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ここに書いてあることは、誰かが実際に手を動かして調べ、考え、作り上げてきたものを拾い集めています。専門の本や論文、作品、そしてそれを生み出した人たち。気になったことがあれば、ぜひそのおおもとに直接ふれてみてください。このメモには書ききれない熱を、感じてもらえると思います。

蚊かは、どうやって 人を みつけて、なぜ さすの?

蚊は、どうやって人を見つけるのか ── 虫よけや蚊取り線香のしくみと、あとからくるかゆみ

蚊は何をたよりに人を見つけ、なぜ刺すのか ── 息・熱・肌のにおい、虫よけと蚊取り線香、かゆみの理由

分野:生きもの

うでに はめる ナイロンの ふくろを、6じかん つけた 人が います。その ふくろを はずして、蚊かに えらばせる けんきゅうが ありました。ふくろに ついて いるのは、その 人の はだの においだけです。それでも 蚊かは、ふくろを ちゃんと えらび わけました[1]。

蚊かが よって くる ようすを 点数に すると、いちばん ひきつけた 人の ふくろは、つぎに ひきつけた 人の 4ばい、いちばん ひきつけなかった 2人の 100ばい いじょう でした。蚊かが 人を さがす てがかりの ひとつは、目に 見えない においの ようです。では、ほかの てがかりは あるのかな。むしよけや かとりせんこうは、なにを じゃま するのかな。どうして 血を すうのかな。さされた あと、どうして かゆく なるのかな。ろんぶんと、くにや とうきょうとの しりょうを 読んで、しらべました。

腕にはめたナイロンの袋を、6時間つけたまま過ごした人たちがいます。その袋を外して、蚊に選ばせる研究がありました。袋に残っているのは、その人の肌のにおいだけです。それでも蚊は、袋どうしをちゃんと選び分けました。いちばん蚊を引きつけた人の袋は、次の人の4倍、いちばん引きつけなかった2人の袋の100倍以上の点数でした[1]。

蚊が人を探す手がかりの1つは、目に見えないにおいのようです。においのほかにも、手がかりはあるのでしょうか。虫よけスプレーや蚊取り線香は、その何をじゃまするのでしょうか。なぜ血を吸うのでしょうか。刺されたあとに、なぜかゆくなるのでしょうか。論文と、国や東京都の資料を読みながら考えました。

ある研究では、8人が前腕にナイロンの袖を6時間つけ、外した袖を蚊に選ばせた。袖に残っているのは、その人の肌のにおいだけだ。それでも蚊は、袖を選び分けた。蚊を引きつける度合いを点数にすると、いちばん高かった人の袖は次に高い人の4倍、いちばん低かった2人の袖の100倍以上だった[1]。

蚊が人を探す手がかりの1つは、目に見えないにおいだ。では、ほかの手がかりはあるのか。虫よけスプレー、植物の香り、蚊取り線香は、蚊のどこをじゃまするのか。なぜ血を吸うのは一方の性だけなのか。刺されたあと、なぜあとからかゆくなるのか。論文と、国・東京都の資料を読みながら調べた。

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1. 蚊かは、なにを たよりに 人を さがすの?

1. 蚊は、何をたよりに人を探すのか

1. 蚊が人を探す手がかり ── 息、目、熱、においの順に

蚊かが 人を さがす てがかりは、ひとつでは ありません。とおい ところから じゅんばんに つかわれる ことが おおい ようです。きまった じゅんばんが ある わけでは なく、蚊かの うごきと、においや あたたかさの ならびかたが かみ あって、そう なると、せつめいされて います[3]。

まず、いきです。人の いきには、二酸化炭素にさんかたんそが 4%ほど 入って います。ふつうの くうきには 0.04%ほどしか ありません[5]。ざっと 100ばいです。蚊かは、この いきを かんじると、とびはじめると いわれて います。

つぎに、目です。いきを かんじた 蚊かは、目に つく ものへ ちかづく ように なります。人は、5〜15メートル はなれた ところから 見える ように なると、けんきゅうした 人たちは かんがえて います[3]。

ちかくに くると、からだの あたたかさや、はだの においを つかって、とまる ところを きめます。あたたかさを、はなれた ところから かんじる しくみも 見つかって います[4]。

いきを かんじる しくみを こわした 蚊かでも、大きな あみの へやの 中の 人には、すこし よわく なる だけで よって きました。ほかの てがかりが、おぎなって いる ようです[2]。ただし、これは 日本には いない ネッタイシマカの じっけんです。日本の ヒトスジシマカや アカイエカで、おなじ じゅんばんかは、わかりません。

蚊が人を刺すまでには、いくつもの手がかりが、遠い順に使われることが多いようです。反応が決まった順番で起きるわけではなく、蚊の動きと、においや熱の配置とがかみ合って、たいていその順になる、と論文は説明しています[3]。研究の多くは、デング熱などを運ぶネッタイシマカで行われたものです。日本にいるヒトスジシマカやアカイエカが、同じ順序で使っているとは限りません。

遠く:吐く息

人の息には二酸化炭素が4%ほど含まれます[2]。地球の大気の平均は、2024年で423.9 ppm、つまり0.04%ほどです[5]。息は、ふつうの空気の100倍ほどの濃さです。蚊の口のそばには二酸化炭素の濃さの変化に敏感な神経があり、二酸化炭素だけでも飛び立つ動きが強まると報告されています。息は空気の中でとぎれとぎれの筋になって流れるので、蚊はそれをたどって風上へ向かいます[2]。

中くらい:目と熱

蚊の飛び方を3次元で追った実験では、二酸化炭素を感じた蚊が、目に入る形に強く引きつけられることがわかりました。人は蚊から5〜15メートルほどで「見える」ようになる、と論文は見積もっています[3]。2024年には、蚊が体から出る熱を赤外線として感じ、中くらいの距離で向きを決めるのに使っているという報告も出ました。熱に反応するしくみは、触角の先にあり、においなど他の手がかりと組み合わせて使われます[4]。

近く:肌のにおい

近づくと、熱と肌から出るにおいの成分が、着地する場所の手がかりになります[3]。

手がかりを1つ壊した実験もあります。二酸化炭素の受容体の遺伝子を壊したネッタイシマカは、二酸化炭素に反応しなくなりました。それでも、大きな網室の中の人には、少し弱まっただけで寄ってきました。熱とにおいの組み合わせが、代わりをしているようです[2]。

血を吸う蚊はメスで、人に近づくまでに、いくつもの手がかりを遠い方から順に使うことが多い[2]。研究の多くは、デング熱などを運ぶネッタイシマカを使ったものだ。日本にいるヒトスジシマカやアカイエカが同じ順序を使っているとは限らない。van Breugel らは、二酸化炭素・視覚・熱への反応はそれぞれ独立に制御され、独立した反応が、蚊の動きと刺激の空間的な配置の相互作用によって、その順序に結びつくと説明している[3]。

遠く:吐く息

人の息には二酸化炭素が4%ほど含まれる[2]。地球の大気の平均は、2024年で423.9 ppm、つまり0.04%ほどだ[5]。息の濃度はふつうの空気の100倍ほどになる。蚊の口のそばには二酸化炭素の濃度変化に敏感な神経があり、二酸化炭素だけでも飛び立つ動きが強まると報告されている。息は空気の中で途切れ途切れの筋になって流れるので、蚊はそれをたどって風上へ向かう[2]。

中くらい:目と熱

蚊の飛行を3次元で追跡した実験では、二酸化炭素を感じた蚊が視覚的な特徴に強く引きつけられることが示された。二酸化炭素は熱を感じる仕組みのスイッチではなく、視覚への反応のスイッチだったという解釈だ。人は蚊から5〜15 mで「見える」ようになると、論文は見積もっている[3]。2024年には、蚊が体から出る熱を赤外線として感じ、中距離での方向づけに使うという報告が出た。検出には触角の先にある熱感知チャネル TRPA1 が必要で、二酸化炭素やにおいなど他の手がかりと組み合わせて使われる[4]。

近く:熱と肌のにおい

近づいたあとは、熱と肌から出る揮発成分が着地場所の手がかりになる[3]。

手がかりを1つ壊した実験もある。二酸化炭素受容体の遺伝子 Gr3 を壊したネッタイシマカは、二酸化炭素に反応しなくなった。それでも、大きな網室の中の人には、わずかに弱まる程度で寄ってきた。熱とにおいの相乗効果が、二酸化炭素なしの探索を支えているらしい[2]。手がかりは1つで決まるのではなく、複数が補い合っている。

2. 蚊かに よって こられやすい 人と、こられにくい 人が いるの?

2. 蚊に寄られやすい人と、寄られにくい人がいるのか

2. 蚊に寄られやすい人はいるのか ── 肌のにおいの研究

はじめの 8人の ふくろの 中に、ほかの 人より ずっと 蚊かを あつめる 人が 1人 いました。そのあと、64人が きょうりょくして、しらべつづけました[1]。

よって こられやすい 人の はだには、あぶらの なかまの「カルボンさん」が おおめでした。でも、その においを かんじる ところを こわした 蚊かでも、よって くる 人と こない 人を みわけました。ですから、カルボンさんだけでは、せつめいが つきません。

わかったのは、じっけんしつの ネッタイシマカと、はだの においの ことだけです。においの ちがいは、人の からだの ちがいで、よしあしでは ありません。

冒頭の実験は、2022年に学術誌 Cell に出た論文の一部です。最初の8人のうち、ほかの人よりずっと蚊を集める人が1人いました。その後、協力者は合わせて64人になり、袋を2つ並べて蚊に選ばせる装置で調べました。寄られやすさは、数年たっても大きく変わらない人がいたそうです[1]。

寄られやすい人の肌には、脂肪酸の仲間のカルボン酸が多くありました。蚊の触角には、カルボン酸を感じる受容体があります。その受容体などに変異を入れた蚊は、全体として人に寄りにくくなりましたが、それでも寄られやすい人と寄られにくい人を区別できました。カルボン酸だけでは説明しきれないということです。論文自身も、カルボン酸の量が原因だと結論づけることはできない、と書いています[1]。

調べられたのは、実験室のネッタイシマカと、肌のにおいだけです。においのちがいは、人それぞれの体のちがいで、よし悪しではありません。

冒頭の実験は、2022年に Cell 誌に出た論文の一部だ。最初の8人のうち、ほかより特別に蚊を集める人が1人見つかった。その後、協力者は合わせて64人になり、2つの袖を並べて蚊に選ばせる装置で調べた。寄られやすさは、数年たっても大きく変わらない人がいたという[1]。

寄られやすい人の肌からは、脂肪酸の仲間であるカルボン酸が多く検出された。蚊の触角には、カルボン酸を感じるイオンチャネル型の受容体がある。その受容体などに変異を入れた蚊は、全体として人に寄りにくくなったが、寄られやすい人と寄られにくい人の区別は残った[1]。カルボン酸だけでは説明しきれない。論文も、カルボン酸の量が原因だと結論づけることはできない、と書いている。

調べられたのは、実験室のネッタイシマカと、肌のにおいだけだ。息・熱・見た目まで含めた実際の場面で、刺されやすさが何で決まるかは、この研究だけではわからない。においのちがいは人それぞれの体のちがいで、よし悪しではない。

3. むしよけを つけると、どうして 蚊かが よって こないの?

3. 虫よけスプレーをつけると、なぜ蚊が寄りにくくなるのか

3. 虫よけスプレーは、蚊のどこをじゃまするのか ── ディートとイカリジン

むしよけの「有効成分ゆうこうせいぶん」は、日本では、おもに「ディート」と「イカリジン」です[9]。

蚊かは、ディートの においを、しょっかくの センサーで かんじて いる ようです。ディートは、人の においを かんじにくく させたり、蚊かが いやがる においに なったり する、と かんがえられて います[6][7]。

おもしろいのは、あしです。ディートを ぬった はだに さわると、蚊かは すぐ はなれます。さわった ことを かんじるのは、くちでは なくて、あしの さきだと しめされました[8]。

ですから、ディートの はたらきかたは、ひとつに きまって いません。とおくでは はな、さわると あし、と いくつもの みちで じゃまを して いる ようです。

ぬったあと、まもって くれる じかんは、こさで かわります。あせや みずで ながれたら、ぬりなおします[10]。つかえる ところや としの きまりは、ようきに かいて あります。おうちの 人と いっしょに 読んで ください。

虫よけは、かゆみを防ぐだけではありません。東京都は、蚊が運ぶ感染症の予防の1つとして、肌の露出を減らすことと、虫よけ剤を使うことをあげています。2014年8月には、約70年ぶりにデング熱の国内感染が確認され、162人に上りました[11]。

日本で人の肌に使う虫よけの有効成分は、おもにディート(DEET)とイカリジンです[9][10]。ディートは60年以上使われてきた合成の虫よけで、標準的なものと位置づけられてきました[7]。でも、その働き方は1つに決まっていません。

2008年の研究では、ディートが、蚊のにおい受容体(においをとらえるセンサー)の働きを妨げて、人のにおいなどへの反応を弱める、つまり「においをまぎらわす」と示されました[6]。2014年には、ネッタイイエカという蚊で、ディートやイカリジンなどが、触角のにおい受容体(OR136)を活性化させ、その受容体を減らすと避けなくなることが報告されました。蚊はディートを「におい」として感じて避けている、という見方です[7][9]。

2019年には、ディートには「におい」「飲み込んだとき」「触れたとき」の3つの働き方があり、触れたときに避けるのは、口ではなく脚の先で感じているためだと示されました。以前の実験で、においの受容体を失ったメスは、ディートがあっても人に引き寄せられましたが、ディートを塗った皮膚に触れるとすぐ離れていました[8]。

守ってくれる時間は、濃度で変わります。ディートが10%未満の製品ではおよそ1〜2時間[9]、30%では5〜8時間とされます[10]。汗や水で流れたら塗り直し、肌の出ているところにまんべんなく塗ることが勧められています[10][11]。使える年齢や回数は、製品の表示に従います。

虫よけは、かゆみ対策にとどまらない。東京都は、蚊が媒介する感染症の予防の1つとして、肌の露出を減らすことと忌避剤の使用をあげている。2014年8月には約70年ぶりにデング熱の国内感染が確認され、感染者は162名に上った[11]。

日本で人の肌に使う虫よけの有効成分は、おもにディート(DEET)とイカリジンだ[9][10]。ディートは60年以上使われてきた合成忌避剤で、標準的なものと位置づけられてきた[7]。ただし、作用機序は1つに決まっていない。

2008年の論文は、ディートが蚊やショウジョウバエの嗅覚受容体(共受容体 OR83b に依存するもの)を阻害し、誘引物質への反応を弱める、つまり「においのマスキング」を示した[6]。2014年には、ネッタイイエカで、ディート、イカリジン、IR3535、PMD が嗅覚受容体 CquiOR136 を活性化し、この受容体の発現を減らすと忌避が起きなくなることが報告された。ディートは「においとして感じられて避けられる」という見方だ[7][9]。

2019年の論文は、ディートの作用には「嗅覚」「摂食(飲み込み)」「接触」の3つがあり、接触忌避は口吻ではなく脚の跗節(ふせつ)が受け持つことを示した。以前の実験で、嗅覚の共受容体 orco を欠くメスは、ディートがあっても人に強く引き寄せられたが、ディートを塗った皮膚に触れるとすぐに離れていた[8]。著者は、ディートの作用機序を「複雑で議論がある」としている。

持続時間は濃度で変わる。ディート10%未満の製剤では概ね1〜2時間[9]、30%製品では5〜8時間とされる[10]。汗や水で流れたら塗り直し、露出部にまんべんなく塗ることが勧められている[10][11]。使える年齢や回数は製品ごとの表示に従う。

4. くさや きの においだけで、蚊かは よって こなく なるの?

4. 植物の香りだけで、本当に虫よけになるのか

4. 植物の香りだけで虫よけはできるのか ── 精油、レモンユーカリ、ジャスモン酸メチル

2002ねんに、いがくの ざっしに のった ろんぶんが あります。15人が きょうりょくして、アメリカで うられて いた むしよけを、蚊かの まえで ためしました[12]。

1かいも さされない じかんの へいきんは、ディートが 23.8%の ものが 301ぷん、およそ 5じかんでした。だいずの あぶらの ものは 94ぷんでした。ほかの しょくぶつの ものは、どれも 20ぷんより みじかかった そうです。

においの せいぶんは、すぐ くうきに にげて しまうので、ながく もたないのです[13]。ただし、これは 2002ねんの アメリカの しょうひんの はなしです。いまの しょうひんの ぜんぶでは ありません。

いっぽうで、しょくぶつから とった せいぶんでも、ちゃんと しらべて みとめられた ものが あります。アメリカの CDC が すすめる せいぶんの リストには、レモンユーカリの あぶらなどが 入って います[14]。

もうひとつ、おもしろい はなしが あります。蚊かの はなの センサーの 1つは、ディートだけでなく、しょくぶつが みを まもる ときに つかう ぶっしつにも はんのうしました[7]。

2002年に医学雑誌 New England Journal of Medicine に、市販の虫よけを蚊の前で試した実験が出ました。15人が協力し、植物由来の虫よけ7製品、ディート入り4製品、IR3535入り1製品、虫よけ成分入りのリストバンド3つ、保湿剤を試しています。蚊の種類、年齢、空腹度、温度、湿度、明るさを一定にした実験室での試験です[12]。

1回も刺されずにすんだ時間の平均は、ディート23.8%の製品で301.5分、大豆油ベースの製品で94.6分、IR3535で22.9分でした。ほかの植物由来の製品はどれも20分に満たず、リストバンドは効果がありませんでした[12]。ただし、これは2002年の米国の市販品の結果で、いまの製品全体の話ではありません。

植物のにおいの成分は蒸発しやすく、塗った直後は避けられても、すぐに蒸発して守られなくなる、とマイアらの総説は説明します。バニリンのような大きな分子と混ぜて蒸発をおそくする工夫もありますが、WHOの試験手順に沿って調べた研究は足りない、といいます[13]。

植物由来でも、評価されている成分はあります。米国のCDC(疾病対策センター)は、米国環境保護庁(EPA)に登録された有効成分として、ディート、ピカリジン(イカリジン)、IR3535のほかに、レモンユーカリ油(OLE)、PMD、2-ウンデカノンをあげています。EPAに登録されていない虫よけは、天然のものを含め、効果はわからないとも書いています。OLEやPMDを含む製品は、3歳未満には使わないよう案内しています[14]。

植物と蚊の鼻のつながりも見つかっています。ネッタイイエカの受容体OR136は、ディートだけでなく、植物が身を守るときの物質からできるジャスモン酸メチルにも反応しました。植物が身を守る物質と、人が作った虫よけのあいだに、長い進化の歴史でのつながりがあるかもしれない、と論文は述べています[7]。植物の香りを蚊が感じることは確かでも、避けさせる強さと長さは、成分・濃度・作り方で大きく変わるようです。

2002年、New England Journal of Medicine に、市販の虫よけを蚊の前で試した実験が載った。15人の協力者が、植物由来の虫よけ7製品、ディート入り4製品、IR3535入り1製品、忌避成分入りのリストバンド3つ、保湿剤を試した。蚊の種、年齢、空腹度、湿度、温度、明暗周期を一定にした実験室内の試験だ[12]。

刺されずにすんだ時間(complete protection time)の平均は、ディート23.8%の製品で301.5分、大豆油ベースの製品で94.6分、IR3535で22.9分。ほかの植物由来の製品はどれも20分に満たず、リストバンドは保護効果がなかった。結論は、非ディート系の製品は長時間の保護を期待できない、というものだ[12]。ただし、これは2002年の米国の市販品の結果で、いまの製品全体の話ではない。

マイアらの総説は、植物由来の有効成分は揮発しやすく、塗った直後は忌避効果があっても、すぐに蒸発して無防備になると説明する。精油をバニリン(5%)のような大きな分子と混ぜて放出速度を下げる工夫はあるが、WHOの忌避剤試験の手順(WHOPES)に沿った研究は足りない、という[13]。

一方で、植物由来でも評価されている成分はある。米国CDCは、米国環境保護庁(EPA)に登録された有効成分として、DEET、ピカリジン(イカリジン)、IR3535のほかに、レモンユーカリ油(OLE)、PMD、2-ウンデカノンをあげ、OLEと2-ウンデカノンは植物由来だと説明する。EPAに登録されていない虫よけは、天然のものを含め、効果はわからないとも書く。OLEとPMDを含む製品は、3歳未満には使わないよう案内している[14]。

植物と蚊の鼻のつながりも見つかっている。ネッタイイエカの受容体 CquiOR136 は、ディートだけでなく、植物の防御に関わるジャスモン酸から作られるジャスモン酸メチルにも反応した。論文は、植物との長い進化の歴史をもつ天然物と、合成忌避剤のあいだに関連があるかもしれない、と述べる[7]。植物の香りを蚊が感じるのは確かでも、避けさせる強さと長さは、成分・濃度・製剤で大きく変わる。

5. かとりせんこうは、どうやって 蚊かを とおざけるの?

5. 蚊取り線香は、どうやって蚊を遠ざけるのか

5. 蚊取り線香 ── 除虫菊の花から渦巻きまで、成分が広がって蚊に届く

かとりせんこうの もとに なった じょちゅうぎくは、はなに、虫に はたらく せいぶん(ピレトリン)を もつ くさです。かわかした はなに 1.3%ほど 入って いて、はや くきには ほとんど ありません[16]。

1890ねんには、ぼうの かたちの せんこうが うられました。でも、けむりが ほそく、40ぷんくらいしか もえませんでした。1895ねん、はつめいした 上山英一郎うえやまえいいちろうさんの おくさんの ゆきさんが、「うずまきに したら ながく もつのでは」と いいました。1902ねんに、せかいで はじめての うずまきの かとりせんこうが うられました[15]。

いまの「金鳥の渦巻うずまき」は、1まきが 75センチ あります。つよさが かわらずに 7じかんほど つづくと、せつめいされて います[16][18]。

ききめの もとは、けむりでは なくて、ひで あたためられて くうきに 出る せいぶんです。せいぶんは、もえて いる ところの すこし てまえ、250どくらいの ところから くうきに 出ます[17]。

この せいぶんは、蚊かの しんけいに はたらきます[20]。蚊かは、ちかづきにくく なったり、とべなく なったり、しんだり すると いわれて います。ただ、どれが どのくらいかは、まだ はっきりして いません[21]。

ひを つかう ものなので、つかう ときは おとなと いっしょに してください。

蚊取り線香の元になった除虫菊じょちゅうぎく(シロバナムシヨケギク)は、花に殺虫成分のピレトリンをもつ植物です。乾かした花には1.3%ほど含まれ、葉や茎にはほとんどありません[16]。

大日本除虫菊(金鳥)をつくった上山英一郎うえやまえいいちろうは、1886年から除虫菊の栽培を研究しました。1890年には、仏壇の線香をヒントに棒状の蚊取り線香を売り出しましたが、煙が細く、成分の量も少なく、燃える時間は40分ほどでした。1895年、妻のゆきが「渦巻き型にすれば長持ちするのでは」と思いつき、それをきっかけに改良が始まります。1902年に、世界初の渦巻き型の蚊取り線香が発売されました[15]。いまの「金鳥の渦巻」は1巻が75cmで、安定した効果が約7時間続くと説明されています[16][18]。

蚊取り線香は、ピレスロイド(除虫菊のピレトリンや、それに似せて合成した成分)を木粉などに混ぜ、渦巻き状に固めたものです。燃える熱で成分が空気中に出て、煙といっしょに広がります[19]。金鳥の説明では、成分の1つのアレスリンは、燃える部分(700〜800℃)の6〜8mm手前、約250℃のところから空気中に出ます[17]。効果の本体は、煙ではなく、熱で空気中に出た成分のほうです。

ピレスロイドは、虫の皮膚や口から入って神経に働き、まひさせます[20]。蚊取り線香のように、ピレスロイドを空気中に出して蚊から守るしかけは、「揮発性ピレスロイド空間忌避剤」とよばれます。これを調べた58件の研究をまとめた2025年の報告では、蚊に刺されるのを防ぐ効果は平均56%(95%信頼区間 50〜62%)でした[22]。2012年の総説は、蚊取り線香などは、蚊を死なせる、入りにくくする、遠ざける、血を吸いにくくする、といった働きをもつと整理しています。ただし、屋外での効果や、どれだけ離れても効果があるかを示す資料は足りない、としています[21]。「遠ざける」「まひさせる」「死なせる」のどれがどの程度なのかは、試験の方法がそろっておらず、まだ整理の途中です。

蚊取り線香の原料の除虫菊(シロバナムシヨケギク)は、殺虫成分のピレトリンを花にもつ。乾燥した花に約1.3%含まれ、葉や茎にはほとんどない[16]。

大日本除虫菊(金鳥)を興した上山英一郎うえやまえいいちろうは、1886年から除虫菊の栽培研究を始めた。1890年に仏壇線香をヒントに棒状の蚊取り線香を売り出したが、煙が細く、揮散する成分も少なく、燃焼時間は約40分だった。1895年、妻・ゆきの「渦巻き型にすれば長持ちするのでは」という発想をきっかけに改良に着手し、1902年に世界初の渦巻き型が発売された[15]。現在の「金鳥の渦巻」は1巻が75cm、安定した効果が約7時間続くと説明されている[16][18]。

蚊取り線香は、ピレスロイド(除虫菊のピレトリンと、それに似せて合成した成分の総称)を木粉などに混ぜて渦巻状に打ち抜き、乾燥させたものだ。燃焼熱で有効成分が揮散し、煙とともに広がる[19]。金鳥の説明では、合成ピレスロイドのアレスリンは、燃焼部分(700〜800℃)の6〜8 mm手前、約250℃の部分から揮散する[17]。効果の本体は、煙ではなく揮散した成分である。

ピレスロイドは、虫の皮膚や口から入って神経に作用し、まひさせる[20]。ピレスロイドを空気中に揮散させて蚊から守るしかけ(揮発性ピレスロイド空間忌避剤。蚊取り線香もこの仲間だ)について、58件の研究を統合した2025年の系統的レビューは、蚊に刺されるのを防ぐ効果を平均56%(95%信頼区間 50〜62%)と報告している[22]。2012年の総説は、蚊取り線香やエミッターが、致死、忌避、侵入阻止、吸血阻害をもたらすと整理する一方、屋外での効力、用量反応、有効距離のデータは不十分だとしている[21]。「遠ざける」「まひさせる」「死なせる」のどれがどの程度かは、試験方法がそろっておらず、まだ整理の途中だ。

6. どうして 血を すうの? すうのは オス? メス?

6. 蚊はなぜ人の血を吸うのか ── 吸うのはオスかメスか

6. 蚊はなぜ血を吸うのか ── 吸血するのはメスだけで、目的は卵

血を すうのは、メスだけです。オスは、血を すいません。血を すわない メスの しゅるいも います[23]。オスも メスも、ふだんは 花の みつなどの あまい ものを すって、うごく ちからに して います[24]。

血を すう しゅるいの メスが 血を すうのは、たまごを そだてる ための たんぱくしつが ほしいからです[2]。たまごを うんだら、また 血を さがします。これを 3〜4かい くりかえします[11]。

ちかの ビルなどに いる チカイエカは、はじめの たまごを、血を すわずに うみます。ヒトスジシマカは ひるま、アカイエカは よるに 血を すいます[11]。

むしよけや かとりせんこうで おいはらわれても、蚊かが なんども やって くるのは、たまごの ために 血が ひつような メスだから、と かんがえられて います。

血を吸うのはメスだけです。オスは血を吸いません。血を吸わない種のメスもいます[23]。オスもメスも、ふだんは花の蜜などの糖分を吸って生きています。エネルギーとしては、糖と血は置き換えられますが、たいていの種のメスは、卵を育てるには血が、生きて飛ぶには糖が必要です[24]。血は、卵を育てるためのたんぱく質源として使われます[2]。

吸血のあと、メスは水際や水面に卵を産み、この吸血と産卵は3〜4回くりかえされます。アカイエカは、100〜150個の卵を舟のような形の塊にして水面に産みます[11]。例外もあり、ビルの地下などにいるチカイエカは、最初の産卵は血を吸わずに行います。ヒトスジシマカは昼間、アカイエカは夜に血を吸い、ヒトスジシマカの行動範囲は半径100〜150mほどです[11]。

虫よけや蚊取り線香で遠ざけられても、蚊がまた寄ってくるのは、血を吸う種のメスにとって、血が卵のために欠かせないからだと考えられます。

血を吸うのはメスだけで、オスは血を吸わない。ただし、血を吸わない種のメスもいる[23]。オスもメスも、ふだんは花の蜜などの糖を摂る。エネルギーとしては糖と血は置き換えられるが、たいていの種のメスは、卵を育てるには血、生きて飛ぶには糖が必要だ[24]。血は、卵の発育に必要なたんぱく質源として使われる[2]。

吸血後、メスは水際や水面に産卵し、この吸血と産卵は3〜4回繰り返される。アカイエカは100〜150個の卵を舟の形の卵塊にして水面に産む[11]。例外もあり、ビルの地下などにいるチカイエカは、初回の産卵を無吸血で行う。ヒトスジシマカは昼間吸血性、アカイエカは夜間吸血性で、ヒトスジシマカの活動範囲は半径100〜150 mほどと狭い[11]。

虫よけや蚊取り線香で遠ざけられても蚊がまた寄ってくるのは、血を吸う種のメスにとって、血が卵のために欠かせないからだと考えられる。

7. さされた あと、どうして あとから かゆく なるの?

7. 刺されたあと、なぜあとからかゆくなるのか

7. 刺されたあとのかゆみ ── 唾液への免疫反応、即時型と遅延型

蚊かは、はりのような くちを はだに さして、血を すいます。そのとき、唾液だえきも いっしょに 入れます。唾液だえきには、血が かたまりにくく なる ものなどが 入って いて、血を すいやすく して います[25]。

かゆみは、この 唾液だえきに、からだの めんえきが はんのう した ものです[26]。ぷくっと ふくれるのは、さされて すぐです。あとから かたく ふくれるのは、1〜2日 あとに 出ます[28]。

はんのうは、さされた かいすうで かわります。さいしょは、あとから 出る ほうだけです。くりかえし さされると、すぐ 出る ほうも 出ます。ながい あいだ さされ つづけると、はんのうが よわく なる 人も いる ようです[28][27]。

蚊は、針のような口を皮膚に刺して血を吸います。そのとき、唾液も注入します。血は空気にふれると固まり、傷ついた血管は縮み、血小板が集まって傷をふさぎます。蚊の唾液には、血を固まりにくくする成分、血小板のはたらきを妨げる成分、血管を広げる成分があり、血を吸いやすくしています[25]。

かゆみは、この唾液に対する体の免疫反応です。反応は2種類あります。刺されてすぐ出る「即時型」と、1〜2日後に出る「遅延型」です[28]。ふくれる反応は、IgE抗体が関わる典型的なアレルギー反応で、遅れて出る硬いふくらみは、好酸球が関わる反応か、リンパ球が関わる反応だと考えられています[26]。

反応は、刺された回数で変わります。最初は遅延型だけで、くりかえし刺されると即時型も出ます[28]。子どものころから青年期にかけて、または長いあいだ刺され続けることで、反応が弱まることがあります[27]。ラップランドのように蚊の多い土地に住む人には、蚊に刺されても反応が出にくくなる人が多いと報告されています[26]。

蚊は、針状の口吻を皮膚に刺して血を吸う。そのとき唾液も注入する。宿主の体は、血液凝固、血小板の凝集、血管収縮によって出血を止めようとするが、蚊は唾液に含まれる抗凝固物質、抗血小板物質、血管拡張物質で、これに対抗する[25]。

かゆみは、この唾液に対する免疫反応だ。反応は大きく2種類ある。刺された直後に出る即時型と、1〜2日後に出る遅延型だ[28]。ふくらむ即時型は、IgE抗体が関わる古典的なI型アレルギー反応で、遅れて出る丘疹は、好酸球が関わる遅発相反応か、リンパ球が関わるIV型反応と考えられている[26]。免疫の応答なので、唾液に体が反応するようになるには、刺された経験が要る。

反応は、刺された回数で変わる。最初は遅延型だけで、くり返し刺されると即時型も出る[28]。小児期から思春期にかけて、または長期間刺され続けることで、反応が弱まる脱感作が起きることがある[27]。ラップランドのように蚊の多い地域では、刺されても反応が出にくくなる人が多く、IgE抗体が少なく、IgG4抗体が多いという報告がある[26]。

8. じぶんで しらべて みよう

8. 自分でも調べてみたくなったら

8. 自分でも調べてみたくなったら

おうちの 人と いっしょに、むしよけの スプレーや かとりせんこうの はこを 見て みましょう。はこの うらに「有効成分ゆうこうせいぶん」と かいて ある ところが あります。「ディート」「イカリジン」「ピレスロイド」など、なまえと パーセントを、ノートに うつして みましょう。

その なまえは、蚊かの どこに はたらく ものでしょうか。はなの センサーでしょうか、しんけいでしょうか。この メモを もどって さがして みて ください。「しぜん」と かいて ある ものは、どの せいぶんが 入って いるかも、かいて ありますか。はこを 見るだけで いいので、スプレーを だしたり、ひを つけたり しなくても だいじょうぶです。

家にある虫よけスプレーや蚊取り線香の箱を見て、裏の「有効成分」を書き写してみましょう。ディート、イカリジン、ピレスロイドなど、成分の名前と濃度がわかります。それぞれが、蚊の「においの受容体」をじゃまするものか、「神経」に働くものかを、この記事の第3章と第5章にもどって分けてみてください。「天然」「植物由来」と書かれた製品は、成分の名前と濃度が書かれているかも見比べてみましょう。箱を見るだけで十分です。スプレーを出したり、火をつけたりする必要はありません。

論文にも、無料で読める概要があります。第4章の Fradin と Day の論文[12]は、実験の設計、試した製品、結果の数字が要旨に並んでいて、英語でも数字をたどれば読めます。

家庭にある虫よけスプレーや蚊取り線香の箱を見て、有効成分と濃度、使用上の注意、対象の年齢を書き出してみる。成分名から、蚊の嗅覚受容体に働くもの(ディート、イカリジン)か、神経に働くもの(ピレスロイド)かを分けると、この記事の第3章と第5章がつながる。「天然」「植物由来」とうたう製品が、成分名・濃度・効果の根拠を表示しているかも見比べられる。箱を見るだけでよく、スプレーを出したり火をつけたりする必要はない。

原典を読み比べるなら、植物由来の虫よけについては Fradin と Day の実験の要旨[12]、マイアらの総説[13]、CDCの案内[14]を並べるとよい。蚊の探索行動は McMeniman ら[2]、van Breugel ら[3]、Chandel ら[4]の要旨が、二酸化炭素・視覚・熱の順に読める。ディートの作用機序は、Ditzen ら[6]、Xu ら[7]、Afify ら[8]の要旨を並べると、見方がどう変わったかがわかる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

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  1. De Obaldia ME ほか「Differential mosquito attraction to humans is associated with skin-derived carboxylic acid levels」Cell 185巻22号、2022年。 https://doi.org/10.1016/j.cell.2022.09.034 (肌のにおいをつけたナイロンの袖で寄りやすさを比べた実験、カルボン酸が多い、因果は結論できない)
  2. McMeniman CJ ほか「Multimodal integration of carbon dioxide and other sensory cues drives mosquito attraction to humans」Cell 156巻5号、2014年。 https://doi.org/10.1016/j.cell.2013.12.044 (息の二酸化炭素は約4%、二酸化炭素受容体 Gr3 を壊した蚊の実験、熱とにおいの組み合わせ、血は卵の発育に必要なたんぱく質源)
  3. van Breugel F ほか「Mosquitoes use vision to associate odor plumes with thermal targets」Current Biology 25巻16号、2015年。 https://doi.org/10.1016/j.cub.2015.06.046 (二酸化炭素が視覚への強い引きつけを起こす、人が5〜15 mで見えるようになる)
  4. Chandel A ほか「Thermal infrared directs host-seeking behaviour in Aedes aegypti mosquitoes」Nature、2024年。 https://doi.org/10.1038/s41586-024-07848-5 (赤外線を触角の先で感じ、中距離の方向づけに使う、TRPA1)
  5. 気象庁「WMO 温室効果ガス年報(GHG Bulletin)」2025年10月16日発表。 https://www.jma.go.jp/jma/press/2510/16a/GHG_Bulletin_20251016.html (2024年の二酸化炭素の世界平均濃度 423.9 ppm)
  6. Ditzen M, Pellegrino M, Vosshall LB「Insect odorant receptors are molecular targets of the insect repellent DEET」Science 319巻5871号、2008年。 https://doi.org/10.1126/science.1153121 (ディートがにおいの受容体を阻害して誘引物質への反応を弱める)
  7. Xu P ほか「Mosquito odorant receptor for DEET and methyl jasmonate」PNAS、2014年。 https://doi.org/10.1073/pnas.1417244111 (ネッタイイエカの受容体 CquiOR136 がディート・ピカリジン・IR3535・PMD とジャスモン酸メチルに反応、ディートは60年ほど使われる標準的な虫よけ)
  8. Afify A ほか「Aedes aegypti mosquitoes use their legs to sense DEET on contact」Current Biology 29巻9号、2019年。 https://doi.org/10.1016/j.cub.2019.04.004 (ディートは嗅覚・摂食・接触の3つで作用、接触は脚の跗節が感じる、作用機序は複雑で議論がある)
  9. 葛西真治・冨田隆史「ジカウイルス感染症媒介蚊の殺虫剤抵抗性と忌避剤の有効性」IASR 37巻6号(2016年)、国立感染症研究所(現・国立健康危機管理研究機構)。 https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/6611-437r06.html (ディートとイカリジンの効力、ディート10%未満の効力持続はおよそ1〜2時間、OR136が複数の忌避成分の検知に関わる)
  10. 国立国際医療研究センター トラベルクリニック「蚊やダニに刺されないために」(2024年9月情報更新)。 https://travelclinic.jihs.go.jp/006/mushiyoke.pdf (ディート30%とイカリジン15%の持続時間の目安、汗や水で流れたら塗り直し)
  11. 東京都保健医療局『施設管理者向け 蚊の発生防止対策 ~蚊媒介感染症防止のために~』2024年6月。 https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/r6kapanhu (2014年のデング熱国内感染162名、忌避剤と肌の露出を減らす対策、ヒトスジシマカ・アカイエカ・チカイエカの生態、吸血と産卵は3〜4回)
  12. Fradin MS, Day JF「Comparative efficacy of insect repellents against mosquito bites」New England Journal of Medicine 347巻1号、2002年。 https://doi.org/10.1056/NEJMoa011699 (15人の協力者、ディート23.8%で301.5分、大豆油94.6分、IR3535 22.9分、ほかの植物由来は20分未満)
  13. Maia MF, Moore SJ「Plant-based insect repellents: a review of their efficacy, development and testing」Malaria Journal 10巻補冊1、2011年。 https://doi.org/10.1186/1475-2875-10-S1-S11 (植物由来成分は揮発しやすく効果が短い、バニリンで放出を遅らせる工夫、標準的な試験が不足)
  14. 米国CDC(疾病対策センター)「Preventing Mosquito Bites」。 https://www.cdc.gov/mosquitoes/prevention/index.html (EPA登録の有効成分の一覧、OLE・PMDは3歳未満に使わない、EPA未登録の天然のものは効果不明)
  15. 和歌山県文化情報アーカイブ「上山 英一郎」。 https://wave.pref.wakayama.lg.jp/bunka-archive/senjin/ueyama.html (1886年に除虫菊の栽培研究、1890年に棒状の蚊取り線香、1895年に妻ゆきの発案、1902年に世界初の渦巻き型)
  16. KINCHO 大日本除虫菊 工場見学「工場長に聞く 詳細な話コース」。 https://www.kincho.co.jp/factory/listen/detail.html (渦巻1巻は75cm・13g、ピレトリンは乾燥した花に約1.3%、葉や茎にはほとんどない)
  17. KINCHO ウルトラ害虫大百科 害虫コラム「蚊取り線香、ためになるQ&A」。 https://www.kincho.co.jp/gaichu/column/katori.html (アレスリンは燃焼部分の6〜8mm手前、約250℃のところから揮散する)
  18. KINCHO「天然除虫菊 金鳥の渦巻」製品情報。 https://www.kincho.co.jp/seihin/insecticide/kincho_uzumaki/tennen_jyotyugiku/index.html (安定した効果が約7時間持続)
  19. 日本家庭用殺虫剤工業会「蚊取線香」。 https://www.sacchuzai.jp/pesticide_type/…(蚊取線香) (ピレスロイドを木粉などに混ぜて渦巻状にしたもの、燃焼の熱で成分が揮散し煙と一緒に広がる)
  20. KINCHO ウルトラ害虫大百科 害虫コラム「ピレスロイドの特長は?」。 https://www.kincho.co.jp/gaichu/column/piresroid.html (ピレスロイドは害虫の皮膚や口から入り神経に作用してまひさせる)
  21. Ogoma SB, Moore SJ, Maia MF「A systematic review of mosquito coils and passive emanators: defining recommendations for spatial repellency testing methodologies」Parasites & Vectors 5巻、2012年。 https://doi.org/10.1186/1756-3305-5-287 (蚊取り線香などは致死・忌避・侵入阻止・吸血阻害をもたらす、屋外の効力や有効距離のデータは不十分)
  22. Chen I ほか「Volatile pyrethroid spatial repellents for preventing mosquito bites: a systematic review and meta-analysis」EBioMedicine 119巻、2025年。 https://doi.org/10.1016/j.ebiom.2025.105891 (58件の研究の統合で、刺されるのを防ぐ効果は平均56%、95%信頼区間50〜62%)
  23. 国立国会図書館 レファレンス協同データベース「雌の蚊だけ血を吸うと聞きました。本当ですか?雄は何を食べるんですか?」(北九州市立中央図書館)。 https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000163450&page=ref_view (血を吸うのは雌だけで雄は吸わない、雄も雌も花の蜜などを栄養にする)
  24. Foster WA「Mosquito sugar feeding and reproductive energetics」Annual Review of Entomology 40巻、1995年。 https://doi.org/10.1146/annurev.en.40.010195.002303 (雄雌とも植物の糖を頻繁に摂る、糖と血は置き換えられるが、たいていの種のメスは卵に血・生存と飛行に糖が必要)
  25. Ribeiro JMC「Blood-feeding in mosquitoes: probing time and salivary gland anti-haemostatic activities in representatives of three genera (Aedes, Anopheles, Culex)」Medical and Veterinary Entomology 14巻、2000年。 https://doi.org/10.1046/j.1365-2915.2000.00227.x (唾液に抗凝固・抗血小板・血管拡張の成分がある)
  26. Reunala T, Brummer-Korvenkontio H, Palosuo T「Are we really allergic to mosquito bites?」Annals of Medicine 26巻4号、1994年。 https://doi.org/10.3109/07853899409147906 (即時のふくらみと遅れて出る丘疹、I型アレルギー、ラップランドの人の耐性)
  27. Peng Z, Simons FER「Mosquito allergy: immune mechanisms and recombinant salivary allergens」International Archives of Allergy and Immunology 133巻2号、2004年。 https://doi.org/10.1159/000076787 (蚊刺されの反応は免疫による、子どものころや長期の曝露で反応が弱まることがある)
  28. 池田模範堂「虫刺され(虫刺症)によるアレルギー反応」虫さされ情報館。 https://www.ikedamohando.co.jp/study/insect-bite-info/reaction-of-allergy.html (即時型は直後、遅延型は1〜2日後、最初は遅延型のみ、くり返し刺されると即時型も出る)

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