火山性温泉がスラブ(沈み込むプレート)の脱水やプレート境界の熱・流体の情報になると述べている[6]。

7. どこからが 「温泉おんせん」?

7. 温泉法の「25℃以上」

7. 温泉法の定義:25℃以上、または指定物質

じつは、ほうりつで 「温泉おんせん」と よべる きまりが あります。温泉おんせんを とるときの お湯が 25度 いじょうなら、温泉おんせんです[7]。

25度は、おふろより ずっと ぬるい 温度です。25度 みまんでも、とけている ものの りょうなどの きまりを みたせば、温泉おんせんに なります。

温泉法(昭和23年)では、温泉源から採取するときの温度が25℃以上、または指定された物質(溶けている物質の総量が1000mg以上など)のどれか1つを満たせば温泉とされます[7]。

25℃は入浴に向く温度より低いので、「熱い」とは限らないことになります。温度が足りなくても、物質の基準で温泉になる場合もあります。

温泉法(昭和23年)は、温泉源から採取されるときの温度が25℃以上であるか、指定物質(溶存物質総量1000mg以上など)のいずれか1つを満たすものを温泉とする[7]。25℃は入浴温度より低く、また25℃未満でも物質の基準で温泉になりうる。

したがって「温泉=熱い」は法的な定義ではない。ここまで見てきた熱源の話は、温度の面から温泉を説明するものである。

8. じぶんでも たしかめて みよう

8. 自分でも調べてみたくなったら

8. 出口 ── 深さと温度を計算する/出典を読む

おうちで できる ことが あります。

15度から はじめて、100メートルで 2.5度 あがる として、500メートルでは 何度に なるでしょう。1500メートルなら どうでしょう。答えは、めやすの 数字です。

ちずちょうや、おうちの ちずで、近くの 温泉おんせんと 火山を さがして みましょう。火山から とおくても、温泉おんせんは あるでしょうか。

地表を15℃、100mごとに2.5℃上がると仮定して、深さ2000mの温度を計算できます(答えは15+2.5×20で、65℃ほどの見当です)。そこから、温泉の温度まで届くのに必要な深さも考えられます。

地図帳や家にある日本語の地図で、自分の住む地域の近くの温泉と火山の位置を見比べてみてください。火山から離れた温泉は、どの熱源で説明できそうか。本文で紹介した熱源の説明(火山性、地温勾配、過去のマグマの余熱、高温岩帯、化石海水、有馬温泉のプレート内の水)と比べてみましょう。

公式の情報は、環境省の温泉の定義のページ[7]や、神奈川県温泉地学研究所の解説[1]で読めます。

今日できること。地表15℃、勾配2.5℃/100mとして、深さ500m・1500m・2000mの温度を計算し、仮定値を変えたときの差を見る(2000mは15+2.5×20=65℃)。

出典としては、熱源の分類は神奈川県温泉地学研究所[1][2]と日本温泉協会[3]、地球内部熱は地熱学会[4]、有馬温泉は取材記事[5]と『地学雑誌』の論文[6]、定義は環境省[7]に当たれる。最後の論文は、有馬型の熱源をめぐる研究の現状を確かめる入口になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:神奈川県温泉地学研究所の解説2本、日本温泉協会、地熱学会、ほとんど0円大学の取材記事、地学雑誌の論文(要旨)、環境省のページを使った。数字は目安で、場所や資料によって幅がある。

  1. 神奈川県温泉地学研究所「火山性と非火山性温泉」 https://www.onken.odawara.kanagawa.jp/hotspring/onsen_kouza/20200518-02.html (マグマだまり・地温勾配の計算例・中川温泉)
  2. 神奈川県温泉地学研究所「大深度温泉」 https://www.onken.odawara.kanagawa.jp/hotspring/onsen_kouza/20200521-03.html (100mで2〜3℃・1000mで約40℃の計算)
  3. 日本温泉協会「温泉のメカニズム」 https://www.spa.or.jp/onsen/492/ (マグマだまりの深さ・高温岩帯・化石海水)
  4. 地熱学会「地熱エネルギー入門:地熱資源の性質」 https://grsj.gr.jp/archives/whatbook/chapter2.html (地球内部の熱源・平均地温勾配)
  5. ほとんど0円大学(神戸大学の研究者への取材)「有馬温泉」 https://hotozero.com/knowledge/kobeuniv_arimaonsen/ (有馬温泉の熱源の説明)
  6. 『地学雑誌』132(1)「テクトニクスに関連する非火山性温泉の地球化学的特徴」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography/132/1/132_132.1/_article/-char/ja/ (近畿の温泉の区分、要旨の範囲)
  7. 環境省「温泉の定義」 https://www.env.go.jp/nature/onsen/point/ (温泉法の25℃以上などの基準)

なおした ところ

更新履歴

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