1. ふっても また わかれる ふたり
1. 水と油は、振ってもすぐ分かれる
1. 水と油の非相溶 ── 振っても分離する
みずと あぶらを びんに いれて、よく ふります。いっしゅん まざった ように 見えても、すぐに あぶらが うえに わかれて しまいます[4]。
あぶらよごれが みずで おちにくいのは、この ためです。よごれの あぶらは、みずに とけ こまないのです。
ところが、ここに せっけんを すこし 入れて ふると、しろっぽく にごって、まざったままに なります[4]。せっけんは、この ふたりの なかに 入って くれる ようです。
2. せっけんの つぶには あたまと おが ある
2. 水になじむ頭と、油になじむ尾
2. 石けん分子の構造 ── 親水基と親油基
せっけんの ひとつぶは、おたまじゃくしに にて います。まるい あたまと、ながい おが あります。
あたまは、みずが すきです。おは、あぶらが すきで、みずは にがてです[1]。
あたまを しんすいき、おを しんゆうきと よびます。ふたつを あわせ もつ ものを、かいめんかっせいざいと いいます[1]。ただし ほんとうの つぶは、めに 見えないほど ちいさく、おたまじゃくしほど ゆらゆら しては いません。
3. あつまって ボールに なる
3. 集まって球になる ── ミセル
3. ミセル形成と臨界ミセル濃度
みずの なかに せっけんが たくさん ふえると、おたまじゃくしたちは あつまります。おを ないがわに、あたまを そとがわに して、まるい ボールに なります[3]。
みずが にがてな おが、みずに ふれないよう かくれる のです。この ボールを、ミセルと いいます。
ボールが できはじめる こさを、りんかいミセルのうどと よぶ ことが あります[3]。ボールは、めに 見えないほど ちいさい ものです。
4. あぶらを つつんで はこぶ
4. 油を内側に包み込む ── 可溶化
4. 可溶化 ── ミセル内部への油の取り込み
ボールの なかは、おの ところです。おは あぶらが すきなので、みずに とけにくい あぶらが、ボールの なかに 入りこめます[3]。
あぶらは、せっけんの つぶ(おたまじゃくし)たちに つつまれて、みずの なかを はこばれます。だから みずで ながれるのです[2]。
これは、あぶらを ふろしきで つつんで、みずの ながれに のせる ような ものです。ただし ほんとうは、つつむ ものも つつまれる ものも、めに 見えない ちいささです。
5. しろく にごるのは どうして?
5. 透明になる場合と、白くにごる場合
5. 可溶化(透明)と乳化(白濁)、固体汚れの分散、浸透
せんたくや おさらあらいの みずは、しろっぽく にごる ことが あります。あぶらが、ミセルよりも ずっと おおきな つぶに なって うかぶ ときです[4]。
この つぶは、めに 見える ほどなので、ひかりが はねかえって しろく 見えます[4]。ミセルの なかに おさまった あぶらだけなら、すきとおって 見えます。
すすの ような かたい よごれも、せっけんの つぶが まわりに くっついて、みずの なかに ちらばります[4]。
透明と白濁の違い
油がミセルの中に入った可溶化の液は透明に見えます。一方、乳化では油滴がミセルより大きな粒になり、液が白く濁って見えます[4]。洗濯や皿洗いの水が白っぽくなるのは、乳化の側の姿だといわれています。
固体の汚れと、水のしみ込み
すすのような固体の粒子は、周りに界面活性剤の分子がくっついて、水中に散らばって安定します。これを分散といいます[4]。
石けんは表面張力も弱めるので、水が布などにしみ込みやすくなります(浸透)[5]。乳化・分散・浸透が組み合わさって、汚れが落ちるのです。
なお、実際の洗濯や皿洗いで、可溶化と乳化のどちらがどれだけ働いているかの割合は、ここで使った資料からは分かりません。
6. かたい みずだと、よわく なる
6. 硬水で効き目が落ちる ── 石けんカスのできかた
6. 硬水中の金属石けん生成と洗浄力の低下
せっけんが うまく はたらかない ことも あります。みずに カルシウムなどが おおく とけた、こうすいの ときです。
せっけんは、みずに とけない かたまりに かわって しまいます[2]。おふろの ふちに つく しろい わも、そのなかまだと いわれます。
この かたまりは、よごれに くっつく まえに できて しまうので、よごれを おとす せっけんが へります[6]。
7. じぶんで ためして みよう
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
びんで ふって みよう
すきとおった びんに みずと、ほんの すこしの サラダゆを 入れます。ふたを しめて ふり、あぶらの ようすを 見ます。
つぎに、おとなと いっしょに、せっけんの あわ みずを ひとたらし くわえて、また ふります。にごりかたや、わかれる はやさを くらべましょう。
びんの ふたは しっかり しめます。のこった みずは、おとなと いっしょに すてます。
今日できること
透明なペットボトルに水と少量のサラダ油を入れ、ふたをして振ります。油が分かれるまでの時間を測ってから、石けん水を数滴加えてもう一度振り、濁り方と分かれ方を比べます。ふたはしっかり閉め、こぼれた液は拭き取ってください。
もっと調べるなら
「乳化」と「可溶化」の違いを、マヨネーズや牛乳の例で調べると、身近なところでも同じ仕組みが見つかります。
今日できること
透明な容器に水と少量の食用油を入れて振り、静置して分離するまでの時間を測る。次に石けん水を数滴加えて振り、濁りと分離の速さを比較する。ふたを閉め、こぼれた液は拭き取る。
資料を読むなら
日本化粧品工業会の界面活性剤の解説([1])は短く読みやすい。ミセルと可溶化の詳細は[3][4]、硬水との関係は[6]が手がかりになる。cmcの数値と洗浄力の関係は、この記事では扱っていない。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の説明に使った資料です。石けんの歴史・作り方は既存のメモ「石けんの汚れ落とし」に譲り、ここでは扱いません。
- 日本化粧品工業会「水と油が仲良く同居」 https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/surfactant (親水基・親油基、ミセルが安定な理由)
- OpenStax Organic Chemistry 27.2 Soap (LibreTexts) https://chem.libretexts.org/Bookshelves/Organic_Chemistry/Organic_Chemistry_(OpenStax)/27:_Biomolecules_-_Lipids/27.02:_Soap (石けんの構造、油の可溶化、硬水での変化。英語)
- 石鹸百科「界面活性剤の作用(2) ミセル形成と可溶化」 https://www.live-science.com/honkan/theory/surfac03.html (ミセル、臨界ミセル濃度、可溶化)
- 石鹸百科「界面活性剤の作用(3) 乳化と分散」 https://www.live-science.com/honkan/theory/surfac04.html (乳化と可溶化の見え方、分散)
- さいたま市 サイエンスなび「石けんと洗剤の科学」 https://www.city.saitama.lg.jp/sciencenavi/kurashi/004/p039256.html (表面張力と浸透)
- 石鹸百科「石鹸と硬水・軟水」 https://www.live-science.com/honkan/soap/soapbasic08.html (硬水で洗浄に使える石けんが減る)
なおした ところ
更新履歴
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