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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

鉛筆えんぴつは なぜ ろっかくの ものが 多いの? まるや さんかくも あるのは どうして?

鉛筆はなぜ六角形が多いのか ── 丸や三角がある理由と、丸から六角に変わった色鉛筆

鉛筆の軸の形はどう決まるか ── カッターの形状、転がりにくさ、3本指の持ち方、色鉛筆の丸軸から六角軸への変更

分野:技術

えんぴつの じくの 形は、木を けずる 作業で、カッターの 形に よって 決まります。まるくも、さんかくにも できる のです[2]。

それなのに、よく 見る えんぴつは ろっかくが 多いのは なぜでしょう。この メモでは、ろっかくの わけと、まるい 色えんぴつが ろっかくに かわった はなしが 分かります。

鉛筆の軸の形は、木を削る工程で、刃物(カッター)の形によって決まります。六角にも丸にも三角にもできる、と日本筆記具工業会は説明しています[2]。

作る側はどんな形にもできるのに、身近な鉛筆に六角が多いのはなぜでしょうか。転がりにくさ、指の持ち方、そして丸軸から六角軸に変わった色鉛筆の例から、その理由が分かります。

鉛筆の軸の断面は、木工工程でカッターの形状によって決まる。六角・丸・三角のどれにもできる、と日本筆記具工業会は説明する[2]。

作り手が形を選べるのに、なぜ六角が主流なのか。メーカー各社の説明を突き合わせると、転がりにくさ、指の使い方、用途ごとの事情が、それぞれ別の理由として出てくることが分かる。

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1. つくえから おちて しまう えんぴつは、ろっかくで ふせげる?

1. 机から転げ落ちる鉛筆は、六角で防げるのか

1. 転がり落ちる鉛筆への対策としての六角軸

つくえの 上で、えんぴつが ころころ ころがって、ゆかに おちた ことは ありませんか。

ドイツの えんぴつ会社の ファーバーカステルは、木の じくの えんぴつの 形を まるから ろっかくや さんかくに かえた わけを、「つくえから ころがり おちて ばかり いたから」と 話して います[1]。

日本でも、2022ねんの 4月に ある えんぴつ会社が 出した 学しゅうようの えんぴつは、つくえの 上で ころがりにくい ろっかくの じくに したと 発表して います[3]。

では、ころがりにくい だけが わけなのでしょうか。その 前に、じくの 形は だれが どこで 決めるのか、のぞいて みましょう。

机の上で鉛筆が転がり、床に落ちることがあります。ファーバーカステルの公式サイトは、木軸鉛筆の断面が丸から六角形や三角形に変えられたのは、机から転がり落ちてばかりいたためだと説明しています[1]。

日本のメーカーも同じ点を挙げています。三菱鉛筆は2022年4月に発表した学習用の鉛筆で、机上で転がりにくい六角軸を採用したと述べ、正しい持ち方の練習がしやすい点もあわせて利点に挙げています[3]。

ただ、転がりにくいだけなら理由はそれで足ります。それとも、ほかにも理由があるのでしょうか。その前に、軸の形が製造のどの段階で決まるのかを見ておきます。

鉛筆が机から転がり落ちる問題は、軸の形を変える理由として最も直接的で、メーカー各社が挙げている。ファーバーカステルの公式サイトは、木軸鉛筆の断面を丸から六角形・三角形に変えたのは、机から転がり落ちてばかりいたためと説明している[1]。

日本でも、三菱鉛筆が2022年4月発表の学習用鉛筆で、軸が机上で転がりにくい六角軸にしたと述べ、正しい持ち方の練習がしやすいことも利点に挙げた[3]。ただし、これはメーカー自身の説明である。

転がりにくさが理由なら、どんな形でも自由に作れる製造側の事情は、どう関わるのか。次章で、軸の形が決まる工程を確かめる。

2. じくの 形は どこで 決まるの?

2. 軸の形は、カッターの形で決まる

2. 製造工程 ── スラットと、カッターによる軸の成形

えんぴつは、1本ずつ 木を くりぬいて 作る のでは ありません。

まず、うすい 木の 板に、半円の みぞを ほります。この みぞに ぴったり 芯しんが 入ります。芯しんを みぞに のせ、もう 1まいの 板を かさねて、くっつけます[2]。

その あと、カッターで 外がわを けずって、じくの 形に します。カッターの 形が ろっかくなら ろっかく、まるなら まるに なります[2]。

つまり、作る 人は どんな 形にも できます。それでも ろっかくが 多いのは、使う 人の 手に わけが ありそうです。

鉛筆は、1本ずつ木をくり抜いて作るのではありません。日本筆記具工業会の工程の説明によると、まずスラットと呼ばれる木の板に半円の溝を削り、その溝に芯を合わせます。芯をはさんで別の板を重ねて接着し、そのあとで外側を削って軸の形にします[2]。

この削りに使うカッターの形しだいで、六角、丸、三角などの軸ができます[2]。芯の入り方は形に関わらず同じで、変わるのは外側の形です。

そこで、製造の都合ではなく、使う人の側に理由を探します。

鉛筆の製造では、まずスラットと呼ばれる板に半円の溝を削り、その溝に芯を合わせる。芯をはさんで別の板を貼り合わせたのち、カッターの形状によって六角・丸・三角などの軸の形が作られる[2]。芯が板の中に収まる構造は共通で、外形はカッターの形状で決まる。

この説明が示すのは、形は製造上の制約というより、設計上の選択だという点である。

形が選択なら、選ばれた形の理由は使い手の側にあるはずだ。次章では、開発者が挙げる持ちやすさの説明を見る。

3. なぜ 3の ばいすうの 形は もちやすいの?

3. 3本の指で持つから、3の倍数の面が持ちやすい?

3. 3本指の持ち方と、3の倍数の面をもつ形

えんぴつを もつ とき、どの 指を 使って いますか。おや指、ひとさしゆび、中指の 3本で もつ ことが 多いです。

トンボえんぴつの 開発の 人は、えんぴつは 3本の 指で もつので、さんかくや ろっかくの ように 3の ばいすうの 面が ある 形は、自ぜんに もちやすいと 話して います[4]。

3本の 指が、それぞれ 1つの 面に のる 形を 思いうかべて ください。ただし これは 1つの 会社の 人の 考えで、どんな 人にも 一ばん よい 形だと 決まった わけでは ありません。

鉛筆はどの指で持つでしょうか。一般には、親指、人差し指、中指の3本で持ちます。トンボ鉛筆の開発者は、鉛筆は3本の指で持つので、三角形や六角形のように3の倍数の面をもつ形は、自然に持ちやすいと説明しています[4]。

3本の指がそれぞれ1つの面に当たる形を思い浮かべると、たしかにそう感じられます。ただし、これは一社の開発者の見解です。

もし3の倍数が持ちやすいのなら、三角で足りそうです。なぜ多くの鉛筆は、六角にしているのでしょうか。

トンボ鉛筆の開発者は、鉛筆は3本の指で持つため、3の倍数の面をもつ三角形と六角形は自然に持ちやすいと説明している[4]。指の数と面の数を対応させる理屈である。

ただし、これは一社の開発者の説明であり、三角・六角が最適だと断定する根拠にはならない。

この理屈が正しいとすると、面が少ない三角のほうが単純に思える。にもかかわらず六角が標準になる理由が別にあるはずで、同じ取材にその説明がある。

4. ちいさい ときは さんかく、大きく なると ろっかく?

4. 三角は小さい子向け、六角は回しやすい

4. 三角軸と六角軸の使い分け ── 芯の減り方と回転の自由度

トンボえんぴつの 人は、さんかくの えんぴつは、小さい 子が 使う ものだと 話して います。もつ 場しょが きまりやすい からです[4]。

学校に 行く 年に なって、字を たくさん 書く ように なると、話が かわります。書いて いる うちに、えんぴつを 知らないうちに くるっと 回して、芯しんの へり方を ならして いるのです。回しやすい ろっかくが ふつうに なって いくと 話されて います[4]。

この 会社には、ろっかくと さんかくの 2しゅるいが ある「しっかりもてる かきかたえんぴつ」も あります。木の じくに すべりどめが して あり、あせを かいた 手で、やく3ばい すべりにくいと されて います[6]。ただし これは 会社が ためした 数字で、ほかの えんぴつの 話では ありません。

同じ取材でトンボ鉛筆は、三角軸は持ち位置が決まりやすいので幼児向けだと説明しています。ただし持ち方が固定されるぶん、芯が偏って減りやすいとも述べています[4]。

学童期になると、書いているうちに鉛筆を無意識に回して、芯の減りをならすようになります。そのため回転の自由度が高い六角が標準になっていく、という説明です[4]。これも一社の開発者の見方で、業界全体の定説とは言えません。

同社の「しっかりもてるかきかたえんぴつ」は、六角軸と三角軸の2種類があり、木軸にすべり止め加工をしています。通常の塗装に比べ、汗をかいた手で約3倍すべりにくいとされます[6]。これはメーカーの試験の値で、一般の鉛筆の性能ではありません。

ここまでは、木の鉛筆の話でした。では、色鉛筆はどうでしょうか。丸い軸が使われてきたのには、また別の理由があるようです。

トンボ鉛筆の開発者によれば、三角軸は持ち位置が決まりやすく幼児向けだが、持ち方が固定されて芯が偏って減る。学童期は、書きながら無意識に鉛筆を回して芯の減りをならすため、回転の自由度が高い六角が標準になっていく[4]。持ちやすさと、芯を均等に使うことが、ここでは別の要素として扱われている。

これは一社の開発者の見解で、業界共通の定説ではない。実際、同社は六角軸と三角軸の2種類を、すべり止め加工つきの「しっかりもてるかきかたえんぴつ」として並べて出している。通常の塗装に比べ、汗をかいた手で約3倍すべりにくいとされるが、メーカー試験の値であり、一般の鉛筆の性能ではない[6]。

形の選択は、年齢と使い方で変わるということになる。では、使い方がはっきり違う色鉛筆は、なぜ長く丸軸だったのか。

5. まるい 色えんぴつは、なぜ ろっかくに かわったの?

5. 丸軸だったトンボの色鉛筆が、六角に変わった

5. 色鉛筆の丸軸 ── 塗る用途と、六角軸への変更理由

トンボえんぴつの 色えんぴつは、これまで まるい じくでした。トンボえんぴつの 人は、その わけを こう 話して います。すこしずつ じくを 回しながら、芯しんを まんべんなく つかって、広い 面を ぬる など、いろいろな かき方が あるので、まるい じくの ほうが つごうが よかったのです[5]。

ところが、この 会社は 学校の 子ども むけの 色えんぴつ「ハローネイチャー」を、まるい じくから ろっかくの じくに かえました。

わけは 2つと 発表されて います。1つめは、学校で タブレットなどを つかう ように なり、つくえの 上が せまく なった こと。2つめは、おうちの 人から「ころがりにくくて、えんぴつの ように しっかり もてる ろっかくが いい」と いう 声が ふえた ことです[5]。

かえたのは この シリーズだけです。色えんぴつが みんな ろっかくに なった わけでは ありません。

トンボ鉛筆では、色鉛筆に丸軸を採用してきました。同社によると、軸を少しずつ回しながら芯をまんべんなく使い、広い面を塗るなど、多様な描き方があり、それに対応するには丸軸のほうが都合がよいからです[5]。

ところが同社は、学童向けの色鉛筆「ハローネイチャー」を、丸軸から六角軸に変えました。発表された理由は2つです。ICT教育の導入で机の上が手狭になったこと。そして、保護者から、転がりにくく鉛筆のようにしっかり握れる六角軸が好ましい、という意見が増えたことです[5]。

変えたのは「ハローネイチャー」シリーズだけで、色鉛筆全体が六角に変わったわけではありません。

同じ会社でも、鉛筆と色鉛筆では使い方に合わせて形を選び、机の使い方が変われば選び直しています。

トンボ鉛筆は色鉛筆に丸軸を採用してきた。同社は、少しずつ軸を回しながら芯をまんべんなく使い、広い面を塗るといった多様な技法に対応するには、丸軸のほうが都合がよいと説明している[5]。木の鉛筆で六角が回転の自由度を支えるとされたのに対し、色鉛筆では丸のほうが回しやすい、という位置づけである。

ところが同社は、学童向けの色鉛筆「ハローネイチャー」を、丸軸から六角軸に変更した。理由は、ICT教育の導入で机の上が手狭になったことと、転がりにくく、鉛筆のように握れる六角軸を望む保護者の声が増えたことの2点とされる[5]。

変更の対象はこのシリーズのみである。同じ会社が用途に応じて丸と六角を使い分け、机の使い方の変化をきっかけに選び直した点は、軸の形が固定された正解ではなく、条件によって動く選択であることを示している。

6. 手もとの えんぴつで たしかめて みよう

6. 手もとの鉛筆で、形と持ち方を確かめる

6. 出口 ── 自分の手で確かめる/メーカーの資料を読む

家に ある えんぴつと 色えんぴつを、1本ずつ 出して みましょう。じくの 形は、ろっかく、まる、さんかくの どれでしょう。

本を 少し ななめに して、その 上に えんぴつを のせると、ころがる ものと ころがりにくい ものが あるか 見られます。ゆかに おちない ように、本の 下に 手を そえて ください。

もう 1つ。字を 書いて いる とき、えんぴつを 回して いるかどうか、見て みて ください。回して いる 人と、回して いない 人が いるかも しれません。

家にある鉛筆と色鉛筆を並べて、軸の断面の形を見比べてみてください。六角、丸、三角のほか、ほかの形も見つかるかもしれません。

平らな本を少し傾け、その上に鉛筆をのせて、転がりやすさを比べる方法もあります。床に落ちないよう、本の下に手を添えてください。

字や絵を描いているときに、鉛筆を無意識に回しているかも観察してみてください。回す人が多いのか、少ないのかで、開発者の説明が自分の手に当てはまるかどうかが見えてきます。

もっと調べるなら、日本筆記具工業会の製造工程の説明と、各メーカーの公式発表を読むのがおすすめです。

手もとの鉛筆と色鉛筆で、断面の形と、転がりやすさ、持ち方を比べてみると、本文の説明を自分で確かめられる。平らな本を少し傾けて転がりやすさを比べ、字や絵を描くときに無意識に軸を回していないかも観察できる。回す人と回さない人がいれば、開発者の説明が全員に当てはまるわけではないことが分かる。

原典としては、日本筆記具工業会の製造工程のページ[2]、三菱鉛筆の2022年4月のプレスリリース[3]、トンボ鉛筆の取材記事と新製品ニュース[4][5][6]がある。ファーバーカステルの説明[1]は英語だが、公式サイトの企業沿革のページである。最初の六角鉛筆をだれがいつ作ったかは、今回確認した公式資料からは分からないので、自分で調べる余地が残っている。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

メーカー・業界団体の説明は、各社の見解であり、業界共通の定説とは限りません。

  1. Faber-Castell Singapore「Company History」。 https://www.faber-castell.com.sg/company-history (木軸鉛筆の断面が丸から六角形・三角形に変わった理由について)
  2. 日本筆記具工業会「鉛筆の製造工程」。 https://www.jwima.org/pencil/06dekirumade_koujou/06dekirumade_koujou.html (スラットと、カッターによる軸の形の決まり方について)
  3. 三菱鉛筆 プレスリリース(2022年4月14日)。 https://digitalpr.jp/r/57864 (学習用鉛筆の六角軸の採用理由について)
  4. HugKum「トンボ鉛筆への取材」。 https://hugkum.sho.jp/682546 (3本指の持ち方と、三角軸・六角軸の使い分けについて)
  5. HugKum「トンボ鉛筆の発表を紹介」。 https://hugkum.sho.jp/550135 (色鉛筆の丸軸と、六角軸への変更理由について)
  6. Impress Watch「トンボ鉛筆ニュース」。 https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1213914.html (すべり止め加工のある六角軸・三角軸の鉛筆について)

なおした ところ

更新履歴

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