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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

がんを ふせぐ ために 止まった 細胞さいぼうは、年を とると どうして がんを たすける ことが あるの?

がんを防ぐために「止まった」細胞が、年をとるとがんを助けることがある ── 細胞老化の二つの顔

老化細胞はがんの防波堤か、温床か ── 細胞老化の二面性と、除去実験(マウス)の現在地

分野:からだ

からだの 中では、がんに なりそうな 細胞さいぼうに、わざと 「止まって もらう」ことが あると いわれて います[4]。止まった 細胞さいぼうは 「老化ろうか細胞さいぼう」と よばれます。

ところが 年を とると、その 止まった 細胞さいぼうが からだに たまり、まわりの がんの もとを そだてる ことも ある そうです[6]。どうして そんな ことに なるのでしょう。この メモでは、二つの 顔と、とりのぞく 研究けんきゅうの いまが 分かります。

体の中では、がん化しかけた細胞に、あえて分裂を止めさせる仕組みが働くことがあります。培養細胞の実験では、がん遺伝子を働かせると、細胞が永久に増えなくなることが示されました[4]。止まった細胞は「老化細胞」と呼ばれます。

ところが、この老化細胞は年をとるほど体にたまり、周りの組織に物質を出して、がんを助ける面もあるといわれます[6]。培養の実験では、老化細胞が線維芽細胞の10%しかなくても、前がん・がんの細胞が増えやすくなりました[7]。がんを防ぐ仕組みが、なぜがんを助けることにもなるのか。二つの顔の理由と、取り除く研究の現在地が分かります。

がん遺伝子ras を正常な細胞で働かせると、細胞は暴走せず、p53・p16 が増えて永久に増殖を止める。1997年のこの報告は、細胞老化が「がん化への防衛策」として働きうることを示した[4]。

ところが、増殖を止めたはずの老化細胞は、加齢とともに組織にたまり、炎症性の物質などを分泌して、がんを促す面も持つ[6]。防衛策がなぜ年齢とともに両刃になりうるのか、その理由と、老化細胞を除く実験(マウス)および人での現状が分かる。

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1. 細胞さいぼうは、いつまでも ふえ つづけるわけでは ない

1. 細胞は、いつまでも増え続けるわけではない

1. 培養した正常細胞は、なぜ分裂をやめるのか ── ヘイフリックの観察(1961)

おなじ 細胞さいぼうを お皿の 中で そだてると、どんどん ふえ そうです。ところが 1961ねん、ヘイフリックと ムーアヘッドは、人の 線維芽細胞せんいがさいぼうが、きまった 回すう ほど ぶんれつすると、ふえなく なる ことを 発表しました[1]。

それまでは、ふつうの 細胞さいぼうは いくらでも ふえると 考えられて いました。

では、細胞さいぼうの 中で なにが おきて いるのでしょう。1990ねん、ぶんれつする たびに、せんしょくたいの はしの 部ぶん「テロメア」が みじかく なる ことが 見つかりました[2]。ただし、それが 止まる 原いんかどうかは、その ろんぶんでは 分かって いません。

培養皿で細胞を育てると、際限なく増えそうに思えます。ところが1961年、ヘイフリックとムーアヘッドは、ヒトの正常な線維芽細胞が、決まった回数ほど分裂すると増えなくなることを報告しました[1]。それまでは、正常な細胞は無限に増えると考えられていたため、この結果は当時の常識に反するものでした。

細胞の中では何が起きているのでしょうか。1990年、分裂を重ねるたびに、染色体の端にあるDNAの部分(テロメア)が短くなることが、ヒトの線維芽細胞で示されました[2]。ただし、この論文の時点では、短くなることが増殖停止の原因かどうかは分かっていませんでした。

ここまでは「回数を使い切ると止まる」話です。では、まだ回数が残っている細胞が止まることは、あるのでしょうか。

培養したヒト正常線維芽細胞は、一定回数の分裂ののち、永続的に増殖を停止する。ヘイフリックとムーアヘッドが1961年に報告したこの現象は、正常細胞は無限に増えるという当時の見方に反していた[1]。

では、その停止は細胞の内部の何と結びついているのか。ハーレーらは1990年、線維芽細胞のテロメアDNAが、培養で継代を重ねるにつれて減ることを示した。ただし論文は、この減少が老化の原因かどうかは不明だとしている[2]。

以上は「分裂回数を使い切って止まる」場合の話だ。では、回数に余裕のある細胞が止まることはあるのか。

2. がんに なりそうな 細胞さいぼうは、わざと 止まる

2. がん化の刺激を受けた細胞は、自分で止まる

2. がん遺伝子の刺激でも起こる ── 早期の細胞老化(Serranoら、1997)

1997ねん、セラーノさんたちは、がんの きっかけに なる 遺伝子いでんし「ras」を、人などの ふつうの 細胞さいぼうで はたらかせて みました。すると 細胞さいぼうは、あばれて ふえるの では なく、ずっと 止まって しまいました[4]。

この 止まった じょうたいは、「細胞さいぼう老化ろうか」と 見わけが つきませんでした。つまり 細胞さいぼうは、ぶんれつの 回すうを つかい きらなくても、きけんな しげきを うけると 止まる ことが あります[3]。

がんに なりそうな 細胞さいぼうが、じぶんで ブレーキを かける。これが、からだの まもりの 一つだと 考えられて います。ただし これは、お皿の 中の 細胞さいぼうでの けっかです。

1997年、セラーノらは、がん遺伝子rasを、ヒトやげっ歯類の正常な細胞で働かせる実験をしました。すると細胞は暴走せず、p53とp16というたんぱく質が増え、永続的に増殖を止めました。その状態は、細胞老化と区別がつきませんでした[4]。

つまり細胞老化は、分裂回数の蓄積だけでなく、傷やがん遺伝子の刺激といったストレスでも起こります[3]。がん化しかけた細胞が自ら止まる。これは、がんを防ぐブレーキの一つと考えられています。ただし、この結果は培養細胞のもので、体の中で常に同じことが起きるとは限りません。

止まった細胞は、そのまま体に残るのでしょうか。

セラーノらは1997年、がん遺伝子rasをヒトまたはげっ歯類の初代培養細胞で発現させると、p53とp16が蓄積し、G1期で永続的に停止して、細胞老化と表現型の上で区別できなくなることを示した[4]。老化は分裂回数の蓄積だけでなく、がん化の刺激でも前倒しで起こる。

この知見は、細胞老化を「細胞周期が永続的に止まる状態」とする定義とつながる。傷やストレスを受けた増殖細胞が、この状態に入ることがあり、がんや老化の両方に関わる[3]。前がん状態の細胞が自ら止まることは、腫瘍の抑制機構として働きうる。ただし培養系での結果であり、体内で同じ強さで働くとは限らない。

では、止まった細胞は、その後どうなるのか。

3. 止まった 細胞さいぼうは、めんえきが かたづける

3. 止まった前がん細胞は、免疫が片づける(マウスの肝臓)

3. 老化した前がん細胞の排除 ── 老化と免疫の連携(Kangら、2011)

2011ねん、マウスの かんぞうで、こんな 実験じっけんが 行われました。がんの もとに なる 遺伝子いでんしで 止まった 細胞さいぼうは、からだを まもる「めんえき」の 細胞さいぼうに かたづけられました。かたづける はたらきが じゃまされた マウスでは、かんぞうの がんが できました[5]。

たとえば、こわれかけた 車が 道の まん中で 止まり、レッカー車が 来て どかす ところを 思いうかべて ください。かたづけが おくれると、道が ふさがります。ただし 本当は 車では なく、細胞さいぼうの はなしです。

これは マウスの 実験じっけんで、人でも おなじ ように はたらくと 決まった わけでは ありません。

2011年、カンらはマウスの肝臓を使って、老化と免疫のつながりを調べました。がん遺伝子の刺激で老化した前がん状態の肝細胞は、免疫細胞(CD4陽性T細胞とマクロファージ)によって排除されました。この排除がうまく働かないと、肝がんが発生しました[5]。

止まった細胞が体に残らないのは、片づける仕組みがあるからです。たとえば、故障した車が道の真ん中で止まり、レッカー車が来てどかす場面に似ています。ただし実際には車ではなく細胞で、レッカー車の役は免疫細胞です。

これはマウスの実験です。人で同じ仕組みがそのまま働くと決まったわけではありません。

では、若いうちはこの片づけで済むとして、年をとるとどうなるのでしょうか。

止まった細胞が組織に居座らずに済むのは、なぜか。カンらは2011年、マウスの肝臓で、がん遺伝子により老化した前がん状態の肝細胞が、CD4陽性T細胞とマクロファージによる免疫で排除されることを示した。この免疫監視(senescence surveillance)が働かないと、肝がんが発生した[5]。老化による増殖停止と、免疫による除去が連携して、がんを防いでいることになる。

ただしマウスの実験結果であり、人で同じ仕組みがそのまま働くとは書けない。

この片づけが十分に働かない場合、止まった細胞は残る。実際、老化細胞は年齢とともに増える。

4. 年を とると 止まった 細胞さいぼうが たまり、まわりに ぶっしつを 出す

4. 年をとるほど老化細胞はたまり、周りに物質を出す

4. 老化細胞の蓄積と分泌 ── SASPとは何か(Coppéら、2010)

年を とると、止まった 細胞さいぼうは からだの あちこちに ふえて いく ことが 分かって います[6]。

止まった 細胞さいぼうは ふえませんが、じっと して いる わけでは ありません。まわりに、えんしょうを おこす ぶっしつや、細胞さいぼうを そだてる ものを 出します。これを SASP(サスプ)と いいます[6]。

この ぶっしつは まわりの 組しきの ようすを かえ、がんを うながす ことが あると いわれて います。

いっぽう、日本では がんは 年れいが 高い ほど なりやすい とされ、2023ねんに 新しく がんと 分かった 人は やく99まん人でした[10]。ただし、がんが ふえる わけを 老化ろうか細胞さいぼうだけで せつめいする しりょうは ありません。

老化細胞は、加齢とともにさまざまな組織や器官にたまることが分かっています[6]。

止まった細胞は増えませんが、静かにしているわけではありません。炎症を起こす物質や成長因子を、周りに出します。この性質を、SASP(老化関連分泌現象)と呼びます[6]。分泌物は周りの組織の環境を変え、がんを促すことがあるとされます。

日本では、がんは高齢ほど罹患率が高くなります。国立がん研究センターの統計では、2023年に新たにがんと診断されたのは993,469例、生涯でがんと診断される確率は男性61.1%、女性50.1%でした[10]。ただし、がんの増加を老化細胞だけで説明する資料はなく、遺伝子の変異の蓄積など他の要因も大きいと考えられています。

では、老化細胞の分泌物は、実際にがん細胞を育てるのでしょうか。

老化細胞はなぜ、増殖を止めたのに問題になりうるのか。第一に、加齢とともにさまざまな組織・器官に蓄積する[6]。第二に、炎症性サイトカインや成長因子などを分泌する(senescence-associated secretory phenotype、SASP)。この分泌物は組織微小環境を変え、腫瘍を促しうる[6]。

がんは年齢とともに増える。国立がん研究センターによれば、日本では高齢ほど罹患率が高く、2023年の新規診断は993,469例、生涯罹患確率は男性61.1%、女性50.1%である[10]。ただし、この増加を老化細胞だけで説明する資料はなく、遺伝子変異の蓄積など他の要因も大きい。年齢別の具体的な数値は、ここでは「高齢ほど高い」にとどめる。

では、老化細胞の分泌物は、がん細胞の増殖をどこまで助けるのか。

5. わかい ときは 味方、年を とると がんを たすける ことも ある

5. 若いうちは味方、高齢では助けることもある

5. 同じ細胞が、時期で役割を変える ── 拮抗的多面発現の仮説(Krtolicaら、2001)

2001ねん、クルトリカさんたちは、止まった 人の 細胞さいぼうを、がんに なる まえの 細胞さいぼうや がんの 細胞さいぼうと いっしょに そだてました。すると、がんの ほうの 細胞さいぼうだけが よく ふえました。ふつうの 細胞さいぼうは ふえ方が かわりませんでした[7]。

止まった 細胞さいぼうが 全体の 10%だけでも、この こうかが 出ました。マウスでは、がんの かたまり(腫瘍しゅよう)も できました[7]。

この 人たちは、わかい ときは がんを おさえるけれど、年を とった からだでは がんを たすけるかも しれない と 考えました。ただし「かも しれない」という 考えの だんかいです。

止まる 細胞さいぼうには、わるい ところ だけが あるわけでは ありません。赤ちゃんが おなかの 中で できる ときや、きずが なおる ときに、からだを 作りかえる 役目も あると いわれます[9]。

2001年、クルトリカらは、老化したヒトの線維芽細胞を、正常な上皮細胞や、前がん・がんの上皮細胞と一緒に培養しました。すると、前がん・がんの細胞だけが増えやすくなりました。マウスでは腫瘍もできました。老化細胞が線維芽細胞の10%しかなくても、効果が出ました[7]。

著者らは、細胞老化は若いうちはがんを抑えるが、高齢の体ではがんを助けるかもしれない、と考えました[7]。あくまで「かもしれない」という仮説的な言い方で、培養とマウスでの実験です。

老化細胞は、悪者一色でもありません。胚の発生や、傷が治るときの組織の作り替えにも役割があるとされています[9]。

では、この仮説が正しいなら、老化細胞を取り除けば、がんの出現は遅れるのでしょうか。

止まった細胞は、なぜ時期によって味方にも敵にもなるのか。クルトリカらは2001年、老化したヒト線維芽細胞が、正常な上皮細胞ではなく、前がん・がんの上皮細胞の増殖を促し、マウスでは腫瘍を作らせることを示した。培養では、老化細胞が線維芽細胞の10%だけでも効果が出た[7]。

著者らは、細胞老化は若いうちは腫瘍形成を抑えるが、高齢の個体ではがんを促しうる、進化的な拮抗的多面発現の一例かもしれないと考えた[7]。「may promote」という仮説的な表現であり、培養とマウスの実験である点に注意したい。

また、老化細胞は、胚発生や創傷治癒での組織のリモデリングにも役割を持つとされ、単純な悪者ではない[9]。

この仮説が正しいなら、老化細胞を除くと、加齢に伴う変化やがんの発生に違いが出るはずだ。

6. 止まった 細胞さいぼうを とりのぞくと、マウスでは がんが おそく なった

6. 老化細胞を取り除くと、マウスではがんの発生が遅れた

6. 除去実験 ── マウスでは腫瘍の発生が遅れたが、人での効果は研究途中(Bakerら、2011・2016)

2011ねん、マウスで、止まった 細胞さいぼうだけを くすりで とりのぞける ようにした 実験じっけんが ありました。年を とった ときに 出る 目や きんにくの へんかが、おそく 始まりました[8]。ただし これは、はやく 年を とる 病気びょうきの マウスでの 話です。

2016ねん、ふつうの マウスでも、1才から 週に 2回、止まった 細胞さいぼうを とりのぞく くすりを ちゅうしゃしました。すると、じゅみょうの まん中の 数が のび、がんの かたまりが できるのが おそく なりました[9]。目立つ ふくさようは ありませんでした。

ただし 「おそく なった」であり、「ふせいだ」では ありません。人でも 同じ けっかに なるか どうかは、まだ 研究けんきゅうの とちゅうです[11]。

2011年、ベーカーらは、老化細胞(p16Ink4aをもつ細胞)を薬で取り除ける遺伝子をマウスに組みこみました。早く老いる病気のモデルマウスで、脂肪・筋肉・目の、加齢に伴う症状の始まりが遅れました[8]。ただし、これは早老症モデルのマウスでの結果です。

2016年には、通常のマウスで、1歳から週2回、老化細胞を取り除く薬を注射しました。すると、寿命の中央値が延び、腫瘍の発生が遅れ、腎臓・心臓・脂肪の加齢変化が軽くなりました。目立つ副作用はありませんでした[9]。

ここで大切なのは、「遅らせた」であり、「防いだ」ではないことです。ヒトでは、老化細胞を取り除く薬(セノリティクス)が早期の臨床試験に進んでいます。ただし、人での証拠は小規模・短期の予備的な研究にとどまり、がんが減るかどうかは、まだ分かっていません[11]。

この仮説の検証はどこまで進んだか。ベーカーらは2011年、p16Ink4a陽性細胞を薬で除去できる遺伝子(INK-ATTAC)をBubR1早老症モデルのマウスに導入し、脂肪・骨格筋・眼で、加齢関連の症状の発症が遅れることを示した。老化細胞が加齢の症状に関わることを示す結果だが、早老症モデルであり、通常のマウスや人の話ではない[8]。

2016年には、通常のマウスに1歳から週2回、p16Ink4a陽性細胞を除く薬を投与した。寿命の中央値が延び、腫瘍の発生が遅れ、腎臓・心臓・脂肪の加齢変化が軽くなり、目立つ副作用はなかった[9]。表現は「遅らせた」であって「防いだ」ではなく、マウスでの結果である。

ヒトでは、セノリティクス(ダサチニブ+ケルセチン、フィセチンなど)が早期の臨床試験に進むが、証拠は小規模・短期の予備的研究に限られる[11]。この出典は総説の抜粋に依拠している。老化細胞を除けばがんが防げるとは言えず、人での効果は未確立である。

7. 自分で しらべて みよう

7. 自分で確かめてみる

7. 出口 ── 統計を見る/原典を読む

おうちの 人と いっしょに、国立がん研究けんきゅうセンターの「がんじょうほうサービス」で、がんに なる 人の 数や わりあいを 見て みましょう[10]。年れいで どう ちがうかが 分かる ページが ないか、さがして みて ください。

もう 一つ、「セノリティクス」と いう ことばで しらべると、止まった 細胞さいぼうを とりのぞく くすりの 研究けんきゅうが 人で どこまで すすんだか、新しい 話が 見つかるかも しれません。

国立がん研究センターの統計ページで、がんになる人の数や割合を見てみましょう[10]。年齢によって、割合がどう違うかが載っているページがないか、探してみてください。

もう一つ、「セノリティクス」という言葉で調べると、老化細胞を取り除く薬の研究が、人でどこまで進んだかの新しい話が見つかるかもしれません。今回の記事は、マウスの実験を中心にしています。人の話は、これからどう変わるでしょうか。

統計を見るなら、国立がん研究センターのがん統計で、年齢階級ごとの罹患の違いを自分で確かめるとよい[10]。老化細胞以外の要因(遺伝子変異の蓄積など)も大きいため、グラフの増加を老化細胞だけの結果と読まないこと。

原典に当たるなら、クルトリカらの2001年の論文[7]と、ベーカーらの2016年の論文[9]が、二面性と除去実験の出発点になる(英語)。人での研究の状況は、セノリティクスの総説[11]で追える。人での効果はまだ研究の途中である。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:論文の要旨(Europe PMC)、国立がん研究センターのがん統計、総説の抜粋を使った。ヘイフリックの観察は、Pazolli and Stewart の2008年の総説(Europe PMC)でも紹介されている。

  1. Hayflick, Moorhead, "The serial cultivation of human diploid cell strains," Exp Cell Res 25:585-621, 1961. https://europepmc.org/search?query=%22The%20serial%20cultivation%20of%20human%20diploid%20cell%20strains%22 (培養した正常細胞が決まった回数で増えなくなることについて)
  2. Harley et al., "Telomeres shorten during ageing of human fibroblasts," Nature, 1990. https://europepmc.org/search?query=%22Telomeres%20shorten%20during%20ageing%20of%20human%20fibroblasts%22 (テロメアが分裂とともに短くなることについて)
  3. Campisi, d'Adda di Fagagna, "Cellular senescence: when bad things happen to good cells," Nat Rev Mol Cell Biol, 2007. https://europepmc.org/search?query=Campisi%20%22Cellular%20senescence%3A%20when%20bad%20things%20happen%22 (細胞老化の定義とストレスによる誘導について)
  4. Serrano et al., "Oncogenic ras provokes premature cell senescence," Cell, 1997. https://europepmc.org/search?query=%22Oncogenic%20ras%20provokes%20premature%20cell%20senescence%22 (がん遺伝子による早期の細胞老化について)
  5. Kang et al., "Senescence surveillance of pre-malignant hepatocytes limits liver cancer development," Nature, 2011. https://europepmc.org/search?query=%22Senescence%20surveillance%20of%20pre-malignant%20hepatocytes%22 (マウスの肝臓での老化細胞と免疫の排除について)
  6. Coppé et al., "The senescence-associated secretory phenotype: the dark side of tumor suppression," Annu Rev Pathol, 2010. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4166495/ (老化細胞の蓄積とSASPについて)
  7. Krtolica et al., "Senescent fibroblasts promote epithelial cell growth and tumorigenesis," PNAS, 2001. https://europepmc.org/search?query=Krtolica%20%22Senescent%20fibroblasts%20promote%20epithelial%20cell%20growth%22 (老化した線維芽細胞ががん細胞の増殖を促すことについて)
  8. Baker et al., "Clearance of p16Ink4a-positive senescent cells delays ageing-associated disorders," Nature, 2011. https://europepmc.org/search?query=EXT_ID:22048312 (早老症モデルのマウスでの老化細胞の除去について)
  9. Baker et al., "Naturally occurring p16Ink4a-positive cells shorten healthy lifespan," Nature, 2016. https://europepmc.org/search?query=%22Naturally%20occurring%20p16Ink4a-positive%20cells%20shorten%20healthy%20lifespan%22 (通常のマウスでの除去と、老化細胞の役割について)
  10. 国立がん研究センター がん統計「最新がん統計」。 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html (がんの罹患数と生涯罹患確率について)
  11. Ayoub 2026, Clin Interv Aging / Syed 2026, Front Endocrinol(セノリティクスの総説)。 https://europepmc.org/search?query=senolytics%20dasatinib%20clinical%20trial (人での老化細胞除去薬の臨床試験の現状について)

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