1. ダイヤルの 中には なにが あるの?
1. ダイヤルにつながっているのは、金属板の重なり
1. バリコンの構造 ── 対向面積で静電容量を変える
むかしの ラジオの ダイヤルは、バリコンと いう ぶひんに つながって います。バリコンは、まわす ことで 電気を ためる ちからが かわる ぶひんです[3]。
中には、半円の かたちを した 金属の 板が、なんまいも ならんで います。じくを まわすと、板と 板の かさなる ところが ふえたり へったり します[4]。
ダイヤルを まわす ことは、この 板の かさなりを かえる ことなのです。
2. でんきが ブランコみたいに ゆれる
2. コイルとコンデンサの間を、電気が行き来する
2. LC回路と共振 ── f = 1/(2π√(LC))
バリコンは、コイルと いっしょに つないで つかいます。コンデンサは 電気を ためて、コイルは その 電気を うけとって、また もどします。たがいに ゆずり あうのです[1]。
すると、電気が いったり きたり する ゆれが おきます。ブランコの ようです。ブランコは、おす タイミングが あうと、大きく ゆれます。
この ゆれには、その回路ごとに きまった はやさが あります[1]。ただし 本当は、人が おして いるのでは なく、ラジオが うけた 電波が 回路を ゆらします。
3. あった きょくだけが、大きく きこえる
3. 合った局だけが強くなる
3. 共振による選択 ── 搬送波との一致で電圧が大きくなる
ラジオの アンテナには、たくさんの きょくの 電波が いちどに とどきます。でも、回路の はやさに あった 電波だけが、回路を 大きく ゆらします[2]。
ダイヤルを まわして バリコンの かさなりを かえると、回路の はやさが かわります。すると、べつの きょくの 電波が あうように なります。
ゆれを 大きく ゆらす きょくを、ダイヤルで えらんでいる、と いう ことです。
4. 板の かさなりを、なんばい かえれば いいの?
4. AM放送の帯全体を受けるには、容量を約9倍に
4. 容量比の計算 ── 周波数比3倍に必要な静電容量比は約9倍
日本の AMほうそうは、531キロヘルツから 1602キロヘルツの はんいを つかって います[5]。いちばん 高い ほうは、いちばん ひくい ほうの、およそ 3倍です。
はやさを 3倍 かえるには、電気を ためる ちからを 3倍では なく、およそ 9倍 かえる ひつようが あります。3かける 3が 9だからです。
つまり、りそうてきな かいろなら、バリコンで ちからを 9倍ぶん うごかせれば、AMの ほうそうを ぜんぶ えらべる、と いう ことです。
周波数の比を計算する
日本の中波(AM)放送は、531kHzから1602kHzの範囲で行われています[5]。最高周波数を最低周波数で割ると、1602÷531で約3.0倍になります。
容量は「比の2乗」
共振周波数は、静電容量の平方根に反比例します[1]。周波数を3倍変えるには、容量を3の2乗にあたる約9倍(3.0²≒9.1)変えられればよい、ということです。ただしこれはコイルとコンデンサだけの理想的な回路での計算で、実際のラジオでは、コイルや回路にもともとある容量のせいで、必要な比が変わります。
実際のラジオ用バリコンは、数百pF(ピコファラド)から、ずっと小さい値までを動かす作りのものがあります[8]。ただし回路には別の部品の容量も加わるため、バリコン単体の比は、計算より小さめになることがあります[8]。
5. まざって きこえて こまった 人たち
5. 混信に悩んだ人たちが見つけた「音叉のように合わせる」発想
5. 同調の歴史 ── ロッジ(1889年ごろ)とマルコーニ(1900年)
むかし、むせんの つうしんが はじまった ころ、いくつもの 電波が まざって 聞こえる ことが ありました。これを こんしんと いいます。
イギリスの ロッジは、1889年ごろ、ならべた ふたつの 回路で、コイルを ちょうせいして あわせた ときだけ、あいての ほうで 火花が とぶ ことを しめした、と いわれます[6]。
ロッジは この あわせる ことを、おんがくの ことばから、シントニーと よびました[6]。
ロッジの実験
イギリスの物理学者オリバー・ロッジは、1889年ごろ、ライデン瓶(初期のコンデンサ)と可変のコイルを使った二つの回路を並べる実験をしたと伝えられています[6]。コイルを調整して二つの回路の周波数を合わせたときだけ、片方の回路の火花に反応して、もう片方でも火花が飛んだ、という内容です[6]。
彼は、この「合わせる」ことを音楽用語から「シントニー」と呼び、1897年に特許を取ったとされます[6]。
マルコーニの特許
マルコーニは1900年ごろ、英国特許7777号(通称「フォー・セブンズ」)で、送る側と受ける側にそれぞれ同調回路を組み合わせ、信号を分ける方法を、おおまかに示しました[7]。背景には、混信という課題がありました[7]。
自分でも しらべて みたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日 できること
おうちに AMラジオが あれば、ダイヤルを ゆっくり まわして みましょう。きょくと きょくの あいだの ざあざあ音が、どこで きえるか、聞いて みます。おとなの 人と いっしょに、大きな 音に ならない ように して ください。
もっと しりたいとき
「バリコン」や「LC回路」で しらべると、どんな しくみか、ずかんや 本で 見つかります。
今日できること
AMラジオがあれば、ダイヤルをゆっくり回して、局と局のあいだで雑音がどう変わるかを聞いてみましょう。ダイヤルの針の動きと、聞こえる局の順番も書き出せます。音量は小さくして聞いてください。
もっと知りたいとき
「LC回路」「共振周波数」「バリコン」などの言葉で調べると、式の意味や、部品の写真が見つかります。総務省の周波数の資料で、放送の帯の使われ方も確認できます[5]。
資料に当たるなら
LC回路の式は[1]、バリコンの構造は[3]と[4]、AM帯の範囲は[5]の総務省の資料で確かめられる。歴史については[6]と[7]で読める。
計算で確かめる
531kHzと1602kHzの共振に必要な容量比の計算(約9.1倍)は、自分で電卓を使えば追える。周波数比が2倍なら容量比はいくつになるか、3倍のときと比べて電卓で確かめてみるとよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の[1]〜[8]は、次の資料に対応する。細部の食い違いや古い数値を含む可能性のあるものは、本文中でそのつど断っている。
- Wikipedia「LC circuit」 https://en.wikipedia.org/wiki/LC_circuit (共振周波数の式、エネルギーの受け渡し、ラジオの選局での使い方)
- 共振回路(ストレートラジオ解説) http://www7b.biglobe.ne.jp/~dankai/radio2.html (バリコンを回すと共振する周波数が変わる仕組み。局の周波数の例は使っていない)
- Wikipedia「バリコン」 https://ja.wikipedia.org/wiki/バリコン (バリコンの構造と用途)
- Electrical Information「可変コンデンサの種類」 https://detail-infomation.com/variable-capacitor-type/ (金属板の距離・面積で容量が変わること)
- 総務省 近畿総合通信局「中波放送局(AM)の置局状況」 https://www.soumu.go.jp/soutsu/kinki/housou/radio/tyuha.html (中波放送の周波数の範囲)
- Tuning at the Dawn of Radio(ResearchGate) https://www.researchgate.net/publication/327043812_Tuning_at_the_Dawn_of_Radio (ロッジの実験とシントニー)
- Museum of the History of Science, Oxford「7777」 https://www.mhs.ox.ac.uk/marconi/exhibition/7777.html (マルコーニの特許7777号と背景)
- ラジオ用バリコン解説(PDF) http://www4.tokai.or.jp/radioshack/reference_docs/varicon_keisuu.pdf (容量比と実機の容量の目安)
なおした ところ
更新履歴
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