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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

むらさきキャベツの しるは、どうして すを 入れると いろが かわるの?

紫キャベツの汁は、なぜ酢を入れると赤くなるのか ── 色素が形を変える話

紫キャベツの色素アントシアニンとpH ── 構造変化で吸収する光が変わる仕組みと、花の色への広がり

分野:自然

むらさき色の キャベツの しるを コップに 入れて、すを ぽとり。すると、しるは ピンク色に かわります。こんどは、べつの コップに ちがう ものを 入れて みます。

おなじ しるなのに、どうして いろが かわるのでしょうか。 それは、しるの 中の 色素しきそが、かたちを かえるからだと いわれて います。

紫色のキャベツを水に浸してできた汁に、酢を数滴たらします。紫だった汁が、みるみる赤っぽくなります。アルカリ性の液を入れると、今度は青緑に近い色になります。

同じ汁なのに、なぜ色が変わるのでしょうか。汁の中で何が起きているのでしょうか。そして、この仕組みは、アサガオやアジサイの花の色ともつながっているようです。

紫キャベツ(赤キャベツ)の汁は、酸性で赤っぽく、中性で紫っぽく、アルカリ性で青緑っぽくなる[2]。これは色素アントシアニンの分子構造が液のpHで変わり、吸収する光の波長が変わるためと説明される[3]。本稿では、この変化の仕組みを資料で追い、花の色の話まで広げる。

ただし、色とpHの対応は連続的で、表のように区切れるものではない。アサガオとアジサイの例は、pHだけでは足りない部分があることも示している。

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1. むらさきキャベツの しるが、いろんな いろに なる

1. 紫キャベツの汁が、三つの色になる

1. 紫キャベツの汁の、酸性・中性・アルカリ性での色の違い

むらさきキャベツを 水に つけると、むらさき色の しるが できます。この しるに すを 入れると、赤っぽい ピンク色に なります。

しるに めんを 入れると、青みどり色に なる、と しょうかいされて います[2]。おなじ しるが、赤にも むらさきにも 青みどりにも なるのです。

紫キャベツの煮汁は、酸性の液では赤っぽく、中性では紫っぽく、アルカリ性では青緑っぽくなります。イミダスの解説には、アルカリ性の麺を入れた汁が青緑になり、そこへ酢を加えるとピンクになる例が紹介されています[2]。

酢やアルカリ性の麺のように、身の回りのものを入れるだけで、汁は「色のものさし」になります。

ただし、「酸性なら赤、アルカリ性なら青」というのは目安です。実際の色は、なめらかにつながって変わっていきます[2]。

紫キャベツの汁は、酸性で赤っぽく、中性で紫っぽく、アルカリ性で青緑っぽくなる。麺(アルカリ性)を入れると青緑になり、そこへ酢を加えるとピンクになる例が紹介されている[2]。近畿化学協会のQ&Aは、この色の変化を分子構造の変化で説明している[3]。

ここで注意したいのは、「酸性=赤、アルカリ性=青」が目安だという点だ。実際には色は連続的に変わり、汁の濃さでも見え方が違う。以降では、なぜこの色の連続が生じるのかを追う。

2. 色を つくって いる ものの なまえ

2. 汁の色をつくる色素、アントシアニン

2. アントシアニンとは何か

この 色を つくって いるのは、アントシアニンと いう 色素しきそです。赤、むらさき、青と、その あいだの きれいな 色を つくる、しぜんの 色素しきそだと いわれます[1]。

シソ、ぶどう、なす、そして 赤キャベツにも 入って います。

この色の正体が、アントシアニンという天然の色素です。津久井の解説では、赤、紫、青と、その中間の色をもつ色素で、シソ、ぶどう、りんご、いちご、なす、赤キャベツなどに含まれるとされています[1]。

秋の紅葉にも関わる色素ですが、ここでは「汁の色がなぜ変わるのか」に話をしぼります。

アントシアニンは、アントシアニジンという骨格に糖が結合した配糖体で、赤・紫・青とその中間色を示す天然色素だ。シソ、ぶどう、りんご、いちご、なす、赤キャベツなどの野菜や果実に含まれる[1]。

赤キャベツの色素は、一つの物質ではない。鹿光生物科学研究所の資料では約11種類とされ、アシル化されたものが多くを占めるため、アントシアニンの中では安定性が高いとされる[4]。種類の数は資料によって違う。

3. かたちが かわると、ひかりの すいかたが かわる

3. 分子の形が変わると、吸う光が変わる

3. pHによる構造変化と吸収波長

アントシアニンの ぶんしは、まわりの しるが すっぱい がわか、アルカリの がわかで、かたちが かわります。かたちが かわると、ひかりの すいかたも かわり、ちがう 色に 見えます[3]。

おりがみを おると、おなじ かみでも 見えかたが かわりますよね。ただし ほんとうは、かみを おるのでは なく、まわりの しるに あわせて ぶんしが かたちを かえて います。

色が変わる原因は、アントシアニンの分子の形が、まわりの液のpHで変わることです。形が変わると、分子が吸う光の波長が変わり、目に届く色が変わります[3]。

津久井の解説では、強い酸性の液では赤色の型、弱い酸性から中性では紫色の型、塩基性(アルカリ性)では青色の型になるとされています[1]。この説明は、代表的なアントシアニンのものです。紫キャベツの色素だけの値ではありません。

色調の変化は、pHによる構造変化として説明される。強酸性ではフラビリウムカチオン型が安定で赤色、強酸性から中性ではアンヒドロ塩基となり赤紫〜紫色、塩基性ではアンヒドロ塩基アニオンとなって青色を呈する[1]。構造が変わると、光の吸収波長が変わる[3]。

この対応は、一般的なシアニジン3,5-ジグルコシドの図に基づくもので、紫キャベツ専用の値ではない[1]。赤キャベツの色素は複数の分子の混合で、アシル化された分子が多い[4]。単純な三色の切り替えより、実際の色はなめらかにつながると考えるのが自然だ。

4. 色が なくなる ことも ある

4. 色は、ときに消えてしまう

4. 水和による退色と、色調の目安

アントシアニンの ぶんしには、水と くっついて、色が なくなる かたちに なる ものも あります[1]。おなじ しるでも、おいて おくと 色が うすく なることが あるのは、こういう ことも かんけい するかもしれません。

アントシアニンの色は、いつまでも同じではありません。津久井の解説によると、紫色の型は不安定で、水と結びついて無色の型になりやすいそうです[1]。この水との結びつきを防ぐと、色素は安定するとされます。

汁をつくって時間がたつと色がうすくなるのは、こうした変化も関係するのかもしれません。ただ、汁の色が時間とともにどう変わるかは、ここでは扱いません。

アンヒドロ塩基は不安定で、容易に水和して無色の擬塩基(プソイド塩基)に変化する。この水和を防ぐと、アントシアニンは安定する[1]。汁の色の薄れやすさは、この過程が関係する可能性があるが、汁の時間変化は、ここでは扱わない。

色調の目安として、鹿光生物科学研究所の資料は、赤キャベツ色素がpH3以下で鮮明な赤紫、pH4〜6で暗赤紫になるとしている[4]。これはメーカー資料の記述で、家庭で作った汁は濃さによって見え方が変わる。

5. 赤キャベツの 色素しきそは、じょうぶ?

5. 赤キャベツの色素は、比較的じょうぶ

5. アシル化と安定性

アントシアニンは、こわれやすい ものも 多いです。でも 赤キャベツの 色素しきそは、アントシアニンの 中では じょうぶな ほうだと いわれます[4]。アントシアニンの なかまは、食べものの 色つけにも 使われて います[1]。

アントシアニンは一般に壊れやすい色素ですが、赤キャベツの色素は、その中では安定性が高いとされます。分子にアシル基がついたもの(アシル化されたもの)が多いためだそうです[4]。

アントシアニンの仲間は、食べ物の色づけにも使われています。津久井の解説には、天然色素の国内需要のうち、アントシアニンが約1割を占めた年度(平成7年度)があると書かれています[1]。古い数字なので、今の割合ではありません。

アカキャベツ色素の主成分は約11種類のアントシアニンで、アシル化アントシアニンとジアシル化アントシアニンが多くを占めるため、アントシアニンの中では安定性が高いとされる[4]。食品では、当時アントシアニン系色素が天然色素として使われ、平成7年度の国内需要は天然色素3,251トンのうちアントシアニンが385トン(11.7%)だった[1]。1995年度の値で、最新ではない。

安定性が高いとはいえ、アルカリ側では一般にアントシアニンは分解しやすい。農研機構の解説は、ポリアシル化アントシアニンだけが例外的に安定で、アサガオの青色を支えていると述べる[5]。

6. アサガオや アジサイの 色も、おなじ しくみ?

6. 花の色とのつながり ── アサガオとアジサイ

6. 花の色とpH、そしてpHだけでは足りない例

アサガオは、つぼみのとき 赤むらさき色で、ひらくと 青く なります[5]。花びらの さいぼうの 中の しるの すっぱさが、少しずつ かわるからだと いわれて います。

でも、アジサイの 青と 赤は、土の すっぱさだけで きまるわけでは ありません[5]。ほかにも かかわる ものが あるようです。

農研機構の解説によると、ソライロアサガオの花びらの細胞の中の液は、つぼみのころは約6.6(弱い酸性)ですが、花が開くにつれて上がり、完全に開くと7.7(弱いアルカリ性)になります。それとともに、色は赤紫から青へ変わります[5]。

ただし、花の青はpHだけでは決まりません。農研機構は、ヤグルマギクの青が鉄・マグネシウム・カルシウムなど金属イオンとの複合体によること、アジサイの青花と赤花の違いにアルミニウムの量や共存する物質が関わることを説明しています[5]。土のpHが直接色を決めるわけではありません。

ソライロアサガオでは、花弁細胞の液胞のpHがつぼみで約6.6(弱酸性)、完全に開花した状態で7.7(アルカリ性)へ上がり、赤紫から青へ色が変わる[5]。6.6は弱酸性、7.7は弱アルカリ性で、強い酸や強いアルカリではない。

一方、花の青色はpHだけでは説明できない。金属イオンやコピグメント(共存色素)との複合体でも青は生まれる。ヤグルマギクは鉄・マグネシウム・カルシウムの3種の金属イオンを含む複合体で青くなり、アジサイの青花と赤花の違いはアルミニウムの量や共存物質の組成の違いとされる[5]。酸性土壌ではアルミニウムが吸収されやすい形で存在するため、青色が強くなる。土のpHが直接色を決めるわけではない。

7. じぶんでも しらべて みよう

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

おうちの 人と いっしょに、むらさきキャベツの しるを つくって みましょう。こまかく きった はっぱに、おうちの 人に あつい おゆを そそいで もらいます。さめたら、しるだけ とりだします。

しるを ちいさな コップに わけて、酢す、レモンの しる、水などを 少しずつ 入れて、いろの ちがいを 見ましょう。きれいな コップと スプーンで やって、しるは のまないでくださいね。

アサガオを そだてて いるなら、朝と おひるで 花の 色が ちがって 見えるか、見くらべて みましょう。

台所にあるものを液に入れて、色を比べてみましょう。紫キャベツの葉を細かく切り、大人にお湯を注いでもらって、冷めたら汁だけを取ります。汁を小さなコップに分けて、酢、レモン汁、水、重曹を溶かした水などを少しずつ加えます。

加える量で色は変わるので、順番と量をノートに書いておくと、後から比べやすくなります。実験に使った液は飲まないでください。洗剤などは、目や口に入らないよう気をつけましょう。

アサガオを育てているなら、朝と昼で花の色を見比べてみましょう。もとになった資料は、ページの下の「参考にした情報源」にあります。

実験としては、紫キャベツの葉を細かく切り、大人が熱湯を注いで抽出し、冷めてから汁を分ける。酢、レモン汁、水、重曹水などで色を比較する。pH試験紙があれば、色とpHを対応させて記録できる。汁は濃さや抽出条件で色調が変わるので、条件をそろえて比べるのが望ましい。

資料としては、農研機構の「青色」のページ(花の色の仕組み)は、アサガオの液胞のpHやアジサイの色の要因を、具体的な数値とともに説明している[5]。津久井の解説(日本食生活学会誌)は、アントシアニンの構造とpHの関係を化学式つきで解説している[1]。両方を読み比べると、「pHで色が変わる」という説明が、どこまで通用するかが見えてくる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:津久井は学会誌の解説、イミダスは科学解説記事、近畿化学協会は化学Q&A、鹿光生物科学研究所は色素メーカーの資料、農研機構は公的機関の解説です。

  1. 津久井亜紀夫「食品中のアントシアニン色素について」日本食生活学会誌 9(1), 1998。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jisdh1994/9/1/9_1_9/_pdf (アントシアニンの構造とpH、水和、需要量)
  2. イミダス「なぜムラサキキャベツは変色するのか?」。 https://imidas.jp/science/?article_id=k-051-009-10-11-g385 (酸性・中性・アルカリ性での汁の色の例)
  3. 近畿化学協会 化学Q&A Q63。 http://kinki.chemistry.or.jp/pre/a-63.html (構造の変化と色)
  4. 鹿光生物科学研究所「アカキャベツ色素」。 https://www.rokkou-co.jp/wp/naturalfoodcolor/red-cabbage/ (赤キャベツ色素の種類数、安定性、pHごとの色調)
  5. 農研機構 野菜花き研究部門「青色」。 https://www.naro.go.jp/laboratory/nivfs/kiso/color_mechanism/contents/blue.html (アサガオの液胞のpH、金属錯体の青、アジサイ)

なおした ところ

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