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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

おなかは、どうして 「ぐー」と なるの?

おなかの「ぐー」の正体 ── 食べていない間も動く胃腸の話

腹鳴(ボルボリグミ)と消化管の運動 ── 蠕動、移動性運動複合体、1912年の実験

分野:からだ

しずかな きょうしつで、きゅうに おなかが 「ぐー」。はずかしい ですよね。

この 音は、おなかが すいた ときだけ なる わけでは ないようです。なにも たべて いない あいだも、おなかの なかは、じつは ときどき うごいて います。この 音の ひみつを、いっしょに 見て みましょう。

授業中の静かな教室で、おなかが「ぐー」と鳴ってしまう。だれにでもある経験ですが、あの音は「空腹のサイン」とは限らないようです。食後にも鳴りますし、食べていない間の胃腸は、数時間おきに「そうじ」のような動きをしているといわれます。

おなかの音は、体の中で何が動いて出ているのでしょうか。どうして空腹のときに目立つのでしょうか。そして「ぐー」は、本当に空腹の合図なのでしょうか。この記事では、医学の解説や1969年・1912年の実験の話から考えます。

おなかの「ぐー」は、医学的には腹鳴(ボルボリグミ)と呼ばれ、胃腸の筋肉が収縮して中のガスや液体が動くときに出る音と説明される[1]。空腹のときに目立つが、食事中や食後にも起こる[3]。

さらに、食事と食事の間の胃腸には、90〜230分ほどの周期で起こる強い収縮の波(移動性運動複合体、MMC)があり[4]、腹鳴の一因とされる。この記事では、音の出どころ、空腹時に大きく聞こえる理由、MMCの発見、1912年の実験を、複数の資料を突き合わせて整理する。音そのものの物理的な発生源は、まだ完全には確定していないとされる。

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1. 「ぐー」は、なにの 音?

1. 「ぐー」は胃腸が動く音

1. 腹鳴の正体 ── 蠕動とガス・液体の移動

おなかの なかには、胃いや ちょうが あります。たべものを こなして、おくへ おくって いく ところです。

この い や ちょうの かべは、筋肉きんにくで できて います。筋肉きんにくが ぎゅっと ちぢんだり ゆるんだり して、なかの ものを うごかします。

なかには、たべものの ほかに、ガスと 水のような ものも 入って います。これが うごくと、「ぐー」「ゴロゴロ」と いう 音が するのです[1]。

ペットボトルに 水と 空気が 入って いると、ふると ちゃぷちゃぷ 鳴りますよね。にて います。ただし、本当の おなかは、もっと ふくざつに うごいて います。

おなかの音は、医学では腹鳴(ボルボリグミ)と呼ばれます。胃や腸の壁は筋肉でできていて、この筋肉が縮んだりゆるんだりして、中身を先へ送り出しています。この動きを蠕動(ぜんどう)といいます。

そのとき、胃腸の中にあるガスや液体も一緒に動きます。ハーバード大学系の健康情報では、ガスが腸の壁の収縮に押されて動く音と説明されています[1]。科学解説記事も、筋肉が食べ物・ガス・液体を混ぜながら押し進めるときにゴロゴロ鳴る、と述べています[2]。

ただし、音がどんなしくみで生まれるのか、その物理的な細かいところは、まだ完全には分かっていないようです。「そう考えられている」という段階で読むのがよさそうです。

腹鳴は、消化管壁の筋肉が収縮(蠕動)し、内部のガスや液体・内容物が動くことで生じるゴロゴロ、ぐーという音である。Harvard Healthは、腸壁の筋収縮に押されてガスが動くことによる音と説明する[1]。Scientific Americanの解説も、筋肉が管腔内の食物・ガス・液体を混ぜ、押し進めるときに雑音が出るとする[2]。

ただし、発音の物理的な機構そのものは確定しておらず、Harvard側の記述も「〜と考えられている」の形である。この記事の説明は、この前提で読む必要がある。

2. すいて いると、どうして 大きく 聞こえるの?

2. 空っぽだと、音が目立つ

2. 空腹時に腹鳴が目立つ理由 ── 内容物の少なさ

おなかが すいて いる ときは、い や ちょうの なかが、あまり つまって いません。

だれも いない ひろい たいいくかんで 声を 出すと、よく ひびきます。それと にた ことが、おなかの なかでも おきて いると いわれます[2]。

ただし、たべた あとにも おなかは 鳴ります。たべものが 音を やわらげて いるので、ふつうは 気づかない だけと いわれます[5]。

空腹のときに「ぐー」が大きく聞こえるのは、胃腸の中身が少ないからだと説明されています。食べ物が詰まっていると、音は中身に吸われて弱まります。空っぽだと、それが少ないので、そのまま響きやすくなります[2]。

ただし、この「響きやすさ」は、空腹のときだけの話ではありません。腹鳴は食事中や食後にも起こります。食べ物があるときは音がやわらげられて、ふだんは気づかれにくいだけ、と説明されています[5]。

空腹時に腹鳴が目立つのは、胃腸の内容物が少なく、音を減衰させるものが少ないためとされる[2]。胃内の空間による共鳴・増幅を挙げる解説もある[5]。

腹鳴は食事中・食後にも起こる。内容物があるときは音が和らげられ、通常は気づかれにくいだけである[5]。Medical News Todayも「腹鳴は必ずしも空腹を示さない」と述べる[3]。「ぐー=空腹」という等式は、半分だけ正しいことになる。

3. たべて いない あいだも、おなかは うごく?

3. 食べていない間の「そうじの波」

3. 移動性運動複合体(MMC)── 空腹期の周期的収縮

ごはんと ごはんの あいだにも、い や ちょうは ずっと ねて いる わけでは ありません。

すこし ながい あいだを おいて、ちょうから い、ちょうへと、ぎゅーっと つよい 波のような うごきが とおって いくと いわれます[4]。

この 波は、のこって いる かたい ものなどを おくの ほうへ はこぶ、おそうじの ような はたらきが あると 考えられて います。この 波が、おなかの 音の げんいんの ひとつと されて います。

この 波が くる じかんの あいだは、人に よって ちがいます。

食事と食事の間、つまり食べ物がほとんどない時期にも、胃と小腸は休んでいるわけではありません。移動性運動複合体(MMC)とよばれる、規則的な収縮のパターンが、90〜230分ほどの間隔で起こるとされます。食事をすると、この動きは中断されます[4]。

MMCは第I〜IV相に分かれ、第III相では5〜10分ほど、収縮がいちばん強くなります。この波は、骨のかけらや食物繊維のような消化されにくいものを、胃から小腸、大腸へ運ぶ働きがあるといわれ、「そうじの波」(ハウスキーパー)と呼ばれることもあります[4]。

空腹のときに鳴る音の一因として、この波が挙げられています。「原因の一つとされる」くらいに受け取っておくのが安全です。

周期には個人差があり、「90分ぴったり」と決まっているわけではありません。「90分から数時間ごと」というくらいの幅で考えてください。

食間(空腹期)の胃・小腸には、90〜230分ごとにMMCと呼ばれる周期的な収縮パターンが出現し、食事で中断される[4]。MMCは第I〜IV相からなり、第III相は5〜10分ほど電気的・機械的活動が最大となる。骨や繊維など消化されにくいものを胃から小腸、大腸へ送るとされ、「食間のハウスキーパー」と呼ばれる[4]。

空腹期のこの伝播性収縮には、消化管ホルモンのモチリンが関わるとされる[7]。周期には個人差も大きく、数字は「90分〜数時間」程度に受け取るのが妥当である。MMCは腹鳴の一因とされる。

4. だれが 見つけたの?

4. 犬の実験と、風船つきの管

4. MMCの発見(1969年)とCannon–Washburnの実験(1912年)

この 波は、1969ねんに、アメリカの お医者さんの ひとが、なにも たべさせて いない 犬で 見つけたと つたえられて います[6]。ごはんの あいだの 「おそうじやさん」ではと 考えました。

もっと むかしの 1912ねんには、こんな じっけんも あったと いわれます[8]。ワシュバーンさんという 大学院生が、ふうせんの ついた くだを のみこみ、おなかが すいたと 感じたら キーを おしました。

おなかが すいたと 感じた ときには、胃いの 筋肉きんにくが ぎゅっと ちぢんだ 記録きろくが のこって いたと いわれます。

ただし、おなかが すいたと かんじる わけは、いの うごきだけでは ないと かんがえられて います。

MMCを最初に報告したのは、アメリカのメイヨー・クリニックのシュルゼフスキーだとされます。1969年に、絶食させた犬の小腸で見つけ、食事の合間に管を掃除する「ハウスキーパー」ではないかと考えました[6]。

もっとさかのぼる1912年には、生理学者のキャノンと、大学院生のワシュバーンによる実験があった、と伝えられています[8]。ワシュバーンは、風船のついた管を飲み込みました。胃の中で風船をふくらませて、胃の収縮を記録するためです。そして空腹を感じたらキーを押しました。

空腹を感じてキーを押したとき、胃の収縮が記録されていて、記録とよく対応した、と伝えられます。この実験は、空腹の感覚と胃の動きの結びつきを示す例として知られます。ただし、原論文までは確かめていません。

また、「空腹感は胃の収縮だけで決まる」とまでは書けません。空腹の感じ方には、ほかの要素も関わると考えられているためです。

MMCは、1969年、メイヨー・クリニックのJ. H. Szurszewskiが、絶食させたイヌの小腸で記述し、「食間のハウスキーパー」ではないかと考えられた[6]。

1912年には、Cannon & Washburn(Am J Physiol 29(5))が、風船つきの管を飲み込んだWashburnが空腹を感じたときにキーを押す実験を行い、空腹申告の時点で胃収縮が記録されており、記録とよく対応したとされる[8]。この件は原論文の本文が未確認のため、「〜とされる」の強さで扱う。

また、空腹感が胃収縮のみで決まるとは書けない。この実験は、空腹感と胃の動きの関連を示した一例として位置づけるのが妥当である。

5. 「ぐー」は、いつも おなかが すいた しるし?

5. 「ぐー」は空腹の合図と言い切れるか

5. 腹鳴は空腹の指標か ── 通常の消化音としての位置づけ

ここまで 見て くると、「ぐー」は、おなかが すいた しるしの ことも あるし、そうで ない ことも あると わかります。

たべて いる さいちゅうや、たべた あとにも 鳴ります。ごはんと ごはんの あいだの 「おそうじの 波」でも 鳴るようです。

おなかの 音は、ふつうは、からだが ちゃんと はたらいて いる 音と いわれます[1]。でも、おなかが いたい ときや、気に なる ときは、おうちの 人や お医者さんに 話して みましょう。

「ぐー」は空腹のときに目立ちやすい音ですが、それだけの音ではありません。食事中や食後にも鳴りますし、食べていない間の周期的な収縮でも鳴りうる、と説明されています[3]。

腹鳴は、多くの場合、ふつうの消化の音だとされ、心配はいらないという説明が一般的です。ただし、おなかの痛みなどがあるとき、音や回数が気になるときは、医師に相談するとよいと述べられています[1]。

この記事は、症状を判断するためのものではありません。気になることがあれば、おうちの人や医師に相談してください。

腹鳴は空腹時に目立ちやすいが、空腹の指標とは限らない。食事中・食後にも生じ、食間には周期的な収縮でも生じうる[3]。

Harvard Healthは、腹鳴は多くの場合通常の消化に伴う音であるとし、腹痛を伴う場合や音が気になる場合は医師の評価を勧める[1]。この記事は健康上の判断材料ではなく、気になる症状がある場合は大人・医師に相談する。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できること

はこを 2つ 用意して、ひとつは からっぽ、もうひとつには タオルを ぎゅっと つめます。どちらも ゆびで トントンと たたいて、音の ちがいを 聞きくらべて みましょう。

「なかみが あると 音が やわらぐ」と いう 話の、イメージが つかめます。おなかで おなじ ことが おきて いるかは、わかりません。

出かけて できること

としょかんで、からだや しょうかの ほんを さがして みましょう。い や ちょうの ずが のって います。

こうしきの じょうほう

おなかの ことで きに なる ときは、おうちの 人や、お医者さんに そうだんして ください。

今日できること

空き箱を2つ用意して、片方は空のまま、もう片方にはタオルを詰めます。指でトントンとたたいて、音の違いを聞き比べてみてください。「中身があると音がやわらぐ」という話のイメージがつかめます。ただし、おなかの中で同じことが起きているかどうかは、この遊びだけでは分かりません。

出かけてできること

図書館の人体や消化の本で、胃と腸の図を探してみてください。食べ物が通る道すじを目でたどると、音が出る場所の想像がしやすくなります。

公式情報

医療機関や公的機関の消化器についての解説を読んでみてください。おなかの音や体調が気になるときは、大人と一緒に医師に相談しましょう。

今日できること

空き箱を2つ用意し、一方は空、他方はタオルなどで満たして、指でたたいた音を聞き比べる。内容物の有無で音の減衰が変わる、という説明の直感がつかめる。ただし、消化管内で同じ機構が働いているかどうかは、この方法では検証できない。

出かけてできること

図書館で消化管の運動や消化生理を扱う入門書を探し、蠕動とMMCの記述を読み比べる。

公式情報

図書館で日本語の消化生理の入門書を探し、MMCと腹鳴の説明を、この記事の出典(Harvard Healthなど)の記述と読み比べてみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

今回は、腹鳴の仕組みと空腹時に目立つ理由は医療情報・科学解説を、MMCは解説記事と発見の論文の記述を、1912年の実験は検索結果の抜粋を手がかりにした。

  1. Harvard Health Publishing, Stomach growling and other digestive noise https://www.health.harvard.edu/digestive-health/stomach-growling-and-other-digestive-noise (腹鳴の仕組み・相談の目安)
  2. Scientific American, Why does your stomach growl when you are hungry? https://www.scientificamerican.com/article/why-does-your-stomach-gro (空腹時に目立つ理由)
  3. Medical News Today, Stomach growling https://www.medicalnewstoday.com/articles/319901 (空腹とは限らないこと)
  4. Wikipedia, Migrating motor complex https://en.wikipedia.org/wiki/Migrating_motor_complex (MMCの周期・相・働き)
  5. Wikipedia, Stomach rumble https://en.wikipedia.org/wiki/Stomach_rumble (食後にも鳴ること)
  6. Szurszewski JH, Am J Physiol 217(6):1757–1763(1969) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/pmid/125331 (MMCの発見)
  7. Science 1999、モチリン受容体に関する論文の要旨 https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/10381885 (モチリンの働き)
  8. Cannon WB, Washburn AL, An Explanation of Hunger, Am J Physiol 29(5)(1912) (1912年の実験。原論文は未参照、検索結果の抜粋による)

なおした ところ

更新履歴

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