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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

車の ラジオは、インターネットが なくても どうして きこえるの?

インターネットがなくても、車のラジオが鳴るのはなぜか ── 「放送」と「通信」のちがい

放送と通信の構造のちがい ── 一斉同報・輻輳・東日本大震災(2011)から見る、ラジオがネットに頼らない理由

分野:技術

スマホが「けんがい」に なる 山道でも、車の ラジオから 音が 出る ことが あります。ラジオは、どこから 音を うけとって いるのでしょうか。

ヒントは、「放送」と「つうしん」の ちがいです。大きな じしんの ときの 数字も 見て いきます。

スマートフォンが圏外になる山道でも、車のラジオは鳴ることがあります。ラジオはネットにつながっていないのに、なぜ音が届くのでしょうか。

手がかりは、「放送」と「通信」の仕組みのちがいです。2011年の東日本大震災で通話が集中したときの数字と、AMとFMの周波数の桁のちがいまで、順にたどります。

カーラジオはインターネット回線を使わずに受信できる。それは放送が一方向・一斉同報の仕組みで、通信とは負荷のかかり方が異なるためだ[2]。

放送法の定義[1]、ネット配信の帯域[3]、2011年の通信規制の数字[6]、AM・FMの周波数帯[4]を突き合わせて整理する。

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1. 山の 中でも、ラジオは 鳴るのは なぜ?

1. 圏外の山道で、ラジオだけが鳴る

1. 問い ── ネットなしで受信できるのは何が違うからか

車で 山道を 走って いると、スマホの 画面に 「けんがい」と 出る ことが あります。それでも、ラジオは 音楽を 流して いる ことが あります。

ラジオは、電波を 出す ところから、空を 通って 来る 電波を 直せつ うけて います。スマホが 使う つうしんの しくみとは、べつの ものです。

ただし、山の かげや トンネルでは、ラジオも とぎれます。このメモでは、「なぜ とぎれにくいのか」ではなく、「なぜ ネットが いらないのか」を 見ます。

圏外というのは、スマホが携帯電話会社の電波を受けられない状態です。それでもラジオが鳴るのは、ラジオが受けている電波が、携帯電話のデータ通信とは別の仕組みで送られているからです。

山かげやトンネルで受信しにくくなる理由は、別のメモ(電波と山・トンネルの話)で扱っています。ここでは「なぜインターネットが要らないのか」に絞ります。

圏外でもカーラジオが鳴るのは、ラジオが受ける放送波が、携帯電話網のデータ通信とは別の経路で届くためだ。放送波がなぜ山かげで弱まるかは別記事(電波と山・トンネルの話)に譲り、本稿は「なぜ回線が要らないのか」を構造の面から扱う。

2. 「放送」と 「つうしん」は どうちがう?

2. 一方向に一斉に送る「放送」、相手とやりとりする「通信」

2. 放送法の定義と一斉同報

「放送」は、おなじ 内ようを、たくさんの 人に いっせいに 送る ことです。おくる 人から 聞く 人へ、一方向です[2]。

「つうしん」は、電話のように、きまった 相手と やりとりを する ことです[2]。

たとえば、学校の 校内放送です。先生が 1回 話せば、教室の みんなに 同じ 声が とどきます。何人 聞いても、先生の 仕事は ふえません。ただし 校内放送は、電波ではなく スピーカーの 線を 使う ことが 多いです。

放送は、同じ内容を一方向に、不特定多数へ一斉に送る仕組みです。通信は、特定の相手と、互いにやりとりする仕組みです[2]。

たとえるなら、校内放送と電話です。校内放送は、先生が1回話せば、教室にいる全員に同じ声が届きます。電話は、相手ごとに1本ずつつなぎます。ただし校内放送は、電波でなくスピーカーの線を使っていることが多く、あくまで「一斉に送る」感じをつかむためのたとえです。

この分け方は、法律にも出てきます。放送法は放送を、「公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信」と定めています[1]。

放送は同一内容を一方向に不特定多数へ一斉に送る(一斉同報)。通信は特定の相手と相互にやりとりする[2]。

放送法第2条第1号は放送を「公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信」と定義する[1]。この定義は2011年施行の改正で「無線通信の送信」から「電気通信の送信」に広がったとされ、現行法はラジオ電波だけを指す定義ではない。

3. ネットの ラジオは、ひとりずつに 送る

3. ネットで聞くラジオは、聞く人の数だけ送っている

3. ストリーミングの接続数と帯域

スマホで 聞く ネットの ラジオは、ふつう、聞く 人 ひとりひとりに、べつべつに 音を 送って います[3]。

手紙で たとえると、100人に 同じ 話を 送る のに、100まいの 手紙を 書く ようなものです。聞く 人が ふえると、送る 荷物も その ぶん ふえます[3]。

ただし、ネットの ラジオにも、ちがう やりかたが あります。ここで 書いたのは、よく ある 形の 話です。

放送は、空に 電波を 出せば、聞く 人が 何人 ふえても、出す がわの 仕事は 大きく かわりにくいと 考えられます。

インターネットで聞くラジオ(ストリーミング)は、多くの場合、接続してきた相手ごとに、別々にデータを送ります。接続数が増えるほど、必要な伝送帯域も増えます[3]。

手紙にたとえれば、100人に同じ話を届けるのに、100通の手紙を書くようなものです。ただし、利用者同士がデータを分け合う方式など、例外の配信方法もあります。全部のネット配信が同じではありません。

一方、放送は電波を1か所から出せば、受信機が何台あっても送る側の作業は変わらないと考えられます。この点を直接述べた公的な資料は今回は見ておらず、上の二つの仕組みの対比から筆者が整理したものです。

クライアント・サーバ型のストリーミングでは、接続相手ごとに個別にデータを送る。接続数が増えるほど必要な伝送帯域も増える[3]。P2Pなど別方式もあり、ネット配信一般に当てはまる話ではない。

放送は一斉同報であり、受信機が何台増えても送信側の作業は原理的に変わらない、と読める。ただし「送信側の負担が変わらない」と直接述べる一次資料は取得できておらず、[2][3]の対比からの推論である。出典もウィキペディアと民間団体の解説にとどまる。

4. 大きな じしんで、電話が つながらなく なった

4. 2011年、通話が平常時の50〜60倍に集中した

4. 東日本大震災(2011)の輻輳と通信規制

2011ねん3月11日の 東日本の 大きな じしんの あと、電話が いっぺんに たくさん かけられました。ふだんの 50〜60ばいの 通話が 集まった 会社が あります[6]。

電話会社は、電話を かけにくく する きまりを 作りました。多い ときは、会社に よって 70〜95%の 通話が おさえられました[6]。

メールなどの 文字の やりとりは、電話よりは つながりやすかったと されています[6]。

2011年3月11日の東日本大震災では、NTTドコモで通常の50〜60倍の通話が発生しました。そこで通信各社は、通信規制をかけました。最大の規制率は、ドコモが90%、KDDIが95%、ソフトバンクが70%でした[6]。

ふだんの50〜60倍の音声通話の通信量が発生し、通信各社は混雑への対応として発信規制を行いました。

この規制は主に音声通話へのものでした。メールなどのパケット通信は、回線交換の音声通話より、疎通しやすかったと報告されています[6]。

『平成23年版 情報通信白書』によれば、東日本大震災(2011年3月11日)でNTTドコモには通常の50〜60倍のトラヒックが発生し、最大でドコモ90%・KDDI95%・ソフトバンク70%の通信規制が行われた[6]。輻輳(ふくそう)は、回線などに利用が集中して混み合うことを指す。

規制の対象は主に音声通話(回線交換)だった。白書は、最大95%程度の発信規制がなされた回線交換と比べ、メール等のパケット通信の方が疎通しやすかったとする[6]。「ネットなら通じた」とは読めず、通信の種類によって差があった、という範囲にとどめる。

JAGATの解説は、放送は輻輳による遅延なく同じ内容を一斉に送れる、とまとめる[2]。ただしこれは民間団体の整理であり、この震災の数字と直接結びつけて検証した資料ではない。

5. 電池の ラジオが、こまった 人を 助けた

5. 停電した場所に届けられたラジオ

5. NHKのラジオ配布と震災後の調査

NHKは、電気が 止まって いる ところを 中心に、ラジオを やく 8700台 くばりました[7]。

その あとの 調べには、「家じゅうの 電池を かき集めて、ラジオを 聞いた」という 声が とどきました[7]。

電池で 動く ラジオと、車に ついた ラジオでは、使える ようすが ちがいます。「ラジオは いつでも 使える」と 言い切る ことは できません。

NHKは震災のとき、電気が通じていない場所を中心に、約8,700台のラジオを配りました。震災後の調査には、「家中の電池をかき集めてラジオを聞いた」という声が寄せられています[7]。

停電しても、電池式のラジオなら鳴らせます。電波を受けるのに、家庭の回線は要りません。ただし、電池式か車載か、電波が届く場所かどうかで条件は変わります。「ラジオなら必ず使える」とは言い切れません。

NHKの資料(2013年、総務省検討会)によれば、震災時に電気が通じていない場所を中心にラジオ約8,700台を配布した。震災後の調査には「家中の電池をかき集めてラジオのニュースを聞いた」という声があった[7]。

電池式と車載では使える条件が異なるため、停電時にラジオが常に使えるとは断定しない。同資料の「最初に使ったメディア」の調査(被災5県、18〜49歳)は、図表の数値を確認できておらず、割合は書かない。

6. ラジオの ダイヤルの 数字を 見て みよう

6. AMとFM ── 数字の桁がちがう

6. AM・FMの周波数帯とワイドFM

ラジオには、AMと FMが あります。AMは 526.5〜1606.5 kHz、FMは それより ずっと 高い 電波を 使う、と そうむしょうの ページに 書かれて います[4]。

数字が 大きい AMの ほうが、電波が 高いように 見えます。でも、kHzと MHzは 1000ばい ちがいます。FMの ほうが、ずっと 高い 電波を 使って います。

FMは 聞こえる はんいが 大きくなく、音が きれいです。だから 町の 放送に 向いて います[4]。

ビルに かこまれた ところでは、AMが 聞きにくい ことが あります。そこで、AMの 番組を FMの 電波でも 送る 「ワイドFM」が 作られました[5]。

総務省の説明では、AM放送は526.5kHzから1606.5kHz(中波)、FM放送はAMよりずっと高い周波数(超短波)の帯を使います。FMは受信範囲が狭い代わりに高音質で、都市部の放送に向くとされます[4]。

数字の見た目に注意が必要です。1MHzは1,000kHzなので、AMの上限1606.5kHzは約1.6MHzです。FMの周波数は、それよりずっと高くなります。

ビルに囲まれた場所や電気的なノイズのせいで、AMが聞きにくいことがあります。その対策や災害時の備えとして、AM放送の番組をFMの周波数でも送る「FM補完放送(ワイドFM)」があります[5]。

総務省関東総合通信局の説明によれば、AM放送は526.5〜1606.5kHz(中波)、FM放送はAMより高い周波数(超短波)を使い、FMは受信範囲が狭く高音質で、都市部向きとされる[4]。1MHz=1,000kHzなので、AM上限は約1.6MHzであり、FMの周波数は桁が大きく上回る。数字がFMのほうが小さく見えても、周波数が低いわけではない。

FM補完放送(ワイドFM)は、AM放送の難聴・災害対策として、AM番組をFMの周波数で送る仕組みだ。難聴の原因にはビルに囲まれた場所や電磁ノイズがある[5]。

7. ラジオの 数字を さがして みよう

7. ダイヤルの数字で、AMとFMの桁を確かめる

7. 出口 ── 周波数表示を読む/原典に当たる

家や 車に ラジオが あったら、画面や ダイヤルの 数字を 見て みましょう。AMの ところには「kHz」、FMの ところには「MHz」と 書いて ある ことが あります。

数字を ひとつ えらんで、その 放送局の 名前を 聞いて みます。2つの 数字の 大きさと、聞こえかたが ちがうかも、くらべて みましょう。

もっと 知りたく なったら、大人と いっしょに そうむしょうの ページを 見ると、ラジオの ことが くわしく 出て います。

家や車のラジオで、周波数の表示を見てみてください。AMの側にはkHz、FMの側にはMHzの単位が付いていることが多いです。

AMで気になる放送局と、FMで気になる放送局の数字を1つずつ読み、1MHz=1,000kHzで換算して並べると、桁のちがいがつかめます。

もっと調べるなら、総務省の「ラジオ放送の概要」と情報通信白書が公開されています[4][6]。

手元のラジオの周波数表示(AMはkHz、FMはMHz)を読み、単位をそろえて比べると、[4]の説明が実感できる。

原典に当たるなら、『平成23年版 情報通信白書 第1部』[6]、総務省関東総合通信局の解説[4]、ワイドFMのページ[5]、NHKの災害時放送の資料[7]が公開されている。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:放送法の要約サイト、JAGATの解説、ウィキペディア、総務省の各ページと情報通信白書、NHKの資料を使った。

  1. 放送法(法令リード)。 https://hourei.net/law/325AC0000000132 (放送の法律上の定義について)
  2. JAGAT「放送と通信の特徴と相違点」。 https://www.jagat.or.jp/past_archives/content/view/3230.html (放送と通信のちがいについて)
  3. 「インターネットラジオ」日本語版ウィキペディア。 https://ja.wikipedia.org/wiki/インターネットラジオ (ネット配信の接続数と帯域について)
  4. 総務省 関東総合通信局「ラジオ放送の概要」。 https://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/bc/radio/gaiyo/index.html (AMとFMの周波数帯について)
  5. 総務省「FM補完放送(ワイドFM)」。 https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/housou_suishin/fm-seibi.html (ワイドFMの目的について)
  6. 総務省『平成23年版 情報通信白書』第1部。 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/pdf/n0010000.pdf (東日本大震災の通話集中と通信規制について)
  7. NHK「災害時の放送と機能強化」(総務省検討会資料、2013年)。 https://www.soumu.go.jp/main_content/000207131.pdf (ラジオの配布と震災後の声について)

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