1. 川の 水は、どんな じゅんばんで きれいに なるの?
1. 川の水は、どんな順番できれいになるのか
1. 急速ろ過方式の工程 ── 着水井から浄水池まで約5時間
いえの 蛇口から 出る 水は、川や みずうみなどから 取った 水を、浄水場で きれいに した ものです。いくつもの 道を とおって きれいに なります。
かながわけんの ある 浄水場では、川から 入った 水が、まず 水を おちつかせる ばしょに 入ります。つぎに、つぶを かたまりに して しずめる 池、すなの 池、塩素を まぜる ばしょ、ためて おく 池と すすみます。ぜんぶで 5時間ほど かかります[2]。
ただし、5時間は この 1つの 浄水場の れいです。ほかの ところは、やり方も 時間も ちがいます。
2. どうして にごりは しずまないの?
2. 沈まない粒を、どうやって沈めるのか
2. 濁りの粒子の帯電と凝集剤 ── PACによるフロック形成
にごった 水を コップに いれて おくと、大きな どろは しずみます。でも、とても 小さい つぶは、なかなか しずみません。
この つぶは、どれも おなじ 電気を もって いて、おたがいに はねかえし あいます[1]。おなじ きょくどうしの じしゃくを ちかづけると はなれる ようすに にて います。ただし ほんとうは、じしゃくでは なく、電気の はなしです。
そこで、浄水場では くすりを 入れて、つぶを くっつけます。くっついた つぶは 大きな かたまりに なって、しずみやすく なります[1]。
3. すなの 池は、どんな はたらきを するの?
3. 砂の層で、細かいにごりを取る急速ろ過
3. 急速ろ過 ── 140m/日のろ過と、3日に1度の逆流洗浄
しずめても、とても 小さい にごりは のこります。それを とるのが、すなと じゃりの そうです[3]。
水は、すなの あいだを とおる とき、ゆっくり 下へ すすみます。かながわけんの 池では、1日に 140メートル ほどの はやさです。1時間に すると、6メートル ぐらいです[2]。ただし これは、池の 水面が 下がる はやさに なおした 数字で、水が すなの 中を ほんとうに すすむ はやさでは ありません。
つかい つづけると、すなの あいだに にごりが たまります。そこで 3日に 1回 ほど、下から 上へ 水を ながして、すなを あらいます[2]。ざるに つまった ごみを、うらから 水で ながして とる ようすに にて います。
4. すなの 上の 小さな いきものが、水を きれいに する?
4. 薬品を使わない緩速ろ過 ── 砂の上の微生物のはたらき
4. 緩速ろ過 ── 1829年の開発と生物膜、砂面の削り取り
もう 1つ、ちがう やり方が あります。すなの 池の 水を、とても ゆっくり とおす 方ほうです。かんそくろかと いいます。
この 方ほうは、川の 水を そのまま すなに とおします。くすりは 使いません。すなの 中に 育つ 微生物が、にごりだけでなく、かび の においの もとまで 分かいする ことも できると いわれます[4]。
はやさは、1日に 4〜5メートル ほどと いわれます。さっきの 140メートルの、30ぶんの 1 くらいです[5]。
ずっと 使うと、すなの おもてが ふさがります。そこで、うすく けずって、なおします[4]。
1829年に生まれた、いちばん古い方法
緩速ろ過は、近代水道の始まりから使われてきた、最も古い処理方法です。イギリスで1829年に開発され、コレラなどの伝染病の対策として、ヨーロッパなどへ広がったと言われます[4]。
砂の表面の微生物が働く
薬品は使わず、設備も単純です。砂の層にふえる微生物が、濁りだけでなく、アンモニア態窒素やかび臭のもとになる物質も分解できます[4]。
速さは1日に約4〜5メートルとされ、急速ろ過の約120〜150メートルの、およそ30分の1です[5]。ろ過を続けると砂の表面がふさがるので、厚さ1〜2センチほどを削り取って、ろ過の力を戻します[4]。
気候の影響を受けやすく、プランクトンやユスリカなどの生き物の管理には、経験にもとづく技術が大切だとされます[4]。
緩速ろ過は近代水道の開始以来最も古い処理方法で、英国で1829年に開発され、コレラなどの伝染病対策として欧州などに広がったと言われる[4]。薬品を使わず設備が単純で、砂層に繁殖する微生物が、濁りに加えてアンモニア態窒素やかび臭物質も分解できる[4]。
ろ過速度は一般に緩速が約4〜5m/日、急速が約120〜150m/日とされ、比は30倍前後の幅のある概数である[5]。浮遊物の蓄積と生物膜で砂面が閉塞するため、厚さ1〜2cmで砂面を削り取ってろ過能力を回復させる[4]。急速ろ過が数日ごとの逆洗なのに対し、緩速ろ過は1〜数か月ごとの削り取りが必要とされる[5]。
気候など自然の影響を受けやすく、プランクトンやユスリカなどの生物管理は経験に基づく技術が重要と整理されている[4]。
5. 塩素は、どうして 蛇口まで のこすの?
5. 塩素は、浄水場だけでなく蛇口でも残す
5. 消毒と残留塩素 ── 給水栓で0.1mg/L以上という規定
さいごに、塩素で 消毒します。日本の 水道で 塩素を 入れたのは、1922年に 東京と 横浜の 浄水場で 行われたのが はじめと いわれます。その ころは、びょうきが はやった ときに かぎられて いました[6]。
いまは、浄水場を 出たあと、蛇口の 水にも 塩素が 少し のこって いる ように きまって います。1リットルの 水に 0.1ミリグラム いじょうです[7]。1円玉の 1万ぶんの 1ほどの おもさです。
これは、蛇口で のこって いる はずの 下の かぎりで、入れる りょうでは ありません。のこった 塩素が、すいどうの くだの 中で ばいきんが ふえるのを ふせぎます[8]。
1922年の塩素、いまの決まり
日本の水道で塩素の注入が行われた例として、1922年(大正11年)の東京市の淀橋浄水場と、横浜市の野毛山浄水場があります。当初は、感染症が流行したときに限られていました[6]。
いまは、浄水場を出た水が蛇口に着くまでの間も、消毒の効果が続くことが求められます。水道法施行規則は、蛇口の水が、遊離残留塩素を1リットルあたり0.1ミリグラム以上保つように塩素消毒することを求めています。結合残留塩素の場合は、0.4ミリグラム以上です[7]。
0.1ミリグラムは、1円玉(1グラム)の1万分の1です。しかもこれは、蛇口で残っているべき下限であって、入れる量ではありません。水に残った塩素は消毒の効果を保ち、雑菌が増えるのを防ぎます[8]。
日本の水道の塩素注入は、1922年(大正11年)に東京市淀橋浄水場と横浜市野毛山浄水場で行われ、当初は感染症の流行時に限られた[6]。現在は水道法施行規則が、給水栓の水が遊離残留塩素0.1mg/L(結合残留塩素は0.4mg/L)以上を保持するよう塩素消毒することを求める[7]。
0.1mg/Lは注入率でなく、蛇口で残っているべき下限である。1mgは1gの千分の1なので、1Lあたり0.1mgは、1円玉(1g)の1万分の1にあたる。塩素は水中に残ることで消毒効果を持続させ、雑菌の発生を防ぐ[8]。浄水場の出口の消毒だけでは、配水管や給水装置の中の長い時間をカバーできないため、残留塩素の基準が置かれているのだと考えられる。
6. 夏の 貯水槽で、塩素は どうなるの?
6. 夏の貯水槽で塩素が消えやすいのはなぜか
6. 貯水槽での残留塩素の消失と、消毒副生成物の管理
ビルや マンションには、貯水槽という 水を ためる タンクが あります。夏は 気おんが 高いので、水が ためられて いる うちに、のこった 塩素が とくに 消えやすく なります[8]。
塩素が なくなると、水の 中で 微生物が ふえて、水が わるく なる もとに なります[8]。だから、はかって かくにんする ことが 大切です。
いっぽう、塩素は 川の 水に ふくまれる よごれと はんのうして、べつの ものを つくる ことも あります。この ため、水道では きじゅんを きめて、りょうを みはって います[7]。
夏は残留塩素が減りやすい
東京都保健医療局の説明では、夏は気温が高く、水が貯水槽にたまっている間に、消毒のための残留塩素が特に消えやすくなります。残留塩素がなくなると、水の中で微生物が増えて、水質が悪くなる原因になると説明されています[8]。
塩素がつくる別の物質
塩素は、水の中の有機物と反応して、トリハロメタン類などの消毒副生成物をつくることがあります。これは水質基準で管理されています[7]。
2012年(平成24年)5月には、利根川水系で、川に流れ込んだ物質が塩素と反応してホルムアルデヒドが基準を超え、広い範囲で取水停止や断水が起きました[7]。基準を超えた水を送らないために、水道が止まった、という出来事でもあります。
7. 水の 中の にごりを、じぶんの 目で みて みよう
7. 沈む水・沈まない水を、自分の目で見る
7. 出口 ── 沈降の観察と、資料の読みどころ
すきとおった ペットボトルに 水を 入れます。にわの つちを スプーンで 1ぱい くわえて、ふたを して よく ふります。
ふって すぐと、10分あと、1時間あと、つぎの 日の あさで、水の ようすを くらべて みましょう。大きな つぶは すぐ しずみます。上の 水が まだ にごって みえるか、どれくらいで すきとおるか、かくにんして みてください。
この 水は、ぜったいに のまないで ください。ろ紙や すなで こしても、のめる 水には なりません。
もっと しりたく なったら、じぶんの まちの 水道局の ホームページを ひらいて、浄水場の 工ていを さがして みましょう。
透明なペットボトルに水を入れ、庭の土をスプーン1杯加えて、ふたをしてよく振ります。振った直後、10分後、1時間後、翌朝で、水のようすを比べてみましょう。大きな粒はすぐ沈みます。上の水がいつまで濁って見えるか、翌朝までの変化をノートに記録してみてください。
この水は、絶対に飲まないでください。砂やろ紙でこしても、飲める水にはなりません。
自分の町の水道局のホームページには、浄水場の工程を説明したページがあることがあります。急速ろ過なのか、緩速ろ過なのか、それとも別の処理なのか、確かめてみましょう。神奈川県企業庁[2]や横浜市水道局[3]の説明と、読み比べるのもおすすめです。
観察実験として、透明なペットボトルの水に庭土を少量加えて振り、直後・10分後・1時間後・翌朝の濁りを記録する。大きな粒は先に沈むが、細かい粒がどのくらい残るかを、時間ごとに比べる。実験に使った水は飲用にしない。
資料の読みどころは3つある。1つ目は神奈川県企業庁の凝集剤の説明[1]で、粒子が沈まない理由が電気的な反発だと書かれている点。2つ目は水道技術研究センターのQ&A[4][7]で、緩速ろ過の生物膜の管理と、塩素の副生成物の扱いが載っている点。3つ目は東京都保健医療局のページ[8]で、貯水槽の残留塩素の管理が書かれている点である。自分の町の浄水場が急速か緩速か、水源は何か、を公式サイトで調べ、ここでの整理と比べてみるとよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の[ ]の番号は、下の資料の番号です。速度の数字(緩速ろ過側)は、概数として使っています。
- 神奈川県企業庁「浄水処理工程で使用している薬品」。https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h3x/top/jousuisyoriyakuhin.html (濁りの粒子が沈まない理由と凝集剤について)
- 神奈川県企業庁「急速ろ過方式の浄水処理工程」。https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h3x/top/kyusokurokajousuisyori.html (急速ろ過の工程、所要時間、ろ過速度、逆流洗浄について)
- 横浜市水道局「浄水処理」。https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/suido-gesui/suido/suishitsu/dekirumade/jyosuijyo/jousuishori.html (沈殿・砂と砂利の層・消毒の流れについて)
- 水道技術研究センター Q&A「緩速ろ過池の砂の洗浄方法」。https://www.jwrc-net.or.jp/docs/publication-outreach/qa/10-98.pdf (緩速ろ過の歴史、微生物のはたらき、砂面の削り取りについて)
- 水道技術資料(Water Forum掲載)。https://www.waterforum.jp/wp/wp-content/uploads/2016/04/ab35579e7950d07840960f01c4f43a54.pdf (急速ろ過と緩速ろ過の速度・手入れの間隔の比較。概数として使用)
- 神奈川県衛生研究所「衛研ニュース157」。https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/005_databox/0504_jouhou/0601_eiken_news/files/eiken_news157.htm (1922年の塩素注入について)
- 水道技術研究センター Q&A「消毒副生成物」。https://www.jwrc-net.or.jp/docs/publication-outreach/qa/11-96.pdf (蛇口の残留塩素の規定、副生成物、2012年の水質事故について)
- 東京都保健医療局「残留塩素濃度の管理」。https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/zan-en_chuui (残留塩素の役割と、夏の貯水槽で消えやすいことについて)
なおした ところ
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