1. ゆきは、みずが こおった ものなの?
1. 雪は「凍った水」ではない
1. 生成 ── 水蒸気から直接固体へ
ゆきは、あめの つぶが こおって できる、と おもいがちです。でも、きしょうだいの しりょうでは、ちがうと せつめいして います。
そらの うえで、水蒸気という 目に 見えない きたいが、そのまま こおりの けっしょうに なって できると いうのです[1]。
おおきな ものは 1ミリ いじょうも あります。ふくに ついた ゆきを、そのまま 見る ことも できます[1]。
2. どうして ろっかっけいに なるの?
2. 六角形になる理由は、どこまで分かっているか
2. 六方晶の氷と、「なぜ六角形か」の説明
きしょうだいの しりょうは、みずの ぶんしが バランスよく くっつくには、ろっかっけいに なる ひつようが ある、と せつめいします[1]。
ならびかたを かんがえる ための たとえです。10えんだまを つくえの 上で ぎゅっと あつめて みて ください。1まいの まわりに、ちょうど 6まい ならびます。ろっかっけいが できます。
400ねんいじょう まえに、ケプラーという ひとが、ゆきが ろっかっけいなのは なぜかを かんがえたと いわれます[7]。
ただし、ゆきは コインでは なく、みずの ぶんしで できて います。これは、ならびかたを 思いうかべるための たとえです。
気象台の資料は、水分子がバランスよく結合するためには六角形になる必要がある、と説明します[1]。氷の中の分子の並びが、六角形のもとになっているということです。
この氷は、六方晶(ろくほうしょう)とよばれる結晶の一種です。海外の物理の雑誌は、雪の結晶の核は、六方晶の氷の単結晶だと書いています[2]。分子の小さな並びが、目に見える六角形の板や柱として現れます。
この疑問を最初に考えた人の一人が、天文学者のケプラーだといわれます。400年以上前に、粒の詰め方と六角形の関係を考えたとされます[7]。
10円玉を机の上で寄せ集めると、1枚の周りに6枚がぴったり並びます。これは、分子の並び方をイメージするための例えで、雪が硬貨でできているわけではありません。
理由をめぐっては、研究の解釈もあります。アメリカのタフツ大学の研究者たちは、水蒸気に囲まれて育つ氷では、水中で育つ氷とは違い、成長の速さに関わる要因が効くと報告しています[3]。これは1つの研究の解釈で、「これが答えだ」と決まったわけではありません。
気象台の解説は、水分子が均衡よく結合するためには六角形になる必要があるとする[1]。雪の結晶の核は、六方晶氷(氷Ih)の単結晶で、分子レベルの六角形の並びが六角柱という大きな形に反映される[2]。
成長の速さに注目した説明もある。Tufts大学のShultzらの研究では、水中の氷の成長は熱力学的に決まるが、水蒸気に囲まれて育つ氷では動力学的な要因が支配する、と報告された[3]。1つの研究の解釈であり、「六角形の理由」を1つに確定する記述ではない。
歴史的には、400年以上前にケプラーが、パッキング(粒の詰め込み)と六角形の関係を考えたとされる[7]。10円玉を1枚の周りに詰めると6枚が並ぶのも、平面での詰め込みの例だが、分子の結合そのものの説明ではない。なぜ水分子が六方晶をつくるのか(水素結合と配置)の詳細は、今回の資料では扱えていない。
3. ろっかっけいから、どんな かたちに なるの?
3. 六角形の「板」と「柱」
3. 板状・柱状・樹枝状への成長
ゆきの けっしょうは、さいしょに ちいさな ろっかっけいが できます。そのあと、よこに のびれば いたの かたち、たてに のびれば はしらの かたちに なります[1]。
とがった かどは、そだちやすいと いわれます。ろっぽんの かどが のびると、えだが たくさん ある かたちに なります[1]。
ゆきの けっしょうは、ちいさな ろっかっけいを もとに そだちます。
4. かたちは、なにで きまるの?
4. 中谷宇吉郎が、人工の雪で調べたこと
4. 中谷宇吉郎の実験と中谷ダイヤグラム
この なぞに いどんだのが、中谷宇吉郎さんです。むかし、だいがくの じっけんしつで、ゆきの けっしょうを じんこうで つくったと つたえられて います[5]。
じっけんを して わかった ことは、まわりの おんどで かたちが かわる、と いうことです。おんどが ひくいと、うすい いたが できたり、ながい はりが できたり します[2]。
そして、すいじょうきの りょうが おおいと、かたちが ふくざつに なります[4]。
ウィキペディアによると、中谷宇吉郎は1936年3月12日に、大学の実験室で、世界で初めて人工的に雪の結晶をつくったと伝えられています[5]。
実験では、氷点下約2℃で薄い板、氷点下約5℃で長い針、氷点下約15℃でふたたび薄い板、氷点下約25℃で厚い板や柱ができたと紹介されています[2]。温度が少し変わるだけで、板になったり針になったりします。これは目安の温度で、水蒸気の量などによって境目は少し動きます。
温度と水蒸気の量
整理すると、板になるか柱になるかは温度が決め、形の複雑さは水蒸気の量が決めます[4]。大きく複雑な樹枝状は、気温がマイナス15℃前後で、水蒸気が多いときにできやすいと説明されます[4]。
この関係をまとめた図が「中谷ダイヤグラム」(小林ダイヤグラムとも)です[4]。
5. 6ぽんの えだは、どうして そっくりなの?
5. 6本の枝がそろう理由
5. 対称性の由来 ── 回転による条件の均等化
えだが ある けっしょうを 見ると、6ぽんの えだが ほとんど おなじ かたちです。1ぽんずつ ちがう けっしょうは、まず ありません[6]。
えだ どうしで、そうだんして いる わけでは ありません。ゆきが おちる とちゅうで くるくる まわると、6ぽんの えだが ほぼ おなじ じょうけんで そだつと、けんきゅうしゃは せつめいして います[6]。
北海道大学の研究者は、1つの結晶の6本の枝は、細かい枝分かれの場所や形がほとんど同じで、きれいな左右対称になると説明します。一本ずつ形が違う結晶は、まずありません[6]。
天然の雪は、落ちながらくるくる回ります。回ることで条件が均等になり、6本の枝がほぼ同じ条件で、同じ形に育つと、北海道大学の研究者は説明しています[6]。枝どうしが連絡を取り合っているわけではありません。
中谷の装置では、ウサギの毛に結晶を固定して、下から水蒸気を吹き上げました。そのため結晶は厳密な対称にならず、下側の枝が少し大きくなったと説明されています[6]。
また、枝が不完全さのために向きを変えるときは、氷の六角形の対称に沿って、60度ずれた方向へ進むとされています[2]。
6. ゆきは、そらからの おてがみ?
6. 「雪は天からの手紙」
6. 形から読み取る上空の気温と湿度
なかやさんは、「ゆきは てんからの てがみ」と いう ことばを のこしたと いわれます[1]。
けっしょうの かたちを 見ると、そらの うえの きおんや 湿度が わかるから、という いみです[1]。
ろっかっけいは 同じでも、かたちは いろいろです。ふった ゆきの かたちは、そらの うえの ようすを 教えて くれます。
「雪は天からの手紙」は、中谷宇吉郎の言葉として紹介されます。雪の結晶が空の気温や湿度の違いでさまざまな形になるため、形から上空の様子を読み取れる、という意味です[1]。
六角形という共通のもとから、温度と水蒸気の量で形が枝分かれしていきます。降ってきた一粒の結晶は、上空の様子を伝える短い手紙のようなものです。
「雪は天からの手紙」は、雪の研究者・中谷宇吉郎の言葉として気象台の資料に紹介される[1]。結晶は空の気温や湿度の違いで様々な形となるため、形から上空の状態を読み取れるという趣旨である。
ここまでの整理は、水蒸気から成長し(1章)、六方晶の氷の核が板や柱に育ち(2〜3章)、温度と水蒸気量で形が分かれ(4章)、落下中の回転で6本が揃う(5章)、というものになる。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
おうちで できる こと
10えんだまを 7まい、つくえに ならべて みましょう。1まいの まわりに、ぴったり 6まい ならびます。ならべた かたちを、ゆきの けっしょうの しゃしんと くらべて みましょう。
こうしきの 情報
きしょうだいの ページに、ゆきの けっしょうの ことが のって います。
今日できること
10円玉7枚を机に並べてみます。1枚の周りに、ちょうど6枚が並びます。これを、雪の結晶の写真と見比べます。写真では、6本の枝の長さや枝分かれの位置がそろっているかを、自分の目で数えて確かめます。
雪が降る地域では、黒い布などに落ちた雪を虫眼鏡で見ることもできます。大きな結晶は1ミリ以上あるので、服についたものでも見えると紹介されています[1]。
公式情報
気象台の資料(出典[1])に、雪の結晶の形のでき方がまとまっています。
資料を読むなら
福岡管区気象台の「はれるんマガジン」第45号が、生成条件と形の分類の入口になる。北大低温科学研究所の解説(出典[6])は、6本の枝が揃う理由と中谷の実験装置の限界に触れている。物理の雑誌の解説(出典[2])は英語で、中谷の実験結果と60°の分岐に触れている。
手元でできる観察
10円玉7枚の配置(1枚の周りに6枚)を、雪の結晶の写真と比べる。写真では、枝の分岐位置が6本で揃っているか、板状か柱状かを分類してみる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
水蒸気からの生成・板と柱・「天からの手紙」は気象台の資料、中谷の実験結果は海外の物理雑誌の解説、温度と水蒸気量の関係は北大の解説、6本の枝が揃う理由は北大低温科学研究所の解説による。ケプラーと人工雪の年月日は二次資料に基づく。
- 福岡管区気象台 はれるんマガジン第45号 https://www.data.jma.go.jp/fukuoka/chosa/files/harerun0108.pdf (水蒸気から直接できること、六角形、板と柱、天からの手紙)
- Physics Today, Crystal growth in ice and snow https://physicstoday.aip.org/features/crystal-growth-in-ice-and-snow (六方晶の氷、中谷の温度と形、60°の分岐)
- Chemistry World https://chemistryworld.com/3007369.article (水蒸気中の氷の成長についての1つの研究)
- 北海道大学 like_hokudai https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/like_hokudai/article/28401 (温度と水蒸気量と形、中谷ダイヤグラム)
- ウィキペディア「中谷宇吉郎」 https://ja.wikipedia.org/wiki/中谷宇吉郎 (人工雪の年月日。二次資料)
- 北海道大学低温科学研究所 OriOri vol.37(古川義純) https://www2.lowtem.hokudai.ac.jp/pdf/12oriori37.pdf (6本の枝が揃う理由)
- 日本数学会 数学通信 https://www.mathsoc.jp/publication/tushin/1803/1803kasai.pdf (ケプラーの『六角形の雪について』)
なおした ところ
更新履歴
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