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おしりは どうやって きれいに するの?

お尻はどうやってきれいにする? 世界と歴史の拭き方くらべ

お尻はどうやってきれいにする? 世界と歴史の拭き方くらべ

分野:歴史・文化

うんちを した あと、おしりを どうやって きれいに するか。今は トイレットペーパーで ふくのが あたりまえだ。

でも、大むかしの 船に のって いた 船のりたちは、ちがった。船の はしから 海に たらした、1本の ロープの さきで、おしりを ふいて いたと いう。ふき終わったら、ロープは そのまま 海に もどした。

うんちをしたあと、お尻をどうやってきれいにするか。今はトイレットペーパーでふくのが当たり前だ。

でも、大昔の船に乗っていた船乗りたちは、違った。船のふちから海にたらした、1本のロープの先で、お尻をふいていたという。ふき終わったら、ロープはそのまま海に戻した。

排泄後の後始末をどうするか。現代の日本では、水に溶けるトイレットペーパーで拭くのが当たり前になっている。

しかし、大航海時代の帆船に乗っていた船乗りたちは違った。船首から海面に垂らした、麻縄をほぐした1本のロープの先端でお尻を拭き、使い終わるとそのままロープを海に戻していたという。この方法は赤痢や腸チフスの感染源にもなったと考えられている。お尻をきれいにする方法は、時代と場所によって驚くほど違う。その違いを、道具の歴史と現在の世界地図の両方からたどっていく。

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1. 船のりは、ロープの さきで おしりを ふいて いた

1. 船乗りは、ロープの先でお尻をふいていた

1. 帆船の水夫は、共用のロープでお尻を拭いていた

むかしの を つかった 大きな 船には、トイレットペーパーは ありませんでした。

船のりたちは、トイレの あなの そばに ある、古い ロープを つかいました。ロープの さきを ほぐして やわらかく し、それで おしりを ふいて いました。つかい終わった ロープは、そのまま 海に もどしました。波に あらわれて、また つかえる ように なると 考えられて いました[1]

昔の帆を使った大きな船には、トイレットペーパーはありませんでした。

船乗りたちは、トイレの穴のそばにある、古いロープを使いました。ロープの先をほぐして柔らかくし、それでお尻をふいていました。使い終わったロープは、そのまま海に戻しました。波に洗われて、また使えるようになると考えられていました[1]

帆船時代、船首の突き出た部分(ヘッド)に設けられたトイレには、当然トイレットペーパーは存在しなかった。船乗りたちは、片方の先端をほぐして房状にした麻縄を共用し、用を足すたびにそれでお尻を拭いた[1]

使用済みのロープは、そのまま船外の海面に垂らしたままにされ、航行中の水の流れや波で洗われることが期待されていた。だが実際には、この共用ロープを介して赤痢や腸チフスなどの感染症が広がったと考えられている[1]

2. 古代 ローマ人は、1本の 海綿かいめんぼうを みんなで つかった

2. 古代ローマ人は、1本の海綿棒をみんなで使った

2. 古代ローマの共用トイレには、海綿を付けた棒があった

古代の ローマには、みんなで つかう 大きな トイレが ありました。そこには、木の ぼうの さきに 海綿かいめん(海の いきものの やわらかい からだ)を くくりつけた 道具が おいて あったと いわれて います。

この 道具で おしりを ふいたあと、水や の 入った バケツに ひたして、つぎの 人が つかいました[2]。ただし さいきんの けんきゅうでは、これは おしりを ふく 道具では なく、トイレそうじ用の ブラシだったのでは、と いう 考えも 出て きて います。

古代のローマには、みんなで使う大きなトイレがありました。そこには、木の棒の先に海綿(海の生き物の柔らかい体)をくくりつけた道具が置いてあったといわれています。

この道具でお尻をふいたあと、水や酢の入ったバケツにひたして、次の人が使いました[2]。ただし最近の研究では、これはお尻をふく道具ではなく、トイレ掃除用のブラシだったのでは、という考えも出てきています。

古代ローマの公衆トイレ遺構には、木の棒の先に海綿を取り付けた「クシロスポンギウム」と呼ばれる道具が見つかっている。従来は、用を足したあとに拭くための共用の衛生用具であり、使用後は酢や塩水で洗われていたと考えられてきた[2]

ただし、この解釈には諸説ある。一次資料の記述があいまいなため、最近の研究では、便器や床を洗うためのトイレブラシだった可能性が指摘されており、学者の間でも意見が分かれている[2]

3. 日本にほんでは、木の ヘラで こすって いた

3. 日本では、木のヘラでこすっていた

3. 日本では、籌木という木のヘラが使われていた

むかしの 日本にほんでは、紙は とても たかい ものでした。だから おしりを ふく ために、紙を つかい すてに する ことは できませんでした。

かわりに つかわれたのが、うすくて 細長い 木の ヘラです。「籌木ちゅうぎ」と よばれる この 木の ヘラで、おしりの よごれを けずり おとして いました。福岡ふくおかの むかしの トイレの あとからは、この 木の ヘラが たくさん 見つかって います[3]

昔の日本では、紙はとても高いものでした。だからお尻をふくために、紙を使い捨てにすることはできませんでした。

代わりに使われたのが、薄くて細長い木のヘラです。「籌木」と呼ばれるこの木のヘラで、お尻の汚れを削り落としていました。福岡の昔のトイレの跡からは、この木のヘラがたくさん見つかっています[3]

紙が貴重品だった古代から中世にかけての日本では、幅約3センチ、長さ約15センチほどの薄い木片「籌木(ちゅうぎ)」が用いられた。まず片面で大まかな汚れを削り落とし、裏面で仕上げるという使い方をしたとされる[3]

福岡市の外交施設跡「鴻臚館」の便所遺構をはじめ、各地の古代トイレ遺構から現物が多数出土している。紙が普及して籌木が使われなくなるまでには、長い時間がかかった[3]

4. 紙で ふく やり方は、中国ちゅうごくで 生まれた

4. 紙でふくやり方は、中国で生まれた

4. 紙で拭く方法は、中国で生まれ商品化された

紙を さいしょに 作ったのは 中国ちゅうごくです。紙を おしりふきに つかった という きろくも、いまから 1400年くらい 前の 中国ちゅうごくに のこって います[4]

1300年代には、たくさんの 紙を トイレ用に 作る 工場が できました。皇帝こうてい(その 国で いちばん えらい 人)の 家族の ために、においを つけた とくべつな トイレ用紙も 作られて いたと いいます[4]

紙を最初に作ったのは中国です。紙をお尻ふきに使ったという記録も、今から1400年くらい前の中国に残っています[4]

1300年代には、たくさんの紙をトイレ用に作る工場ができました。皇帝(その国で一番えらい人)の家族のために、香りをつけた特別なトイレ用紙も作られていたといいます[4]

589年ごろ、中国南北朝時代の学者・顔之推が著書のなかで、経典や聖人の名が書かれた紙をトイレで使うのは失礼だと記しており、これが紙を清拭に用いた最古級の記録とされる[4]

14世紀初頭には、現在の浙江省だけで年間数千〜1万個の紙束が生産される規模になっていた。1393年には、明の皇室のために香り付きの柔らかい紙1万5000枚が特別に製造され、宮廷全体では年間およそ72万枚が使われていたという記録が残る[4]

5. アメリカでは、とうもろこしの しんや カタログが つかわれた

5. アメリカでは、とうもろこしの芯やカタログが使われた

5. アメリカでは、とうもろこしの芯や通販カタログが定番だった

アメリカの 田舎いなかでは、1920年代くらいまで、とうもろこしを 食べたあとの しんの 部分が、おしりふきに つかわれて いました。かわかした しんは、ちょうど よい かたさに なったためです[5]

その あと、家に とどく つうしん はんばいの カタログの ページが つかわれる ように なりました。1857年には、はじめて お店で 売られる トイレットペーパーも 作られましたが、あまり 売れませんでした[5]

アメリカの田舎では、1920年代くらいまで、とうもろこしを食べたあとの芯の部分が、お尻ふきに使われていました。乾かした芯は、ちょうどよい硬さになったためです[5]

そのあと、家に届く通信販売のカタログのページが使われるようになりました。1857年には、初めてお店で売られるトイレットペーパーも作られましたが、あまり売れませんでした[5]

アメリカの農村部では、乾燥させたとうもろこしの芯が1920年代ごろまで広く使われた。芯は硬すぎず柔らかすぎず、屋外トイレの隅に籠ごと常備されていたという[5]

1857年、実業家ジョセフ・ゲイエッティが商業用トイレットペーパーを発売したが、普及には至らなかった。当時の農村では、無料で毎年届く通信販売カタログの薄い紙のほうが広く使われ続けた。1871年、セス・ホイーラーがミシン目入りロール紙を作る機械の特許を取得し、1883年にはトイレットペーパー専用の特許も取得した。これが現在のロール式トイレットペーパーの原型となった[5]

6. 今の 世界でも、紙の 国と 水の 国が ある

6. 今の世界でも、紙の国と水の国がある

6. 世界の人口の多くは、今も水と手でおしりを洗う

今の 日本にほんでは、トイレットペーパーで ふくのが ふつうです。でも 世界ぜんたいで 見ると、じつは 水と 手で あらう 国の 人の ほうが 多いと いわれて います[6]

東南アジアや 中東(ちゅうとう)の おおくの 国では、トイレの よこに 小さな シャワーの ような どうぐが ついて いて、それで あらいます。日本にほんの おんすい せんじょう べんざは、紙で ふいた あとに 水で あらう、めずらしい くみあわせです(くわしくは べつの メモ)

今の日本では、トイレットペーパーでふくのが普通です。でも世界全体で見ると、実は水と手で洗う国の人のほうが多いといわれています[6]

東南アジアや中東の多くの国では、トイレの横に小さなシャワーのような道具がついていて、それで洗います。日本の温水洗浄便座は、紙でふいたあとに水で洗う、珍しい組み合わせです(詳しくは別のメモ)

現在の世界でも、紙で拭く文化圏は少数派で、世界人口のおよそ7割は水と手で洗う文化圏に属するとされる。イスラーム世界には「イスティンジャー」と呼ばれる作法があり、用便後に手桶やジョウロの水を左手ですくって洗浄する。東南アジアや中東の多くの国では、便器の横に手持ちのシャワーヘッド(ビデホース)が備え付けられている[6]

日本の温水洗浄便座は、紙で拭いたあとに温水で洗うという、紙文化と水文化を組み合わせた珍しい方式である。この便座自体の開発経緯や普及率については、当サイトの別記事「トイレの歴史」で扱っている[7]

7. 紙を 流せない 国も ある

7. 紙を流せない国もある

7. 下水管の細さから、紙をゴミ箱に捨てる国がある

日本にほんの トイレットペーパーは、水に つけると さっと とけるように 作られて います。でも 外国では、そう では ない 紙も 多く、そのまま 流すと トイレが つまって しまいます。

だから、ヨーロッパの 古い 町なみや、中南米(ちゅうなんべい)、アジアの いくつかの 国では、つかった 紙は 流さずに、トイレの よこの ゴミばこに すてる ことが 多くなります[8]

日本のトイレットペーパーは、水につけるとさっと溶けるように作られています。でも外国では、そうではない紙も多く、そのまま流すとトイレが詰まってしまいます。

だから、ヨーロッパの古い町並みや、中南米、アジアのいくつかの国では、使った紙は流さずに、トイレの横のゴミ箱に捨てることが多くなります[8]

日本のトイレットペーパーは水に溶けやすく設計されているが、海外では溶けにくい紙も多い。加えて、古い町並みでは下水管が細く老朽化しており、水圧も弱いことが多いため、紙をそのまま流すと詰まって逆流する事故が起きやすい。ギリシャやトルコ、多くの中南米諸国などでは、使用済みの紙を便器横のゴミ箱に捨てる習慣が定着している[8]

韓国では、1970年代までくみ取り式トイレが主流だったが、1980年代の水洗化の急速な普及に紙質の改善が追いつかず、紙詰まりを防ぐためにゴミ箱へ捨てる習慣が広まったとする説がある。くみ取り式の時代、屎尿を肥料として使うために紙などの異物を混ぜないようにしていた名残だという説もある[8]

じぶんでも やって みる

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

家に ある トイレットペーパーの ふくろを 見て、古紙(こし。つかい終わった 紙)が どれくらい つかわれて いるかや、1つの ロールの 長さが 何メートルかを しらべて みましょう。

もし 外国に 行く きかいが あったら、トイレの よこに ゴミばこが あるか どうかを 見て みましょう。

家にあるトイレットペーパーの袋を見て、古紙(使い終わった紙)がどれくらい使われているかや、1つのロールの長さが何メートルかを調べてみましょう。

もし外国に行く機会があったら、トイレの横にゴミ箱があるかどうかを見てみましょう。

身近な製品を確かめてみる

家にあるトイレットペーパーのパッケージ表示を確認し、原料(古紙パルプかバージンパルプか)や、古紙配合率、ロール1個あたりの長さを調べてみる。海外製の紙製品を入手する機会があれば、厚みや長さの違いを見比べてみるとよい。

資料を読む

  • 古代ローマの共用衛生用具の実際の用途について、専門的な記事や資料で調べてみる。[2]

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

  1. Hektoen International「Of toerags and spice boxes: Sanitation at sea」、Wikipedia(英語版)「Head (watercraft)」。 https://hekint.org/2024/04/25/of-toerags-and-spice-boxes-sanitation-at-sea/ (帆船の水夫が船首の便所〔ヘッド〕で麻縄をほぐした共用のロープを使い、使用後は海面に垂らして波で洗われるのを期待したこと、この習慣が赤痢や腸チフスなどの感染症の一因になったと考えられていること)
  2. Wikipedia(英語版)「Xylospongium」、ナショナルジオグラフィック日本版「トイレットペーパーがない時代、人々はどうやって尻を拭いたのか?」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Xylospongium (古代ローマの共用トイレにあった、木の棒に海綿を付けた道具〔クシロスポンギウム/テルソリウム〕の従来の解釈〔共用の肛門衛生用具、使用後は酢や塩水で洗浄〕と、最近の研究がトイレブラシだった可能性を指摘していること)
  3. コトバンク「籌木」、Japaaan「木片で尻ぬぐいですと!?超びっくり!な日本のトイレの歴史」。 https://kotobank.jp/word/籌木-567298 https://mag.japaaan.com/archives/89691 (紙が貴重だった時代の日本で、幅約3cm・長さ約15cmの木片「籌木」が使われたこと、福岡市の鴻臚館跡など古代トイレ遺構から現物が出土していること)
  4. Wikipedia(英語版)「Toilet paper」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Toilet_paper (589年ごろの学者・顔之推による、紙を清拭に使うことへの言及が最古級の記録とされること、14世紀初頭の浙江省での紙製トイレ用品の量産、1393年に明の皇室向けに香り付きの柔らかい紙1万5000枚が特別に製造され宮廷全体では年間約72万枚が使われたとされること)
  5. Farmers' Almanac「What Did People Use Before Toilet Paper?」、New York Almanack「Albany's Seth Wheeler: Inventor of Modern Toilet Paper」、Wikipedia(英語版)「Joseph Gayetty」。 https://www.farmersalmanac.com/before-toilet-paper https://www.newyorkalmanack.com/2023/04/albanys-seth-wheeler-inventor-of-modern-toilet-paper/ (アメリカの農村部で1920年代ごろまで乾燥とうもろこしの芯が使われたこと、1857年のジョセフ・ゲイエッティによる商業用トイレットペーパーが普及しなかったこと、1871年のセス・ホイーラーによるミシン目入りロール紙の機械特許、1883年のトイレットペーパー専用特許)
  6. ロシナンテス「紙?水?石?お尻を拭くための選択肢とは」、Wikipedia(日本語版)「イスラム世界の便所マナー」。 https://www.rocinantes.org/blog/3606/ https://ja.wikipedia.org/wiki/イスラム世界の便所マナー (世界人口のおよそ7割が水と手で洗う文化圏に属するとされること、イスラーム世界の「イスティンジャー」の作法、東南アジア・中東での手持ちシャワーヘッド〔ビデホース〕の普及)
  7. きになるノート「トイレの歴史 ── 水洗トイレは、なぜ2度発明されたのか」。 ../articles/toilet-history.html (温水洗浄便座〔ウォシュレット〕の開発経緯と普及率については、この記事で詳しく扱っている)
  8. クートンブログ「あの国はトイレットペーパーが流せる?流せない?」、アジア経済研究所「第4回 韓国──紙、流すべきか、流さざるべきか」。 https://blog.qooton.co.jp/entry/2016/03/01/113200 https://www.ide.go.jp/Japanese/IDEsquare/Column/ISQ000019/ISQ000019_004.html (下水管の細さや水圧の弱さから紙をゴミ箱に捨てる国が多いこと、韓国で1970年代までくみ取り式が主流だったこと、1980年代の水洗化に紙質改善が追いつかずゴミ箱に捨てる習慣が定着した経緯、屎尿を肥料利用していた名残という説)

なおした ところ

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