1. 鳴って いるのは、白い ゆげ?
1. 笛を鳴らすのは、白い湯気ではない
1. 笛を通るのは無色透明の水蒸気
やかんから 白く ふわふわ 出て いるのは、ゆげです。じつは、ふえを 鳴らして いるのは、ゆげでは ありません。
お湯が わくと、水は 目に 見えない 水蒸気に かわります。その 見えない 気体が、ふえの 中を 通って 音を 出します[4]。
ゆげが 白く 見えるのは、外に 出た あとで、すこし ひえて 小さな 水の つぶに なった ぶんです。
やかんの口から白くもくもく出ているのは、湯気です。ところが、笛を通っているのは湯気ではありません。
水が蒸発してできた水蒸気は、無色透明の気体です。湯気が白く見えるのは、その一部が冷えて細かい水滴になったからです[4]。笛の穴を通っていくのは、まだ見えない水蒸気のほうです。
つまり、音は「目に見えない何か」が作っていることになります。どうやって、見えないものが音になるのでしょうか。
水蒸気は、水が蒸発してできた無色透明の気体である。白く見える湯気は、その一部が冷えて細かい水滴になったもので、気体そのものではない[4]。
笛を通り抜けるのは、この見えない水蒸気のほうだ。したがって、音の元になる流れは、目では追えない。この章の後は、研究で示された仕組みを順にたどる。
2. ほそい あなで、ふきだす 力に なる
2. 細い穴を通って、勢いのあるジェットになる
2. 笛の入口の細い穴とジェットの形成
お湯が わいて、水蒸気が できると、ふえの あなから 外へ 出て いきます。
その 水蒸気が、ほそい 口を 通って 外へ 出ようと します。ホースの 口を ゆびで つぶすと、水が いきおいよく 出るのと にて います。
ただし 本当は、ふえの 中は ホースより ずっと ふくざつです。
3. うずが 空気を ふるわせる
3. ジェットが渦を作り、空気をふるわせる
3. ジェットの不安定性と渦の放出
ほそい ジェットは、まっすぐ 進み つづけられません。庭の ホースの 水が、とちゅうで みだれるのと 同じで、ゆらゆら ゆれて しまいます[1]。
その ゆれる 流れが、ふえの 2まいめの かべに 当たります。すると、小さな うずを つくりながら 外へ 出て いきます。この うずが、空気を ふるわせて 音の 波に なります[1]。
音の 正体は、空気の ふるえです。ふるえが 耳に とどくと、ピーッと 聞こえます。
ジェットはもともと不安定です。庭のホースから出た水が、途中で乱れて細かく分かれていくのと似ています[1]。
その揺れる流れが笛の2枚目の壁に当たると、小さな圧力の変化が生まれます。蒸気は渦を作りながら外に出ていき、この渦が音の波を作ります[1]。BBC Science Focusも、蒸気の流れが空気を素早く振動させることが音の正体だと説明しています[3]。
音とは、空気の振動が耳に届いたものです。やかんの笛は、蒸気の流れを空気の振動に変える小さな装置だと見ることができます。
笛に入った細いジェットは自然に不安定で、庭のホースの水が途中で乱れるのと似た振る舞いをする。ジェットが笛の2枚目の壁に当たると小さな圧力パルスができ、蒸気は渦を作って出ていく。この渦が音波を生む[1]。
BBC Science Focusも、蒸気の流れが空気を急速に振動させることが音の正体だと説明する。同誌は、蒸気が熱いほど穴を速く通り抜け、乱れが最終的な音を作るとも述べるが、厳密な因果は論文の流量による整理のほうが確かで、雑誌の説明は目安として読むのがよい[3]。
なお、この笛の内部構造(壁が何枚あるか等)は研究の実験装置に基づく説明であり、市販のやかん一般にそのまま当てはまるかは、日本語の一次資料では確認できていない。
4. 音の 出かたには、2つの ばめんが ある
4. 勢いによって、音の出かたが変わる
4. 2段階の挙動 ── ヘルムホルツ型と渦の卓越
大学の 研究では、じょうきの いきおいで、音の 出かたが 2つに 分かれると しょうかいされて います[2]。
お湯が わきはじめの、いきおいが 小さい ときは、ビンの 口を ふくと ボーッと 鳴るのと 同じ しくみです。いきおいが ある 大きさを こえると、うずが 音を 作る ばめんに かわって いきます。
ですから、鳴りはじめと、ぐらぐら わいた あとで、音が ちがって 聞こえても ふしぎでは ありません。
5. リコーダーとは、しんせきだった
5. リコーダーやフルートとの意外な親戚関係
5. エッジトーンとしての笛 ── 楽器との共通点と音の高さ
リコーダーや ふえの 音も、ほそい 出口から 出た 息の 流れが、とがった ところに 当たって 鳴ります[5]。やかんの ふえと、流れが かべに 当たる ところが 同じです。
音の 高さは、ふえの 形で かわります。大学の せつめいでは、研究に 使った ふえで、くだが 長いほど ひくい 音に なりました[1]。リコーダーでも、長い ほうが ひくい 音ですね。
6. ペットボトルの 口を ふいて みよう
6. 空きボトルの口を吹いてみる
6. 出口 ── ボトルの口を吹く、資料の入口
からの ペットボトルを 1本 用意します。口に 下くちびるを 当てて、ななめに 息を ふきかけて みましょう。うまく 当たると、ボーッと 音が 出ます。
水を すこし 入れる まえと あとで、音を 聞きくらべて みましょう。音は どう かわるでしょうか。やかんの ふえも、同じように 空気が ふるえて 鳴ります。
やかんを 使う ときは、お湯と じょうきが とても あついので、かならず おうちの 人と いっしょに してください。ふえの 口に 顔や 手を 近づけては いけません。
空のペットボトルを1本用意して、口の縁に下くちびるを当て、斜めに息を吹きかけてみましょう。うまく当たると、ボーッと音が出ます。ヘルムホルツ共鳴と同じ考え方で鳴る音です。
ボトルに水を少しずつ入れると、音の高さはどう変わるか、予想してから試すと発見があります。やかんの実物を観察するときは、熱い蒸気が出るので、必ずおとなと一緒に、笛の口に顔や手を近づけないでください。
水の量を変えて、吹く角度や強さはなるべく同じにして聞きくらべると、違いが分かりやすくなります。もっと知りたくなったら、参考にした情報源の大学の紹介記事(英語)も開いてみてください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料。論文本体は確認できておらず、大学・AIP・雑誌などの紹介記事を通して確認した。
- University of Cambridge「How the kettle got its whistle」 https://cam.ac.uk/research/news/how-the-kettle-got-its-whistle (笛の穴・ジェット・渦・管の長さと音の高さ)
- AIP Publishing「Whither the teakettle whistle?」(Henrywood and Agarwal, Physics of Fluids, 2013の紹介) https://publishing.aip.org/publications/latest-content/whither-the-teakettle-whistle/ (研究の書誌・ヘルムホルツ共鳴と渦の2段階)
- BBC Science Focus「How does a kettle whistle?」 https://www.sciencefocus.com/science/how-does-a-kettle-whistle (蒸気が空気を振動させるという一般向け説明)
- コトバンク「水蒸気」 https://kotobank.jp/word/水蒸気 (水蒸気は無色透明で湯気は水滴)
- 数理解析研究所講究録 1697 https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1697-03.pdf (エッジトーンと楽器の歌口)
- Wikipedia「Steam」 https://en.wikipedia.org/wiki/Steam (水が水蒸気になると体積がおよそ1,700倍)
- Improbable Research「A British analysis of the physics of a tea kettle whistle」 https://www.improbable.com/2013/10/24/a-british-analysis-of-the-physics-of-a-tea-kettle-whistle/ (ホールトーン系という位置づけ・レイノルズ数の目安)
なおした ところ
更新履歴
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