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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ほうきを てのひらで 立てる ことと、セグウェイは にて いるの?

セグウェイはなぜ倒れないのか ── 手のひらのほうきと、車輪を先に動かす仕組み

セグウェイと電動一輪車の自立制御 ── 倒立振子(1999年の特許、2001年の発表)から考える

分野:技術

ほうきの 先を てのひらに のせて、立てた ことは ありますか。じっと して いる ようで、手は ずっと 動いて います。

セグウェイの ような のりものも、同じ ことを して いると いわれます。どんな ふうに 立って いるのか、じゅんばんに 見て いきます。

ほうきの柄を手のひらに立てると、倒れそうになるたびに、手を左右や前後へ動かして支え直すことになります。止まっているように見えて、手は休みなく働いています。

立ったまま走るセグウェイや電動一輪車も、同じ種類の問題を解いています。傾きを測る部品と、車輪を回すモーターが、どう分担しているのかをたどります。

重心が支点より上にある振り子は、放っておくと倒れる。こうした系は「倒立振子」と呼ばれ[1]、手のひらでほうきを立てるのが最も身近な例だ[2]。

セグウェイ(1999年出願の特許、2001年発表)と電動一輪車を、この観点から整理する。確かな出典で言えることと、二次資料や販売元の説明にとどまることを分けて書く。

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1. ほうきは、どうして 立つの?

1. 立てたほうきは、手を動かし続けて立っている

1. 倒立振子 ── 重心が支点の上にある系

ほうきを てのひらで 立てると、ゆらゆら します。ほうきが 右に かたむいたら、手も 右に うごかします。すると、ほうきの 下に 手が もどって きて、立ちます。

手を うごかさずに、そっと 立てる ことは できません。立って いる ときも、手は はたらき つづけて います。

わたしたちが 立って いる ときも、にて いると 説明せつめいされて います。足を 下の 点と 見ると、ほうきを 立てる ときに にた ところが あります。足首の まわりの 小さな 筋肉きんにくが、たえず 体を ささえて いる そうです。

ほうきの柄を手のひらに立てて、じっとしていようとしてみてください。ほうきが右へ傾いたら手も右へ、前へ傾いたら前へ。手をほとんど動かさずに立て続けるのは、難しいはずです。

物理では、重心が支点より高い位置にある振り子を「倒立振子」と呼びます。放っておくと倒れる性質があり、立たせ続けるには、いつも外から制御する必要があると説明されています[1]。

コツは、倒れかけたときに支点のほうを横へ動かして、重心の真下へ持っていくことです。ほうきを指の上に立てるのが、いちばん簡単な実演だとされています[2]。人が立つ姿も、足を支点にした倒立振子の一種で、細かな筋肉の調整が止まれば倒れる、と同じ資料に書かれています。

倒立振子とは、支点よりも重心が高い位置にある振り子だ。本質的に不安定で、倒れないためには常に能動的な制御が要る[1]。

安定させる基本は、振り子が倒れ始めたときに支点を横へ動かし、重心の真下へ持っていくことにある。指の上でほうきを立てる例が最も単純な実演として挙げられ、人が立つ姿も足を支点とする倒立振子とみなせる。細かい筋肉の調整がなければ倒れる、という記述がある[2]。

以下の章では、この「支点を動かして重心の真下に戻す」操作を、人の手の代わりに車輪とモーターがやっている、という見方で読む。

2. セグウェイの 車輪しゃりんは、手の かわり

2. 人を乗せた車体は、車輪を先へ動かして立つ

2. 特許US 6,302,230(1999年出願)── 接地点の上に重心を保つ

セグウェイは、車輪しゃりんが 2つ ある のりものです。のる 人が 前に かたむくと、前に すすみます。うしろに かたむくと、うしろへ さがります。

ほうきの ときの 手が、セグウェイでは 車輪しゃりんです。たおれそうな ほうへ、車輪しゃりんが 先に 動きます。すると、体の 下に 車輪しゃりんが きて、たおれません。

ただし、ほうきは 手で 立てますが、セグウェイの 車輪しゃりんを うごかすのは モーターです。人が 手を のばして ささえて いる わけでは ありません。

セグウェイの発明者の一人はディーン・ケーメンで、1999年6月4日に出願された特許が公開されています(公開は2001年10月16日)[3]。特許には、乗る人が前後の方向には本来安定していないこと、そこで車輪を駆動して重心を接地する場所の上に保つことで、自動的にバランスをとることが書かれています。

ほうきの例で言えば、手のひらにあたるのが車輪です。前に倒れかけたら車輪を前へ回し、後ろへ倒れかけたら後ろへ回します。その結果、乗る人が前に傾けば前へ進み、その速さも保たれます[3]。

前へ進むために、わざわざ「進め」と操作するわけではありません。体を少し前に倒す。それだけで、倒れないように車輪が前へ動き、結果として進みます。

特許US 6,302,230(1999年6月4日出願、2001年10月16日公開。発明者にディーン・ケーメン=Dean Kamenら)は、乗る人を前後方向に固有の安定性を欠く系と位置づける。地面に接する部材を駆動し、制御ループによって重心を接触領域の上に保つことで、自動的にバランスされる、という構成だ[3]。

同じ特許に、乗る人が前に傾けば車両は前へ進み、その速度や加速も保たれる、という記述がある。前進の指令と倒れない制御が、体の傾きという1つの入力にまとまっている点が特徴だ[3]。

なお、日付は出願日(1999年)と公開日(2001年10月)を区別して読む。製品の発表は同じ2001年の12月で、公開より後になる[5]。

3. 車輪しゃりんは、どうやって かたむきを 知るの?

3. 傾きを測るセンサーが、目と耳の役をする

3. ジャイロと傾斜計による傾きの検出

車輪しゃりんを 先に 動かすには、まず「いま どれくらい かたむいて いるか」を 知らないと いけません。そこで 使うのが、センサーと いう 部品です。

つくった 人の ディーン・ケーメンさんは、発表の ときに「ジャイロと センサーが、耳の 中の 内耳のように はたらく」と 話したと 伝つたえられて います。内耳は、体の かたむきを 感じる 耳の おくの ところです。

あるお店の せつめいでは、1秒の あいだに 100回も、体の 向きを しらべて いるそうです。1回は 100分の 1秒、つまり 0.01秒です。

倒れそうな側へ車輪を先に動かすには、今どれだけ傾いているか、どれだけの速さで傾きつつあるかを知る必要があります。特許には、傾きとその変化の速さを、ジャイロスコープや傾斜計を単独で、または組み合わせて求めると書かれています[3]。

発明者のケーメンは、発表のとき「ジャイロとセンサーが内耳のように働く」と説明したと伝えられています[5]。ただしこの言葉は二次資料の引用で、番組そのものを確かめたものではありません。人間の内耳が体の傾きを感じるのと似た役目だ、というたとえとして読めます。

スイスの販売元の解説によれば、セグウェイPTは、前に傾くと両輪のモーターが前へ、後ろに傾くと後ろへ動いて転倒を防ぎます。1秒に100回、体勢を分析するとも書かれています[4]。1回あたり0.01秒、10ミリ秒です。この回数は販売元の記述で、全機種に共通とは言い切れません。

特許は、ピッチ(前後の傾き)とピッチレート(傾きの速さ)を、ジャイロスコープや傾斜計を単独または組み合わせて求めうる、と記す[3]。傾きだけでなく傾きの変化の速さも使うことで、倒れる前に手を打てる、という読み方ができる(この読みは筆者の整理で、特許の文言そのものではない)。

ケーメンは2001年12月3日の発表で、ジャイロとセンサーが内耳のように働くと説明したと伝えられる[5]。原典の番組は未確認の二次引用だ。

スイスの販売元のページは、セグウェイPTがジャイロセンサー5個と加速度センサー2個で、1秒に100回体勢を分析し、前傾で両輪のモーターが前へ動くと説明する[4]。1回あたり10ミリ秒の計算になる。ただし数字は販売元の解説で、全機種共通とは断定しない。

一般に、こうした制御ではPID制御やLQR、カルマンフィルタが使われる例が多いとされるが、セグウェイ製品の実装がそうだとは、ここでは言わない[1]。

4. ジャイロが 5つも あるのは、なぜ?

4. 必要なのは3つなのに、ジャイロは5つある

4. ジャイロ5個・必要3個 ── 冗長性の考え方

スイスの お店の せつめいでは、セグウェイPTには ジャイロが 5つ ついて います。でも、ほんとうに いるのは 3つだけ だそうです。

のこりの 2つは、あんぜんの ために 多めに つけて ある、つまり 「よびを もたせて ある」と 説明せつめいされて います。

たとえば、はかりが 3つ ある ことを 思いうかべて ください。1つが こわれても、ほかの はかりで はかれます。ただし ほんとうの センサーは、はかりとは 中身が ちがいます。

同じ解説には、セグウェイPTにはジャイロが5つあるのに、必要なのは3つだけだと書かれています[4]。

余分な分は、信頼性を高めるための冗長性(予備)だと説明されています。たとえば、体重計が3台あれば、1台が壊れてもほかの2台で測れます。ただし、実際のセンサーの比べ方は体重計と同じではありません。

この予備の説明は、検索で見つかった二次的な解説にもとづくもので、特許の原文で確かめたものではありません。乗る人が転んだときの危険を考えて、多めに持たせているのだろうと読めますが、設計者の意図としては断定できません。

販売元の解説には、ジャイロセンサーは5個あるが必要なのは3個だけ、とある[4]。余分は、信頼性を高めるための冗長性と説明されている。

この理由づけは二次的な解説によるもので、特許原文では確認していない。転倒が人の怪我につながる乗り物なので、センサーに余裕を持たせる設計は自然に読めるが、設計者の意図は推測にとどまる。

「必要数より多く積み、食い違いで異常を検出する」考え方は、工学一般の冗長設計として説明できる。ただし、セグウェイの具体的な判定方法は、ここで使った資料からは分からない。

5. 一りんしゃは、どこが むずかしいの?

5. 電動一輪車は前後だけを機械に任せる

5. 電動一輪車 ── 前後は自動、左右は人

電動の 一りんしゃにも、ジャイロと かそくどセンサーが 入って います。前と うしろの ゆれは、車輪しゃりんが 自分で 受けもちます。

でも、右と 左の ゆれは 人の 仕事です。体を ひねったり かたむけたり して、バランスを とります。

のりものは、はじめから 今の 形では ありませんでした。1977年、2004年、2010年と、いろいろな 人が 少しずつ ちがう ものを 作って きたと 説明せつめいされて います。

電動一輪車は、前後の方向には自分でバランスをとりますが、左右の安定は、乗る人が体をひねったり傾けたりして担います[6]。この資料の説明では、機械が前後を、人が左右を、と仕事を分け合う形になっています。

セグウェイのように乗る人の体の傾きで前後へ進む点は同じでも、左右まで機械に任せているかどうかは、扱った資料からは言えません。

歴史については、二次資料によると、1977年にチャールズ・ガブリエルが電動版を発表し、2004年にトレバー・ブラックウェルが試作し、2010年にシェーン・チェンが座席のないタイプの特許を出したと説明されています[6]。年の細部は、この1つの資料にもとづくものです。

電動一輪車は、前後方向には自動でバランスするが、左右の安定は乗る人の体のひねりや傾けによる操縦動作が担う。加速度センサーとジャイロを使う[6]。

分担の理由(車輪の数や接地の形との関係)は、扱った資料には書かれておらず、ここでは述べない。

歴史は二次資料の記述で、1977年にCharles Gabrielが電動版を発表、2004年にTrevor Blackwellが試作、2010年にShane Chenが座席なし型(Solowheel)の特許を出した、とされる[6]。年の断定は控えめに読むべきだ。

6. ロボットの 研究から、のりものが うまれた?

6. ロボット研究の技術がバイクの形になった

6. UNI-CUB(2012年)と、別の立たせ方

2012年、ホンダは「UNI-CUB(ユニカブ)」という のりものを 発表しました。体を かたむける だけで 動かせます。

ホンダは、この バランスの 技術ぎじゅつは、二本足で 歩く ロボット「ASIMO(アシモ)」などの 研究から 生まれた 技術ぎじゅつの 1つだと 説明せつめいして います。

ロボットの 研究が、人の のりものに つながって いた ようです。二本足の ロボットが どう 歩くかは、べつの メモで 見られます。

ホンダは2012年5月15日、体重移動だけで操縦できるUNI-CUBを発表しました。そのバランス制御の技術は、ASIMOに代表されるヒューマノイドロボットの研究から生まれた技術の一つだと、ホンダは説明しています[7]。

二足歩行ロボットの制御の話は、別のメモにあります。ここでは、「立つことを機械に任せる技術」が、ロボットから乗り物へ移っていったことだけを押さえます。

もう一つ、別の立たせ方も知られています。倒立振子の支点を速く上下に振動させると、逆さのまま安定する現象で、カピッツァの振り子と呼ばれます。1908年にスティーブンソンが記述し、1951年にカピッツァが解析したとされます[8]。これは、センサーで測って動かすセグウェイのやり方とは別の仕組みで、セグウェイがこの方式を使うわけではありません。

ホンダは2012年5月15日にUNI-CUB(ユニカブ)を発表し、体重移動だけで操縦できる点を示した。同社は、バランス制御技術を、ASIMO(アシモ)に代表されるヒューマノイドロボットの研究から生まれた技術の一つと説明している[7]。この点は要約経由の確認なので、原文の該当箇所に当たる価値がある。

対照的な安定化として、倒立振子の支点を高速で上下に振動させると逆さ状態が安定するカピッツァの振り子がある。1908年にAndrew Stephensonが記述し、1951年にカピッツァが解析した[8]。これは、測ってから動かすフィードバック制御とは別の仕組みで、セグウェイの方式ではない。

7. ほうきで、たしかめて みよう

7. ほうきと立ち姿で、確かめてみる

7. 出口 ── 手で確かめる/資料に当たる

かるくて みじかい ぼうを、てのひらに のせて 立てて みましょう。かならず 大人と いっしょに、まわりに ものも 人も いない ところで します。

たおれそうな とき、手は どちらに うごきますか。ぼうを かえると、うごかす はやさは かわりますか。

つぎに、ふつうに 立って みます。足の うらや ふくらはぎに、力が 入ったり ぬけたり する ところは ありますか。

軽くて短めの棒(ほうきの柄は長くて重いので、まず短い棒から)を手のひらに立てて、倒れそうになったとき、手がどちらへ、どれくらい速く動くかを見てみてください。大人といっしょに、周りに物も人もない広い場所で行います。

棒を短いものや長いものに替えて、立てやすさの違いを比べるのもいい方法です。違いが出たら、なぜだろうと考えてみてください。

ふつうに立っているときの足首やふくらはぎにも、注意を向けてみましょう。動かさないつもりでも、力の入り方が変わっていることがあるかもしれません。

資料を読むなら、日本語で読めるのはホンダのUNI-CUB発表です[7]。

手で確かめるなら、軽くて短めの棒(ほうきの柄は長くて重いので、まず短い棒から)を手のひらに立て、手の動く向きと速さを観察する。棒の長さを少し変えて比べるのもいい。大人に見守ってもらい、周囲に物と人がない広い場所で行う。立っているときの足首やふくらはぎの力の入り方も、注意すると分かる。

資料は、ホンダのUNI-CUB発表(日本語)[7]、倒立振子の解説[1]、特許US 6,302,230の原文(英語)[3]が入口になる。特許は、センサーの数や周期が本文のどこに書かれているか、自分の目で照合する価値がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:倒立振子の解説(日本語・英語のウィキペディア)、特許US 6,302,230、スイスの販売元の解説、セグウェイと電動一輪車のウィキペディア、ホンダの発表、カピッツァの振り子の解説を使った。数字や年は、資料ごとに確かさが違うため、本文でそのつど断っている。

  1. 倒立振子 - Wikipedia(日本語) https://ja.wikipedia.org/wiki/倒立振子 (倒立振子の定義)
  2. Inverted pendulum - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Inverted_pendulum (支点を動かして立たせる考え方)
  3. US6302230B1 Personal mobility vehicles and methods https://patents.google.com/patent/US6302230B1/en (出願日・制御の考え方・センサー)
  4. Segway.ch Learn how it works https://www.segway.ch/en/infos/funktionsweise.php (センサーの数・分析の回数)
  5. Segway - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Segway (発表日・発言の引用)
  6. Self-balancing unicycle - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Self-balancing_unicycle (一輪車の仕組みと歴史)
  7. Honda UNI-CUB発表(2012年5月15日) https://global.honda/jp/news/2012/c120515.html (ロボット研究との関係)
  8. Kapitza's pendulum - Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Kapitza%27s_pendulum (別の安定化の仕組み)

なおした ところ

更新履歴

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