1. 「ぐー」は、なにの 音?
1. 「ぐー」は胃腸が動く音
1. 腹鳴の正体 ── 蠕動とガス・液体の移動
おなかの なかには、胃や ちょうが あります。たべものを こなして、おくへ おくって いく ところです。
この い や ちょうの かべは、筋肉で できて います。筋肉が ぎゅっと ちぢんだり ゆるんだり して、なかの ものを うごかします。
なかには、たべものの ほかに、ガスと 水のような ものも 入って います。これが うごくと、「ぐー」「ゴロゴロ」と いう 音が するのです[1]。
ペットボトルに 水と 空気が 入って いると、ふると ちゃぷちゃぷ 鳴りますよね。にて います。ただし、本当の おなかは、もっと ふくざつに うごいて います。
2. すいて いると、どうして 大きく 聞こえるの?
2. 空っぽだと、音が目立つ
2. 空腹時に腹鳴が目立つ理由 ── 内容物の少なさ
おなかが すいて いる ときは、い や ちょうの なかが、あまり つまって いません。
だれも いない ひろい たいいくかんで 声を 出すと、よく ひびきます。それと にた ことが、おなかの なかでも おきて いると いわれます[2]。
ただし、たべた あとにも おなかは 鳴ります。たべものが 音を やわらげて いるので、ふつうは 気づかない だけと いわれます[5]。
3. たべて いない あいだも、おなかは うごく?
3. 食べていない間の「そうじの波」
3. 移動性運動複合体(MMC)── 空腹期の周期的収縮
ごはんと ごはんの あいだにも、い や ちょうは ずっと ねて いる わけでは ありません。
すこし ながい あいだを おいて、ちょうから い、ちょうへと、ぎゅーっと つよい 波のような うごきが とおって いくと いわれます[4]。
この 波は、のこって いる かたい ものなどを おくの ほうへ はこぶ、おそうじの ような はたらきが あると 考えられて います。この 波が、おなかの 音の げんいんの ひとつと されて います。
この 波が くる じかんの あいだは、人に よって ちがいます。
食事と食事の間、つまり食べ物がほとんどない時期にも、胃と小腸は休んでいるわけではありません。移動性運動複合体(MMC)とよばれる、規則的な収縮のパターンが、90〜230分ほどの間隔で起こるとされます。食事をすると、この動きは中断されます[4]。
MMCは第I〜IV相に分かれ、第III相では5〜10分ほど、収縮がいちばん強くなります。この波は、骨のかけらや食物繊維のような消化されにくいものを、胃から小腸、大腸へ運ぶ働きがあるといわれ、「そうじの波」(ハウスキーパー)と呼ばれることもあります[4]。
空腹のときに鳴る音の一因として、この波が挙げられています。「原因の一つとされる」くらいに受け取っておくのが安全です。
周期には個人差があり、「90分ぴったり」と決まっているわけではありません。「90分から数時間ごと」というくらいの幅で考えてください。
4. だれが 見つけたの?
4. 犬の実験と、風船つきの管
4. MMCの発見(1969年)とCannon–Washburnの実験(1912年)
この 波は、1969ねんに、アメリカの お医者さんの ひとが、なにも たべさせて いない 犬で 見つけたと つたえられて います[6]。ごはんの あいだの 「おそうじやさん」ではと 考えました。
もっと むかしの 1912ねんには、こんな じっけんも あったと いわれます[8]。ワシュバーンさんという 大学院生が、ふうせんの ついた くだを のみこみ、おなかが すいたと 感じたら キーを おしました。
おなかが すいたと 感じた ときには、胃の 筋肉が ぎゅっと ちぢんだ 記録が のこって いたと いわれます。
ただし、おなかが すいたと かんじる わけは、いの うごきだけでは ないと かんがえられて います。
MMCを最初に報告したのは、アメリカのメイヨー・クリニックのシュルゼフスキーだとされます。1969年に、絶食させた犬の小腸で見つけ、食事の合間に管を掃除する「ハウスキーパー」ではないかと考えました[6]。
もっとさかのぼる1912年には、生理学者のキャノンと、大学院生のワシュバーンによる実験があった、と伝えられています[8]。ワシュバーンは、風船のついた管を飲み込みました。胃の中で風船をふくらませて、胃の収縮を記録するためです。そして空腹を感じたらキーを押しました。
空腹を感じてキーを押したとき、胃の収縮が記録されていて、記録とよく対応した、と伝えられます。この実験は、空腹の感覚と胃の動きの結びつきを示す例として知られます。ただし、原論文までは確かめていません。
また、「空腹感は胃の収縮だけで決まる」とまでは書けません。空腹の感じ方には、ほかの要素も関わると考えられているためです。
MMCは、1969年、メイヨー・クリニックのJ. H. Szurszewskiが、絶食させたイヌの小腸で記述し、「食間のハウスキーパー」ではないかと考えられた[6]。
1912年には、Cannon & Washburn(Am J Physiol 29(5))が、風船つきの管を飲み込んだWashburnが空腹を感じたときにキーを押す実験を行い、空腹申告の時点で胃収縮が記録されており、記録とよく対応したとされる[8]。この件は原論文の本文が未確認のため、「〜とされる」の強さで扱う。
また、空腹感が胃収縮のみで決まるとは書けない。この実験は、空腹感と胃の動きの関連を示した一例として位置づけるのが妥当である。
5. 「ぐー」は、いつも おなかが すいた しるし?
5. 「ぐー」は空腹の合図と言い切れるか
5. 腹鳴は空腹の指標か ── 通常の消化音としての位置づけ
ここまで 見て くると、「ぐー」は、おなかが すいた しるしの ことも あるし、そうで ない ことも あると わかります。
たべて いる さいちゅうや、たべた あとにも 鳴ります。ごはんと ごはんの あいだの 「おそうじの 波」でも 鳴るようです。
おなかの 音は、ふつうは、からだが ちゃんと はたらいて いる 音と いわれます[1]。でも、おなかが いたい ときや、気に なる ときは、おうちの 人や お医者さんに 話して みましょう。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日 できること
はこを 2つ 用意して、ひとつは からっぽ、もうひとつには タオルを ぎゅっと つめます。どちらも ゆびで トントンと たたいて、音の ちがいを 聞きくらべて みましょう。
「なかみが あると 音が やわらぐ」と いう 話の、イメージが つかめます。おなかで おなじ ことが おきて いるかは、わかりません。
出かけて できること
としょかんで、からだや しょうかの ほんを さがして みましょう。い や ちょうの ずが のって います。
こうしきの じょうほう
おなかの ことで きに なる ときは、おうちの 人や、お医者さんに そうだんして ください。
今日できること
空き箱を2つ用意して、片方は空のまま、もう片方にはタオルを詰めます。指でトントンとたたいて、音の違いを聞き比べてみてください。「中身があると音がやわらぐ」という話のイメージがつかめます。ただし、おなかの中で同じことが起きているかどうかは、この遊びだけでは分かりません。
出かけてできること
図書館の人体や消化の本で、胃と腸の図を探してみてください。食べ物が通る道すじを目でたどると、音が出る場所の想像がしやすくなります。
公式情報
医療機関や公的機関の消化器についての解説を読んでみてください。おなかの音や体調が気になるときは、大人と一緒に医師に相談しましょう。
今日できること
空き箱を2つ用意し、一方は空、他方はタオルなどで満たして、指でたたいた音を聞き比べる。内容物の有無で音の減衰が変わる、という説明の直感がつかめる。ただし、消化管内で同じ機構が働いているかどうかは、この方法では検証できない。
出かけてできること
図書館で消化管の運動や消化生理を扱う入門書を探し、蠕動とMMCの記述を読み比べる。
公式情報
図書館で日本語の消化生理の入門書を探し、MMCと腹鳴の説明を、この記事の出典(Harvard Healthなど)の記述と読み比べてみるとよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
今回は、腹鳴の仕組みと空腹時に目立つ理由は医療情報・科学解説を、MMCは解説記事と発見の論文の記述を、1912年の実験は検索結果の抜粋を手がかりにした。
- Harvard Health Publishing, Stomach growling and other digestive noise https://www.health.harvard.edu/digestive-health/stomach-growling-and-other-digestive-noise (腹鳴の仕組み・相談の目安)
- Scientific American, Why does your stomach growl when you are hungry? https://www.scientificamerican.com/article/why-does-your-stomach-gro (空腹時に目立つ理由)
- Medical News Today, Stomach growling https://www.medicalnewstoday.com/articles/319901 (空腹とは限らないこと)
- Wikipedia, Migrating motor complex https://en.wikipedia.org/wiki/Migrating_motor_complex (MMCの周期・相・働き)
- Wikipedia, Stomach rumble https://en.wikipedia.org/wiki/Stomach_rumble (食後にも鳴ること)
- Szurszewski JH, Am J Physiol 217(6):1757–1763(1969) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/pmid/125331 (MMCの発見)
- Science 1999、モチリン受容体に関する論文の要旨 https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/10381885 (モチリンの働き)
- Cannon WB, Washburn AL, An Explanation of Hunger, Am J Physiol 29(5)(1912) (1912年の実験。原論文は未参照、検索結果の抜粋による)
なおした ところ
更新履歴
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