1. はこの なかは、みずでは なくて おがくず
1. 箱の中は、水ではなくおがくず
1. 箱を開けると、水ではなくおがくず ── クルマエビの出荷
クルマエビは、熊本けんの あまくさや 沖縄で そだてられ、いきた まま はこに つめて おくられます。はこに いれる のは、みずでは なくて、おがくず です。[2]
とどいた はこは、市場で あけられます。はこの 一ぶを あけて、しんでいる エビが なんびき いるかを しらべます。その かずで、ねだんが かわるのです。[5]
さかなを みずの タンクで はこぶ トラックも あります。でも、みずを たくさん つむと、いきものを のせる ばしょが へって しまいます。ある トラックでは、さかなを のせられるのは、ぜんぶの 10ぶんの 1 いかだった、と いいます。[6]
では、エビは みずが なくても、いきが できるのでしょうか。
クルマエビは、熊本県の天草や沖縄などで養殖され、生きたまま出荷されるのです。全国海水養魚協会は、クルマエビの強い体が、おがくずだけで水なしに運ぶことを可能にしていると説明しています[2]。天草では、1905年(明治38年)に、天然のクルマエビを池で飼ってから出荷する「蓄養」が始まったと伝えられます[3][4]。
沖縄県の資料によると、ふつうの出荷では、冷たい海水で落ち着かせたエビを、吸水シートやおがくずといっしょにダンボール箱に入れます。市場では箱の一部を開けて検品し、そのときの死んだエビの数が値段に強く影響します。沖縄からの出荷が減る夏(6〜8月)は、ほかの月より値段が約40%高いです[5]。
水を使って運ぶ方法もあります。ただ、魚の例ですが、水槽つきのトラック(活魚車)は、これまで容量の10%未満しか魚を積めなかったといいます[6]。水を積んだ分だけ、生き物を積める量が減ります。
では、エビは水がない箱の中で、どうやって息をしているのでしょう。
クルマエビは、熊本県の天草や沖縄などで養殖され、生きたまま出荷される。全国海水養魚協会は、その強健さが、おが屑だけによる水なしの輸送を可能にしていると書く[2]。天草では、1905年(明治38年)に、天然のクルマエビを池で飼って出荷する「蓄養」が始まったといわれ[3]、熊本県観光連盟のサイトも「100年以上前」と書く[4]。
沖縄県海洋深層水研究所の資料(令和2年度)は、ふつうの出荷を次のように書く。養殖のクルマエビを冷海水で沈静化させ(動きをおさえて落ち着かせ)、吸水シートやおがくずとともにダンボール箱に入れる。市場では箱の一部を開けて検品し、その際の死亡エビの数が価格に強く影響する[5]。生産量の多い沖縄からの出荷が減る夏(6〜8月)には、活クルマエビの市場価格がほかの月より約40%高くなるという[5]。
水を使う方法がないわけではない。ただ、これは魚の例だが、水槽つきのトラック(活魚車)は、従来は容量の10%未満の魚しか運べなかったという[6]。水を積む分だけ、生き物を積める量が減る。
では、水のない箱の中で、エビはどうやって息をしているのか。
2. エビや カニは、みずの そとで いきが できるの?
2. エビやカニは、水の外で息ができるのか
2. 水の外で息ができるのか ── えらは甲羅の下の部屋にある
エビや カニの えらは、こうらの したの へやに あります。[7]
カニは、みずから でても、えらの みずを こうらに そって まわして、くうきの さんそを とりこみます。カニが あわを ふく のは、えらの まわりの みずが たりなく なった しるしだと いわれます。[8][9]
ヨーロッパの ロブスターは、しじょうに つくまでの 12〜14じかん、くうきに さらされました。それでも、げんきな ものは、からだの なかの さんそを たもって いました。[10]
でも、あたたかい くうきの なかでは、ながく もちません。25どの へやで、うみの みずを かけながら クルマエビを おいた けんきゅうでは、12じかんほど で ほとんどが しんで しまいました。[11]
みずが なくても いきは できます。でも、みずの そとは らくでは ありません。おがくずの はこの なかでは、なにが ちがうのでしょう。
エビやカニのえらは、頭と胸をおおう甲羅の内側の「部屋」(鰓室)に入っています[7]。カニは、呼吸のための水を甲羅の腹側と脚の付け根のすきまから入れて、口から出します。水から出ると、その水の一部が甲羅を伝って脚の付け根に戻り、もう一度えらに入るのです。甲羅を伝うあいだに、空気中の酸素を取りこみます[8]。
水から上げたカニが泡をふくのは、えらのまわりの水分が足りなくなって、水に粘りが出るためと説明されます[8][9]。つまり、えらのまわりに水があるあいだは、空気中でもしばらく息ができるのです。
ヨーロッパのロブスターの研究があります。市場に着くまでの12〜14時間、空気にさらされたロブスターのうち、状態のよいものは、血液の中の酸素をうまく使って、体内の酸素を保っていました。水に戻すと、酸素の状態は1時間ほどで戻りました。状態の悪かったものは、水槽に入れて24時間後に生きていたのが25%でした[10]。
クルマエビでも、空気中に置く実験があります。25℃の部屋で、20分ごとに海水を吹きかけて体の表面をぬらしていても、200匹のうち、7.5時間で15%、12.5時間で89.5%が死にました[11]。
水がなくても息はできます。ただし、暖かい空気の中では、長くはもちません。次の疑問は、おがくずの箱の中では、何がちがうのか、です。
エビやカニのえらは、頭と胸をおおう甲羅の内側の「鰓室」に収まっている[7]。カニの場合、呼吸に使う水は、甲羅の腹側と脚の付け根のあいだのすきまから入り、口から出ていく。水から出ると、その水の一部が甲羅を伝って脚の付け根のすきまへ移り、もう一度えらに入る。甲羅を伝っているあいだに、大気中の酸素を取りこむ、と『エビ・カニの疑問50』(成山堂書店、2021年)を紹介する記事は説明している[8]。
水を何度も回していると粘りが増して泡になる。これがカニの泡ふきで[8]、百科事典(ウィキペディア)は、水分が蒸発し、えらの粘膜の成分が混じって、えらの上の水に粘りが出るためだと書く[9]。どちらも、えらのまわりの水分が足りなくなったときの現象だ。
水の外でも、しばらくは呼吸できることは、ロブスターの研究にも出てくる。ヨーロッパのロブスターが、市場に着くまでの12〜14時間、空気にさらされた例では、状態のよい個体は、血液の色素(ヘモシアニン)に結びついた酸素をうまく保って、体内に酸素を回しつづけていた。二酸化炭素と乳酸はたまったが、水に戻すと、血液中の酸素と二酸化炭素の分圧は1時間以内に回復した。状態の悪い個体は、水槽に入れて24時間後に生きていたのが25%だった[10]。
クルマエビでは、25℃の部屋に、体重6gほどのエビ200匹を空気中に置いた実験がある。20分ごとに海水を吹きかけて体表をぬらしていても、5時間で9匹(4.5%)、7.5時間で15%、12.5時間で89.5%が死んだ[11]。
水がなくても息はできる。ただし、暖かい空気の中では、長くはもたない。次は、おがくずの箱の中では、何がちがうのかを見る。
3. おがくずは、なにを して いるの?
3. おがくずの仕事は、えらを乾かさないこと
3. おがくずの役目 ── 湿り気を抱えこむ
おがくずの しごとは、えらを かわかさない ことらしいです。あまくさの しゅっかを しょうかいする サイトでは、いっしょに いれる おがくずを、エビの からだの みずを たもつ ための ものだと せつめいして います。[4]よこはまの すいさんの かいしゃも、おがくずは しっとりと みずを もつ ちからが つよく、えらの まわりに みずを のこせる、と かいて います。[12]
おがくずは、あめの あとの すなば みたいに、しっとり している ものです。ただし ほんとうは、すなでは なくて、きの こなです。
ほかに、はこを ゆらした ときの ショックを やわらげる、クッションの はたらきも ある、と いう 人も います。[13]
熊本県観光連盟のサイトは、天草の出荷の場面で、いっしょに入れるおがくずを、車えびの体内の水分を保つ保湿剤と紹介しています[4]。横浜の水産会社(横浜丸魚)は、おがくずは保湿性がとても高く、えらの周辺に水分を残せると書きます[12]。沖縄県の資料では、エビは吸水シートやおがくずといっしょに箱に入ります[5]。
木材会社のブログ(2012年)は、おがくずには、衝撃をやわらげる緩衝材としての働きのほかに、保温と保湿の働きが大切で、しっとりしてほどよい湿度のものがよいらしい、と書きます[13]。
まとめると、おがくずは、えらの水分をにがさず、箱の中の湿度を保つ役をしているようです。
熊本県観光連盟のサイトは、天草の出荷の場面で、いっしょに入れるおがくずを「車えびの体内の水分を保つための保湿剤」と紹介する[4]。横浜の水産会社(横浜丸魚、2016年の記事)は、おがくずは保湿性がとても高く、えらの周辺に水分を保持できると書く[12]。沖縄県の資料は、エビを冷海水で沈静化させたあと、吸水シートやおがくずとともに箱に入れると書く[5]。
木材会社のブログ(2012年)は、おがくずの働きとして、緩衝材にとどまらず、保温と保湿が重要で、しっとりして湿度のほどよいおが屑がよいようだ、と書く[13]。
これらを合わせると、おがくずの役目は、エビの体やえらのまわりの水分をにがさず、箱の中の湿度を保つことにあると、出荷の現場では説明されている。
4. つめたく すると、どうして いいの?
4. 冷やすと長くもつ。でも、冷やしすぎはだめ
4. 冷やす ── 酸素の使い方は減る。ただし温度の幅はせまい
エビや カニは、じぶんで たいおんを たかく たもつ どうぶつ では ありません。まわりが つめたく なると、からだの はたらきが ゆっくりに なります。イセエビの なかまで しらべた けんきゅうでは、おんどが 15どから 7.5どに さがると、じっと して いる ときの さんその つかいかたは、はんぶん いかに なりました。[14]
だから、エビを はこに つめる まえに、つめたい うみの みずで おちつかせます。おきなわけんの しりょうは、12どの うみの みずを つかう、と かいて います。[5]
でも、つめたければ いい わけでは ありません。1キロの はこに、ほれいざいを ふやしたら、ひえすぎて エビが しんだ、と おきなわけんの しりょうに かいて あります。[5]
なつは とくに むずかしいです。はこの おんどを 20どいかに たもてた はこは、しんだ エビが へりました。[5]
エビやカニは、体温を自分で保つ動物ではないので、まわりの温度が下がると、体の働きがゆっくりになります。オーストラリアとニュージーランドの近くにすむイセエビの仲間の研究では、じっとしているときの酸素の消費量が、15.0℃で1時間あたり22.57mL、7.5℃で9.69mL、3.7℃で8.09mLでした。温度が10℃下がると、およそ3分の1になる計算(Q10が約3.0)です[14]。
クルマエビでは、沖縄県の資料が、箱詰めの前に12℃に冷やした海水で落ち着かせるよう書きます[5]。横浜の水産会社の記事は、8〜15℃くらいだとおとなしくなり、5℃以下か30℃以上になると死んでしまうとのこと、と紹介しています[12]。
冷やしすぎは危ないです。沖縄県の資料は、1kgの箱の中に75gの保冷剤を足すと、冷やしすぎでエビが死ぬので、保冷剤は外箱のほうで調整するよう注意しています[5]。
夏は特にむずかしいです。1988年の論文は、冬より夏のほうが、輸送中にエビの活力が短時間で落ちることを、研究を始めた理由にあげています[1]。沖縄県は、夏に保冷剤や断熱材で箱の温度を管理する方法を試しました。断熱材などで管理した外箱10箱は、エビの死亡率が平均7%、管理しなかった5箱は22%でした。1章で見たように、市場では死んだエビの数が値段に強く影響します。この試験でも、箱ごとの平均価格は、管理した箱が1kgあたり約5,800円、管理しなかった箱が約3,900円と、開きがありました[5]。
「冷たいほどよい」のではなく、エビをじっとさせるのにちょうどよい温度の幅があります。
エビやカニは、体温を自分で保つ動物ではないので、まわりの温度が下がると体の働きがゆっくりになる。オーストラリアとニュージーランドの近くにすむイセエビの仲間(Jasus edwardsii)で酸素の使い方を測った研究では、じっとしているときの酸素消費量は、1時間あたり15.0℃で22.57mL、7.5℃で9.69mL、3.7℃で8.09mLと報告されている。温度が10℃下がるごとに、およそ3分の1になる計算(Q10が約3.0)だ[14]。クルマエビそのものの値ではないが、冷やすと酸素の消費が減るという方向は同じと考えられる。
クルマエビでは、沖縄県の資料が、出荷の前に12℃に冷やした海水で沈静化させてから梱包するよう書く[5]。1988年の論文は、箱の温度に、当時のクルマエビ輸送で使われていた15℃を選んだ[1]。横浜の水産会社の記事は、8〜15℃くらいだとおとなしくなり、5℃以下か30℃以上になると死んでしまうとのこと、と紹介している[12]。
冷やしすぎも危ない。沖縄県の資料は、1kgの箱の中に75gの保冷剤を足すと、冷やしすぎでエビが死ぬので、保冷剤を足すなら外箱のほうで調整する、と注意する[5]。
夏は特にむずかしい。1988年の論文が研究を始めた理由は、冬に比べて夏は、輸送中に短い時間でエビの活力が落ちることだった[1]。沖縄県は、夏に保冷剤・発泡断熱板・断熱アルミシートで箱の温度を管理する方法を、2016〜2019年度の11回の輸送試験で確かめた。断熱材などで温度を管理した外箱10箱は、エビの死亡率が平均7%、管理しなかった5箱は平均22%だった。1章で見たとおり、市場では検品のときの死亡エビの数が価格に強く影響する。この試験でも、箱ごとの平均価格は、管理した箱が1kgあたり約5,800円、管理しなかった箱が約3,900円と、開きがあった[5]。
「冷たいほどよい」のではなく、エビをじっとさせるのにちょうどよい温度の幅がある。
5. はこの なかで、なんじかん いきて いられるの?
5. 何時間もつのか ── 1988年の実験
5. 何時間もつのか ── 15℃のおがくず詰めで見た、生き残りと筋肉の変化
くまもとけんの すいさんしけんじょうの 4人は、エビを おがくずと いっしょに ちいさな ようきに つめて、15どの へやに おきました。12じかんごとに、ようきを ひとつずつ あけて しらべました。[1]
12じかんまでは、ぜんいんが いきて いたのです。24じかんで 10ぴきのうち 9ひき ちかく、48じかんで 15ひきのうち 1ぴき ぐらいに なりました。[1]
エビの きんにくの なかでは、うごく ための ちからの もとが、じかんが たつほど へって いきました。でも、24じかん たった エビを うみの みずに もどすと、その ちからの もとの わりあいは、1じかんで 9わり いじょうに もどりました。[1]
おがくずの はこは、ずっと もつ ばしょでは ありません。じかんが たつほど、エビが つかれて いく ばしょです。
熊本県水産試験場の4人の研究者は、養殖場からおがくず詰めで運んだクルマエビ(体長11〜14cm、体重20〜30g)を、水槽で5時間ほど休ませてから、容積2,700mLの密閉できる容器に、おがくずといっしょに15匹ずつ詰めました。容器6個を15℃の部屋に置き、12時間ごとに1個ずつ取り出して調べました[1]。
生き残った割合は、12時間で100%、24時間で86.7%、36時間で68.8%、48時間で6.7%、60時間で0%でした。12時間までは全員が生きていて、1日を過ぎると減り、48時間で大きく落ちました[1]。
筋肉の中の、動くための力のもと(ATP)は、100gあたり636μmolから、48時間後には16μmolまで減りました。乳酸は574μmolから、36時間後に1,930μmolまで増えました。論文は、おがくずの中のエビは時間とともに疲れ、活力が下がって、最後に死に至る、と読み取っています[1]。
24時間おがくずに入れたエビを15℃の海水に戻すと、ATPの割合は1時間後には90%以上に戻り、乳酸もゆっくり減りました[1]。
この実験は、水産試験場が条件をそろえて、密閉した小さな容器で行いました。実際の出荷の箱や運ぶ日数とは同じではありません。それでも、おがくずの中は、いつまでももつ場所ではなく、時間がたつほどエビが疲れていく場所で、海水に戻せば筋肉の中のATPの割合は1時間ほどで戻ることが分かります。
冒頭の実験を、もう少し詳しく見る。熊本県水産試験場の4人の研究者は、養殖場からおがくず詰めで運んだクルマエビ(体長11〜14cm、体重20〜30g)を、水槽で5時間ほど休ませたあと、容積2,700mLの完全密閉式のポリプロピレン容器に、おがくずといっしょに15匹ずつ詰めた。容器6個を15℃の恒温室に入れ、12時間ごとに1個ずつ取り出して調べた[1]。
生き残った割合は、12時間で100%、24時間で86.7%、36時間で68.8%、48時間で6.7%、60時間で0%だった。12時間までは全員が生きていて、1日を過ぎて減りはじめ、48時間で大きく落ちた[1]。
筋肉の中では、動くための力のもとになる物質ATPが、100gあたり636μmol(収容直後)から、48時間後には16μmolまで減った。ATPが使われたあとの物質AMPは、23μmolから735μmolまで増えた。乳酸は574μmolから、24時間後に1,320μmol、36時間後に1,930μmolに増えた。論文は、おがくずの中のエビは時間とともに疲労が増し、活力が下がって最後に死に至る、と読み取り、ATP・ADP・AMP・IMPの合計に対するATPの割合が、生き残りと関係するので、活力の指標に使えると提案した[1]。
24時間おがくずに入れたエビを15℃の海水に戻すと、その割合は1時間後には90%以上になり、あとはほぼ一定だった。乳酸は、8時間かけてゆっくり減った[1]。
この実験は、水産試験場が条件をそろえ、密閉した小さな容器で行ったものだ。実際の出荷の箱や、運ぶ日数とは同じではない。それでも、おがくずの中は、いつまでももつ場所ではなく、時間がたつほどエビが疲れていく場所であること、海水に戻せば筋肉の中のATPの割合は1時間ほどで戻ることが、数字で分かる。
6. カニも おがくずで はこぶの?
6. カニの場合 ── 氷で運ぶカニもいる
6. カニの場合 ── 決め手は、その生き物に合った温度
ひょうごけんの かすみの みなとで とれる この はこびかたには、おがくずは でて きません。[15]
ベニズワイガニが ふだん すんで いる おんどは、0〜1どです。だから、こおりを いれた ふくろで カニを はさんで、はっぽうスチロールの はこに いれます。この やりかたで、24じかんまで、いきた まま はこべる ように なりました。[15]
みやぎけんの ワタリガニの ネットの おみせの ページには、いきた まま とどけたくて、かんな くず(おがくず)で つめて いる、と かいて あります。とどく ときに、ぜんぶ いきて いる ことも、はんぶんの ことも、ぜんぶ しんで いる ことも ある、とも かいて あります。[16]
エビは 15どの おがくず、ベニズワイガニは 0〜1どの こおりです。どちらも ひやして はこびます。ねらう おんどは、いきものごとに ちがいます。
兵庫県の香住漁港で水揚げされるベニズワイガニは、鮮度が落ちるのが速く、これまでは主に加工品に使われてきました。兵庫県立農林水産技術総合センターは、水を使わない輸送の方法を開発し、24時間までの活きたままの輸送を可能にしました[15]。
この方法に、おがくずは出てきません。ベニズワイガニが生息する0〜1℃に近づけるために、氷を入れた袋ではさんで、発泡スチロールの箱に入れます。はさみと脚は輪ゴムで固定するのです。運ぶカニは、指で触って口を閉じる力が強いもの、水中で自分で立っているものを選びます[15]。
いっぽう、宮城県産ワタリガニの産直サイトの出品ページには、生きたまま届けたくてカンナ屑(おがくず)で梱包している、乾燥を避けて10℃以下で保存してほしい、とあります。同じページには、着いたときに全部生きていることも、半分のことも、全部死んでいることもあると書かれていて、生きたまま運ぶことのむずかしさがうかがえます[16]。
ベニズワイガニは氷で0〜1℃、クルマエビは15℃前後のおがくずです。どちらも冷やして運ぶ点は同じで、目安の温度は生き物ごとにちがいます。おがくずは、そのための唯一の方法ではなく、クルマエビのように湿り気を保つ役目もかねた道具として使われています。
兵庫県の香住漁港(美方郡香美町)で水揚げされるベニズワイガニは、「香住ガニ」としてブランド化されているが、鮮度の低下が速いため、主な用途は加工品だった。兵庫県立農林水産技術総合センターは、水を使わない輸送の技術を開発し、24時間までの活魚輸送を可能にした[15]。
この方法に、おがくずは出てこない。ベニズワイガニが生息する0〜1℃の温度帯に近い状態にするために、氷を入れた袋でカニをはさみ込み、発泡スチロールの箱に入れる。はさみと歩脚は輪ゴムで縛る。運ぶカニは、指で触って口(第一顎脚)を閉じる力が強い個体、水中で自立している個体を選ぶ。令和3年11月の試験では、但馬水産技術センターから水産技術センターへクール便で送っている[15]。
一方、宮城県産ワタリガニの産直サイトの出品ページには、生きた状態で届けたくてカンナ屑(おがくず)で梱包している、乾燥を避けて10℃以下で保存してほしい、とある。同じページには、着いたときに全部生きていることも、半分のことも、全部死んでいることもあると書かれていて、生きたまま運ぶことのむずかしさがうかがえる[16]。
ベニズワイガニは氷で0〜1℃、クルマエビは15℃前後のおがくず。どちらも冷やして運ぶ点は同じで、目安の温度は生き物ごとにちがう。おがくずは、そのための唯一の方法ではなく、クルマエビのように湿り気を保つ役目もかねた道具として使われている。
7. だれが はじめたの? どんな きの おがくず?
7. おがくずで運ぶ方法を考えた人と、使う木の種類
7. おがくずで運ぶ方法は、誰が、いつから、どんな木で ── 資料から分かること
「だれが さいしょに おがくずで はこぶ ことを かんがえたのか」を かいた しりょうは、みつかりませんでした。
てがかりは 2つ あります。あまくさで、エビを いけで かって から だす ことが 1905ねんに はじまった と つたわる ことです。[3]そして、1988ねんの ろんぶんが、あまくさの エビは、いま おがくずに つめて はこばれて いる、と かいて いる ことです。[1]
どんな きの おがくずが いいのかも、しりょうでは わかりませんでした。かんな くずと かく ページも あれば、「のこくず・チップくず」と かく ブログも あります。[16][13]
8. じぶんでも しらべて みたく なったら
8. 自分でも調べてみたくなったら
8. 自分でも調べてみたくなったら
- ずかんや ほんで、エビや カニの えらが どこに あるか さがして みましょう。こうらの したに あります。
- おみせで、さかなや エビの パックの ラベルを 見て みましょう。「なんど いかで ほぞん」のように、おんどが かいて あるでしょうか。
かんがえて みましょう。エビは 15どの おがくず、ベニズワイガニは 0〜1どの こおりです。ひやし かたが ちがうのは、どうしてでしょう。おうちの 人と はなして みましょう。
沖縄県と兵庫県の資料は、どちらも短くて、インターネットで読めます。読み比べてみたいです。
- 沖縄県の資料[5](2ページ):図4と図5に、箱の中の温度の1日の変化が、温度を管理しなかったときとしたときで並んでいます。
- 兵庫県の資料[15](1ページ):同じ「水を使わない輸送」なのに、冷やし方がまったくちがいます。
問いはひとつです。エビとカニで、何をどこまで冷やそうとしているのでしょうか。2つの資料で、箱の中の温度を書いた数字を探してみるとよいです。
この記事で使った資料のうち、次の3つは短く、インターネットで読める。読み比べる手がかりを挙げる。
- 1988年の論文[1](4ページ):図1(生き残った割合)と図5(ATPの割合と生き残った割合)を並べると、エビの「活力」が数字で見える。文献欄に、活魚輸送の本(板沢靖男『活魚輸送』、日本水産学会編、恒星社厚生閣、1982年)が挙がっている。
- 沖縄県の資料[5](2ページ):図4・図5に、箱の中の温度の1日の変化が、温度を管理しなかったときとしたときで並んでいる。
- 兵庫県の資料[15](1ページ):同じ「水を使わない輸送」でも、冷やし方がまったくちがう。
問いはひとつ。エビとカニで、何をどこまで冷やそうとしているのか。箱の中の温度を書いた数字を、3つの資料から拾って、並べてみるとよい。
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
出典について:水産試験場の論文、沖縄県・兵庫県の公的な資料、外国の学術論文の要旨、水産業界団体のページ、事典、出荷元・販売元のページを使った。英語の資料には、何の資料かを日本語で添えた。
- 古庄真喜・梅﨑祐二・石田宏一・本田彰「おがくず詰め活きクルマエビにおける筋肉中のATP関連物質および乳酸の量的変化」(日本水産学会誌 54巻7号 1209–1212ページ、1988年。熊本県水産試験場。DOI 10.2331/suisan.54.1209)。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/54/7/54_7_1209/_article/-char/ja/ (15℃のおがくず詰め、生残率、ATP関連物質、乳酸、海水に戻したときの回復、夏に活力が落ちること)
- 全国海水養魚協会「クルマエビ(車海老)」(養殖魚種の解説ページ)。 https://www.yoshoku.or.jp/gyosyu/kurumaebi/ (おが屑による水なし輸送)
- 「クルマエビ」(ウィキペディア日本語版)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/クルマエビ (天草での蓄養の始まり、オガクズに詰めて長時間生かせること)
- 熊本県観光連盟「車えび養殖発祥の地・上天草で“車えび”を味わい尽くす」(2023年11月17日)。 https://kumamoto.guide/look/detail/426 (天草の養殖の始まり、出荷の箱詰め、おがくずの役目)
- 沖縄県海洋深層水研究所「温度管理による養殖クルマエビの夏季出荷技術」(令和2年度 普及に移す技術)。 https://www.pref.okinawa.jp/fish/kenkyu/hukyu-data/datar02/R02-51.pdf (ふつうの出荷の箱詰め、夏の価格、12℃の海水、保冷剤と冷やしすぎ、死亡率と価格の比較)
- 事業構想オンライン「魚の鮮度を保ったまま輸送する画期的システム 日本食を世界へ」(2019年4月号)。 https://www.projectdesign.jp/201904/osaka-innovation/006207.php (従来の活魚車は容量の10%未満の魚しか運べなかったという記述。魚の例)
- 「えら」(ウィキペディア日本語版)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/えら (甲殻類のえらが背甲に覆われた鰓室に入っていること)
- 成山堂書店のコラム「食卓から深海まで!エビ・カニの仲間を知る:『エビ・カニの疑問50』」(2021年11月24日。書籍は23人の専門家による共著、2021年)。 https://www.seizando.co.jp/column/20211124/ (カニの呼吸の水の道すじ、水から出たときの呼吸、泡ふき)
- 「カニ」(ウィキペディア日本語版)。 https://ja.wikipedia.org/wiki/カニ (えらで呼吸すること、泡ふきの説明)
- Whiteley NM, Taylor EW「Oxygen and Acid-Base Disturbances in the Hemolymph of the Lobster Homarus gammarus During Commercial Transport and Storage」(Journal of Crustacean Biology 12巻1号 19–30ページ、1992年。市場に着くまで12〜14時間空気にさらされたヨーロッパのロブスターの研究)。 https://academic.oup.com/jcb/article-abstract/12/1/19/2327792 (要旨:血液中の酸素の保ち方、乳酸、水に戻したときの回復、状態の悪い個体の24時間後の生存25%)
- Wang P ほか「Air Exposure Affects Physiological Responses, Innate Immunity, Apoptosis and DNA Methylation of Kuruma Shrimp, Marsupenaeus japonicus」(Frontiers in Physiology 11巻、2020年。DOI 10.3389/fphys.2020.00223。クルマエビを空気中に置いた実験)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7081841/ (25℃、20分ごとの海水噴霧、200匹、5時間・7.5時間・12.5時間の死亡率)
- 横浜丸魚株式会社「車海老とオガクズ」(2016年7月26日)。 https://www.yokohama-maruuo.co.jp/food/車海老とオガクズ/20160726.html (おがくずの保湿性、8〜15℃・5℃以下・30℃以上のエビの様子)
- 株式会社大五木材「生ける車海老とおが屑の話(2)」(森のかけら、2012年12月13日)。 https://morinokakera.jp/?p=50086 (緩衝材・保温・保湿の見立て、使われているおが屑の種類についての記述)
- Forgan LG ほか「Temperature effects on metabolic rate and cardiorespiratory physiology of the spiny rock lobster (Jasus edwardsii) during rest, emersion and recovery」(Journal of Comparative Physiology B、2014年。DOI 10.1007/s00360-014-0820-5。イセエビの仲間の酸素消費と温度の研究)。 https://doi.org/10.1007/s00360-014-0820-5 (要旨:15.0℃・7.5℃・3.7℃の安静時の酸素消費量、Q10が約3.0)
- 兵庫県立農林水産技術総合センター「活きたままベニズワイガニを輸送 ~活ベニズワイガニの無水輸送技術~」(研究成果紹介)。 https://hyogo-nourinsuisangc.jp/wp/wp-content/uploads/2023/10/13-ガニ無水輸送.pdf (0〜1℃、氷の袋ではさむ方法、24時間までの輸送、活力のあるカニの選び方)
- 食べチョク「活発送 ワタリガニ メス大と特大(2kgで約4-8杯)」(宮城県の出品者のページ。産直サイトの商品ページ)。 https://www.tabechoku.com/products/175055 (カンナ屑での梱包、保存温度、着いたときの様子の書き方)
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