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中国の 山や ベトナムの 海に にた けしきが、日本にも あるのは なぜ?

石灰岩でできた地形 ── カルスト地形はなぜあちこちにあるのか

石灰岩でできた地形 ── カルスト地形はなぜあちこちにあるのか

分野:自然

中国には、ぼこぼこ とがった 山が ならぶ ふしぎな けしきが ある。ベトナムの 海には、小さな 島が たくさん うかぶ。日本の 山口県にも、白い 岩の 台地が ある。

じつは、この 3つは おなじ しくみで できた「なかま」なのだ。

中国の桂林、ベトナムのハロン湾、山口県の秋吉台。見た目も国もばらばらだが、この3つには共通点がある。どれも「石灰岩」という同じ岩が、雨水に溶かされてできた地形なのだ。

石灰岩が雨水によって溶かされてできる地形を「カルスト地形」と呼ぶ。世界各地の見た目のまったく異なる景観が、実は同じ化学反応の産物であり、地下には鍾乳洞と地下水の通り道が広がっている。1981年、アメリカでは、この地下の空洞が一晩で街の一角を飲みこんだ。

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1. 雨水が、少しずつ 岩を とかして いく

1. 雨水が、少しずつ岩を溶かしていく

1. 炭酸を含んだ雨水が、石灰岩を少しずつ溶かす

せっかいがんという 岩が ある。大むかしの サンゴや 貝の からが、うみの そこに つもって できた 岩だ[1]

雨水は、空気中の 二さんかたんそを すいこんで、じつは ほんの少し すっぱい 水に なって いる。この 水が せっかいがんに ふれると、岩を 少しずつ とかして いく[1]。かくざとうを 水に つけて おくと、だんだん とけて 小さく なる。あれと にた ことが、せっかいがんの 岩でも おきて いる。ただし ほんとうは、岩は かくざとうより ずっと かたいので、とける ための 時間は くらべものに ならないほど 長い。1年に とける りょうは、ほんの わずか。でも それが 何万年も つづくと、岩は おおきく けずられ、ふしぎな 形の 山や たにが できあがる[1]

石灰岩という岩がある。大昔のサンゴや貝の殻が、海の底に積もってできた岩だ[1]

雨水は、空気中の二酸化炭素を吸いこんで、実はほんの少しすっぱい水になっている。この水が石灰岩にふれると、岩を少しずつ溶かしていく[1]。1年に溶ける量は、ほんのわずか。でもそれが何万年も続くと、岩は大きく削られ、不思議な形の山や谷ができあがる[1]

石灰岩は、サンゴや貝殻などの炭酸カルシウムが海底に堆積してできた岩石である[1]。この石灰岩が雨水によって溶かされてできる地形を「カルスト地形」と呼ぶ。

雨水は大気中や土壌中の二酸化炭素を取りこみ、弱い酸性の炭酸(H₂CO₃)を含んだ水になる。この水が石灰岩の主成分である炭酸カルシウム(CaCO₃)に触れると化学反応を起こし、水に溶けるカルシウムイオンと炭酸水素イオンに変えて、岩を少しずつ溶かしていく[1]。この反応がごく長い年月にわたって積み重なることで、世界各地に見られるような、大きく削られた地形ができあがる。

2. 世界の あちこちに、にた けしきが ある

2. 世界のあちこちに、似た景色がある

2. 同じしくみが、世界各地に違う景観を作った

中国の けいりんには、ぼこぼこ とがった 山が ならぶ けしきが ある[2]。ベトナムの ハロンわんには、海の 上に 小さな 岩の 島が たくさん うかぶ[2]。「カルスト」と いう ことば じたいは、この 地形が 学問として しらべられた、東ヨーロッパの スロベニアの 「クラス」と いう 土地の 名まえから きて いる[2]

日本にも ある。山口県の あきよしだいは、日本さいだいの せっかいがんの 台地だ[3]。もとは 3おく5千万年ほど前、あたたかい 海の サンゴしょうだった ものが、長い 時間を かけて せっかいがんに かわり、雨水に とかされて いまの すがたに なった[3]

中国の桂林には、ぼこぼこ尖った山が並ぶ景色がある[2]。ベトナムのハロン湾には、海の上に小さな岩の島がたくさん浮かぶ[2]。「カルスト」ということば自体は、この地形が学問として調べられた、東ヨーロッパのスロベニアの「クラス」という土地の名前からきている[2]

日本にもある。山口県の秋吉台は、日本最大の石灰岩の台地だ[3]。もとは3億5千万年ほど前、暖かい海のサンゴ礁だったものが、長い時間をかけて石灰岩に変わり、雨水に溶かされて今の姿になった[3]

カルスト地形は世界各地に分布している。中国広西チワン族自治区の桂林や雲南省の石林(UNESCO世界遺産「南中国カルスト」)には、円錐状の山が林立する景観が広がり、ベトナムのハロン湾には海面から切り立つ石灰岩の島々が点在する[2]。「カルスト(Karst)」という名称自体、この地形が地質学的に研究された、スロベニアのクラス(Kras)高原の地名に由来する[2]

日本では、山口県美祢市の秋吉台が日本最大の石灰岩台地として知られる。約3億5千万年前、南方の暖かい海でサンゴ礁として形成された地層が、プレートの移動によって運ばれ、長い年月をかけて石灰岩へと変化した後、雨水による溶食を受けて現在のカルスト台地となった[3]。日本三大カルストには、秋吉台のほか福岡県の平尾台、高知県・愛媛県にまたがる四国カルストが数えられる[3]

3. ある日とつぜん、地面が おちる ことも ある

3. ある日とつぜん、地面が落ちることもある

3. 陥没 ── 地下の空洞が一晩で地表を飲みこむ

せっかいがんの 地下には、水に とかされて できた あなや トンネルが、たくさん かくれて いる。ふだんは 上の 土が ふたを して いるので、気づかない。でも、その ふたが やぶれると、地面が とつぜん おちる ことが ある[4]

1981年、アメリカの フロリダ州では、一ばんの うちに、はば およそ90m、見える 深さ およそ24mの 大きな あなが 町の 一かくに あいた[4]。家 1けんと、プールの 一ぶ、そして 車の しゅうりやで とめて あった スポーツカー 5だいと トラック 1だいが、あなに のみこまれた[4]。さいわい けが人は 出なかった。

石灰岩の地下には、水に溶かされてできた穴やトンネルが、たくさん隠れている。ふだんは上の土がふたをしているので気づかない。でも、そのふたが破れると、地面が突然落ちることがある[4]

1981年、アメリカのフロリダ州では、一晩のうちに、幅およそ90m、見える深さおよそ24mの大きな穴が町の一角に開いた[4]。家1軒と、プールの一部、そして車の修理屋に止めてあったスポーツカー5台とトラック1台が、穴に飲みこまれた[4]。幸いけが人は出なかった。

石灰岩の地下には、溶食によって形成された空洞やトンネルが網目状に広がっている。地表を覆う土壌層がその天井の役割を果たしているが、この天井が支えを失うと、地表が突然陥没する「シンクホール」が発生する[4]

1981年5月8日の夜、アメリカ・フロリダ州ウィンターパークでシンクホールが生じ、米国地質調査所(USGS)の記録によれば、直径およそ300フィート(約90m)、地表から見える深さがおよそ80フィート(約24m)に達した(この数値はUSGSが撮影・記録した時点のものであり、陥没が最終的に到達した最大寸法とは限らない)[4]。USGSは、陥没の原因を地下深くのフロリダ帯水層における崩落の可能性が高いとしている[4]。この陥没で住宅1軒、自動車修理店に停められていたスポーツカー5台とトラック1台、市営プールの一部、複数の商店が失われ、被害総額は400万ドルにのぼったが、人的被害は報告されていない[4]

4. 地下には、水の 通り道と ほらあなが ある

4. 地下には、水の通り道と鍾乳洞がある

4. 地下水が、川と鍾乳洞を作る

せっかいがんの 地形の 下には、雨水が 何百年も かけて けずった、地下の 川や どうくつが かくれて いる[5]。あきよしだいの 地下には、日本ゆうすうの 大きな どうくつ「しゅうほうどう」が あり、おくゆき 何kmにも わたって 通路が つづいて いる[3]

石灰岩の地形の下には、雨水が何百年もかけて削った、地下の川や洞窟が隠れている[5]。秋吉台の地下には、日本屈指の大きな洞窟「秋芳洞」があり、奥行き何kmにもわたって通路が続いている[3]

カルスト地形の地下では、雨水が石灰岩の割れ目に沿って浸透し、長い年月をかけて空洞を拡大させることで、地下河川や鍾乳洞が形成される[5]。フィリピンのプエルト・プリンセサ地下河川のように、地下水系がそのまま川として流れ続ける例もある[5]。秋吉台の地下には、開口部の高さ約20m・幅8mに達する大鍾乳洞「秋芳洞」が広がり、内部には幅80m・奥行き175mに及ぶ「千畳敷」と呼ばれる広間もある[3]

5. せっかいがんの 地下水は、くらしを ささえて いる

5. 石灰岩の地下水は、暮らしを支えている

5. 生活を支えるカルスト帯水層と、その脆さ

せっかいがんの 地下に たまった 水を、のみ水として 使って いる 地いきは 多い。世界中で 使われて いる のみ水の うち、およそ 4分の1が、この カルストの 地下水だと いわれて いる[6]。アメリカでは、国土の やく2わりが カルスト地形で、のみ水に 使う 地下水の やく4わりが、この カルストの 地下水だと いう[7]

石灰岩の地下にたまった水を、飲み水として使っている地域は多い。世界中で使われている飲み水のうち、およそ4分の1が、このカルストの地下水だといわれている[6]。アメリカでは、国土の約2割がカルスト地形で、飲み水に使う地下水の約4割が、このカルストの地下水だという[7]

石灰岩の地下水(カルスト帯水層)は、2007年時点で世界の飲料水需要の約25%を賄っているとされる[6]。アメリカ地質調査所(USGS)によれば、米国内では国土の約20%がカルスト地形に分類され、飲料水として使われる地下水の約40%がカルスト帯水層由来である[7]。フロリダ州の帯水層だけでも、約1,000万人の主要な飲料水源となっている[7]

カルスト帯水層は生産性が高い一方、地表の水がろ過されずに直接流れこみやすく、汚染に対して非常に脆弱だとされる[7]

おすで、せっかいがんの なかまが とける ようすを 見て みる

お酢で、石灰岩の仲間が溶けるようすを見てみる

身近な炭酸カルシウムで、溶食を体験してみる

たまごの からを、コップに 入れた おすに しずめて みよう。しばらく すると、あわが 出て、少しずつ とけて いく。これは、せっかいがんが 雨水に とかされる ことと、とても にた へんかだ。(チョークで ためす ときは、石こう(せっこう)で できた チョークでは あわが 出ないので、注意しよう。)

たまごの殻を、コップに入れたお酢に沈めてみよう。しばらくすると、あわが出て、少しずつ溶けていく。これは、石灰岩が雨水に溶かされることと、とてもよく似た変化だ。(チョークで試すときは、石膏でできたチョークでは泡が出ないので注意しよう。)

卵の殻(主成分は炭酸カルシウム)を酢(酢酸を含む)に浸すと、気泡(二酸化炭素)を発生させながら少しずつ溶けていく。これは酢酸と炭酸カルシウムの反応である。同じ実験をチョークで試す場合は、成分が炭酸カルシウムのものを選ぶこと。石膏(硫酸カルシウム)でできたチョークは酢と反応せず、気泡は発生しない。自然界で雨水が石灰岩を溶かすときの主役は、酢酸よりずっと弱い炭酸(二酸化炭素が水に溶けたもの)であり、酸の強さも反応の速さもこの実験とは大きく異なるが、「酸が炭酸カルシウムを溶かす」という反応そのものは共通している。数時間から一晩置いて、殻やチョークの表面がどう変化するか観察してみよう。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. English Wikipedia「Karst」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Karst (石灰岩がサンゴや貝殻などの炭酸カルシウムの堆積によって形成されること、雨水が二酸化炭素を取りこんで炭酸を含む酸性の水になり石灰岩(炭酸カルシウム)を溶かす化学反応は同出典による)
  2. English Wikipedia「Karst」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Karst (中国広西チワン族自治区の桂林・雲南省の石林、ベトナムのハロン湾がカルスト地形の代表例であること、「カルスト」の名称がスロベニアのクラス高原の地名に由来することは同出典による)
  3. 山口県観光サイト「日本最大級!カルスト台地 秋吉台・大鍾乳洞秋芳洞」。 https://yamaguchi-tourism.jp/feature/akiyoshidai / nippon.com「日本最大の鍾乳洞!特別天然記念物『秋芳洞』」。 https://www.nippon.com/ja/guide-to-japan/gu900300/ / Wikipedia「秋吉台」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/秋吉台 (秋吉台が約3億5千万年前に暖かい海のサンゴ礁として誕生し、長い時間をかけて石灰岩に変化したこと、日本最大の石灰岩台地であることは山口県観光サイトによる。秋芳洞の開口部の高さ約20m・幅8m、内部の「千畳敷」が幅80m・奥行き175mに達することはnippon.comによる。日本三大カルストに秋吉台・平尾台・四国カルストが数えられることはWikipedia「秋吉台」による)
  4. USGS「Winter Park Florida Sinkhole of 1981」。 https://www.usgs.gov/media/images/winter-park-florida-sinkhole-1981 (1981年5月8日夜にフロリダ州ウィンターパークでシンクホールが発生したこと、USGSの記録時点で直径およそ300フィート・地表から見える深さがおよそ80フィートだったこと、フロリダ帯水層の崩落が原因である可能性が高いことは同出典による。住宅・スポーツカー5台・トラック1台・商店が失われ被害総額400万ドル、人的被害なしという点はClickOrlando「Flashback: Massive Winter Park sinkhole swallows home, pool, more」による)
  5. English Wikipedia「Karst」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Karst (カルスト地形の地下に鍾乳洞や地下河川が形成されること、フィリピンのプエルト・プリンセサ地下河川が地下水系がそのまま川として流れる例であることは同出典による)
  6. English Wikipedia「Karst」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Karst (石灰岩の地下水が2007年時点で世界の飲料水需要の約25%を賄っているとされることは同出典による)
  7. USGS「Karst Aquifers」。 https://www.usgs.gov/mission-areas/water-resources/science/karst-aquifers (米国内で国土の約20%がカルスト地形に分類されること、飲料水として使われる地下水の約40%がカルスト帯水層由来であること、フロリダ帯水層が約1,000万人の主要な飲料水源であること、カルスト帯水層が汚染に対して脆弱であることは同出典による)

なおした ところ

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