1. うち上がった 刀は、まだ できあがりでは ないの?
1. 打ち上がった刀は、まだ完成ではない
1. 研磨 ── 刀剣を「完成」させる技法
刀匠が うち上げた ばかりの 刀は、刃文が はっきり 見えません。刃文は、刃の ところに 出る、なみのような ようすです。
これを 石で みがいて、見えるように するのが、研師です[1]。
研師は 今も 400人ちかく いると いわれます[11]。いつも 刀の そばで はたらく、大切な 人たちです。
2. 研ぐのは、どんな 石で、どんな じゅんばん?
2. 下地研ぎから仕上げ研ぎへ
2. 研磨の二段階 ── 下地研ぎ・仕上げ研ぎと、研ぎ上げ後の手入れ
みがく しごとは、大きく 2つに わかれます[3]。まず、刀の かたちを ととのえる ところ。つぎに、しあげの ところです。
はじめの ほうでは、あらい 石から こまかい 石まで、7しゅるいほどの 石を つかい わけます[3]。
たとえば、でこぼこの 木の板を、あらい かみやすりから、こまかい かみやすりへ じゅんに かけて つるつるに して いく ようすに にて います。ただし 本当は、刀の 形を ととのえる、もっと ずっと むずかしい 手しごとです。
みがきあがった 刀は、小さな きずが つきやすい ものです。はくぶつかんは、あぶらを ふきとって ぬりかえる お手入れを、みがいた 直後の 半年ほどは とくに 気を つけて、1か月に 1回くらい するように すすめて います[4]。
研磨は、大きく下地研ぎと仕上げ研ぎの2段階に分かれます[3]。下地研ぎは刀の姿や形を整える工程で、目の粗さがちがう7種類ほどの砥石を、粗いものから細かいものへと使い分けます[3]。
紙やすりで木の板を整えるとき、粗い番手から細かい番手へ順に替えていくのと、考え方は近いでしょう。ただし刀では、形を整えながら鉄の肌を見えるようにしていくので、板を滑らかにするだけの作業とは別ものです。
研ぎ上がった直後の刀身は、細かい傷が付きやすいそうです。刀剣博物館は、油を拭い取って塗り直す手入れを、研ぎ上げ直後の半年ほどは特に気を付け、月1回ほど行うよう勧めています[4]。
研磨は下地研ぎと仕上げ研ぎの2段階で、下地研ぎは姿形を整える工程だ。ここでは目の粗さが異なる7種類ほどの砥石を使う[3]。この数は下地研ぎの砥石についてのもので、研磨全体で使う数ではない。
刀剣博物館は、研ぎ直後の刀身は微細な傷が付きやすく、拭い紙や油紙に埃やごみが付いていると傷の原因になると説明している。そのため、油を拭い取って塗り直す手入れを、研ぎ上げ直後の半年ほどは特に注意して月1回ほど行うよう勧めている[4]。
なお同じ博物館の解説には、日本刀は十数種類の砥石で微細に研磨されるとの記述もある[4]。こちらは仕上げまで含めた言い方で、下地研ぎの7種類ほどとは数える範囲が違うと考えられるが、その内訳までは資料から読み取れない。
3. 研師の 中には、どんな 人が いるの?
3. 研磨の人間国宝と、室町時代から続く家
3. 重要無形文化財「刀剣研磨」── 保持者と本阿弥家
研師の わざは、くにから 大事に されて います。とくに すぐれた 人は「人間国宝」と よばれます。
2014年には、本阿弥家の 人が みとめられました[1]。この 人の おとうさんも、まえに みとめられた 人です。本阿弥家は、むかしから 研ぎを しごとに して きた 家です[2]。
4. しらさやは、なにで はりあわせるの?
4. 白鞘は、飯粒を練った糊で貼る
4. 白鞘 ── 朴の木と続飯という選び方
研ぎ上がった 刀は、白鞘という 木の さやに しまいます。白鞘は 刀を しまって まもる ための さやです[6]。
木は、朴の木です。あぶらけが なく、刀が さびにくいと されます[6]。
木を たてに 2つに わって、刀の 形に けずり、あわせます。はりつけるのは 続飯です。ごはんつぶを ねって 作った のりです[6]。
ふつうの せっちゃくざいでは なく、なぜ ごはんの のりなのでしょう。続飯は 刀に わるい えいきょうが なく、そうじや しゅうりの ために また はがせるからです[6]。
5. 刀と さやを、どうやって ぴったり あわせるの?
5. 油の跡を見ながら削る、鞘師の合わせ
5. 鞘師の調整 ── 油の跡による微調整と、鞘書
刀は、さやに ふれた ところから さびやすく なります[7]。そこで 鞘師は、刀に あぶらを ぬって さやに いれます。
ぬいて みると、あぶらが ついた ところは、さやに あたって いる ところです。そこを すこしずつ けずり、また いれて たしかめます[7]。これを くり返して、ぴったりに して いきます。
白鞘には、すみで 字を 書く ことも あります。刀を 作った 人の 名前や 長さ、日づけなどです[8]。中を 見なくても、なんの 刀か わかるように、と 始まった そうです。
刀身は、鞘に触れたところから錆びやすくなります。鞘師は刀身に油を塗って鞘に入れ、抜いたときに油が付いた箇所、つまり刀と鞘が接している箇所を確かめながら、少しずつ削って微調整します[7]。入れて、見て、削るという往復で、内側の形を刀に合わせていきます。
材の朴の木は、最低でも1年、職人によって1〜10年ほど乾燥させると紹介されています。年数は人によってまちまちで、決まった数字はありません[7]。
完成した白鞘の表面には、墨で刀工名や刃長、日付、書いた鑑定家などが記されることがあり、鞘書と呼ばれます。中身を取り出さなくても分かるようにする目的で、江戸時代の中ごろに本阿弥家が始めたといわれ、やがて真物であることを保証する役目も担うようになりました[8]。
6. かざりの ぶぶんは、だれが 作るの?
6. 鞘・柄・漆を分担する、刀装の職人たち
6. 刀装の分業 ── 塗師・柄巻師・白銀師など
お出かけ用の 刀には、かざりの ついた 外がわが あります。それを 作るにも、いろいろな 職人が います。
室町時代から、作る 人が 分かれて きました[5]。鞘師、塗師、柄巻師などです。
塗師は、漆を うすく 何回も ぬりかさねます。2、3か月 かかる ことも あると いわれます[5]。柄巻師は、柄という にぎる ところに、ひもを ひし形もように まきます[5]。
7. 職人の わざは、今、どこで きそわれて いるの?
7. 技を競い、伝える場 ── 現代刀職展
7. 現代刀職展 ── 研磨から白銀までを扱う公募展
こうした わざを のこして いく ために、日本美術刀剣保存協会は「現代刀職展」を ひらいて います[10]。
研ぎ、白鞘、柄、白銀など、いろいろな 職人が 作品を 出します。むかしの やり方と ざいりょうで 作った ものだけが、しんさを うけます[10]。
刀に きょうみを もつ 人が ふえる ことも、ねらいの ひとつだと あります。
日本美術刀剣保存協会の現代刀職展は、研磨・刀身彫・彫金・白鞘・刀装・柄前・白銀の伝統技術の保存と向上を図り、文化財としての刀剣への関心を高めることを目的にした公募展です[10]。
伝統的な技術・材料で作られていない作品は、審査の対象外になります[10]。刀匠が作刀の部で競う場としても知られますが、ここでは、刀を支える職人の技が同じ場で並ぶ点に注目しました。
現代刀職展は、日本美術刀剣保存協会が実施する公募展で、研磨・刀身彫・彫金・白鞘・刀装・柄前・白銀の伝統技術の保存と向上、および文化財としての刀剣への関心を高めることを目的とする。伝統的な技術・材料で作られていない作品は審査対象外とされる[10]。
作刀の部については別の記事「今の刀匠は、どうやって一人前になるのか」で扱ったので、ここでは繰り返さない。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
今日 できること
ごはんつぶを 指で よく つぶして、のりを 作ります。その のりで、かみ2まいを はりあわせて みましょう。かわいた あと、ぬれた ふきんで しめらせて、はがれるか どうか 見て みます。これは、のりの ようすを 考える きっかけです。本当の 刀の さやとは、ようすが ちがいます。
出かけて できること
はくぶつかんや 刀の てんじかいで、さやや つばを 見て みましょう。だれが どこを 作ったのか、さがして みると おもしろいです。
もっと しりたい とき
日本美術刀剣保存協会の 現代刀職展の ページを 見て みましょう。
今日できること
ご飯粒を指でよくつぶして糊を作り、その糊で紙2枚を貼り合わせてみましょう。乾いたあとで、湿らせた布を当てたらどうなるかも見てください。続飯が「あとから剥がせる」といわれる理由を考えるきっかけになりますが、刀の鞘とは条件が違うので、あくまで糊のようすを想像する手がかりです。
出かけてできること
刀の展示を見る機会があれば、刀身だけでなく、鞘や柄、鍔の部分を見てみましょう。どの工程を誰が受け持ったのかを想像しながら見ると、見え方が変わります。
公式情報
日本美術刀剣保存協会の現代刀職展のページで、募集する部門を確かめられます。
資料を読むなら
研磨の分業と現代の状況は、日本刀文化振興協会の認定発表[1]と、日本美術刀剣保存協会の現代刀職展のページ[10]を出発点にするとよい。白鞘と鞘師の仕事は瀬戸内市のページ[6]、手入れの注意は刀剣博物館のページ[4]に、それぞれまとまっている。
確かめられること
続飯(飯粒の糊)で紙を貼り合わせ、乾かしたあとに湿らせて剥がれ具合を見る、という簡単な観察ができる。ただし刀の鞘での使い方とは条件が違うので、あくまで感触をつかむ程度にとどめること。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料。分業の全体像と数字は複数の資料を突き合わせ、民間の解説サイトの数字は目安として扱った。
- 日本刀文化振興協会「本阿彌光洲氏の認定について」 nbsk-jp.org (研磨の役割と2014年の認定)
- 刀剣ワールド「人間国宝」 https://www.touken-world.jp/tips/17614/ (研磨の人間国宝と本阿弥家)
- 刀剣ワールド「日本刀の研磨」 https://www.touken-world.jp/tips/10020/ (研磨の二段階と砥石の数)
- 刀剣博物館「取り扱いと保存方法」 https://www.touken.or.jp/museum/sword/preservation.html (研ぎ直後の手入れ)
- 刀剣ワールド「刀装具の名工」 https://www.touken-world.jp/tips/14761/ (刀装の分業と塗師の仕事)
- 瀬戸内市「鞘師」 https://www.city.setouchi.lg.jp/site/token/3920.html (白鞘の材と続飯)
- 刀剣ワールド「鞘師の仕事」 https://www.meihaku.jp/sword-basic/sayashi-jobs/ (油による合わせと乾燥期間)
- 刀剣ワールド「鞘書の解説」 https://www.meihaku.jp/sword-basic/sayagaki/ (鞘書)
- EDUPEDIA「伝統技術日本刀編 柄巻師」 https://edupedia.jp/archives/16414 (柄巻)
- 日本美術刀剣保存協会「現代刀職展」 https://www.touken.or.jp/employment/tabid292.html (現代刀職展の目的と審査)
- 刀剣ワールド「研師の無鑑査・人間国宝」 https://www.touken-world.jp/tips/95429/ (研師の人数)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
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