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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

とうふは どうして、さらさらの とうにゅうから かたまって できるの?

さらさらの豆乳が、なぜ豆腐になるのか:にがりと大豆のたんぱく質

豆腐の凝固機構:加熱変性した大豆たんぱく質とMg²⁺、二段階加熱、凝固剤の違い

分野:自然

とうふは、ゆびで おすと ぷるんと ゆれる かたまりです。でも、もとは のめるくらい さらさらの とうにゅうです。

そこへ「にがり」を 入れると、なぜか かたまって いきます。とうにゅうの 中で、なにが おきて いるのでしょうか。

豆腐は、指で押すとぷるんと形を保つのに、もとは飲めるほどさらさらの豆乳です。そこに「にがり」などの凝固剤を加えると、液体のまま固まっていきます[1]。

豆乳の中で何が起きているのでしょうか。大豆のたんぱく質が加熱で変わること、マグネシウムがそれをつなぐこと、加熱の温度を2回に分けるとなめらかさが変わるという研究まで、資料で順に見ていきます。

豆腐は、豆乳に凝固剤を加えて固めた食品で、古くから塩化マグネシウム(にがり)が使われてきた[7]。豆乳中のたんぱく質は負に帯電しており、正に荷電したマグネシウムの塩類と結びついて凝固すると説明される[3]。

この記事では、加熱で何が変わるのか、なぜ温度を二段階にした研究で豆腐の性質が変わったのか、凝固剤で仕上がりがどう違うのかを、公的機関の資料などから整理する。分子レベルの細部は出典で断定されていない部分が多く、その範囲を区別して書く。

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1. にがりって、なに?

1. 豆乳に加える「にがり」とは

1. 豆乳・凝固剤・にがりの定義

とうふは、だいずの しぼりじる(とうにゅう)に、うみの みずにも ふくまれる ものを 入れて かためて つくります[1]。

この かためる ものを「にがり」と よびます。うみの みずから しおを とりだした あとの えきです。あじは にがいそうです[2]。

では、とうにゅうの 中の なにが かたまるのでしょうか。

豆腐は、大豆のしぼり汁である豆乳に、海水にも含まれる成分(マグネシウム)を入れて固めて作られます[1]。

国の成分規格の検討資料によると、食品として使う「にがり」は、海水から塩化カリウムと塩化ナトリウム(食塩)を取り出した後に残る、塩化マグネシウムを主成分とする液体です。塩化マグネシウムを12〜30%ほど含み、色はなくて淡い黄色まで、苦味があります[2]。名前は、苦味に由来すると考えられます。

この塩化マグネシウムは、豆乳の何に働くのでしょうか。

豆腐は、大豆の水抽出液である豆乳に凝固剤を加えて調製される[1]。凝固剤には、古くから粗製海水塩化マグネシウムや塩化マグネシウムが「にがり」として使われてきた[7]。

厚生労働省の成分規格改正検討資料は、粗製海水塩化マグネシウム(にがり)を、海水から塩化カリウムと塩化ナトリウムを析出分離して得た、塩化マグネシウム主成分のものと定義する。塩化マグネシウム含量は12.0〜30.0%、性状は無色〜淡黄色の液体で苦味がある[2]。ただし、資料は検討案の段階のものであり、現行の規格は原典で確かめる必要がある。

2. たんぱくしつは、ばらばらに ういている

2. 豆乳の中で、たんぱく質はマイナスの電気を帯びている

2. 豆乳たんぱく質の帯電とマグネシウム

とうにゅうの 中には、だいずの「たんぱくしつ」が とけて います。たんぱくしつは、マイナスの 電気を もって いると いわれます[3]。

だから とうにゅうは、たんぱくしつが ばらばらの まま、さらさらと して います。

そこへ、プラスの 電気を もつ マグネシウムが 入って くると、マイナスの たんぱくしつと くっつきます。すると、とけて いられなくなって、かたまります[3]。

岩手県教育委員会の教材によると、豆乳のたんぱく質は、マイナスに帯電しています。にがり(塩化マグネシウム)を使うと、プラスに荷電したマグネシウムの塩類がこのたんぱく質と結びつき、溶けていられなくなって凝固する、と説明されています[3]。

マイナスの電気をもつたんぱく質は、豆乳の中でとけた状態にあります。そこにプラスのマグネシウムが入ると、たんぱく質と結びついて、とけていられなくなる、というのがこの教材の説明です。

ただし、この教材は、結びつき方の細かい仕組みまでは断定していません。ここでは「そう説明される」という範囲にとどめます。

豆腐作りでは、豆乳を加熱します。加熱は、たんぱく質に何をしているのでしょうか。

岩手県教育委員会の教材は、豆乳中のたんぱく質は負に帯電しており、塩化マグネシウムを凝固剤とした場合、正に荷電したマグネシウムの塩類がこれと結びついて溶解状態を保てなくなり、凝固するとする[3]。

負電荷のたんぱく質に正電荷のマグネシウム塩類が結びつくと溶解状態を保てなくなる、という筋道は理解しやすい。しかし、「中和」「塩橋」「電荷遮蔽」「疎水性相互作用」のうちどれがどの程度寄与するかは、この出典では断定されていない。

3. ねつを くわえると、「手」が でてくる

3. 加熱すると、つなぎ役の「手」が出てくる

3. 加熱による変性と反応部位の露出

こども むけの せつめいでは、とうにゅうを あたためると、マイナスの 力を もった「手」が いくつも でて くると かかれて います[4]。

その 手と、マグネシウムの 手が、プラスと マイナスの 力で ひきあい、つながります。つながった ものが たくさん できると、えきたいだった とうにゅうが かたまります[4]。

たとえば、手を つなぐと わに なる ように、つながりが ふえて、大きな かたまりに なる ようすです。ただし、これは わかりやすく した たとえで、ほんとうの かたちでは ありません。

子ども向けの自由研究の解説では、加熱すると、電気的にマイナスの力をもった「手」のようなものが、たんぱく質にいくつも出てくると説明されています。この手が、マグネシウムの「手」とプラスとマイナスの力で引き合い、くっつきます。つながったものがたくさんできると、液体だった豆乳が固体になります[4]。

手をつなぐ人が増えて、大きな輪ができていくような様子です。ただし「手」はやさしくするための説明で、分子の本当の形ではありません。

大豆のたんぱく質には種類があるはずですが、みんな同じ温度で変わるのでしょうか。

児童向け解説は、加熱によって電気的にマイナスの力をもつ「手」のようなものが多数現れ、それがマグネシウムの「手」とプラス・マイナスの力で引き合って結合し、その連結が多数できると液体の豆乳が固体になる、と説明する[4]。

「手」は比喩であり、変性後のたんぱく質の構造を正確に描いたものではない。加熱でたんぱく質のどの部分がどう変わるのかは、ここでは扱わない。

4. 2しゅるいの たんぱくしつ

4. 変わる温度がちがう、2種類のたんぱく質

4. グリシニンとβ-コングリシニンの変性温度

だいずの たんぱくしつには、おもに 2しゅるい あります。「グリシニン」と「ベータ・コングリシニン」です[5]。

この 2つは、あつさに よわい 温度が ちがいます。ベータ・コングリシニンは、およそ 70〜75どで かわり、グリシニンは およそ 90どで かわる と ほうこく されて います[6]。

ひくい 温度で かわる こと、たかい 温度で かわる こと。この ちがいが、あとで とうふの ちがいに つながります。

農研機構の研究成果情報は、豆腐のゲルができるときに関わる大豆の主なたんぱく質として、グリシニン(11S)とβ-コングリシニン(7S)を挙げています。変わる温度(変性温度)は、グリシニンが約92℃、β-コングリシニンが約71℃です[5]。別の論文でも、β-コングリシニンは約70〜75℃、グリシニンは約90℃で変性すると報告されています[6]。

変性温度は資料や測り方で少しずれます。だから、ここでは「およそ70〜75℃と約90℃」という幅で覚えるのがよさそうです。

この温度差を生かして、加熱の温度を二段階に分けた研究があります。

豆腐ゲルの形成には、大豆の主要貯蔵たんぱく質である、グリシニン(11S。変性温度92℃、ジスルフィド結合が多い)とβ-コングリシニン(7S。変性温度71℃、ジスルフィド結合が少ない)が関与する[5]。別報でも、β-コングリシニンは約70〜75℃、グリシニンは約90℃で変性すると報告される[6]。変性温度は資料で異なるため、単一の値でなく幅で扱う。

この研究では、加熱で生じるたんぱく質の粒子が、凝固のようすに影響するとされる[6]。

5. あたためかたを かえると、どうなる?

5. 温度を2回に分けると、きめが細かくなった

5. 二段階加熱によるゲル物性の変化

ふつうの とうふづくりでは、98〜105どで 2〜5ふん ほど、いちどに あたためた とうにゅうに、かためる ものを 入れます[5]。

けんきゅう チームは、これを 2かいに わけて みました。70どで 10ぷん、つぎに 100どで 5ふん あたためます[5]。

すると、できた とうふは つぶが こまかく、くずれにくく、みずが でにくく なったと ほうこく されて います[5]。

なお、これは けんきゅうの じょうけんです。おうちや おみせの ふつうの つくりかたが 2かいと いう ことでは ありません。

一般に豆腐は、98〜105℃で2〜5分、一段階で加熱した豆乳に凝固剤を加えて作られます[5]。

農研機構の研究チームは、これを70℃で10分、続けて100℃で5分の二段階加熱にして比べました。すると、GDL(後で説明する凝固剤の一つ)で固めた豆腐は、崩れにくさを表すヤング率が141.21kPaから204.04kPaに、約1.4倍になりました。水が出てしまう割合(離水率)は、16.54%から12.85%に下がりました[5]。

資料は、二段階加熱にするとたんぱく質が一斉に変わる一段階加熱より、緻密できめの細かい豆腐ゲルになると説明しています。硫酸カルシウムやにがりでも、同様の効果が得られると書かれています[5]。

ただしこれは研究上の条件で、家庭や店の一般的な作り方が二段階という意味ではありません。

一般に豆腐は、98〜105℃・2〜5分の一段階加熱で調製した豆乳に、凝固剤を加えて作る[5]。農研機構(JIRCAS)の研究成果情報は、生しぼり豆乳を70℃・10分、続けて100℃・5分の二段階で加熱すると、100℃・5分の一段階加熱に比べ、GDL充填豆腐のヤング率が141.21から204.04kPa(約1.4倍)に上がり、離水率が16.54%から12.85%(約2割の減少)に下がったと報告する[5]。

資料は、たんぱく質が一斉に加熱変性する一段階加熱に比べ、段階的な加熱のほうが緻密できめの細かい豆腐ゲルを形成すると述べる。2種類の変性温度の差との関係は、この記事の出典の範囲では断定できない。硫酸カルシウムやにがりでも同様の効果があるとされる[5]。これは研究条件での結果であり、一般の製法が二段階であることを意味しない。

6. かためる ものが かわると、とうふも かわる

6. 凝固剤がちがうと、豆腐の顔もちがう

6. 凝固剤の種類と製品特性

にがりは、むかしから 使われて きた かためる ものです。さいきんは、ほかにも いろいろ 使われます[7]。

その 1つが「GDL」と いう ものです。つくりやすく、なめらかで きめの こまかい とうふが できるので、きぬごし とうふなどに よく 使われると いう しりょうが あります[7]。

おなじ とうにゅうでも、なにで かためるかで、できあがりは かわるのです。

東京都の研究機関の報告によると、豆腐の凝固剤として、古くから粗製海水塩化マグネシウムや塩化マグネシウムが「にがり」として使われてきました。近年は硫酸カルシウムや塩化カルシウムも使われます[7]。

GDL(グルコノデルタラクトン)は製造しやすく、なめらかできめ細かい製品ができるため、2006年の東京都の報告では、充填豆腐や絹ごし豆腐に多用されるとされています[7]。

同じ豆乳でも、何で固めるかや、どう加熱するかで、豆腐の舌ざわりは変わります。豆腐売り場に並ぶ豆腐の違いの一部は、こうした選び方から生まれるのでしょう。

東京都健康安全研究センターの報告は、豆腐用凝固剤として古くから粗製海水塩化マグネシウムおよび塩化マグネシウムが「にがり」として使われてきたこと、近年は硫酸カルシウムや塩化カルシウムも使われることを述べる。グルコノデルタラクトン(GDL)は製造しやすく、なめらかできめ細かい製品が得られるため、充填豆腐や絹ごし豆腐に多用される[7]。

凝固剤の違いは、たんぱく質と結びつく仕組みの違いを含むと考えられるが、その詳細は本記事の出典の範囲外である。凝固剤とゲルの物性の関係は、二段階加熱の研究のように条件を分けた実験で調べられている[5]。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日 できる こと おうちの 人と いっしょに、スーパーで とうふの パックを 2〜3しゅるい 見くらべて みましょう。うらの ひょうじに「ぎょうこざい」と いう ところが あるかも しれません。「えんかマグネシウム」や「グルコノデルタラクトン」など、かためる ものの なまえが かいて あるか、さがして みます。きぬごしと もめんで、ちがうか どうかも 見て みましょう。火も ほうちょうも 使いません。

もっと 知りたい とき Hondaキッズの じゆうけんきゅうの ページで、とうふを つくる ようすを 読んで みましょう。とうにゅうを あたためる ときは、やけどに ちゅういして、おうちの 人と いっしょに 読みます。

今日できること 家の人と、スーパーの豆腐売り場で、パックの裏の原材料表示を見比べてみましょう。「凝固剤」の欄に、「塩化マグネシウム(にがり)」「グルコノデルタラクトン」など、固めるものの名前が書いてあるかもしれません。絹ごしと木綿、充填豆腐などを比べると、凝固剤が違うか、同じかが分かります。火や刃物は使いません。

調べ方の入口 豆腐づくりの解説(Hondaキッズの自由研究ページ)を読むと、実際に固まるようすが分かります。加熱するときはやけどの危険があるので、必ず大人と一緒に読み、作る場合も大人と行ってください。凝固剤の種類の見比べに興味が出たら、東京都健康安全研究センターの年報や、二段階加熱の研究の原文(農研機構)も手がかりになります。

今日できること 豆腐のパックの原材料表示で、凝固剤の欄を比べる。塩化マグネシウム(にがり)、GDL、硫酸カルシウムなど、種類と豆腐の種類(絹ごし・木綿・充填)の対応を記録し、記録が増えたら、A製品とB製品で一致するかを見る。火や刃物は使わない。

資料を読むなら 二段階加熱の実験条件と結果は、農研機構(JIRCAS)の研究成果情報[5]の原文で確かめたい。凝固剤の使い分けは、東京都健康安全研究センターの年報[7]が手がかりになる。子ども向けの説明は、Hondaキッズの自由研究ページ[1][4]にある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料。児童向け解説と教育資料の説明は、分子レベルの厳密な機構を示すものではありません。

  1. Hondaキッズ 自由研究「豆腐を作ろう」 https://www.honda.co.jp/kids/jiyuu-kenkyu/middle/28/ (豆腐が豆乳と海水にも含まれる成分でできること)
  2. 厚生労働省「粗製海水塩化マグネシウムの成分規格の改正検討(案)」 https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/12/dl/s1222-14e.pdf (にがりの定義と成分)
  3. 岩手県教育委員会 化学と人間 サポート資料17「タンパク質の凝固」 https://www1.iwate-ed.jp/07tantou/kagaku/h26_kagakutoningen/kagakutoningen_support/03_bussitsu/17_tanpakushitsu.pdf (マイナスに帯電したたんぱく質とマグネシウム)
  4. Hondaキッズ 自由研究「しくみをくわしく」 https://www.honda.co.jp/kids/jiyuu-kenkyu/middle/28/page2/ (加熱で出てくる「手」のたとえ)
  5. 農研機構 JIRCAS 研究成果情報2007「生しぼり豆乳を2段階で加熱すると…」 https://www.jircas.go.jp/sites/default/files/seika/2007/2007_seikajouhou_A4_ja_Part14.pdf (2種類のたんぱく質、一段階加熱、二段階加熱)
  6. Food Science and Technology Research 26(3) 445 https://www.jstage.jst.go.jp/article/fstr/26/3/26_445/_html/-char/ja (たんぱく質2種の変性温度)
  7. 東京都健康安全研究センター年報57(2006)「豆腐中のグルコノデルタラクトンの分析」 https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpou57/57-35.pdf (凝固剤の種類とGDL)

なおした ところ

更新履歴

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