1. 前は すきまだらけ。それで 見えるし、入らない?
1. すきまだらけの格子が、見えることと守ることを両立する
1. 面金の構造と物見 ── 視界と防護の両立
面の 前に ならぶ 金の ぼうを「面金」と いいます。よこに 走る ぼうは、大人用で 14本ほど あります。少年用は 13本か、それより 少ない 数と されて います[1][4]。
ぼうの あいだが すきまなので、中から 外が 見えます。もし すきまが なかったら、なにも 見えません。
その中で、上から 6本目と 7本目の あいだだけ、すこし 広く なって います。ここが「物見」です。見るための いちばん 大事な すきまです[1]。
広いなら 竹刀の 先が 入りそうです。でも 面の きまりでは、物見でも 竹刀の 先が 入らない ように 作る ことに なって います[2]。どうやって たしかめて いるのでしょうか。
面の前面の金属部分は面金と呼ばれ、顔の丸みに沿って曲がっています。外側のふちに当たる台輪、縦に1本の中金、横に走る横金でできていて、横金は大人用で14本、少年用では13本以下とされています。ただし本数は資料によって少しゆれ、大型で15本のものを挙げる資料もあります[1][4]。
すきまがなければ前は見えません。そこで、上から6本目と7本目の間(少年用は5本目と6本目の間)だけ、横金の間隔をわずかに広くしてあります。これが物見で、視界を確保するための部分です[1][4]。
ところが、広いのなら竹刀の先も入ってしまいそうです。SGマークの基準は、物見部は竹刀先端が貫入することがない構造であることを求めています[2]。では、それはどうやって確かめているのでしょうか。
面金は、顔の丸みに沿って曲げた金属の格子で、外周の台輪、縦1本の中金、横14本(少年用は13本以下)の横金からなる[1]。ただし資料によって本数の記述には幅があり、大型には15本のものもあるとされる[4]。
隙間のない面では前が見えない。そこで、上から6本目と7本目の間(少年用は5本目と6本目の間)の横金の間隔だけが、他よりわずかに広く取られている。これが物見であり、視界のために意図的に設けられた部分だ[1][4]。なお、ここまでは構造の説明で、次に見るSGマーク基準の安全要件とは区別して読みたい。
だが、広い隙間は竹刀の先が入る余地にもなりうる。SGマークの認定基準は、物見部は竹刀先端が貫入することがない構造であることを面に求めている[2]。視界を広げることと、貫入させないことを、どう両立させているのか。それはどうやって確かめられているのか。次に、その確認方法を見る。
2. 「入らない」は、どうやって たしかめるの?
2. SGマークは、入らないことを設備でたしかめる
2. SG認証の確認項目 ── 防護範囲・物見間隔・貫入・緩衝
「SGマーク」は、安全を みとめる マークです。剣道の どうぐには きまりが あって、面については「面金が しっかり 止まって いて がたつかない」「打たれる ところを 十分に おおう」「物見で 竹刀の 先が 入らない」と 書かれて います[2]。
この きまりを たしかめる 道具も 決まって います。頭の かたちの 見本を 使って、守る はんいを しらべます。物見の すきまの 広さを はかります。竹刀の 先が 入らないかを ためします。うたれた ときの 衝撃も はかります[3]。
おもしろいのは、頭の かたちの 見本です。乗り物に 乗る ときの ヘルメットの きまりに ある ものが 使われます。面も ヘルメットと 同じ ように、頭の かたちに 合わせて 作られて いるのですね。
ただ、どれくらいの 広さ、どれくらいの 力なら 通るのかは、公開されて いる ものでは 数字が かくされて います。この 記事では 数字は 書きません[2]。
面についてのSGマーク基準では、面金が強固に固定されてがたつかないこと、打突部を十分に覆う構造であること、物見部は竹刀先端が貫入しない構造であることが定められています[2]。
認証の検査設備の一覧を見ると、この基準が実際の試験と結びついていることが分かります。防護範囲を確かめる設備、物見の間隔を測る設備、竹刀の貫入を試す設備、衝撃を測る緩衝試験の設備です。防護範囲の確認には、乗車用安全帽(バイクなどのヘルメット)のJIS規格に定められた寸法・構造の人頭模型を備えることとされています[3]。頭の模型に面を当てて、覆えているかを確かめるわけです。
つまり面は、「覆う範囲」「すきまの広さ」「竹刀の貫入」「衝撃」という4つの方向から確かめられます。ただし、合格の数値は公開版では伏せられているため、この記事では数字を挙げません[2]。
ところで、「竹刀の貫入」は、どんな竹刀を想定した試験なのでしょうか。ここには、面の設計のもう一つの前提が関わっています。
SGマークの面に関する基準は、面金が強固に固定され横金等にがたつきがないこと、打突部等を十分覆う構造であること、物見部は竹刀先端が貫入しない構造であることを定める[2]。
認証に必要な検査設備を見ると、この基準が試験と対応しているのが分かる。防護範囲確認、物見間隔測定、竹刀の貫入試験、緩衝試験の各設備が挙げられ、防護範囲の確認にはJIS T 8133(乗車用安全帽)に規定される寸法・構造の人頭模型を備えるとされる[3]。面は、覆う範囲、隙間の広さ、貫入、衝撃の4方向から確かめられる。
ただし、公開版の基準では緩衝試験の衝撃力の値が伏せ字になっており、貫入試験の条件や物見間隔の寸法も公開資料からは確認できない[2]。したがって、「隙間が何ミリ以下なら入らない」といった数値の説明は、この記事ではできない。試験が想定する竹刀の状態は、次の章で扱う。
3. 竹刀の 先が「決まった 形」のとき
3. 守りは、竹刀が決まった形で来ることと組みになっている
3. 先革が抜けた竹刀 ── 防護が前提とする竹刀の状態
竹刀は 4まいの 竹を たばねて できて います。先の 方には 革を かぶせて、ひもで しめて、4まいが ばらけない ように して あります。
もし 先の 革が ぬけると、4まいの 竹が ばらばらに なって しまいます。そのまま 打ちこむと、面の すきまから 竹が 入りこむ おそれが あると、剣道の ページは 注意して います[5]。
ここから、面の 守りは「竹刀が 決まった 形で 来る」ことと セットに なって いると 考えられます。ただし これは この 記事の 見方で、ページに そう 書いて あるわけでは ありません。
だから、けいこの 前に 竹刀を 見る ことは、自分を 守る 面の 力を ちゃんと 使う ことにも つながります。
竹刀は4枚の竹を束ねた道具で、先端には革(先革)をかぶせ、弦で締めて形を保っています。ある剣道の解説は、先革が抜けると4枚の竹がばらけ、その状態で打ち込むと面金の間から竹が入り込む恐れがある、と注意しています[5]。
ここから、面の守りは「竹刀の先が決まった形で来る」ことを前提にしている面もある、と考えられます。ただし、これは資料の直接の記述ではなく、この記事の解釈です。
稽古の前に先革の状態を見ておくと、竹刀の先がばらける危険に気づけます。ここまでは顔まわりの話でした。では、打たれた衝撃は、どこで受け止めているのでしょうか。
竹刀は4枚の竹を束ねた構造で、先端に先革をかぶせ、弦で締めて形を保つ。ある剣道の解説は、先革が抜けると4枚の竹がばらけ、その状態で打ち込むと面金の間から竹が入り込む恐れがあると注意している[5]。
この記述から、面の防護が「竹刀の先端が束ねられた決まった形で当たること」を前提にしている面がある、と推測できる。ただしこれは資料の直接の記述ではなく、本稿の解釈であり、貫入試験がどのような状態の竹刀を想定しているかも公開資料では確認できない。
いずれにせよ、隙間を含む格子の防護は、竹刀側の状態と組で成り立つと読める。では、格子を通らなかった打撃の衝撃は、どこで受け止められるのか。
4. 打たれた 衝撃は、どこへ いくの?
4. 頭のてっぺんから肩を覆う面布団が、衝撃をやわらげる
4. 面布団の緩衝と、面金の素材の移り変わり
面の 頭の てっぺんから かたに かけては、布団のような ぶぶんが おおいます。「面布団」と いいます。ぬのを なんども ぬい合わせた もので、中には やわらかい ざいりょうが 入って います[1][4]。
この 布団が、打たれた 衝撃を やわらげます。SGマークでは、面の 布団の ぶぶんに かかる 力が、決めた 大きさより 小さいかを しらべる きまりも あります[2]。
金の ぼうの 面金も、むかしより かるく なって きました。鉄や ステンレスから、ジュラルミンや チタンへ うつって きた と いいます。重い 面は 首に たいへんだから、と 書いて いる ページが あります[4]。
守る ために 重く するだけでは、動きにくく なります。守りと かるさの バランスも、面の 大事な 作り方の くふうです。
面の頭頂部から肩にかけては、刺し子と呼ばれる何層にも縫い重ねた布で覆われています。これが面布団です。芯材には圧縮した綿やフェルトなどが使われるといわれますが、製品によって違うため、特定の素材には決められません[1][4]。
この布団の役目は、打たれた衝撃を和らげることです。SGマークの基準にも、面と小手の布団部にかかる衝撃力が一定の値以下であることを確かめる緩衝試験があります。ただし、その値は公開版では伏せられています[2]。
面金の素材も変わってきました。鉄やステンレスから、ジュラルミンやチタンへ移ってきたと説明されていて、重さが首に負担をかけることが理由とされます[4][7]。素材を選ぶときは、守りやすさと重さの釣り合いも考える必要があります。
では、目に見える面金と面布団のほかに、面にはどんな工夫が隠れているのでしょうか。内側を覗くと、意外な色が見えます。
面布団は、頭頂部から肩までを覆う刺し子(何層もの布や綿を刺し縫いしたもの)で、芯に圧縮綿・フェルト・毛フェルトなどを使い、打たれた衝撃を和らげる[1][4]。ただし芯材は製品ごとに異なり、特定の素材と断定はできない。
SGマーク基準の緩衝試験は、面および小手のふとん部の衝撃力が一定値以下であることを求める。値そのものは公開版で伏せ字になっており、本稿では示せない[2]。
一方、面金の素材は鉄やステンレスからジュラルミン・チタンへ移ってきたとされ、理由として重さが首に与える影響が挙げられる[4][7]。素材を選ぶときは、防護性と重さの釣り合いも考える必要がある。
では、見えない内側にはどんな工夫があるのか。面の内側を覗くと、意外な色が見える。
5. 面の 中は、どうして 赤いの?
5. 内側が赤いのは、見やすくするためといわれる
5. 面縁・面金の内側の赤 ── 視認性の説明と、製作工程の一例
面の ふちを 外から 見ると 黒ですが、中は 赤く なって います。この 赤は、光を 取り入れて 見やすくする ためだと 話す お店や ページが あります[8][4]。
ただ、「光を はね返す」「光を 取り入れる」と、ことばは ページに よって すこし ちがいます。なぜ 赤いと 見やすく なるのかまでは、はっきり 分かって いません。
面は 手仕事で できる ものも あります。外国の 剣道クラブの 本には、面金に わらを まき、あご当てを つけて、中の わくを 作り、面布団と ひもで つなぎ、水牛の 革で とめ、さいごに うるしを ぬると 書いて あります。うるしは、革が しめり気で いたむのを ふせぐ ためです[7]。
ぬれたままだと 革が ふくれて ゆがむので、使った あとは かわかす ことが 大事だと 書かれて います。
面の縁を見ると、外側は黒ですが、内側は赤く塗られています。この赤は、光を取り込んで見やすくするためだと、販売店や解説サイトは説明しています。面金の内側の赤も同じ理由で説明されます[8][4]。
ただ、資料によって「光を反射する」「光を取り込む」と表現がゆれ、全日本剣道連盟の規定文などの一次資料は確認できていません。赤がなぜ見やすさにつながるのか、物理的な理由は断定できません。
作りについては、大学の剣道クラブが公開している英語の装備ガイドに、一つの例が紹介されています。面金にわらを巻き、あご当てをつけ、内側の枠を作って面布団と紐でつなぎ、水牛の革でとめ、最後に漆を塗る、という手順です。漆は、革が湿気で傷むのを防ぐためとされます[7]。すべての面がこの工程とは限りません。
濡れたままだと革がふくれて形がゆがむため、使ったら乾かすことも勧められています。ところで、ここまで見てきた面には、守れる場所と、守りきれない場所があります。
面縁の内側は赤く、外側は黒い。この赤は光を取り込んで見やすくするためと、販売店や解説サイトが説明している。面金の内側の赤も同様に説明される[8][4]。ただし「光を反射して」「光を取り込み」と資料で表現が異なり、全日本剣道連盟の規定文といった一次資料は確認できていないため、物理的な理由は断定しない。
製作工程の一例としては、米国の大学クラブの装備ガイドが、面金にわらを巻き、あご当てをつけ、内側の枠を作って面布団と紐でつなぎ、水牛革でとめ、最後に漆を塗る手順を挙げている。漆は革が湿気で傷むのを防ぐためとされる[7]。一つの例であり、全ての面がこの工程とは限らない。濡れたまま放置すると革がふくれてゆがむため、使用後の乾燥が勧められている。
これらは、面が「守る」だけでなく「見える」ことと「手入れできる」ことを前提に組み立てられている、という点を示す。では、その面でも守りきれない場所はどこか。
6. 面でも 守りきれない ところは?
6. 面は「打つ場所を決めて守る」道具。守れない場所も知っておく
6. 防護範囲の限界 ── 全日本剣道連盟の医・科学委員会の注意喚起
面は、顔と、頭の てっぺん、よこ、のどを 守るように 作られて います。のどを 守る ぶぶんは、とくに じょうぶに 作られて います[1]。
これは 剣道で 打って よい ところを 決めて いるので、その ところを 守ればよい という 考え方です。
でも、頭の うしろや 首は、面では 守りきれない ことが あります。剣道の 全国の 会の 医者や 科学の 委員会は、頭を 強く 打つと、けがや のうしんとうが 起きる ことが あると 注意して います[6]。
つまり、面は「なんでも 守る」ものでは ありません。面が 守れる はんいは、きまって います。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日できること:ざるや あみに、えんぴつの 先を おしつけて みましょう。あみの 目に えんぴつの 先が 入るか、あみの むきを 変えながら 見て みましょう。ぶつけたり つついたり しないで、そっと 当てて ください。
出かけてできること:剣道の けいこや しあいを 見る ときに、面の 前の 金の ぼうを 数えて みましょう。物見が どこに あるかも さがせます。中が 赤いかも 見て みてください。
公式の ホームページ:SGマークを 出して いる ところと、剣道の 全国の 会の ホームページを 見ると、きまりや 注意が 書かれて います。
今日できること:茶こしやざるなどの網に、新しい鉛筆の先をそっと当ててみましょう。鉛筆の先が網の目に入るか、網の向きを変えながら見てみましょう。強く押したり、人や動物に向けたりしないでください。
出かけてできること:剣道の稽古や試合を見学できる機会があれば、面の前の横金を数え、物見の位置と、内側の赤を探してみてください。
公式の情報:製品安全協会(SGマーク)の剣道具の認定基準(公開用)と、全日本剣道連盟の医・科学委員会の資料で、基準や注意の原文を確かめられます。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
面金・物見・面布団の構造の説明と、赤い内側の理由は、販売店・解説サイト・大学クラブの英語ガイドなど二次資料に基づく。SGマークの基準と全日本剣道連盟の注意喚起は一次資料を使った。
- Wikipedia「防具(剣道)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/防具_(剣道) (面金の構造・物見・面布団・突き垂)
- 製品安全協会「CPSA 0096 剣道具の認定基準(公開用)」 https://www.sg-mark.org/ (面の基準・緩衝試験)
- 製品安全協会「認証の詳細<剣道具>」 https://www.sg-mark.org/ (検査設備の種類)
- KENDO PARK「剣道防具の各部位」 https://kendopark.jp/kenjoy/kendo_bogu_parts (面金の素材・面布団の芯材・内側の赤)
- 剣道京都「竹刀の仕組みのゆるみは事故の原因」 https://kendokyoto.com/c/tokusyu/shinai_shikumi (先革が抜けた竹刀)
- 全日本剣道連盟 医・科学委員会「頭部を強打した時」(2025年4月版) https://kendo.or.jp/ (頭部の強打による傷害)
- Berkeley Kendo Club「Kendo Equipment Guide」 https://kendo.studentorg.berkeley.edu/ (面の製作工程の一例・素材)
- BUSHIZO「面縁の赤」 https://bushizo.com/blogs/oyakutdachi/3313 (内側が赤い理由の説明)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
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