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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ピーナッツは、どうして 土の 中で できるの?

ピーナッツはなぜ土の中で実る? ── 花が終わったあと、地面へ向かうものの正体

落花生の地下結実 ── 子房柄の伸長と、暗さ・湿り気・接触という合図を資料から読む

分野:自然

ピーナッツの 木には、花が さきます。花は 土の 上です。それなのに、ピーナッツの 実は 土の 中に できます。

花が おわった あとに、何が おきて いるのでしょう。ピーナッツの 名前を 手がかりに 見て いきます。

ピーナッツの花は、地面の上で咲きます。それなのに、私たちが食べる実は土の中にできます。空に向かって咲いた花と、土の中の実は、どうつながっているのでしょうか。

花のあとに起きることと、実をふくらませる合図を、農学や植物学の資料でたどります。

落花生は、地上で開花したのち、受精後に子房柄が伸びて地中に入り、先端で莢を形成する。地上に花、地下に果実がつくこの性質は、地下結実性(geocarpy)と呼ばれる[1][4]。

なぜ土の中で実るのか、莢の肥大を促す条件は何か。園芸・農業資料と、植物生理学の論文を突き合わせて整理する。

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1. 名前が、こたえを 言って いる

1. 「落花生」という名前が示すこと

1. 名称の由来と、開花後の経過

ピーナッツは、日本語では「落花生らっかせい」と いいます。「花が 落ちて、豆が 生まれる」という 意味から きて いる、と いわれます[1]。

花が さいて 数日すると、花が しぼみます。すると、しぼんだ 花の つけ根から、細い ものが のびて きます。これが 子房柄しぼうへいです。

子房柄しぼうへいは 地面に 向かって のび、土の 中に もぐります。そして さきっぽに、さやが できます[1]。

花が 土の 中に 落ちて、豆に なる。そんな ふうに 見えたから、この 名前が ついたのでしょう。

ピーナッツは、日本語では「落花生」と書きます。「花が落ちて豆が生まれる」ことに由来する名前とされています[1]。

花が咲いて数日たつと、花はしぼみます。すると、しぼんだ花の茎のつけ根から、子房柄しぼうへいという細い柄が伸び始めます。この柄が地面のほうへ向かい、土の中にもぐって莢さやをつけます[1]。

花が土に落ちて豆になったように見える、というわけです。実際には、花の根元から伸びた柄が、実を土の中へ運んでいます。

「落花生」の名は、花が落ちて豆が誕生するという見立てに由来するとされる[1]。実際の経過は、次のとおりである。

開花して数日後、しぼんだ花の茎の基部から子房柄(gynophore)が伸び始める。子房柄は地中に入り、先端に莢をつける[1]。したがって「花が落ちる」のではなく、受精後の子房を、柄が地下へ運ぶ過程である。

この「地上に花、地下に実」という型は、地下結実性(geocarpy)と呼ばれる。論文では「Aerial Flower, Subterranean Fruit」型とも表現される[4]。

2. 子房柄しぼうへいが、土に ささる

2. 柄は土に突き刺さり、先に莢ができる

2. 子房柄の向地性と、莢の形成

のびた 子房柄しぼうへいは、土に つきささって、中へ もぐって いきます[2]。

この 子房柄しぼうへいは、ふつうの くきや えだとは ちがいます。花の あとに、下へ 下へと むかう 力を もった、とくべつな 子房柄しぼうへいだと せつめいされます[4]。

土の 中に 入った あと、さきっぽが 小さな さやに ふくらんで いきます[3]。

伸びた子房柄は、土に突き刺さって地中へもぐっていきます[2]。

この柄は、ふつうの茎や枝とは性質がちがいます。受精のあとに伸びる特別な器官で、重力のほうへ向かう性質(向地性こうちせい)をもち、先端に胚(のちの豆)を抱えたまま、育ち始めた莢を土の中へ押し込んでいく、と研究では説明されています[4]。

土の中で先端がふくらみ、小さな莢になります[3]。

子房柄は受精後に伸長する特殊な向地性の器官で、胚を内包したまま伸び、先端で発達中の莢を土中に押し込む[4]。土中で先端が肥大し、小さな莢になる[3]。

研究では、子房柄はペグ(peg)とも呼ばれ、地上部の長さは3〜5cm、緑または紫色である。土に入って約3日で白色になり、この段階ではまだ肥大しない。莢が2〜3mmの大きさになると、暗所で肥大が始まる[5]。3〜5cmは地上にあるペグの長さであり、土に入る深さではない。

3. 実を ふくらませる ものは、土じゃない

3. 実がふくらむ合図は、土ではなく暗さと湿り気

3. 莢の肥大を決める条件 ── 光の抑制と、暗さ・湿り気

では、実を ふくらませる 合図は、なんでしょう。土の 中に あるから でしょうか。

研究では、光が 空中に ある さやの ふくらみを おさえる と、ほうこくされて います[4]。土に 入って 暗く なると、さやが ふくらみ、中に 豆が できます。

もう ひとつ、大切なのが しめり気です。ある 実験じっけんでは、ざるに 砂すなを 入れ、水と 養分ようぶんを あたえて 育てました。土は なくても、ざるの 下の 暗く しめった ところで、豆が 育った、と いいます[7]。

ピーナッツの 実に とって 大切なのは、土そのものより、暗さと しめり気らしい、と いえそうです。

実がふくらむ合図は、土そのものではないようです。

ある論文は、光は空中にある莢の肥大と胚の発達を抑えると報告しています[4]。別の論文でも、光は莢の発達を妨げる主な要因と考えられています[5]。土に入って暗くなると、莢がふくらみ、中に種子ができるわけです。

湿り気も欠かせません。子供向けの科学雑誌には、ざるに砂を入れて養液で育てた実験が紹介されています。土がなくても、ざるの下の暗くて湿ったところで豆が育ったそうです[7]。

実の成長に必要なのは、土そのものより暗さと湿り気だ、と説明されています[7]。

光は、空中にある莢の肥大と胚発生を抑制する[4]。BMC Plant Biology の論文も、光が莢の発達を妨げる主因と考えられていると述べる[5]。地中に入ると暗所になり、莢の肥大が始まる。

もう一つの条件は湿度である。子供の科学の記事は、ざるに砂を入れて養液で栽培し、その下の暗く湿った場所で子実が育った例を紹介し、肥大に必須なのは暗さと湿気だと説明する[7]。土壌そのものは必須ではない、という読みになる。

この実験は解説記事による紹介である。莢の肥大を決める仕組みそのものは、遺伝子発現やホルモン量の変化を含めて研究が続いている領域である[5]。

4. 子房柄しぼうへいは、水が たりないと まつことも ある

4. 土に入る合図は3つ、水が足りなければ待つ

4. 重力・光・接触の刺激と、水分欠乏時の休止

子房柄しぼうへいが 育つ ときに 気に する ものは、3つ あると せつめいされます。下へ ひっぱる 重さ、暗い ほうへ むかう こと、そして 土の さわった かんじです[10]。

土に 入ると、まわりは 暗く、ぎゅっと おされる ように なります。そこに しめり気が あれば、実を 作る じゅんびが すすむ、と いう 研究が あります[6]。

水が たりない ときは、子房柄しぼうへいは 育つのを やめて、じっと まちます。水が もどると、また さやを 作り はじめる ことが できる、と いわれます[6]。

子房柄の成長は、3つの刺激に左右されると説明されています。重力(下向き)、光をさけて暗いほうへ向かう性質、そして接触(土の感触)です[10]。

土の中に入ると、暗さと、まわりから押される圧力の両方が同時に加わります。そこに湿り気がそろうと、莢づくりが進むとされます[6]。

興味深いのは、水が足りないときです。子房柄は発達をいったん止め、条件がよくなったら莢づくりを再開できるという報告があります[6]。合図がそろうまで待つしくみがある、と読めます。

子房柄の成長は、重力(向地性)、光を避ける性質(負の光屈性)、接触(触屈性)の3つの刺激に制御されると説明される[10]。

土に入ることで、暗所と機械的な圧力という条件が同時に与えられる。これに湿度が加わることで莢の形成が進むとされ、水分が不足するとペグは発達を停止し、条件が回復すれば莢形成を再開できると報告されている[6]。

なお、土に入ると内在性エチレンやIAAの量が変化するという報告もある[5]が、ここでは数値には触れない。

5. 畑で「土よせ」を するのは なぜ?

5. 畑で「土寄せ」をする理由

5. 栽培現場の土寄せと、地下結実性

畑では、ピーナッツの 根元に 土を よせて もりあげます。これを 土よせと いいます[8]。

土に 入る 道を、そっと 作って あげて いるのですね。

家庭菜園の解説では、株の根元に土を寄せる「土寄せ」を行います[8]。

「土の中で実る」ことは、勝手に起きるのではなく、柄が土に入りやすいように人が手を貸すことでも支えられている、と考えられます。

栽培では株元への土寄せが行われる[8]。

土寄せは、柄が土に入る前提条件を整える作業として理解できる。暗さ・圧力・湿り気という合図が、自然にそろう状態を人が助けているとも読める。

6. さやは、水も 土から すう

6. 莢は土から水を吸うが、材料は葉から届く

6. 莢の物質収支 ── 土中から吸うものと、地上部から運ばれるもの

土の 中の さやは、土から 水を すって います。水に とけた 養分ようぶんも、さやから 直せつ すう、と せつめいされます[9]。

けれど、ピーナッツの あぶらや あまみに なる 材料ざいりょうは、土の 中では できません。葉が 光を 受けて 作って、それを 地上の 部分から 送って いる といいます[9]。

土の 中の さやは、水と 養分ようぶんを 土から、材料ざいりょうは 葉から もらって、ふくらんで いきます。

土に入った莢は、土から水や、水に溶けた無機養分を直接吸うと説明されています[9]。

ただし、ピーナッツに多く含まれる油や糖、タンパク質の材料は、土の中では作れません。葉が光合成で作ったものが、地上の部分から運ばれてくるとされています[9]。

莢は、土の中でひっそり育っているようで、地上の葉とつながって育っています。

なお、地中で実る理由については、鳥や動物に食べられにくく、リスクの少ない繁殖のしかたとされる、という説明があります[7]。「食べられにくいから進化した」と断言できるわけではなく、そう考えられている、という程度に受け取るのが安全です。

莢は土壌から水と溶存無機養分を直接吸収する。一方、油脂・糖・タンパク質の材料は葉の光合成産物であり、地上部から転流される[9]。莢は独立して育つのではなく、地上の葉と物質のやり取りをしている。

地下結実が進化した理由について、子供の科学は、鳥獣に食べられにくく、リスクの少ない繁殖手段だと説明する[7]。ただしこれは解説記事の説明であり、適応の仮説にとどまる。

1つの解説だけでは言い切れないので、原著論文の考察や、同様の性質をもつ他の植物の研究も合わせて読んでみたい。

7. 自分でも 見て みよう

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

からつきの ピーナッツを 手に 入れて、じっくり 見て みましょう。

からの 形は、どんな ふうでしょう。ぼこぼこして いる ところや、くびれて いる ところは ありますか。土の 中で 大きく なった あとだと 思って 見ると、いつもと ちがって 見えるかも しれません。

からを わって 中の 豆を 見る ときは、まわりに 食べもの アレルギーの 人が いないか たしかめて ください。手を 洗あらう ことも わすれずに。

お店で、「千葉県産さん」と 書かれた ものを さがして みるのも おもしろいです。千葉県は、日本で できる 落花生の およそ 8わを つくって いる、と いわれます[1]。

今日できること:殻つきのピーナッツを1つ手に取って、殻の形をよく見てください。土の中で育った莢だったと思って見ると、くびれやでこぼこの見え方が変わるかもしれません。中の豆を見るときは、まわりに食物アレルギーの人がいないか確かめ、あとで手を洗いましょう。

出かけてできること:スーパーで産地の表示を見てみてください。千葉県は国内産落花生の約8割を生産するとされています[1]。この割合は年によって変わるので、「およそ」と受け取ってください。

資料を読むなら、千葉市の「落花生ができるまで」[2]が日本語で短く読める入り口です。

今日できること:殻つき落花生の外形を観察し、莢がくびれる位置や表面の様子を確かめる。食物アレルギーのある人が近くにいないか確認し、観察後は手を洗う。

出かけてできること:店頭の産地表示を見る。千葉県が国内産の約8割を生産するとされる[1]が、年次で変わる数値である。

資料を読むなら、日本語では千葉市の解説[2]と日本植物生理学会のQ&A[9]が入り口になる。子房柄の伸長と莢の肥大を詳しく知るなら、Scientific Reports の論文[4]と、BMC Plant Biology の論文[5]を読むとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料は、出典欄の番号と対応しています。数字は資料の記載を引いたもので、栽培条件で変わることがあります。原典で確かめてください。

  1. 「落花生」千葉県 旬鮮図鑑。https://www.pref.chiba.lg.jp/ryuhan/pbmgm/zukan/kome/rakkase.html (名前の由来、子房柄が地中で莢をつけること、生産割合)
  2. 「落花生ができるまで」千葉市。https://www.city.chiba.jp/keizainosei/nosei/nosei/howtoglowrakkasei.html (子房柄が土に突き刺さること)
  3. 「やさいの時間こぼれ話」みんなの趣味の園芸(NHK出版)。https://www.shuminoengei.jp/article/content/00001103.php (土の中で先端が莢としてふくらむこと)
  4. 「Global transcriptome analysis of subterranean pod and seed in peanut」Scientific Reports, 2020。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7398922/ (子房柄の向地性、光が莢の肥大を抑えること)
  5. 「Proteomics analysis of peanut gynophores」BMC Plant Biology, 2015。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4523997/ (ペグの大きさと段階、光が主因と考えられていること)
  6. 「Epigenetic modifications regulate peg elongation」(PMC12895982)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12895982/ (暗さ・圧力・湿り気の合図、水不足での一時停止)
  7. 「ラッカセイはどうして土に潜るの?」子供の科学。https://www.kodomonokagaku.com/read/hatena/5192/ (暗さと湿気の必要性、地中結実の利点の説明)
  8. 「ラッカセイ」サカタのタネ 園芸通信。https://sakata-tsushin.com/oyakudachi/lesson/vegetable/post_14.html (土寄せをする理由)
  9. 「みんなのひろば Q&A」日本植物生理学会。https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=5736&key=&target= (莢が土から吸うものと、葉から運ばれるもの)
  10. 「Proteomics analysis of dark and mechanical stimulation in peanut」Scientific Reports。https://www.nature.com/articles/s41598-020-69943-7 (重力・光・接触の3つの刺激)

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