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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ほくろは どうして できるの? ── 色を つくる さいぼうの ひみつ

ほくろはどうしてできるのか ── 色を作る細胞が集まって、止まるまで

ほくろ(メラノサイト母斑)の成り立ち ── BRAF変異と増殖停止、紫外線・体質との関連、受診のめやす

分野:からだ

ある けんきゅうでは、ほくろの 多くに、皮ふの がんの ひとつ、メラノーマでも 見つかる 「いでんしの かわり」が あったと、ほうこくされて います。それなのに、ほくろは ふつう、おとなしく そこに あるだけです。

ほくろは なにで できて いるのか。どうして 大きく なりすぎず、止まるのか。しらべた ことを、じゅんに 見て いきましょう。

ある研究では、調べたほくろ77個のうち63個に、皮膚がんの一つである悪性黒色腫(メラノーマ)でも見つかる遺伝子の変化がありました。ほくろの多くには、がんでも見つかる遺伝子の変化があると報告されています。それなのに、ほくろは多くの場合、ある大きさで増えるのを止めます。

ほくろはそもそも何でできていて、いつごろ、何に関わってできるのでしょうか。そして、なぜ止まるのでしょうか。医療情報や論文をつき合わせて見ていきます。

ほくろ(メラノサイト母斑)は、色素を作る細胞であるメラノサイトから生じる良性の増殖物だ[1]。人のほくろ77検体中63(82%)にBRAF遺伝子の変異(V600E)が見つかったという報告があり、同じ変異は悪性黒色腫の原発巣でも見られる[4]。

変異をもちながら、ほくろの細胞は多くの場合ある大きさで増殖をやめる。その仕組みは今も議論が続く[6]。このメモでは、成り立ち・時期・環境要因・停止の仕組み・受診のめやすを、複数の資料を突き合わせて整理する。

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1. ほくろは、なにで できて いるの?

1. ほくろの正体は、色を作る細胞の集まり

1. メラノサイトからできる母斑(ほくろ)

ほくろは、皮膚ひふの 色を つくる 細胞さいぼうから できた もの、と いわれて います。小さな ふくらみや 点です。この 細胞さいぼうの 名前は、メラノサイト。ふつうは 皮ふの あちこちに ちらばって、色の もとを つくって います[1]。

ばらばらに おいた 青い ビーズを、1か所に あつめると、そこだけ 青が こく 見えます。ほくろも、色を つくる 細胞さいぼうが ふえて 集まった ところが、こい 色に 見えると かんがえると、イメージしやすいでしょう。ただし 本当は、細胞さいぼうが ふえる しくみは、ビーズを ならべるより ずっと ふくざつです。

かみの 毛の 色を つくる 細胞さいぼうも、メラノサイトの なかまです。しらがと ほくろでは、メラノサイトの はたらきかたが ちがいます。

ほくろは、医学的には「メラノサイト母斑」と呼ばれます。皮膚にできる小さな増殖物で、通常は濃い色をしており、皮膚の色素を作る細胞であるメラノサイトから生じるとされています[1]。

メラノサイトは、ふだんは皮膚に散らばって、色のもとになる色素(メラニン)を作っています。ほくろでは、メラノサイトから生じた細胞が一か所に集まっているので、その部分だけ色が濃く見えると考えられます。

髪の毛の色を作る細胞も、同じメラノサイトの仲間です。白髪とほくろでは、メラノサイトの働き方がちがいます。ただし、ここでは皮膚のほくろの話だけを扱います。

MSDマニュアル家庭版は、ほくろ(母斑)を「皮膚にできる小さな増殖物で、通常は濃い色をしており、メラノサイトから生じる」と説明している[1]。メラノサイトはメラニンを作る細胞で、毛の色を決める細胞でもある。

ほくろの細胞(母斑細胞)とメラノサイトが完全に同一かどうかや、表皮から真皮への位置の移り変わりの細部は、ここで使った資料では扱われておらず、このメモも断定しない。

2. いつ、ほくろは できるの?

2. ほくろは、いつごろから増えるのか

2. 出現時期と成長に伴う変化

ほくろの 中には、生まれた ときから ある ものも あります。けれど、あとから 新しく できる ものが 多いようです。3〜4さいごろから できはじめて、年を とるほど 少しずつ ふえる、と せつめいされて います[2]。3〜4さいは めやすで、みんなが 同じでは ありません。

すでに ある ほくろは、体が 大きく なるのに あわせて、大きく なる ことも あります[1]。ふうせんに かいた 絵が、ふくらませると 大きくなる のに にて います。ただし 本当は、ふうせんの 絵は うすく のびるだけ。ほくろは 細胞さいぼうが ふえる ことも かかわると かんがえられます。

ほくろは、生まれつきあるもの(先天性)もありますが、後からできる(後天性)もののほうが多く、3〜4歳ごろから新しくできはじめ、年齢とともに徐々に増えていくと説明されています[2]。3〜4歳はあくまで目安で、全員がそうなるわけではありません。

MSDマニュアル家庭版は、多くの人でほくろは小児期から青年期にかけてでき、すでにあるほくろも体の成長に合わせて大きくなることがあると述べています[1]。背が伸びるのと並んで、ほくろの大きさも変わっていくことがある、ということです。

ほくろが増えたり大きくなったりするのは、子どもの成長の中で起こる、ごくふつうのことの一つです。ここでの「ふつう」は、年齢による目安の話で、一人ひとりのほくろの様子を判断するものではありません。

後天性のほくろは3〜4歳ごろから発生し、加齢とともに数が増える。先天性のものもある[2]。3〜4歳は目安で、個人差がある(本資料は検索結果に表示された解説文による)。

MSDマニュアルは、多くの人でほくろが小児期から青年期にかけて生じ、既存のほくろが体の成長に比例して大きくなることがある、とする[1]。

3. ひなたと おうちの ひとは かんけい する?

3. 日光と体質は、ほくろの数に関わるのか

3. 新生母斑の危険因子 ── 1232人の幼児コホート

ドイツで、2さいから 7さいの 子ども 1232人が 3年間、ほくろの ようすを しらべる 研究に ちからを かしました[3]。

この 研究では、ほくろの ふえかたと、つぎの ことが かんけい していました。色白の はだ。顔の そばかす。おとうさん、おかあさんの ほくろの 数。休みに 強い 日光にっこうを あびた こと。ふだんの 生活で あびる 紫外線しがいせん。日やけ。

ただし、「かんけいが ある」は、「それが げんいん」と 同じでは ありません。日光だけで ほくろが できるとは、この 研究からは 言えません。

ドイツの2〜7歳の幼児1232人を3年間追いかけた研究があります。研究に協力した子どもたちのほくろの増え方を調べ、どんな条件と関係するかを見たものです[3]。

この研究で、新しいほくろの増加と関連していたのは、色白の肌、顔のそばかす、両親のほくろの数、休暇などで強い日光をまとめて浴びること、日常の中程度の紫外線、日焼けでした[3]。体質(遺伝)と紫外線の両方が関わっているとみられます。

ただし、これは「関連」です。日光だけが原因だとも、遺伝だけが原因だとも言えません。そもそも、ほくろが「なぜその場所にできるのか」という最初のきっかけは、ここで使った資料では説明されていません。

ドイツの幼児1232人(2〜7歳)を3年追跡した研究では、新規メラノサイト性母斑の増加は、色白の肌・顔のそばかす・両親の母斑数・休暇時などの間欠的高照射の日光・自宅周辺での慢性的な中等度の紫外線曝露・日焼けと関連した[3]。

いずれも関連であり、日光曝露が単独の原因とは言えない。個々のほくろが生じる最初の引き金(なぜその場所か)は、ここで使った資料では確認できていない。

4. 細胞さいぼうの 中で、なにが おきて いるの?

4. ほくろの細胞に起きている「遺伝子の変化」

4. BRAF V600E変異と母斑

ほくろの 細胞さいぼうの 中には、遺伝子いでんしの かわりが 見つかる ことが あります。「BRAF(ビーラフ)」という 遺伝子いでんしです。

あるけんきゅうでは、しらべた ほくろ 77この うち 63こに、この かわりが ありました[4]。おなじ かわりは、皮ふの がんの ひとつ、メラノーマでも 見つかっています[4]。

けれど、この けんきゅうは、ほくろの だんかいでは この かわりだけで がんに なる わけでは ない、と かんがえました[4]。これは この けんきゅうで しらべた ほくろの 数で、すべての ほくろの わりあいでは ありません。

2003年の研究では、人のほくろ77検体のうち63検体(約82%)に、BRAF遺伝子の変異(V600Eと呼ばれるもの)がありました。同じ変異は、悪性黒色腫の原発巣5つのうち4つでも見つかっています[4]。

この研究は、ほくろの段階では、この変異だけで細胞ががんになるわけではないと考察しました[4]。ただし、82%はこの研究で調べた検体での値で、世の中のすべてのほくろの割合ではありません。

別の研究でも、ほくろの約8割がBRAF変異を持つとされています。その細胞の多くは、変異があっても増えるのを止めると報告されています[5]。

Pollockらは、ヒト母斑77検体中63(82%)にBRAF遺伝子の変異(当時の表記V599E、現在はV600E)を報告した。原発性悪性黒色腫では5例中4例(80%)に同変異があり、母斑の段階では変異のみで悪性化しないと考察している[4](検索結果の抜粋に基づく)。

別の研究は、母斑の約8割がBRAF変異を持つが、その細胞の多くは増殖を停止する(老化様の停止)と述べる[5]。数値は要約による引用で、原文の細かい数字は未照合のため、断定的には扱わない。82%は調べた検体での値で、全母斑の割合ではない。

5. どうして、ほくろは 止まるの?

5. 大きくなりすぎずに止まる理由は、まだ議論中

5. 増殖停止の機序 ── 老化仮説とその再検討

ふえる 力が ある 細胞さいぼうが、どうして 止まるのか。じつは、しくみは まだ ぎろん されて いて、答えは きまって いません。

むかしは、ほくろの 細胞さいぼうが 「年を とった」ように なって 止まる、という 考えが ありました。2020年の マウスの けんきゅうでは、そう かんがえる しょうこは 見つからず、細胞さいぼうどうしが おたがいに 止まる よう つたえあう ためだと 考えれば わけが わかると しました[6]。

ただし、マウスの 話です。人でも 同じかは、はっきり いえません。

ほくろの細胞が止まる理由として、細胞が「老化」したように増えなくなる、という説明が広く語られてきました[5]。

2020年にeLifeという雑誌に出たマウスの研究は、ほくろの細胞が老化している証拠は見つからなかったと報告しました。代わりに、止まった細胞が、まわりの細胞に止まることをうながす物質を出す、という細胞どうしの働きで説明できるとしました[6]。

これはマウスでの研究で、人のほくろにも同じことが当てはまるかは、まだ分かりません。「なぜ止まるのか」は、仕組みがまだ議論されている問いです。

母斑細胞が停止する機序としては、BRAF変異に伴う老化様の増殖停止(oncogene-induced senescence)が想定されてきた[5]。

Ruiz-Vegaらのマウス研究(eLife, 2020)は、母斑細胞が老化しているという証拠は見いだされず、停止した細胞が停止促進因子を放出する細胞間相互作用で説明できると報告した[6]。ヒトへの外挿は確かめられておらず、仕組みはまだ議論中である。

6. 気を つけて 見る ことは?

6. 気をつけて見るめやすと、相談のしかた

6. 良性母斑と悪性黒色腫 ── ABCDE基準と受診のめやす

ほくろの ほとんどは、心配の いらない ものです。けれど、ごくまれに、メラノサイトが がんに なる ことが あります。ほくろと まちがえないために、医者が めやすに している ことが あります[7]。

形や 色が 前と かわったり、ふちが ぼやけたり、大きく なったり、もりあがったり して 気に なった ときは、自分で きめずに、おうちの 人に 話して、病院で 見てもらいましょう[1]。

この 記事は、じぶんで しんだんする ための ものでは ありません。

悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラノサイトががん化してできる悪性腫瘍です。良性のほくろと見分けることが大切で、悪性のものには、形が左右非対称で不規則、境界がはっきりしない、色にむらがある、大きめ、盛り上がっているなどの特徴が見られることが多いとされています[7]。ほくろが悪性化することは、非常にまれです。

めやすとして、ABCDE基準が紹介されています。非対称(A)、境界(B)、色(C)、直径が約6mm以上(D)、そして、特に大人になってから新しくできたものや、今あるほくろの変化(E)です[1]。ほくろが50個以上ある人は、黒色腫のリスクが若干高くなるとも説明されています[1]。

これは、自分で「大丈夫」「あぶない」を決めるための表ではありません。気になる変化があれば、大人に話して、皮膚科の医師に相談してください。

悪性黒色腫はメラノサイトが癌化して発生する悪性腫瘍で、良性母斑との鑑別が重要となる。非対称で不規則な形、境界の不明瞭さ、色調の不均一、大きめのサイズ、隆起などが見られることが多い[7]。母斑からの悪性化は非常にまれである。

MSDマニュアルは注意のめやすとして、ABCDE(Asymmetry・Border・Color・Diameter約6mm以上・Evolving/変化)を挙げ、新規発生や既存母斑の変化を受診の目安とする。母斑が50個以上ある人は黒色腫のリスクが若干高くなるとされる[1]。これらは自己診断のための基準ではなく、気になる変化は医師に相談する材料として読む。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

ほくろの 大きさや 色を 自分で はかって きめなくても だいじょうぶです。前と ちがう、気に なる ところが あったら、おうちの 人に 話して、皮ふ科で 見てもらいましょう。

出かけて できること

プールや 海、キャンプの ときは、ぼうしや 日やけ止めで 日光を よけて みましょう。ほくろと 日光の かんけいを、体で ためすのでは ありません。

くわしく 知りたい とき

MSDマニュアルの 家ていむけの ページで 「ほくろ」を 調べると、大人むけの せつめいを 読めます。国立がん研究センターの ホームページも、あわせて 見てください。

今日できること

ほくろの変化を自分で測って判断する必要はありません。形や色、大きさに気になる変化があったら、大人に話して、皮膚科の医師に相談します。

出かけてできること

夏のプールや海では、帽子や日焼け止めを使って強い日光を避ける工夫をしてみましょう。ほくろと日光の関係を体で試すのではありません。

公式情報で調べる

MSDマニュアル家庭版の「ほくろ」の項目と、国立がん研究センターのがん情報サービスに、日本語の説明があります。

今日できること

ほくろの変化を自分で測定して判断することは勧められない。形や色、大きさの変化が気になれば、保護者を通じて皮膚科を受診する。

出典をたどる

Pollockらの論文(Nature Genetics 33, 2003)は、PubMedで要旨を読める。eLifeのRuiz-Vegaらの論文(2020)は、誰でも本文を読める。どちらも英語の資料で、要旨から読むとよい。日本語ではMSDマニュアル家庭版と国立がん研究センターの解説が入り口になる。

公式情報

国立がん研究センター、MSDマニュアル家庭版。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

数値はそれぞれの資料の記述にもとづく。研究の数字は調べた検体・対象での値で、一般化はしていない。

  1. MSDマニュアル家庭版「ほくろ」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/17-皮膚の病気/皮膚の良性腫瘍/ほくろ (ほくろの定義、時期、ABCDE、50個以上)
  2. メディカルノート「ほくろ」の解説 https://medicalnote.jp/contents/210315-002-JS (3〜4歳ごろから増える目安)
  3. Risk factors of incident melanocytic nevi: a longitudinal study in a cohort of 1232 young German children https://researchonline.jcu.edu.au/6430/ (幼児1232人の追跡研究)
  4. Pollock PM et al. High frequency of BRAF mutations in nevi. Nature Genetics 33, 2003 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12447372/ (BRAF変異の頻度)
  5. BRAF V600E melanocytes survive without senescence(PMC2684200) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2684200 (増殖停止についての別の研究)
  6. Ruiz-Vega R et al. Dynamics of nevus development. eLife, 2020 https://elifesciences.org/articles/61026 (ほくろが止まる仕組みの再検討)
  7. 国立がん研究センター がん情報サービス/東病院 https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/2021/index.html (悪性黒色腫の説明)

なおした ところ

更新履歴

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