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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

オゾンホールは、いま どうなって いるの?

ニュースで聞かなくなったオゾンホールは、その後どうなったのか

フロンとオゾン層のその後 ── モントリオール議定書(1987年)から2025年の観測、キガリ改正まで

分野:自然

むかし、「オゾンホール」という ことばを、よく ニュースで きいた そうです。さいきんは あまり きかなく なりました。

なくなったのでしょうか。それとも、ただ ニュースに ならなく なっただけでしょうか。しらべた ことを、じゅんばんに はなします。

1980年代から90年代にかけて、オゾンホールは大きなニュースでした。今はあまり聞きません。なくなったのか、小さくなっただけなのか、気になって調べました。

2025年の観測値から始めて、原因のフロンが見つかるまで、世界で規制が決まるまで、そのあとの回復のようすと残った宿題を、順に見ていきます。

2025年の南極オゾンホールは、9月9日に年最大の2,280万km²となり、最近10年の平均程度だった[5]。気象庁は、年最大面積が2000年頃から減少しているとみている一方、1980年代以前より依然として大きいとも述べている[5]。

このメモでは、フロンの登場(1928年)、オゾン層破壊の仮説(1974年)、南極での観測(1985年)、議定書による規制(1987年)を確認したうえで、その後の回復の見通しと、代替フロン(HFC)をめぐるキガリ改正(2016年)を、気象庁・NASA・WMO/UNEPなどの資料をつき合わせてたどる。

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1. いまの オゾンホールは、どのくらい?

1. 2025年のオゾンホールは、どのくらいの大きさだったか

1. 2025年の観測値 ── 気象庁とNASA/NOAAの発表

オゾンホールは、みなみの はての なんきょくの 空に できる、オゾンが うすく なった ところです。「あな」が あいて いるのでは ありません。

2025年は、9月9日に いちばん ひろく なりました。きしょうちょうの はっぴょうでは、およそ 2280万 へいほうキロメートルです[5]。なんきょくたいりくの、1.6ばいくらいです。

これは、ここ 10年の へいきんと おなじ くらいでした[5]。ぜんぜん なく なった わけでは ありません。

南極大陸の約1.6倍

オゾンホールとは、南極の上空でオゾンが少なくなった領域のことで、地面に穴があいているわけではありません。気象庁の発表では、2025年は9月9日に年最大となり、面積は約2,280万km²でした。南極大陸の約1.6倍にあたります[5]。

この大きさは、最近10年の平均(約2,340万km²)と同じくらいです[5]。

「小さくなった」と言い切れない理由

NASAとNOAAは、9月7日から10月13日までの平均面積が約1,871万km²で、1992年以降で5番目に小さかったと発表しました[6]。ただし、これは年最大の値とは別の数え方です。気象庁の数字とは混ぜずに、別々に見る必要があります。

気象庁によると、2025年の南極オゾンホールは9月9日に年最大となり、面積は2,280万km²(南極大陸の約1.6倍)で、最近10年の平均(約2,340万km²)程度であった[5]。

NASA/NOAAは、9月7日〜10月13日の平均面積を約1,871万km²とし、1992年以降5番目に小さいと報告している[6]。年最大と期間平均は指標が異なり、算出法の違いから機関間で数値に微差もあるため、本メモでは同じ文脈で混ぜて引用しない。

2. フロンは、はじめは べんりな 「あんぜんな ガス」だった

2. フロンは、安全な冷媒として生まれた

2. フロン(CFC)の登場 ── 1928年の合成と用途の拡大

オゾンホールの もとに なったのは、「フロン」と いう ガスです。

フロンを つくったのは、1928年、アメリカの ミジリーと いう 人です。それまで ひやす ために つかわれて いた ガスには、どくの あるものが ありました[1]。

フロンは、どくが なく、もえにくい、べんりな ガスでした。だから、れいぞうこや エアコン、スプレーなどに ひろがって いきました[1]。

この ときは、だれも わるい ものだとは おもって いませんでした。

毒のあるガスの代わりに

フロン(CFC)は、1928年にアメリカのミジリー(Thomas Midgley Jr.)が合成しました。当時の冷媒にはアンモニアなど毒のあるガスが使われていて、その代わりになる安全なものとして作られたと説明されています[1]。

広がる使い道

1930年代から60年代にかけて、フロンは冷蔵庫や空調の冷媒、スプレーなどに広く使われるようになりました[1]。発泡プラスチックにも使われました。作られた当時の目的は「安全」で、誰かが悪意をもって作ったものではありません。

CFC(クロロフルオロカーボン)は、1928年にThomas Midgley Jr.が、アンモニアや塩化メチルなど有毒な冷媒に代わる、より安全な冷媒として合成した[1]。1930〜60年代には冷凍・空調・スプレー・発泡剤に広まった[1]。

ここで重要なのは、導入の動機が安全性だったことである。後に環境問題が明らかになるからといって、当時の判断を後知恵で裁くのは適切でない。

3. 「フロンが オゾンを こわすかも」と、だれが きづいたの?

3. 仮説と発見 ── 1974年の警告と、南極の観測

3. オゾン層破壊仮説(1974年)と南極オゾンホールの報告(1985年)

1974年、ローランドさんと モリーナさんが、「フロンは そらの たかい ところで、オゾンを こわして しまうかも しれない」と つたえました[1]。

フロンは、そらの たかい ところで、たいようの しがいせんに あたると こわれて、えんそを だします。この えんそが、オゾンを こわして いく、と いう かんがえです。

そして 1985年、イギリスの なんきょくの きちの ひとたちが、「はるの なんきょくの 上で、オゾンが すごく へって いる」と ほうこくしました[2]。

1974年の警告

カリフォルニア大学のローランドとモリーナは、フロンが成層圏で紫外線を受けて分解し、塩素を出すことを示しました。この塩素が連鎖的にオゾンを壊しうる、というのが1974年の警告です[1]。

1985年、南極からの報告

1985年5月、イギリスの南極観測所のファーマン、ガーディナー、シャンクリンが、春(10月)の南極上空のオゾン全量が1970年代後半から大きく減っていると、科学雑誌Natureに報告しました[2]。ハリー基地などの観測がもとになっています。

これがオゾンホールの発見とされています。1995年には、モリーナ、ローランド、それにクルッツェンが、大気中のオゾンの研究でノーベル化学賞を共同受賞しました[10]。

1974年、F. S. RowlandとMario Molina(カリフォルニア大)は、CFCが成層圏で紫外線により分解して塩素を放出し、連鎖反応でオゾンを壊しうると示した[1]。

1985年5月、英国南極観測所のJ. C. Farman、B. G. Gardiner、J. D. Shanklinが、Nature誌に、春(10月)の南極上空のオゾン全量が1970年代後半から大きく減少したと報告した[2]。ハリー基地などの観測がもとになっている。

Molina、Rowland、P. Crutzenは、大気中のオゾンの生成と分解の研究により1995年ノーベル化学賞を共同受賞した[10]。

4. せかいで、フロンを やめる やくそくが できた

4. 世界で約束が結ばれる ── モントリオール議定書

4. モントリオール議定書(1987年採択)と日本の対応

1987年、せかいの くにぐには、フロンを へらして いく やくそくを しました。「モントリオールぎていしょ」と いいます[3]。

やくそくは、1989年から はじまりました。いまでは たくさんの くにと、EU(ヨーロッパの あつまり)が はいって います[3]。

日本では、1995年の 年の おわりに、とくに 気を つけた いくつかの フロンの せいさんが なくなりました[11]。ただし、これは 「つくる ことを やめた」と いう はなしです。もとから ある きかいの フロンを どう する かは、また べつの もんだいです。

1987年の約束

モントリオール議定書は、1987年9月に採択され、1989年1月に発効しました。日本は1988年に受け入れています。現在は多くの国とEUが参加しています[3]。

特定のフロンは、先進国では1996年まで、途上国では2015年までに全廃するよう求められました。ただし、期限は物質や国によって違います[3]。

日本での取り組み

日本ではオゾン層保護法(1988年制定)にもとづき、CFCの生産は1995年末で全廃されました。HCFCも2019年末に生産が全廃されています[11]。「生産の全廃」なので、すでに使われている機器の中のフロンや、その回収は別の話です。

モントリオール議定書は1987年9月に採択、1989年1月に発効した。日本は1988年に受諾し、現在は多くの国とEUが参加している[3]。特定フロン等の全廃は、先進国で1996年まで、途上国で2015年までとされたが、期限は物質と国により異なる[3]。

日本ではオゾン層保護法(1988年制定)にもとづき、CFCの生産は1995年末に全廃、HCFCは2019年末に生産全廃となった[11]。対象は「生産」であり、既存機器内の冷媒や回収は別の枠組みで扱われる。

5. どうして、なおるのに 時間が かかるの?

5. 回復はなぜゆっくりなのか

5. 回復の見通し ── フロンの寿命と年ごとの変動

フロンは、空に でると、なかなか きえません。CFC-11は 55ねんくらい、CFC-12は 140ねんくらい とどまる、と かんがえられて います[1]。

おふろの せんを ぬいても、大きな プールの みずは すぐには なくなりません。フロンも ちいさな あなから すこしずつ ぬけて いくので、じかんが かかります。ただし 本当の 空は プールと ちがい、空気が いつも うごいて います。

NASAは、なんきょくの 上の フロンなどの りょうが、2000ねんごろの ピークから 3ぶんの 1 へったと つたえて います[6]。オゾンホールが なんきょくで もとに もどるのは、2060ねんだいの おわりごろと みこまれて います[6]。

ホールの ひろさは、年ごとに ゆれます。空気の うごきの ちがいでも かわるからです[8]。

空に長く残るフロン

フロンは大気中に長くとどまります。寿命はCFC-11で約55年、CFC-12で約140年と推定されています[1]。寿命は推定値で、きっかりとは決まりません。だから、新しく出すのをやめても、空からなくなるまでには時間がかかります。

2060年代後半という見通し

NASAによると、南極の成層圏にあるオゾン破壊物質の量は、2000年頃のピークから約3分の1減りました。南極上空のオゾンホールが回復するのは、2060年代後半ごろと見込まれています[6]。

WMOとUNEPの2022年の評価では、オゾンの全量が1980年の値に戻るのは、南極で約2066年、北極で約2045年、地球全体(60°N〜60°Sの平均)で約2040年と予測されています[7]。どれも「約」の予測です。

年ごとのゆれ

気象庁は、年最大面積は年ごとの変動があるものの、2000年頃から減少しているとみています。ただし1980年代以前と比べると、依然として大きい状態が続いています[5]。WMOは、2025年のホールは比較的小さく短命で、約3週間早く閉じたと述べました。長期的な回復傾向を裏付ける一方、年ごとの変動は大気の動きに関係するので、油断せず観測を続けるべきだとしています[8]。

気象庁は、南極オゾンホールの年最大面積は年々変動があるものの2000年頃から減少しているとみられ、1980年代以前と比べると依然として規模が大きいと述べている[5]。WMOは、2025年のホールは比較的小さく短命で、過去10年平均より約3週間早く閉じたが、年ごとの変動は大気の力学に関連するとし、観測の継続を求めている[8]。

回復が遅い背景には、CFCの大気寿命の長さ(推定でCFC-11約55年、CFC-12約140年)がある[1]。NASAは、南極成層圏のオゾン破壊物質が2000年頃のピークから約3分の1減少し、回復は2060年代後半ごろと見込む[6]。WMO/UNEP(2022)は、オゾン全量が1980年値に戻る時期を、南極約2066年、北極約2045年、60°N〜60°S平均約2040年と予測した[7]。いずれも「約」の予測で、変動を伴う。

6. かわりの フロンには、べつの もんだいが あった

6. 代わりのフロン(HFC)が残した宿題 ── キガリ改正

6. HFCとキガリ改正(2016年)── オゾン層と気候の両立

オゾンを こわす フロンの かわりの ひとつとして、「だいたい フロン(HFC)」が つかわれる ように なりました。HFCは オゾンを こわしません。

でも、HFCには、地きゅうを あたためる はたらきが つよい、という もんだいが ありました[4]。

そこで 2016年10月、モントリオールぎていしょに 「キガリかいせい」が くわわり、HFCも すこしずつ へらす ことに なりました[4]。日本は 2018年12月に けっていしました。キガリかいせい ぜんたいは、2019年1月1日から はじまりました[4]。

これまでに、へらす ことが きまった オゾンを こわす ぶっしつの、およそ 99%が やめられた、と いう ほうこくが あります[9]。

オゾンを壊さないが、地球を温める

代替フロンのHFCはオゾンを壊しませんが、強い温室効果があります。その生産・消費量が増えたため、2016年10月のキガリ改正で、段階的な削減が決まりました。日本は2018年12月に批准しました。改正全体は2019年1月1日に発効しました[4]。削減の期限は、先進国と途上国で異なります。

気温への効果の見積もり

WMOとUNEPの評価では、規制対象のオゾン破壊物質のおよそ99%が段階的に廃止されたとされています[9]。キガリ改正が守られれば、2100年までに0.3〜0.5℃の気温上昇を避けられると見積もられています。モントリオール議定書全体では、2050年ごろまでに約0.5〜1℃を避けたことになる、という見積もりです[9]。この2つの数字は、対象がちがうので、足したり混ぜたりしてはいけません。

代替フロンのHFCはオゾン層を壊さないが、温室効果が高く、生産・消費が増加していたため、2016年10月のキガリ改正で段階的削減が定められた。日本は2018年12月に批准した。改正全体は2019年1月1日に発効した[4]。削減の期限は先進国と途上国で異なり、「全廃」とは限らない。

WMO/UNEPの評価では、規制対象のオゾン破壊物質の約99%が段階的に廃止された[9]。気温への効果は、キガリ改正の順守で2100年までに0.3〜0.5℃の上昇回避、モントリオール議定書全体で約0.5〜1℃(2050年ごろまで)の回避と見積もられている[9]。前者はキガリ改正分、後者は議定書全体で、別の見積もりである。これらの数字は、UN Newsの記事が伝える評価にもとづく。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

きしょうちょうの ホームページには、その 年の オゾンホールの ひろさを しめす ずが あります。「オゾンホール きしょうちょう」で さがして みましょう。

ことしの ずと、まえの 年の ずを ならべて、かたちが どう ちがうか みて みます。ゆれて いる ことが わかります。

今日できること:気象庁の「オゾンホールの状況」のページで、その年の南極オゾンホールの図と、年最大面積の推移のグラフを見てみましょう。年ごとに大きさがゆれている様子が分かります。グラフの縦軸の単位(万km²)も、南極大陸との比較(約1.6倍)と合わせて確かめてみると、数字が実感になります。

公式情報:気象庁は毎年、南極オゾンホールの年のまとめを発表しています。環境省のモントリオール議定書のページには、日本の取り組みが日本語でまとまっています。

気象庁の報道発表(2025年11月26日)[5]は、面積の年変化と1980年代との比較が日本語で読める。NASA/NOAAの発表[6]とWMOのニュース[8]は英語だが、同じ2025年の観測を別の指標で評価しているので、突き合わせると各機関の測り方の違いが見える。

回復の見通しはWMO/UNEPの2022年評価の要旨[7]に、日本の規制の経緯は環境省の資料[3][4]に書かれている。1985年のNature論文[2]は、題名で発見の内容がつかめる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:気象庁・環境省・経済産業省などの公的資料、NASA/NOAA、WMO/UNEP、NOAA GMLの解説、論文を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。日付・数値は、原ページでも確かめてほしい。

  1. NOAA Global Monitoring Laboratory「Chlorofluorocarbons (CFCs)」。https://gml.noaa.gov/hats/publictn/elkins/cfcs.html (フロンの合成・用途・大気寿命・1974年の仮説について)
  2. Farman, Gardiner & Shanklin, Nature 315, 207–210 (1985)。https://www.nature.com/articles/315207a0 (南極オゾン全量の減少の報告について)
  3. 環境省「モントリオール議定書」。https://www.env.go.jp/earth/ozone/montreal_protocol.html (採択・発効・参加数・全廃期限について)
  4. 環境省 資料(キガリ改正)。https://www.env.go.jp/content/900530414.pdf (HFCの温室効果とキガリ改正、日本の批准日について)
  5. 気象庁 報道発表「2025年の南極オゾンホールの状況」(2025年11月26日)。https://www.jma.go.jp/jma/press/2511/26a/ozonehole2025.html (2025年の面積・2000年頃からの減少・1980年代との比較について)
  6. NASA「NASA, NOAA Rank 2025 Ozone Hole as 5th Smallest Since 1992」。https://science.nasa.gov/earth/nasa-noaa-rank-2025-ozone-hole-as-5th-smallest-since-1992/ (期間平均面積・破壊物質の減少・回復時期の見込みについて)
  7. Scientific Assessment of Ozone Depletion 2022, Executive Summary (NOAA CSL / WMO / UNEP)。https://csl.noaa.gov/assessments/ozone/2022/executivesummary/ (オゾン全量が1980年値に戻る時期の予測について)
  8. WMO「Small and short-lived 2025 ozone hole confirms long-term recovery trend」。https://wmo.int/media/news/small-and-short-lived-2025-ozone-hole-confirms-long-term-recovery-trend (2025年のホールと年ごとの変動について)
  9. UN News (2023年1月)。https://news.un.org/en/story/2023/01/1132277 (約99%の廃止と気温上昇の回避の見積もりについて)
  10. MIT News「Molina of MIT, Rowland, Crutzen win Nobel in chemistry」(1995年)。https://news.mit.edu/1995/chemnobel (1995年ノーベル化学賞について)
  11. 経済産業省 オゾン層保護法の規制スケジュール。https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/ozone/law_ozone_schedule.html (日本でのCFC・HCFCの生産全廃の時期について)

なおした ところ

更新履歴

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