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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ダイヤルを まわすと、どうして べつの きょくに かわるの?

ダイヤルを回すと局が変わる ── 金属板の重なりが、聞きたい放送を選ぶ仕組み

ラジオの選局のしくみ ── バリコンで動かすLC共振、ロッジとマルコーニの「シントニー」(1889〜1900年ごろ)

分野:技術

ラジオの ダイヤルを まわすと、きこえる きょくが かわります。でも、ラジオの 中で うごいて いるのは、うすい 金属きんぞくの 板の かさなりぐあいだけ、と いわれます。

どうして それだけで、ほしい きょくが えらべるのでしょう。いっしょに しらべて みましょう。

ダイヤルを回すと、雑音が消えて別の局の声が聞こえてきます。ところが、昔のラジオの中で実際に動いているのは、金属板が重なる面積だけです。

電気が行ったり来たりする回路と、板の重なりが、どうやって一つの放送を選ぶのか。AM放送の帯全体を受けるのに、なぜ「約9倍」がカギになるのか。そして、混信に悩んだ昔の人たちがどう考えたのかも見ていきます。

AMラジオの選局は、コイル(L)とバリコン(可変コンデンサ、C)でつくる同調回路が、特定の周波数で共振する性質を使っている[1][2]。バリコンを回すと静電容量が変わり、共振する周波数が動く[3]。

このメモでは、共振周波数の式と、AM帯(531〜1602kHz)をカバーするのに必要な容量比を自分で計算し[5]、あわせて1889年ごろのロッジの実験と1900年ごろのマルコーニの特許を、複数の資料でたどる[6][7]。

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1. ダイヤルの 中には なにが あるの?

1. ダイヤルにつながっているのは、金属板の重なり

1. バリコンの構造 ── 対向面積で静電容量を変える

むかしの ラジオの ダイヤルは、バリコンと いう ぶひんに つながって います。バリコンは、まわす ことで 電気を ためる ちからが かわる ぶひんです[3]。

中には、半円の かたちを した 金属きんぞくの 板が、なんまいも ならんで います。じくを まわすと、板と 板の かさなる ところが ふえたり へったり します[4]。

ダイヤルを まわす ことは、この 板の かさなりを かえる ことなのです。

電気をためる部品「コンデンサ」

コンデンサは、金属板を向かい合わせにして電気をためる部品です。ためられる量は「静電容量」と呼ばれ、板の距離や重なる面積で変わります[4]。

回して容量を変える

バリコン(バリアブルコンデンサの略)は、回転軸を回して固定した板と動く板が向き合う面積を変え、静電容量を変えられるようにしたコンデンサです[3]。半円形の板を同じ軸に何枚も並べた形が一般的で、ラジオの選局ダイヤルなどに使われます[4]。

バリコンは、回転軸を回して固定電極と可動電極の対向面積を変え、静電容量を可変にしたコンデンサである[3]。コンデンサは金属板を向かい合わせた構造で、静電容量は板の距離や面積で変えられる[4]。ラジオ用では半円形の板を同軸に複数枚並べ、軸の回転で重なる面積が変わる形が一般的とされる[4]。

つまり選局ダイヤルは、機械的には「電極の重なりを変える」つまみにすぎない。それが周波数の選択とどう結びつくのかが、次章以降の問いになる。

2. でんきが ブランコみたいに ゆれる

2. コイルとコンデンサの間を、電気が行き来する

2. LC回路と共振 ── f = 1/(2π√(LC))

バリコンは、コイルと いっしょに つないで つかいます。コンデンサは 電気を ためて、コイルは その 電気を うけとって、また もどします。たがいに ゆずり あうのです[1]。

すると、電気が いったり きたり する ゆれが おきます。ブランコの ようです。ブランコは、おす タイミングが あうと、大きく ゆれます。

この ゆれには、その回路ごとに きまった はやさが あります[1]。ただし 本当は、人が おして いるのでは なく、ラジオが うけた 電波が 回路を ゆらします。

エネルギーの受け渡し

コンデンサとコイルをつないだ回路(LC回路)では、コンデンサが電気を電場としてためては渡し、コイルが磁場としてためては返す、というやり取りが続きます[1]。その結果、電気が行ったり来たりする振動が起こります。

決まった速さで揺れる

この振動には、コイルの性質(インダクタンス)とコンデンサの静電容量で決まる、その回路ごとの周波数があります[1]。ブランコを押すタイミングが合うと大きく揺れるのと同じで、この周波数に合った電波が来ると、回路は強く反応します。ラジオの選局では、聞きたい局の搬送波の周波数に、回路の周波数を合わせます[1]。

LC回路は、コンデンサが電場、コイルが磁場としてエネルギーをためては渡し合い、電流が往復する振動を起こす。共振周波数は次の式で与えられる[1]。

f = 1 / (2π√(LC)) (Lはインダクタンス、Cは静電容量)

ラジオの選局では、この回路を目的の局の搬送波の周波数に共振させる[1]。搬送波の周波数が、バリコンの静電容量とコイルのインダクタンスの関係に合うとき、コイルに生じる電圧が大きくなる[2]。コイルはそのまま、バリコンだけを回して共振周波数を動かすのが、ダイヤル式選局の基本になる。

3. あった きょくだけが、大きく きこえる

3. 合った局だけが強くなる

3. 共振による選択 ── 搬送波との一致で電圧が大きくなる

ラジオの アンテナには、たくさんの きょくの 電波が いちどに とどきます。でも、回路の はやさに あった 電波だけが、回路を 大きく ゆらします[2]。

ダイヤルを まわして バリコンの かさなりを かえると、回路の はやさが かわります。すると、べつの きょくの 電波が あうように なります。

ゆれを 大きく ゆらす きょくを、ダイヤルで えらんでいる、と いう ことです。

アンテナには全部の局が届く

アンテナには、多くの局の電波が同時に届きます。その中で、回路の周波数に合った電波のときだけ、コイルの電圧が大きくなります[2]。

バリコンを回すと、選ぶ周波数が変わる

バリコンを回すと、静電容量が変わり、回路が反応する周波数が動きます[2]。ダイヤルの目盛りは、この動きに合わせて「どの周波数のときに、どの局が聞こえるか」を示したものです。具体的な局の周波数は、ときどき変わることがあるので、実際に聞くラジオの案内や放送局の情報で確かめるのがよいでしょう。

共振回路は、アンテナから入るさまざまな周波数の電波のうち、共振条件に合うものだけを大きな電圧として取り出す[2]。バリコンの回転は、この条件を満たす周波数を連続的に動かす操作にあたる。

資料の中には、東京地区の局がそれぞれどの位置のバリコンで共振するかを具体的な周波数で挙げているものもある[2]。ただし局の周波数は変更されることがあり、この記事では個別の局名と数値は扱わない。

4. 板の かさなりを、なんばい かえれば いいの?

4. AM放送の帯全体を受けるには、容量を約9倍に

4. 容量比の計算 ── 周波数比3倍に必要な静電容量比は約9倍

日本の AMほうそうは、531キロヘルツから 1602キロヘルツの はんいを つかって います[5]。いちばん 高い ほうは、いちばん ひくい ほうの、およそ 3倍です。

はやさを 3倍 かえるには、電気を ためる ちからを 3倍では なく、およそ 9倍 かえる ひつようが あります。3かける 3が 9だからです。

つまり、りそうてきな かいろなら、バリコンで ちからを 9倍ぶん うごかせれば、AMの ほうそうを ぜんぶ えらべる、と いう ことです。

周波数の比を計算する

日本の中波(AM)放送は、531kHzから1602kHzの範囲で行われています[5]。最高周波数を最低周波数で割ると、1602÷531で約3.0倍になります。

容量は「比の2乗」

共振周波数は、静電容量の平方根に反比例します[1]。周波数を3倍変えるには、容量を3の2乗にあたる約9倍(3.0²≒9.1)変えられればよい、ということです。ただしこれはコイルとコンデンサだけの理想的な回路での計算で、実際のラジオでは、コイルや回路にもともとある容量のせいで、必要な比が変わります。

実際のラジオ用バリコンは、数百pF(ピコファラド)から、ずっと小さい値までを動かす作りのものがあります[8]。ただし回路には別の部品の容量も加わるため、バリコン単体の比は、計算より小さめになることがあります[8]。

共振周波数はf ∝ 1/√C である[1]。日本の中波放送は531〜1602kHzを使うため[5]、周波数比は 1602 / 531 ≒ 3.02。必要な静電容量比はその2乗で、3.02² ≒ 9.1 となる。バリコンの最大容量と最小容量の比が約9倍あれば、理想的なLC回路では帯全体を1個のバリコンで掃引できる(実機ではコイルや付加容量に依存する)。

実際のラジオ用バリコンには、最大が数百pF、最小が十数pF程度のものがあるとされる[8]。回路の浮遊容量などで実効比は小さくなるとされるので、実機の比は上の計算値より小さくなり得る[8]。

5. まざって きこえて こまった 人たち

5. 混信に悩んだ人たちが見つけた「音叉のように合わせる」発想

5. 同調の歴史 ── ロッジ(1889年ごろ)とマルコーニ(1900年)

むかし、むせんの つうしんが はじまった ころ、いくつもの 電波が まざって 聞こえる ことが ありました。これを こんしんと いいます。

イギリスの ロッジは、1889年ごろ、ならべた ふたつの 回路で、コイルを ちょうせいして あわせた ときだけ、あいての ほうで 火花が とぶ ことを しめした、と いわれます[6]。

ロッジは この あわせる ことを、おんがくの ことばから、シントニーと よびました[6]。

ロッジの実験

イギリスの物理学者オリバー・ロッジは、1889年ごろ、ライデン瓶(初期のコンデンサ)と可変のコイルを使った二つの回路を並べる実験をしたと伝えられています[6]。コイルを調整して二つの回路の周波数を合わせたときだけ、片方の回路の火花に反応して、もう片方でも火花が飛んだ、という内容です[6]。

彼は、この「合わせる」ことを音楽用語から「シントニー」と呼び、1897年に特許を取ったとされます[6]。

マルコーニの特許

マルコーニは1900年ごろ、英国特許7777号(通称「フォー・セブンズ」)で、送る側と受ける側にそれぞれ同調回路を組み合わせ、信号を分ける方法を、おおまかに示しました[7]。背景には、混信という課題がありました[7]。

オリバー・ロッジは1889年ごろ、ライデン瓶と可変コイルを使った2組の回路を並べ、コイルの調整で共振したときのみ相手側で火花が誘起されることを示したとされる[6]。彼はこの共振を音楽用語から「syntony(シントニー)」と呼び、1897年に特許を取った[6]。

マルコーニは1900年4月26日に英国特許7777号(通称「Four Sevens」)を取得し、送信側・受信側にそれぞれ同調回路を組み合わせて信号を分離する方法を、概要として示した[7]。背景には混信の問題があった[7]。

自分でも しらべて みたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

おうちに AMラジオが あれば、ダイヤルを ゆっくり まわして みましょう。きょくと きょくの あいだの ざあざあ音が、どこで きえるか、聞いて みます。おとなの 人と いっしょに、大きな 音に ならない ように して ください。

もっと しりたいとき

「バリコン」や「LC回路」で しらべると、どんな しくみか、ずかんや 本で 見つかります。

今日できること

AMラジオがあれば、ダイヤルをゆっくり回して、局と局のあいだで雑音がどう変わるかを聞いてみましょう。ダイヤルの針の動きと、聞こえる局の順番も書き出せます。音量は小さくして聞いてください。

もっと知りたいとき

「LC回路」「共振周波数」「バリコン」などの言葉で調べると、式の意味や、部品の写真が見つかります。総務省の周波数の資料で、放送の帯の使われ方も確認できます[5]。

資料に当たるなら

LC回路の式は[1]、バリコンの構造は[3]と[4]、AM帯の範囲は[5]の総務省の資料で確かめられる。歴史については[6]と[7]で読める。

計算で確かめる

531kHzと1602kHzの共振に必要な容量比の計算(約9.1倍)は、自分で電卓を使えば追える。周波数比が2倍なら容量比はいくつになるか、3倍のときと比べて電卓で確かめてみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の[1]〜[8]は、次の資料に対応する。細部の食い違いや古い数値を含む可能性のあるものは、本文中でそのつど断っている。

  1. Wikipedia「LC circuit」 https://en.wikipedia.org/wiki/LC_circuit (共振周波数の式、エネルギーの受け渡し、ラジオの選局での使い方)
  2. 共振回路(ストレートラジオ解説) http://www7b.biglobe.ne.jp/~dankai/radio2.html (バリコンを回すと共振する周波数が変わる仕組み。局の周波数の例は使っていない)
  3. Wikipedia「バリコン」 https://ja.wikipedia.org/wiki/バリコン (バリコンの構造と用途)
  4. Electrical Information「可変コンデンサの種類」 https://detail-infomation.com/variable-capacitor-type/ (金属板の距離・面積で容量が変わること)
  5. 総務省 近畿総合通信局「中波放送局(AM)の置局状況」 https://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/housou/radio/tyuha.html (中波放送の周波数の範囲)
  6. Tuning at the Dawn of Radio(ResearchGate) https://www.researchgate.net/publication/327043812_Tuning_at_the_Dawn_of_Radio (ロッジの実験とシントニー)
  7. Museum of the History of Science, Oxford「7777」 https://www.mhs.ox.ac.uk/marconi/exhibition/7777.html (マルコーニの特許7777号と背景)
  8. ラジオ用バリコン解説(PDF) http://www4.tokai.or.jp/radioshack/reference_docs/varicon_keisuu.pdf (容量比と実機の容量の目安)

なおした ところ

更新履歴

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