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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ダンゴムシは、どうして さわると まるまるの?

触ると丸まるダンゴムシは、何を守っているのか

オカダンゴムシの球形化(conglobation)── 防御と水分保持、ワラジムシとの違い

分野:生きもの

にわの いしを ひっくりかえしたら、ダンゴムシが いました。そっと ゆびで さわると、くるん。ちいさな たまに なりました。

あの まるまる、にげて いるのでは ないようです。なにを して いるのか、いっしょに みて いきましょう。

植木鉢をどかすと、ダンゴムシが何匹か歩いています。指先でつつくと、たちまち小さな球になって動かなくなります。

逃げるのではなく、その場で丸くなる。この動きは、体のどこを、何から守っているのでしょうか。図鑑や論文を手がかりに、順に見ていきます。

オカダンゴムシは、刺激を受けると体を丸めて球状になる(球形化、conglobation)。従来は外敵への防御と説明されることが多いが、Smigel & Gibbs(2008)は水分の損失を減らす効果を測定し、防御に加えて水分保持にも役立つ可能性を示した[3]。

このメモでは、丸まる仕組み、防御としての限界、水分との関係、そしてこの虫の分類上の位置と日本での由来、ワラジムシとの見分け方を、図鑑・データベース・論文をつき合わせてたどる。

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1. さわると どうなるの?

1. 驚くと、その場で丸くなる

1. 球形化を引き起こす刺激

ダンゴムシは、おどろくと まるく なる くせが あります[1]。

ゆびで さわった とき、つよく おされた とき、ぶるぶると ゆれた ときに おきると、しらべた 人は 書いて います[2]。

にげる のでは なく、その ばで かたく なる。まるで ちいさな ボールです。

つつく・ゆらす・押す

福岡県の生きもの図鑑には、オカダンゴムシは驚くと丸くなる習性があると書かれています[1]。アメリカの動物データベースでは、体に強い圧力がかかったときや、近くで強い振動があったときに起こる行動として紹介されています[2]。

触られる、踏まれそうになる、地面が揺れる。どれも「何かが近くにいる」合図になりそうです。丸くなるのは、その合図に体が反応する動きだと考えられます。

福岡県の図鑑は、オカダンゴムシに「驚くと丸くなる習性」があると記す[1]。Animal Diversity Webは、球形化が、体が直接強い圧力を受けたとき、または周囲で強い振動があったときに観察されると述べる[2]。

刺激の種類は接触・圧迫・振動と幅がある。ただしこれは概説の記述である。

2. たまの なかには なにが あるの?

2. 丸まると、おなか側が内側に入る

2. 球の形成と腹側の保護

ダンゴムシの せなかは、かたい からで おおわれて います。おなかの ほうには、あしが たくさん あって、やわらかい ぶぶんも あります。

まるまる と、その やわらかい おなかが、うちがわに かくれます。そとに でるのは、かたい せなかの がわだけです[3]。

すき間のない球

丸まるとき、ダンゴムシは体を切れ目のない球にすると論文に書かれています[3]。外から見えるのは、丈夫な背中側の殻だけになります。

守られているのは、やわらかい側

おなか側には、多くの脚と呼吸に関わる器官があります。丸まることで、この繊細な面が守られると説明されています[3]。体の大きさは変わらないまま、外気にさらされる面が小さくなる、と考えられています。

丸まれるのは、ごく一部

論文は、完全な球になれる科として、ダンゴムシ科を挙げ、「唯一の科」と表現しています[3]。これは論文の書きぶりです。日本には、ハマダンゴムシなど、別の科で丸まる仲間もいます。

球形化では、体が隙間のない球(uninterrupted sphere)になる。Smigel & Gibbsは、完全に球形化できる等脚類の科としてダンゴムシ科(Armadillidiidae)を「唯一の科」と述べているが、日本にはハマダンゴムシなど別科で丸まる仲間もいると考えられている[3]。

球形化は、繊細な腹側(呼吸器官や多くの付属肢を持つ面)も保護するとされる[3]。体積は変わらないまま、外気にさらされる面積が小さくなると考えられている。

3. まるまれば、てきに かてるの?

3. 敵から守れる。ただし万能ではない

3. 捕食者への防御と、その限界

まるくて かたい たまは、トガリネズミや クモの ような てきから みを まもる やくに たつ、と ろんぶんには あります[3]。

でも、まんのう では ありません。なかには、ダンゴムシを たべる クモも います[2]。

ダンゴムシは、かたい からと、いやな においの えきを だす ところも もって います[2]。まるまるのは、その うちの ひとつです。

トガリネズミやクモへの備え

論文は、オカダンゴムシの丸まりが、トガリネズミやクモなどの捕食者に対する防御になると述べています[3]。硬い殻でおおわれた小さな球は、口に入れにくいのでしょう。

それでも食べる相手はいる

Animal Diversity Webは、Dysdera属のクモがダンゴムシを食べる数少ない夜行性の捕食者だと紹介しています[2]。丸まっても、確実に助かるわけではありません。

また同じ資料は、ダンゴムシが、丈夫な殻、背中側の脚の付け根あたりにある分泌腺(不快な分泌物を出す)、そして丸まる行動の3つを進化させてきたと述べています[2]。丸まりは、いくつかある守りの一つです。

Smigel & Gibbsは、A. vulgareの球形化がトガリネズミやクモなどの捕食者に対する防御になると述べる[3]。一方、ADWによれば、Dysdera属のクモは夜行性・地上性の捕食者としてダンゴムシ類を捕食する[2]。球形化は捕食圧を完全には防がない。

ADWは、A. vulgareが厚い外骨格、背側にあって不快な分泌物を出す分泌腺(repugnatorial glands)、球形化という複数の防御を備えるとする[2]。

4. まるまる ほんとうの わけは、みずの ため?

4. 丸まりには、水分を守る役目もある

4. 水分損失の抑制 ── 34.8%の減少と相対湿度53%

ダンゴムシは、りくに すんで いても、かわく のが にがてです[4]。

ろんぶんの しらべでは、まるく なった ダンゴムシは、からだの みずが へる はやさが おおよそ 3わり ちいさく なりました[3]。まるまるのは、てきよけ だけでは ないと かんがえられて います。

ただし、しめった ばしょでは、この ちがいは ほとんど みられませんでした[3]。

乾燥に弱い陸の甲殻類

ダンゴムシは陸に上がって暮らしていますが、水分の蒸発を防ぐしくみが十分には発達しておらず、乾燥にとても弱いと解説されています[4]。

丸まると、水の失われ方が減った

Smigel & Gibbsは、丸まった状態と伸びた状態のダンゴムシで、水分が失われる速さを比べました。丸まった状態では、水分の失われる速さが34.8%減り、二酸化炭素の放出も37.1%減ったと報告されています[3]。計算すると、100失っていたものが、およそ65になった、という大きさです。

この効果は、相対湿度がおよそ53%以下のときに見られました。それより湿った空気の中では、はっきりした差はありませんでした[3]。

どちらか一方とは言えない

論文は、丸まりが防御に加えて、水分を保つことにも役立つ可能性がある、という書き方をしています[3]。主な目的が防御か乾燥対策かは、どちらか一方には決められていません。

Smigel & Gibbs(2008)は、球形化した状態では水分損失速度が34.8%減少し、CO₂放出も37.1%減少したと報告する。この効果は相対湿度およそ53%以下で認められ、それを超える湿度では有意差がなかった[3]。34.8%減は、損失が約65%になったという意味で、損失がなくなったわけではない。

日本語の解説でも、ダンゴムシは陸上生活に移ったものの蒸発を防ぐ機能が十分でなく乾燥に弱いとされ、丸まりは敵から守るだけでなく乾燥を防ぐ目的でも説明される[4]。ただし論文自身は「防御に加えて水分保持にも役立つ可能性」という慎重な書き方であり、主目的がどちらかは断定できない。

陸生等脚類は、腹側の腹肢(おなか側の脚)にスポンジ状の擬気管を持ち、空気を含んで呼吸するとされる[2]。腹側を包む丸まりが水分保持と関わる背景として、この器官の存在が説明に使われることがある。

5. ダンゴムシは、むしなの?

5. 名前は「虫」でも、エビに近い仲間

5. 甲殻類としての分類と、日本での由来

ダンゴムシは、「むし」と いう なまえが ついて いますが、エビや カニに ちかい なかまです[5]。

それから、みぢかな オカダンゴムシは、もともと 日本に いた いきものでは ありません。ヨーロッパから きた がいらいしゅ です[1]。

エビ・カニの親せき

京都大学の研究紹介では、ダンゴムシは「虫」と付いてもエビに近い仲間だと説明されています[5]。分類では甲殻類の等脚目に入ります。陸に上がったのは、そのうちの一部です。

身近な虫は、海を渡ってきた

公園や庭にいるオカダンゴムシは、原産地がヨーロッパ(地中海沿岸)の外来種で、明治のころ以降に持ち込まれたと考えられています[1]。日本で最も古い確認記録は、明治18年の横浜だと京都大学の資料に書かれています[5]。持ち込まれた時期は資料によって明治とも大正とも書かれているので、「明治のころ」と幅をもたせておきます[4]。

ダンゴムシは、エビ・カニと同じ甲殻類(等脚目)に属し、「エビに近い仲間」とされる[5]。等脚目のうち、ダンゴムシ・ワラジムシは陸生の仲間である。

日本で普通に見られるオカダンゴムシは、原産地をヨーロッパ(地中海沿岸)とする外来種で、明治期に人為的に持ち込まれ、国内に広く分布する[1]。日本での最古の確認記録は明治18年(1885年)の横浜とされる[5]。ただし渡来時期には資料ごとの差があり、ウェザーニュースの解説は大正期と書く[4]。「明治期以降」と幅を持たせるのが安全だろう。

6. ワラジムシは、まるまれる?

6. ワラジムシは丸まれない ── 見分けのコツ

6. ワラジムシとの識別 ── 尾肢の見え方

にた いきものに、ワラジムシが います。ワラジムシは、からだが やわらかくて、まるく なれません[1]。

もうひとつの ちがいは、おしりの ほうです。ワラジムシは、おしりから ちいさな とっきが 2ほん でて います。ダンゴムシは、それが かくれて いて、うえから みえません[1]。

丸まれるか、尾肢が見えるか

福岡県の図鑑によると、ワラジムシの仲間は体がやわらかく、丸くなることができません。また、ワラジムシ類にはお尻に尾肢という突起が1対出ていますが、オカダンゴムシではそれが隠れていて、上からは見えません[1]。

「丸まるか」「お尻に突起が見えるか」の二つで、庭の石の下にいる虫を見分けられそうです。

福岡県の図鑑は、ワラジムシ類は体が柔らかく丸くなれないこと、ワラジムシ類には尾肢(びし)という突起が1対出ているが、オカダンゴムシでは隠れて上から見えないことを、識別点として挙げる[1]。

つまり球形化の可否は、殻の硬さ・体の作りと結びついた形質であり、識別にも使える。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

にわや こうえんで、いしや うえきばちの したを そっと みて みましょう。ダンゴムシか ワラジムシが いたら、まず てを ださずに おしりを みます。

つぎに、さわらずに、しずかに ようすを みます。まるまって いる むしが いたら、その ままに して、すこし まって みましょう。みおわったら、そっと しておきます。

「日本の ぶんるい」を しらべる ときは、県の 図かんが 日本語で 読めます。

今日できること:庭や公園で、石や植木鉢の下にいる虫を探します。触れずに、お尻の突起が見えるか、体を丸めているかを比べます。丸まっている虫がいたら、無理に広げようとせず、そっとしておきます。

公式情報:福岡県の生きもの図鑑や京都大学の研究紹介は、日本語で読めます。

日本語で読める入口は、福岡県の「身近な生きもの図鑑」[1]と京都大学の解説[5]。丸まりと水分の関係を数値で追うなら、Smigel & Gibbs(2008)の原論文(英語)[3]が読める。

屋外で見つけた虫を、触らずに見てみる。丸まっているのか、歩いているのか。そのとき、周りは乾いているか、湿っているか。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:福岡県・京都大学の日本語資料と、動物データベース、学術論文、日本の気象会社の解説を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 福岡県 身近な生きもの図鑑「オカダンゴムシ」 https://biodiversity.pref.fukuoka.lg.jp/futsushu/picturebook/okadangomushi.html (丸まる習性・ワラジムシとの違い・外来種としての由来)
  2. Animal Diversity Web「Armadillidium vulgare」 https://animaldiversity.org/accounts/Armadillidium_vulgare/ (球形化が起こる刺激・複数の防御・捕食者・擬気管)
  3. Smigel & Gibbs (2008) Journal of Insect Science 8:44 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3127403/ (球形化のかたち・防御・水分損失の測定)
  4. ウェザーニュース「ダンゴムシの「ひみつ」」 https://weathernews.jp/s/topics/202203/230135/ (乾燥に弱いこと・渡来時期の資料差)
  5. 京都大学 生態学研究センター ダンゴムシの紹介 https://eco.kyoto-u.ac.jp/?p=9126 (エビに近い仲間・日本での最古の確認記録)

なおした ところ

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