1. どれくらい エネルギーを つかうの?
1. 一日に使うエネルギーが、とても少ない
1. 野外代謝率 ── 記録された哺乳類で最低
生きものは、食べものから エネルギーを 作って、体を 動かします。ナマケモノは、この 使う りょうが、とても すくない どうぶつです。
けんきゅうでは、ミユビナマケモノが、しらべられた ほにゅうるいの 中で いちばん すくない、と 発表されて います[1]。
スマホで いえば、いつも 「しょうでんりょく モード」で 動いて いる ような ものです。ただし ナマケモノは、じぶんで えらんで いるのでは ありません。体の つくりが、そう なって います。
野外で測ると
研究者は、野外で暮らすナマケモノが一日にどれだけエネルギーを使うかを測りました。その結果、ミユビナマケモノは、冬眠していない哺乳類で記録されたなかで最も低い値だったと報告されています[1]。「すべての動物で最低」ではなく、「記録された哺乳類で」という点に注意が必要です。
フタユビナマケモノも少なめですが、ミユビはさらに約31%低いと紹介されています[2]。ミユビのほうが体温の変わり方が大きく、動くことも少なかったそうです[1]。
節約のモード
スマホの省電力モードにたとえると、画面を暗くして、使わないアプリを止めるようなものです。ただし、ナマケモノは自分で切り替えているのではありません。体のつくりが、はじめからそうなっています。
ミユビナマケモノ(Bradypus variegatus)の野外代謝率(FMR)は162 kJ/日×kg0.734で、冬眠していない哺乳類で記録されたなかで最も低い。ミユビは、フタユビより体温の変動が大きく、動きも少なかったという[1]。FMRの差は約31%とする報道もある[2]が、これは要約であり、数値は「約」を付けて扱う。
比べる基準によって印象は変わる。1980年のパナマでの測定では、野外代謝は平均約147 kJ/(kg・日)で、哺乳類の予測基礎代謝の約74%だった。一方で、このナマケモノ自身の実測の基礎代謝の約1.8倍でもある[3]。低さの報告値は研究ごとに約40〜74%と幅がある[4]。
2. なにを 食べて いるの?
2. 栄養の少ない葉が主食
2. 低エネルギーの食事 ── 葉と、ほとんど飲まない水
ナマケモノの おもな ごはんは、木の 葉です。葉は、エネルギーが あまり 多くない 食べものです[4]。
体重 四キロの ナマケモノが 一日に 食べる 葉は、かわかして 六十グラムほどだと 見つもられました[3]。水は 葉から とれて、ほとんど のみません。
すこしの 葉で、すこしの エネルギー。ここが、ゆっくりの はじまりだと 考えられます。
3. たべものは、どのくらい 体に いるの?
3. 葉が体を通り抜けるまでに、数週間
3. 消化管通過時間 ── 150〜1,200時間、胃は体重の20〜30%
ナマケモノは、たべた ものが ながい あいだ、体の 中に います。うんちに なって 出て くるまで、六日から 五十日ほど かかる、という けんきゅうが あります[5]。
ウシと くらべると、十ばいほど ながい、という 野外の じっけんも あります[6]。しゅるいや じょうけんで、大きく かわります。
おなかの 中の 大きな い(い)は、中みも ふくめて、体重の 二わりから 三わりに なる、と いわれます[6]。
4. きんにくが すくないのに、ぶらさがれる?
4. 筋肉は少なめなのに、ぶら下がり続けられる
4. 骨格筋 ── 少ない筋肉量と、遅筋型の前脚
ふつうの ほにゅうるいは、体重の 四わりから 四わり五ぶが きんにくです。ナマケモノは、二わり五ぶから 三わりと いわれます[6]。
それでも、木の えだに 長く ぶらさがれます。まえあしの きんにくには、ゆっくり ちぢむ タイプが 多いと つたえられて います[7]。ぶらさがり つづけられるのは、きんにくだけでなく、うでや ほねの つくりも かんけい します。
すこしの きんにくで、うまく ぶらさがる。ここも、エネルギーの せつやくと つながって いる ようです。
筋肉の割合
筋肉が体重に占める割合は、多くの哺乳類で40〜45%、ナマケモノでは25〜30%だと紹介されています[6]。ただし、これは古い研究を引いた資料の数字なので、「〜とされる」くらいに受け取るのが安全です。
疲れにくい筋肉
研究によると、ナマケモノの前脚の筋肉は、ゆっくり縮むタイプが中心で、速いタイプも少し混じっています[7]。速いタイプが全くないわけではありません。ゆっくり縮む筋肉は疲れにくいとされ、ぶら下がり続けるのに向くと考えられますが、それは筋肉だけでなく、体の骨組みなども関係します。
筋肉の作りやてこの使い方の工夫で、少ない筋肉でも大きな力を出せると説明されています[7]。低い代謝や遅い動きとともに、体全体の省エネに役立つよう進化した可能性が述べられています。
5. 体の あたたかさも かわるの?
5. 体温を大きく変えて、日なたで温まる
5. 体温調節 ── 日内変動は最大約10℃、気温と摂食量
人の 体温は、いつも 三十六どくらいです。ナマケモノは、一日の うちに 体温が 大きく かわります。深い ところの 体温が、多い ときで 十ど かわる、という けんきゅうが あります[4]。
あたたかく なりたい ときは、日なたに 出るなど、行動で ちょうせつします。ミユビナマケモノは とくに 体温が ひくく、かわりやすいそうです[4]。
また、気温が 高い 日ほど、ミユビナマケモノは たくさん 食べる ことが おおかった そうです[4]。
6. 動いても、あまり エネルギーは ふえないの?
6. 動く分も少ない ── 一つひとつの節約がつながる
6. 活動コストの小ささと、研究間の数値の幅
ふつうの ほにゅうるいは、動くと、じっと して いる ときの 三ばいほどの エネルギーを 使います。ナマケモノは、一・三ばいほどだった、という けんきゅうが あります[5]。
動いても、あまり ふえない。それほど、いつも 動きが すくない、と いうことです。
葉を ゆっくり 消化して、きんにくも すくなく、体温も かえて、動きも ゆっくり。ぜんぶが つながって、ナマケモノの くらしが できて いる ようです。
動いてもあまり増えない
ナマケモノの野外でのエネルギー消費は、じっとしているときの約1.3倍にすぎません。この資料が比べている一般的な哺乳類の目安は約3倍です[5]。3を1.3で割ると、おおよそ2.3倍の開きです。動いても使う量があまり増えないほど、いつも活動が少ないということです。
数字に幅があるわけ
代謝の低さは、1980年の測定では予測の約74%、2024年の研究では、じっとしているときの代謝が予測より39%低いと報告されています[3][5]。数字が違うのは、比べる基準や条件が違うからで、一つに統一はできません。
低い代謝の原因として、甲状腺の活動が低いことや、消化に時間がかかることが挙げられています[5]。
野外代謝率(FMR)は安静時代謝率(RMR)の約1.3倍にすぎず、資料が比較対象とする一般的な哺乳類の目安(約3倍)と対照的である。計算すると約2.3倍の差になる。活動によるエネルギー増加が小さいことを示す[5]。ただし、この1.3倍は、1980年研究の「実測の基礎代謝の約1.8倍」[3]とは基準・研究が異なり、混ぜて解釈できない。
低さの程度は、予測値の約74%[3]、40〜74%[4]、RMRが予測より39%低い[5]など、予測式や個体群により幅がある。
これらの資料を突き合わせると、低栄養の葉という条件のもと、消化・筋肉・体温・行動が一体となった節約として説明されている。ただし各要素の因果の順序は断定できず、なお研究途上と考えるのが妥当である。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
どうぶつえんで ナマケモノに あえたら、一分間 見て、なんど 動いたかを かぞえて みましょう。ほかの どうぶつと くらべて、ちがいを さがして みます。人や 生きものを 近づけすぎず、はなれて 見ます。
ずかんや 図書館の 本で、ナマケモノが なにを 食べるかを しらべると、この 話が つながります。
出かけてできること:動物園でナマケモノを見られたら、1分間に何回動くかを数えてみましょう。同じ時間に、ほかの動物はどうか比べると、「ゆっくり」の意味が具体的に分かります。動物には近づきすぎず、決まりを守って見学してください。
調べるなら:動物学の解説や、動物園の公式サイトの日本語の説明が読みやすいです。この記事の数字は研究によって違うので、別の資料で確かめてみるのもよい方法です。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:野外エネルギー消費の論文、動物学の研究、解説記事を突き合わせた。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- Pauli et al. (2016) "Arboreal folivores limit their energetic output, all the way to slothfulness", American Naturalist 188:196(要旨)。Europe PMC(検索結果) (野外エネルギー消費が哺乳類で最低、体温調節と行動の工夫について)
- Science News Explores「Mammal has world's slowest metabolism」。https://www.snexplores.org/article/mammal-has-worlds-slowest-metabolism (ミユビとフタユビの差の約31%について)
- Nagy & Montgomery (1980) Journal of Mammalogy 61:465(要旨)。https://academic.oup.com/jmammal/article-abstract/61/3/465/867178 (野外代謝と基礎代謝の比、一日に食べる葉の量について)
- "Sloths like it hot"(PMC4389270)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4389270/ (低エネルギーの食事、体温の変動、気温と食べる量について)
- ナマケモノの代謝と気候に関する研究(PeerJ 2024、PMC11441404)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11441404/ (安静時代謝、野外代謝との比、消化時間、甲状腺について)
- Craig Holdrege「What Does It Mean to Be a Sloth?」(The Nature Institute)。https://www.natureinstitute.org/article/craig-holdrege/what-does-it-mean-to-be-a-sloth (胃の大きさ、筋肉の割合、消化の遅さについて。古い研究の引用)
- "Cheap labor" Journal of Applied Physiology 2018(要旨)。Europe PMC(検索結果) (筋肉量と筋線維の型について)
なおした ところ
更新履歴
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