1. いちばん ふるい 本には なんと かいて ある?
1. 古代ローマの本に書かれていたのは「茂み」
1. プリニウス『博物誌』10巻──「砂」ではなく「茂み」
この はなしの いちばん ふるい きろくと されるのは、二千ねん ちかく まえの ローマの 本です。かいた 人は、プリニウス。しぜんの ことを ぜんぶ 本に まとめようと した 人と いわれます[2]。
その 本には、ダチョウが くびを しげみに かくして、からだ ぜんぶが かくれたと おもいこむ、と かいて あります[1]。
ここに、すなは でて きません。「しげみ」です。
2. あたまが ひくく なるのは、どんな とき?
2. ダチョウの頭が地面に近づく3つの場面
2. 頭が地面に近づく3つの行動──卵・砂・伏せ
ダチョウは たしかに、あたまを じめんの ちかくまで さげる ことが あります。
ひとつめは、すの なかで たまごを ころがす とき。くちばしで そっと まわします[3]。まわすと、たまごが あたたまり かたが そろうから、と いわれます[4]。
ふたつめは、すなや 小石を のむ とき。おなかの 中で たべものを すりつぶすのを たすけます[3]。
みっつめは、にげられない とき。じめんに ふせて、じっと します[5]。
ダチョウは、頭を地面近くまで下げる場面をいくつか持っています。
ひとつめは、巣で卵の世話をするときです。くちばしで卵を回すために、頭を低くします[3]。回すのは、熱を卵全体に均等に届けるためと説明されています[4]。
ふたつめは、砂や小石を飲みこむときです。胃の中で食べ物をすりつぶすのを助けるためで、そのために餌をついばむ頭が地面へ近づきます[3]。
みっつめは、逃げられない危険を感じたときです。地面に伏せて動かず、頭と首を地面に平らにつけます[5]。ここで大事なのは、頭を「埋める」のではなく「平らにつける」という点です。
頭が地面に近づく場面は少なくとも3つ報告されている。第一に、巣で卵を回すとき。スミソニアン国立動物園は、ダチョウが巣の世話中にくちばしで卵を回すため頭を地面近くまで下げると説明し、この行動が俗説の一因かもしれないとしている[3]。卵を回す理由について、BBC Science Focusは熱を均等にするためと説明する[4]。
第二に、砂や小石の摂取。砂嚢(胃の一部)で食べ物をすりつぶすのを助けるためで、餌をついばむ形で頭が地面に近づく[3]。第三に、逃げられない危険を感じたときの伏せ。頭と首を地面に平らにつけてじっとする[5]。
いずれも頭は「埋まる」のでなく「低くなる」だけで、由来が卵を回す行動だという説明も推定にとどまる。
3. とおくから 見ると、どう 見える?
3. 遠くから見ると、埋めたように見える理由
3. 遠目の見え方──頭の色と体の大きさ
ダチョウの あたまと くびは、うすい 色です。つちの 色に にて います[5]。
だから とおくから 見ると、あたまが つちに とけこんで、すなに うまって いるように 見える ことが あるのです、と どうぶつえんは せつめいして います。
ダチョウは 世界で いちばん 大きな とりです。せは 2メートルを こえる ことも あります[5]。その ダチョウが すに ふせると、くびの さきの あたまは、とおくから は 見えにくく なります。
4. ほんとうは、あぶない とき どうする?
4. 本当の身の守り方は、まず走ること
4. 実際の防御行動──走る、蹴る、伏せる
5. ことばに なった はなし
5. 慣用句になった俗説
5. 「bury your head in the sand」──慣用句への広がり
えいごには、「あたまを すなに うめる」と いう ことばが あります。つごうの わるい ことから 目を そらす、と いう いみです[7]。
ダチョウは そんな ことを して いないのに、ことばだけが のこりました。人の くせの たとえに つかわれた のです。
英語には「bury your head in the sand(頭を砂に埋める)」という慣用句があります。都合の悪い現実から目をそらす、という意味で、この俗説から来た言い方です[7]。
フレーズ辞典は、この話を最初に記録したのがプリニウスだと説明しています。ただしその文章は茂みの話で、慣用句がいつ生まれたかは、はっきりしていません。
英語の慣用句「bury your head in the sand」は、都合の悪い現実から目をそらす意味で使われ、この俗説に由来する。Phrases.org.ukは、この話を最初に記録したのはプリニウスで、ダチョウが頭を茂みに隠すと書いたと説明する[7]。
慣用句がいつから使われたかは、はっきりしていない。動物の実際の行動とは別に、比喩だけが独り歩きした例と見ることができる。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちの ゆかや つくえに、ちゃいろい かみを おいて、その 上に ちゃいろい ものを のせて みましょう。ちかくで 見る ときと、へやの すみから 見る ときで、どう ちがう でしょう。
ダチョウの いる どうぶつえんへ いったら、あたまを さげる ところを さがして みましょう。なんの ために さげて いるのか、かんがえて みます。
今日できること:家の中で、茶色い紙の上に茶色の小物を置き、少しずつ離れながら見え方を確かめてみます。近くではっきり見えるものが、遠くでどう見えなくなるかが分かります。
出かけてできること:ダチョウのいる動物園なら、頭を下げる場面を探して、何をしているところなのか考えてみます。飼育員さんの解説があれば、聞いてみるのもよい方法です。
資料を読むなら:ナショナルジオグラフィック日本版のダチョウの記事が、日本語で読めます。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:プリニウスの英訳、動物園の公式解説、科学記事、フレーズ辞典を突き合わせて使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- Pliny the Elder, Natural History, Book 10(Attalus訳)。https://www.attalus.org/pliny/hn10a.html (ダチョウが首を茂みに隠すという一文について)
- ABC Science, Kruszelnicki, 2006. https://www.abc.net.au/science/articles/2006/11/02/1777947.htm (プリニウスの人物と、歴史家の推定について)
- Smithsonian's National Zoo, Ostrich. https://nationalzoo.si.edu/animals/ostrich (卵を回す行動、砂や小石を飲むこと、走る速さについて)
- BBC Science Focus, Do ostriches really bury their head in the sand? https://www.sciencefocus.com/nature/do-ostriches-really-bury-their-head-in-the-sand (卵を回す理由について)
- San Diego Zoo, Ostrich. https://animals.sandiegozoo.org/animals/ostrich (頭の色、伏せる行動、体の大きさについて)
- ナショナル ジオグラフィック日本版(ダチョウの記事)。https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/081400469/ (走る速さについて)
- Phrases.org.uk, Bury your head in the sand. https://www.phrases.org.uk/meanings/bury-your-head-in-the-sand.html (慣用句の意味と、プリニウスの記録について)
なおした ところ
更新履歴
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