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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

しおを まぜた 水は、どうして こおりにくいの?

海の水が0℃で凍らないわけ ── 塩が「凍る温度」を下げるしくみ

凝固点降下 ── 塩水はなぜ0℃で凍らないのか、海水(約−1.8℃)から食塩水の限界(約−21℃)まで

分野:自然

ふゆの みちに、白い つぶを まいて いる ところを 見た ことは ありますか。あれは しおの なかまです。まくと、こおった みちが とけて いきます。

しおを 入れると、水は どうして こおりにくく なるのでしょう。しおが 水を あたためる わけでは ありません。ふしぎの わけを 見て いきます。

冬の道路に、白い粒がまかれていることがあります。凍った路面の上にまくと氷がとけていきますが、この粒は「塩」の仲間で、水をあたためているわけではありません。

海の水も、真水が凍る0℃を下回ってまだ凍りません。塩が入った水は、なぜ凍りにくいのでしょうか。粒の数、氷ができるときの塩のゆくえ、そして塩水にも限界があることまで、順にたどります。

真水は0℃で凍るが、海水が凍り始めるのは約−1.8℃(資料により−1.9℃)だ[4]。冬の道路にまく塩も、凍った路面をとかす[3]。どちらも、溶けているものが凝固点を下げる「凝固点降下」で説明される[1]。

定義と仕組みの説明、粒の数との関係、海氷ができるときの塩の動き、食塩水の限界(約−21℃)を、出典を突き合わせながら整理する。

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1. 0℃で こおらない 水が ある

1. 0℃を下回っても凍らない水がある

1. 凝固点降下とは何か

ふつうの 水は、0℃に なると こおりはじめます。ところが、しおを とかした 水は、0℃に なっても すぐには こおりません。もっと ひくい 温度まで、水の ままで います[1]。

たとえば 海の 水です。海の 水1キログラムには、しおが 35グラムほど ふくまれて います。この 海の 水が こおりはじめるのは、マイナス 2℃より 少し 上、およそ マイナス 1.8℃です[4]。

この ように、とけた ものが あると こおる 温度が さがる ことを、「凝固点降下ぎょうこてんこうか」と よびます。ただ、ここでは「こおりはじめる 温度が さがる」と おぼえれば 十分です。

水は0℃で凍る、と習います。ところが、塩を溶かした水は0℃では凍らず、もっと低い温度まで液体のままでいます。食塩水だけでなく、砂糖水も同じです[1]。

海水を例にとると、1kgに塩分が約35g含まれていて、凍り始めるのは約−1.8℃です。資料によって−1.9℃とするものもあり、「−2℃よりわずかに上」くらいと考えるのが安全です[4]。

溶けているものがあると、水が凍り始める温度(凝固点)が下がる。この現象を「凝固点降下」といいます。液体には溶けても、氷(固体)には入っていかない物質を溶かしたときに起きる現象です[1]。

凝固点降下とは、液体(溶媒)にだけ溶け、固体にはほとんど入らない物質(溶質)を溶かすと、溶媒の凝固点が下がる現象である。純水は0℃で凍るが、食塩水や砂糖水はそれより低い温度まで液体でいる[1]。

海水は1kgに塩分が約35g含まれ、凍り始めるのは約−1.8℃とされる。資料により−1.9℃とするものもあり、ここでは「約−2℃弱」と幅を持たせて読むのが安全だ[4]。

ここで押さえたい点は、塩が水をあたためるのではなく、水が凍り始める限界の温度が下がる、ということだ[3]。

2. しおが、こおるのを じゃまする

2. 塩が「くっつく」のを邪魔する

2. 仕組みの見方 ── 結晶化の妨害と、出入りのつり合い

こおりに なるとき、水の つぶどうしが、ならんで くっつきます。ところが、水の 中に しおが まざって いると、氷の かたちに なりにくく なります[3]。

ひろい 広場で、ボールを ならべて 一列に しようと して いる ところを 思いうかべて ください。そこへ、ほかの ボールが たくさん ころがって きて まざると、なかなか 列が できません。ボールが おちつかないと、ならべられないのです。ただし 本当の 水の つぶは、気もちが あるわけでは なく、動いて ぶつかる だけです。

だから しおが 入った 水は、ふつうの 水より ずっと さむく ならないと、こおれません。

氷ができるときには、水の分子どうしが決まった並びでくっつきます。水の中に別の物質が溶けていると、水分子が氷の結晶になるのが起こりにくくなり、凍りにくくなる、という説明があります[3]。

たとえてみましょう。広い場所で、ボールを一列にならべようとしているところへ、別のボールがたくさん転がって混ざったとします。列がなかなかできません。落ち着くまで待たないと、ならべられないのです。ただし、水の分子に意思はなく、勢いよく動いてぶつかっているだけです。

もう少し詳しい教材では、凍るのは水だけで、溶けたものは氷に入らない点が大事とされます。溶けたものがあるせいで、氷から水へ戻る分子が優勢になり、もっと温度を下げないと凍る側が勝てない、と説明されています[2]。

初歩的な説明では、水に不純物(溶質)があると、水分子が結晶になるのが起こりにくくなるため凍りにくい、とされる[3]。

化学の教材では、もう少し踏み込んで、水分子が氷になって出ていく速さと、氷から液体に戻る速さのつり合いで考える。溶質があると、氷にとけ戻る側が優勢になるため、凍る側が釣り合うには、より低い温度が必要になる[2]。溶質は氷に入らない、という前提が重要だ。

なお、同じ現象は蒸気圧降下(液体側が安定になること)からも導かれると教材にはあるが、本稿では踏み込まない[2]。

3. 大切なのは、つぶの かず

3. 効くのは「粒の数」── 食塩は2つに分かれる

3. 質量モル濃度と電離 ── 食塩が砂糖の約2倍効く理由

こおる 温度が どれだけ さがるかは、とけた ものの「しゅるい」では なく、「つぶの かず」で きまります[2]。

しおは、水の 中で 2しゅるいの つぶに わかれます。さとうは わかれません。だから、同じ かずだけ とかすと、しおの ほうが つぶが 2ばい に なり、こおる 温度を より さげます[1]。

凝固点がどれだけ下がるかは、うすい溶液では、溶けたものの種類ではなく、溶けている粒子の数(質量モル濃度。1kgの水にいくつ溶けているか)でほぼ決まります。水の場合、1kgの水に粒が1mol(6×10の23乗個)溶けるごとに、約1.9℃下がる、という値が使われます[2]。

食塩(塩化ナトリウム)は水の中でナトリウムイオンと塩化物イオンの2種類に分かれます。砂糖は分かれません。そのため、同じmol数を溶かした場合、食塩は砂糖の約2倍の粒として働きます[1]。

なお、この「2倍」はmolあたりの話です。同じ重さで比べるなら、食塩のほうが1粒あたりの重さが軽いので、さらに差が開きます。

希薄な溶液では、凝固点降下の大きさΔTは、溶質の種類によらず、質量モル濃度mに比例する(ΔT=Kf×m)。水のKfは約1.85 K·kg/mol(教材により1.85、1.86と表記が分かれるため、約1.9と丸める)[2]。

食塩はNa⁺とCl⁻に電離するため、粒の数はモル数の約2倍で数える。砂糖は電離しないので1倍だ[1]。水1kgに食塩1mol(約58g)を溶かした場合、理想的な近似では2×1.85=約3.7℃下がる計算になる。これは筆者の見積もりで、実際の値はこの式からずれることがある。

「2倍」はモル数あたりであり、同じ質量なら、食塩は式量が砂糖より小さいため、さらに差が開く点に注意したい。

4. 海が こおると、しおは どうなる?

4. 海が凍るとき、塩は氷から出ていく

4. 海氷の形成 ── 塩分の排出と、残る水の変化

海の 水が こおって 氷に なる とき、しおは 氷の 中には あまり 入りません。氷から おし出されて、まわりの 水に のこります[5]。

すこしだけ、氷の 中に とじこめられる しおも あります。それでも、できた 氷は 海水より しおが 少ないと 考えられて います。

すると、氷の まわりの 水は、しおが 多く なります。しおが 多い 水は、もっと こおりにくく なると 考えられます。これは 気象庁きしょうちょうの せつめいを もとに、この 記事が 考えた ことです。

海水が凍るとき、塩分は氷から排出されます。一部は氷の中に閉じ込められて残るものの、大部分は外へ出ていきます[5]。海上保安庁の海氷情報センターも、−1.8℃で氷が成長するときに塩分が排出されると説明しています[4]。

氷の周りに取り残された水は、塩の濃さが増します。濃い塩水は、凝固点がさらに下がるはずなので、凍りにくくなります。この点は、気象庁の説明にある塩分の排出から、ここまでの仕組みを使って導いた見方です。

つまり、海は一度に全部が凍るのではなく、水の一部だけが氷になっていきます[4]。凍るにつれて、残った水の凍る温度はさらに下がると考えられます。

気象庁は、海水は凍るときに塩分を排出し、多少の塩分は海氷中に閉じ込められて残ると説明する[5]。海上保安庁も、−1.8℃で氷が成長する際に塩分が排出されるとする[4]。

ここから、排出された塩分で周囲の水の濃度が上がり、凝固点がさらに下がると推論できる。この部分は、凝固点降下の原理(第1〜3章)にもとづく筆者の推論である。

結果として、海水は一斉に凍らず、水の一部だけが結晶になる。凍るにつれて残りの水は濃くなり、その凝固点はさらに下がると考えられる。

5. しおを ふやしても、とどかない ところ

5. 塩を増やしても下がらない限界と、道路の塩

5. 共晶点(約−21℃)と凍結防止剤

それなら、しおを もっと たくさん 入れれば、どんなに さむくても こおらないのでしょうか。じつは、そうでは ありません。

しおは、水に とけられる りょうに かぎりが あります。しおを たくさん 入れて いくと、こおる 温度は およそ マイナス 21℃まで さがります。そこが いちばん ひくい 温度です。それより おおく しおを ふやしても、もう さがりません[3]。

ふゆの みちに まく しおは、この 力を 使って います。ただし、マイナス 21℃より さむく なると、ふつうの しおだけでは ふせげない ことが あります。そこで、もっと さむい ところで はたらく 「塩化えんかカルシウム」と いう ものも 使われます[6]。

それなら、塩をどんどん増やせば、どこまでも凍りにくくなるのでしょうか。実際には、下がる温度には底があります。

塩化ナトリウム(食塩)の場合、食塩水の凍る温度は約−21℃まで下がります(東京ソルトは、水に対して26.4%で飽和し、凝固点が−21℃になると説明しています)。ここが下限で、それ以上塩を足しても、凍る温度は下がりません[3]。

冬の道路の凍結防止剤には、主に塩化ナトリウムと塩化カルシウムが使われます。塩化カルシウムのほうが、塩化ナトリウムより低い温度でも効くとされます[6]。気温が−21℃を下回ると、食塩水だけでは凍結を防げない場合があり、そのときにこの違いが意味を持つと考えられます。

塩化ナトリウム水溶液の凝固点は、濃度が上がるほど下がるが、共晶点(約−21℃)で下限に達する。それ以上に塩を加えても、凍る温度は下がらない[3]。濃度については、東京ソルトが「水に対して26.4%で飽和し、凝固点が−21℃になる」と述べる。共晶点の濃度そのものとは資料で差があるため、ここでは分けて扱い、「約−21℃」を主とする。

道路の凍結防止剤には、主に塩化ナトリウムや塩化カルシウムが用いられる。塩化カルシウムのほうが低温まで効くとされ、約−51℃とする記述もある[6]。

凍結防止の原理は、路面の氷や雪が溶けた水が塩を含んで凝固点が下がる、という点にある。気温が共晶点(約−21℃)を下回ると、食塩水だけでは凍結を防げない場合がある[3]。

6. しおの 水を、れいとうこで くらべて みよう

6. 濃さの違う塩水を、冷凍庫で比べてみる

6. 出口 ── 濃度を変えて凍らせる/原典を読む

おうちの 人と いっしょに やります。同じ 大きさの コップを 3つ 用意して、水を 同じだけ 入れます。

1つは そのまま、1つは しおを ひとつまみ、もう 1つは しおを たくさん 入れて、よく まぜます。コップに 目じるしを つけて、れいとうこに 入れます。

数時間 たったら、そっと 見て ください。かたまり ぐあいが、ちがう はずです。どれが いちばん こおりにくいか、しおを どれだけ 入れたかと むすびつけて 考えて みましょう。ただし、れいとうこの 温度や 水の りょうで 様子は かわります。かならず こうなる、とは いえません。

しおの 水は、のまないで ください。手が つめたく ならないよう、出す ときも 気を つけて ください。

家庭で、安全にできる比べ方があります。同じ大きさのコップを3つ用意し、同じ量の水を入れます。1つはそのまま、1つには塩をひとつまみ、もう1つには塩をたくさん入れて溶かします。コップに目印をつけて、冷凍庫に入れます。

数時間後に、凍り方を比べてみてください。塩を多く入れたほうが凍りにくいと予想できますが、実際にどうなるかは、冷凍庫の温度や水の量、塩の量で変わります。濃い塩水が最後まで液体のままか、シャーベット状になるか、自分の目で確かめる価値があります。

塩水は飲まないでください。凍ったコップを触るときは、手が冷たくなりすぎないよう気をつけます。

資料を読むなら、東京ソルトの解説ページ[3]と、気象庁の海氷の解説[5]が日本語で読めます。

濃度を変えた塩水を同じ量ずつ作り、冷凍庫で凍らせて比べる。「凍る/凍らない」ではなく、凍り始める時間や、シャーベット状かどうかも観察するとよい。塩水は飲まない。冷凍庫の温度は機種や設定で異なり、結果はそれに左右される。

原典に当たるなら、凝固点降下の基本は化学の教材ページ[2]とウィキペディア[1]、塩の凍結防止への使い方は東京ソルトの解説[3]、海氷は海上保安庁[4]・気象庁[5]の解説を読みたい。塩化カルシウムの数値は原資料にもあたってみたい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:ウィキペディア、化学の教材ページ、東京ソルトの解説、海上保安庁と気象庁の海氷の解説を使いました。粒の数と食塩の降下幅の見積もりは、筆者が計算したものです。

  1. 「凝固点降下」日本語版ウィキペディア。 https://ja.wikipedia.org/wiki/凝固点降下 (凝固点降下の定義、電離する物質の粒の数について)
  2. 化学のグルメ「凝固点降下」。 https://kimika.net/rr4gyokotenkoka.html (粒の数との関係、水の降下定数、出入りのつり合いの説明について)
  3. 東京ソルト「雪が降ったら塩をまく?」。 https://www.tokyosalt.co.jp/pages/124/ (結晶化を邪魔する説明、食塩水の下限の温度について)
  4. 海上保安庁 海氷情報センター「海氷の成長」。 https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN1/drift_ice/knowledge/growth/growth.html (海水の凍り始める温度、塩分の排出について)
  5. 気象庁「海氷の知識」。 https://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/seaice/knowledge/eikyou_kikou.html (海水が凍るときの塩分の排出について)
  6. 「融雪剤」日本語版ウィキペディア。 https://ja.wikipedia.org/wiki/融雪剤 (道路の凍結防止剤に使われる塩について)

なおした ところ

更新履歴

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