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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

電池が ないのに、どうして 光で 電気が できるの?

電池なしで動くソーラー電卓 ── 光が電気に変わる「坂」の話

太陽電池の原理と歴史 ── pn接合の内部電界、1839年の光起電力効果から1954年のシリコン電池、変換効率の限界まで

分野:技術

ソーラー でんたくは、電池が ないのに、光を あてると うごきます。ふつうの ものは、光を あびても、あたたかく なるだけです。

この ちがいは、どこから くるのでしょう。光が 電気に かわる ひみつを、のぞいて みましょう。

電池が入っていないソーラー電卓は、明るい場所では動き、手でおおうと画面が消えます。ところが、ふつうの物に光を当てても、あたたかくなるだけで電気は取り出せません。

太陽電池は何が違うのでしょうか。電子を一方向へ押し出す「坂」の仕組みと、その発見から実用化までの約115年、光の色と効率の限界を見ていきます。

金属や木のようなふつうの物に光を当てても、エネルギーは最終的に熱になることが多い。太陽電池は、2種類の半導体を重ねた構造で電子を一方向に流し、電力として取り出す[1]。

発見は1839年、実用のシリコン電池は1954年で、約115年の差がある[4]。このメモでは、pn接合の内部電界による電荷の分離、電池誕生のきっかけ、単接合の効率限界と積層型による突破を、複数の資料で確かめる。

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1. 光を あてると、ふつうは どう なるの?

1. 光を当てても、ふつうは熱になるだけ

1. 光エネルギーの行き先 ── 熱になる場合と、電力になる場合

光は、ものの なかの 電子という 小さな つぶに ぶつかります。ぶつかった 電子は、あちこち うごきまわります。

でも、ふつうの ものでは、その うごきは さいごに ねつに なることが おおいです。日なたの いしが あたたかく なるのは、その ためです[1]。

ところが 太陽電池では、電子が 同じ むきに ながれます。電線を つなぐと、その ながれが 電気として つかえます[1]。

では、どうして 太陽電池だけ、電子が 同じ むきに ながれるのでしょう。

電子はどこへ向かうのか

光は「光子」という粒のように、物の中の電子にぶつかります。電子は動き回り、そのエネルギーは最終的に熱になることが多いのです。石や木など、ふつうの物ではそうなります[1]。

太陽電池は、2種類の半導体を重ねた構造をしています。この構造のおかげで、電子が一方向に流れ、電線をつなげば電力として使えます[1]。

日なたに置いた石があたたまるのと、電卓が動くのは、同じ光を受けているのに行き先が違う、ということになります。

産総研の解説によると、ふつうの物質に光を当てると、光子が電子に衝突し、電子は動き回ったのち、エネルギーは最終的に熱になることが多い(金属・木などが例に挙がる)。太陽電池(2種類の半導体を重ねた構造)では電子が一方向に流れ、外部に電線をつなぐと電力として取り出せる[1]。

この違いを生むのが接合部の電界であり、次章以降で追う。

2. 光は、つぶの ように 電子に ぶつかる

2. 光は「粒」として電子にぶつかる

2. 光子の概念 ── 光電効果との関係と、混同しない点

むかしの 人は、光を 水の なみのように かんがえて いました。アインシュタインは、光が きまった 大きさの かたまりで できていると せつめいしました。このかたまりを、光子と いいます[3][1]。

光の 色によって、かたまりの 大きさは ちがいます。電子を とびださせるには、ある 大きさ いじょうの かたまりが いります[3]。

この 考えは、1922年の ノーベルしょうに つながりました。ただし、しょうの 理由は 光電こうかの ほうそくで、そうたいせいりろんでは ありません[3]。

光は決まった大きさの塊

アインシュタインは1905年からの研究で、光は決まった大きさのエネルギーの塊、つまり光子でできていると説明しました。電子を取り出すには、光子が最低限の振動数(色)を持っている必要があります[3]。

1921年のノーベル物理学賞(授与は1922年)は、「理論物理学への貢献、特に光電効果の法則の発見」に対して贈られました。相対性理論が理由ではありません[3]。産総研の資料も、光子の考え方が量子論の基礎になったと述べています[1]。

ただし、太陽電池の原理は、金属から電子が飛び出す光電効果そのものではありません。次の章の、接合部の仕組みが中心です。

アインシュタインは1905年からの研究で、光を一定のエネルギーをもつ量子(光子)の集まりとして扱い、電子を取り出すには一定以上の振動数が要ると説明した。1921年のノーベル物理学賞(授与は1922年)の理由は、「理論物理学への貢献、特に光電効果の法則の発見」である[3]。産総研の資料も、光子の概念が量子論の基礎になり、受賞理由にもなったと補足する[1]。

ただし、太陽電池の動作原理はpn接合の光起電力効果で、金属から電子が飛び出す外部光電効果と同一ではない。光子が電子にエネルギーを渡すという前提を共有するにとどまる。

3. 電子を おしだす 「さか」の ひみつ

3. 電子を押し出す「坂」── pn接合

3. pn接合と内部電界 ── 電荷の分離と外部回路

太陽電池には、2しゅるいの はんどうたいが かさねて あります。1つめは、うごきやすい 電子が おおい ほう。2つめは、電子が たりない 場所(あな)が おおい ほうです[1]。

かさねた ところに、電子を おす 「さか」が できます。坂の うえの ボールが ころがるように、電子は 同じ むきに おされます[1]。

光が あたると、電子が たたき出されます。その 電子が 「さか」に おされて、そとの 電線へ ながれ出します[1]。

ただし ほんとうは、電子は ボールでは ありません。「さか」も 見える 坂ではなく、電気の ちからの かたよりです。

2つの半導体を重ねる

n型半導体は動きやすい電子が多く、p型半導体は電子が足りない場所(正孔)が多い半導体です。両方を接合すると、接合部で電荷が打ち消し合い、電界ができます[1]。

光が当たると

光子のエネルギーを吸収した電子は自由電子になり、この電界(資料では「坂」にたとえられます)に押されて外へ流れ出します。電子が抜けた跡は、正の電荷を帯びた正孔になります。外の回路で電子が仕事をしたあとは、元のエネルギー準位に戻ります[1]。

別の解説でも、pn接合の内部電界が電子と正孔を逆向きに分け、電流として取り出すと説明されています[2]。

n型半導体は動きやすい電子が多く、p型は電子の欠けた場所(正孔)が多い。両者を接合すると接合部で電荷が相殺されて空乏層ができ、電界が生じる[1]。光子を吸収した電子は自由電子(伝導電子)になり、この電界に押されて外部へ流れ出す。電子が抜けた跡は正の電荷を帯びた正孔になる。外部回路で仕事をした電子は元のエネルギー準位に戻る[1]。

同じ説明は別資料にもある。バンドギャップより大きなエネルギーの光子が電子を励起し、pn接合の内部電界が電荷を分離して電流を生む[2]。

4. 光で 電気が 出ると 気づいた 人たち

4. 発見は1839年 ── 理由が分からないまま

4. 光起電力効果の発見と初期の電池 ── 1839年ベクレルと1883年フリッツ

光で 電気が 出る ことに、はじめて 気づいたのは、1839年の ベクレルという フランスの 学者だと されます[4]。水に ひたした 金ぞくに 光を あてると、小さな 電気が 出たと いわれます。でも、そのころは なぜか 分かりませんでした。

それから 40年ちかく たった 1883年、アメリカの フリッツが、セレンという ものを 金で おおった 電池を つくったと つたえられます[7]。光を 電気に かえる 力は、まだ とても ひくいものでした。

ここで いう ベクレルは、のちに ほうしゃのうを 見つけた ベクレルの お父さんです[4]。

1839年のベクレル

光で電気が起きる現象(光起電力効果)を最初に認めたのは、1839年にフランスの物理学者A.E.ベクレルだとIEEEの資料は述べています[4]。電解液に入れた金属電極に光を当てると小さな電流が出ましたが、当時は説明できなかったといわれます。放射能を発見したアンリ・ベクレルの父にあたる人です。

1883年のフリッツ

1883年には、アメリカのチャールズ・フリッツが、セレンを金でおおった太陽電池を作ったとされます。効率はまだとても低いものでした(資料によって1%未満から2%ほどまで数字が分かれます)[7]。この資料はスポンサー付きの記事なので、断定せず、「とされる」にとどめます。

光起電力効果は、1839年にフランスの物理学者A.E.ベクレルが最初に認めた[4]。電解液中の金属電極に光を当てると小さな電流が出たが、当時は説明できなかったとされる(実験の細部は検索結果の要約にとどまる)。アンリ・ベクレル(放射能の発見者)の父であり、混同しないこと。

1883年には米国のチャールズ・フリッツが、セレンを金でおおった太陽電池を作ったとされ、効率は低く、数値は資料により1%未満〜2%程度と割れる[7]。出典はスポンサー記事のため、断定を避けている。原理が説明されるのは、半導体の理論が整う20世紀に入ってからの流れになる。

5. でんわの ために うまれた 電池

5. きっかけは「湿気の多い場所の電話」── 1954年

5. 1954年のシリコン太陽電池 ── 電話用電源の探索と人工衛星への展開

1954年、ベル研究所が、シリコンという ものを つかった 電池を 発表しました。光を 電気に かえる 力は、およそ 6%でした[6]。

もとの きっかけは、でんわでした。しめった 遠い 場所で、ふつうの 電池が すぐ だめに なる。そこで ぎじゅつしゃの チャピンは、太陽の 光に 目を つけたと つたえられます[5]。

つくったのは、チャピンと、化学者の フラー、物理学者の ピアソンの 3人です[6]。

その後、この 電池は 人工えいせいの 電気にも つかわれるように なりました。1958年の ヴァンガード1ごうからは、ほとんどの 人工えいせいが 太陽電池の パネルで 電気を えています[4]。

電話の電源を探して

ダリル・チャピンは1953年ごろ、湿気の多い遠隔地で乾電池がすぐ劣化してしまう電話システムの電源を探し、太陽光に注目したと伝えられます。セレンの電池は効率が低すぎました。同じ研究所では、化学者のカルビン・フラーが、不純物を混ぜて半導体の性質を変える研究をしていました[5]。

1954年4月25日

1954年4月25日、ベル研究所が、技術者のチャピン、化学者のフラー、物理学者のジェラルド・ピアソンが作ったシリコン太陽電池を発表しました。変換効率は約6%でした[6]。

この電池は人工衛星の電源として発展し、IEEEは、1958年3月のヴァンガード1号から、ほぼすべての人工衛星が太陽電池パネルで電力を得るようになったと述べています[4]。

チャピンは1953年ごろ、湿気の多い遠隔地で乾電池が急速に劣化する電話システムの電源を探し、太陽光に着目したとされる。セレン電池は効率が低すぎた。同じ研究所でフラーが、不純物で半導体の性質を変える研究をしていた[5]。なお、この経緯は検索結果の要約に依拠しており、ページ本文は取得できていない。

1954年4月25日、ベル研究所がチャピン(技術者)・フラー(化学者)・ピアソン(物理学者)によるシリコン太陽電池を発表した。効率は約6%[6]。発表地はAPSとIEEEで記述が食い違うため、書かない。IEEEは、この電池が、1958年3月のヴァンガード1号以降ほぼすべての人工衛星に使われる太陽電池パネルの開発につながったと述べる[4]。1839年から1954年まで約115年である。

6. 光の 色と、電気に できる りょう

6. 光の色が合わないと、むだが出る

6. バンドギャップと理論限界 ── 単接合の約29%と積層型の33.66%

光には 色が あり、色ごとに 力の 大きさが ちがいます。力が 小さすぎる 光では、シリコンの 電子を うごかせません。反対に、大きすぎる 光は、あまった ぶんの 一部が ねつに なって うしなわれます[8]。

そのため、シリコンだけの 電池には、電気に かえられる りょうの じょうげんが あるといわれます。それは やく29%です[8]。

そこで、いろいろな 色を 分けて うけもつ 電池を かさねる ほうほうが 考えられました。2023年、シャープの かさねた 電池が、33.66%を 出したと はっぴょうされました[9]。ただし これは けんきゅう用の きろくで、家の パネルの 数字では ありません。

エネルギーが小さすぎても、大きすぎても

光のエネルギーがシリコンのバンドギャップ(約1.1eV)より小さいと、電子を動かせません。バンドギャップを超える分のエネルギーも、一部は熱として失われます[8]。

このため、接合が1つの結晶シリコン電池には理論上の効率限界があり、約29%(単結晶シリコンでは29.4%と紹介される)とされます[8]。

重ねて限界を超える

2023年、シャープの化合物・シリコン積層型モジュールが、NEDOの事業で変換効率33.66%を達成しました。産総研で2023年2月に確認され、世界最高と発表されています[9]。積層して光の色ごとに役割を分けることで、シリコン単独の限界を超えられます。ただしこれは研究用の記録値で、家庭用パネルの効率ではありません。

光子のエネルギーがシリコンのバンドギャップ(約1.1eV)より小さいと電子を励起できず、バンドギャップを超える分のエネルギーも一部は熱として失われる[8]。単接合の結晶シリコン電池の理論限界は約29%(単結晶シリコンでは29.4%と紹介される)とされる。原論文(Shockley-Queisser 1961)は未確認で、EE Timesの記述の引用経由である。

2023年、シャープの化合物・シリコン積層型モジュールがNEDO事業で変換効率33.66%を達成した(産総研で2023年2月に確認、世界最高と発表)[9]。積層して光の色ごとに分担させることで単接合の限界を超えるが、研究用の記録値であり、家庭用パネルの効率ではない。

7. ソーラー でんたくで ためして みよう

7. ソーラー電卓の光をさえぎってみる

7. 出口 ── 光を遮る観察と、資料の読みどころ

おうちに ソーラー でんたくが あれば、明るい 場所で 数を 入れて みましょう。つぎに、手で 光を おおって みます。画面は どう なるでしょう。

手を はなして、また 光を あてると、どう なるかも 見て みます。パネルを はずしたり、太陽を 見つめたり しては いけません。

ただし、でんたくの 中の しくみは 見えないので、ここで 電子が うごいて いる ようすを 見る ことは できません。

ソーラー電卓があれば、明るい窓辺で数字を入れ、手で光をおおって画面の変化を見てみましょう。おおう面積を半分にしたら、どうなるかも試せます。パネルの分解や、太陽を直接見ることはしないでください。

もっと読みたくなったら、産総研の解説[1]、IEEEのマイルストーン[4]、NEDOの発表[9]を開いてみてください。

ソーラー電卓や庭灯があれば、光を遮って動作の変化を観察できる。パネルは分解せず、太陽を直接見ない。電卓内部の電子の動きは観察できないため、確かめられるのは「光の量と動作の関係」までである。

資料を読むなら、原理は産総研の解説[1]、歴史はIEEE Milestone[4]とAPS News[6](英語)、最近の記録値はNEDOの発表[9]が読める。現在の家庭用パネルの効率や普及の度合いは、今回の資料の範囲外で、さらに調べる価値のある問いだ。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:産総研の解説、ITmedia、Nobel Prize、IEEE、APS、Smithsonian Magazine、EE Times Japan、NEDOの発表を使った。何に使ったかは、各項目の最後に書いている。

  1. 産総研 太陽光発電研究センター 櫻井啓一郎「太陽の光で電気を作る」(2008)。https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/science_cafe/pdf/ev20080620.pdf (光が熱になる場合と電気になる場合の違い、pn接合の仕組み、光子について)
  2. ITmedia「なぜなぜ太陽光発電」。https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1308/12/news058.html (内部電界が電荷を分けるという説明の突き合わせ)
  3. NobelPrize.org「The Nobel Prize in Physics 1921」。https://www.nobelprize.org/prizes/physics/1921/summary/ (アインシュタインの受賞理由について)
  4. IEEE ETHW「Milestones: First Practical Photovoltaic Solar Cell」。https://ethw.org/Milestones:First_Practical_Photovoltaic_Solar_Cell (1839年の発見、人工衛星への利用について)
  5. IEEE ETHW「Milestone-Nomination: First Practical Photovoltaic Solar Cell」。https://www.ethw.org/Milestone-Nomination:First_Practical_Photovoltaic_Solar_Cell (開発のきっかけについて。検索結果の要約による)
  6. APS News「Bell Labs silicon solar cell」(2009)。https://aps.org/apsnews/2009/04/bell-labs-silicon-solar-cell (1954年の発表と効率について)
  7. Smithsonian Magazine「A brief history of solar panels」(スポンサー記事)。https://www.smithsonianmag.com/sponsored/brief-history-solar-panels-180972006/ (1883年のフリッツの電池について。二次資料)
  8. ITmedia EE Times Japan「太陽電池の効率」の記事。https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/1603/28/news019_2.html (バンドギャップと理論限界について。二次資料)
  9. NEDO ニュースリリース(2023年10月27日)。https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101700.html (積層型モジュールの変換効率33.66%について)

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