1. 船のりは、ロープの さきで おしりを ふいて いた
1. 船乗りは、ロープの先でお尻をふいていた
1. 帆船の水夫は、共用のロープでお尻を拭いていた
むかしの 帆を つかった 大きな 船には、トイレットペーパーは ありませんでした。
船のりたちは、トイレの あなの そばに ある、古い ロープを つかいました。ロープの さきを ほぐして やわらかく し、それで おしりを ふいて いました。つかい終わった ロープは、そのまま 海に もどしました。波に あらわれて、また つかえる ように なると 考えられて いました[1]。
昔の帆を使った大きな船には、トイレットペーパーはありませんでした。
船乗りたちは、トイレの穴のそばにある、古いロープを使いました。ロープの先をほぐして柔らかくし、それでお尻をふいていました。使い終わったロープは、そのまま海に戻しました。波に洗われて、また使えるようになると考えられていました[1]。
2. 古代 ローマ人は、1本の 海綿ぼうを みんなで つかった
2. 古代ローマ人は、1本の海綿棒をみんなで使った
2. 古代ローマの共用トイレには、海綿を付けた棒があった
古代の ローマには、みんなで つかう 大きな トイレが ありました。そこには、木の ぼうの さきに 海綿(海の いきものの やわらかい からだ)を くくりつけた 道具が おいて あったと いわれて います。
この 道具で おしりを ふいたあと、水や 酢の 入った バケツに ひたして、つぎの 人が つかいました[2]。ただし さいきんの けんきゅうでは、これは おしりを ふく 道具では なく、トイレそうじ用の ブラシだったのでは、と いう 考えも 出て きて います。
古代のローマには、みんなで使う大きなトイレがありました。そこには、木の棒の先に海綿(海の生き物の柔らかい体)をくくりつけた道具が置いてあったといわれています。
この道具でお尻をふいたあと、水や酢の入ったバケツにひたして、次の人が使いました[2]。ただし最近の研究では、これはお尻をふく道具ではなく、トイレ掃除用のブラシだったのでは、という考えも出てきています。
3. 日本では、木の ヘラで こすって いた
3. 日本では、木のヘラでこすっていた
3. 日本では、籌木という木のヘラが使われていた
むかしの 日本では、紙は とても たかい ものでした。だから おしりを ふく ために、紙を つかい すてに する ことは できませんでした。
かわりに つかわれたのが、うすくて 細長い 木の ヘラです。「籌木」と よばれる この 木の ヘラで、おしりの よごれを けずり おとして いました。福岡の むかしの トイレの あとからは、この 木の ヘラが たくさん 見つかって います[3]。
昔の日本では、紙はとても高いものでした。だからお尻をふくために、紙を使い捨てにすることはできませんでした。
代わりに使われたのが、薄くて細長い木のヘラです。「籌木」と呼ばれるこの木のヘラで、お尻の汚れを削り落としていました。福岡の昔のトイレの跡からは、この木のヘラがたくさん見つかっています[3]。
4. 紙で ふく やり方は、中国で 生まれた
4. 紙でふくやり方は、中国で生まれた
4. 紙で拭く方法は、中国で生まれ商品化された
紙を さいしょに 作ったのは 中国です。紙を おしりふきに つかった という きろくも、いまから 1400年くらい 前の 中国に のこって います[4]。
1300年代には、たくさんの 紙を トイレ用に 作る 工場が できました。皇帝(その 国で いちばん えらい 人)の 家族の ために、においを つけた とくべつな トイレ用紙も 作られて いたと いいます[4]。
5. アメリカでは、とうもろこしの しんや カタログが つかわれた
5. アメリカでは、とうもろこしの芯やカタログが使われた
5. アメリカでは、とうもろこしの芯や通販カタログが定番だった
アメリカの 田舎では、1920年代くらいまで、とうもろこしを 食べたあとの しんの 部分が、おしりふきに つかわれて いました。かわかした しんは、ちょうど よい かたさに なったためです[5]。
その あと、家に とどく つうしん はんばいの カタログの ページが つかわれる ように なりました。1857年には、はじめて お店で 売られる トイレットペーパーも 作られましたが、あまり 売れませんでした[5]。
6. 今の 世界でも、紙の 国と 水の 国が ある
6. 今の世界でも、紙の国と水の国がある
6. 世界の人口の多くは、今も水と手でおしりを洗う
今の 日本では、トイレットペーパーで ふくのが ふつうです。でも 世界ぜんたいで 見ると、じつは 水と 手で あらう 国の 人の ほうが 多いと いわれて います[6]。
東南アジアや 中東(ちゅうとう)の おおくの 国では、トイレの よこに 小さな シャワーの ような どうぐが ついて いて、それで あらいます。日本の おんすい せんじょう べんざは、紙で ふいた あとに 水で あらう、めずらしい くみあわせです(くわしくは べつの メモ)。
今の日本では、トイレットペーパーでふくのが普通です。でも世界全体で見ると、実は水と手で洗う国の人のほうが多いといわれています[6]。
東南アジアや中東の多くの国では、トイレの横に小さなシャワーのような道具がついていて、それで洗います。日本の温水洗浄便座は、紙でふいたあとに水で洗う、珍しい組み合わせです(詳しくは別のメモ)。
7. 紙を 流せない 国も ある
7. 紙を流せない国もある
7. 下水管の細さから、紙をゴミ箱に捨てる国がある
日本の トイレットペーパーは、水に つけると さっと とけるように 作られて います。でも 外国では、そう では ない 紙も 多く、そのまま 流すと トイレが つまって しまいます。
だから、ヨーロッパの 古い 町なみや、中南米(ちゅうなんべい)、アジアの いくつかの 国では、つかった 紙は 流さずに、トイレの よこの ゴミばこに すてる ことが 多くなります[8]。
日本のトイレットペーパーは、水につけるとさっと溶けるように作られています。でも外国では、そうではない紙も多く、そのまま流すとトイレが詰まってしまいます。
だから、ヨーロッパの古い町並みや、中南米、アジアのいくつかの国では、使った紙は流さずに、トイレの横のゴミ箱に捨てることが多くなります[8]。
日本のトイレットペーパーは水に溶けやすく設計されているが、海外では溶けにくい紙も多い。加えて、古い町並みでは下水管が細く老朽化しており、水圧も弱いことが多いため、紙をそのまま流すと詰まって逆流する事故が起きやすい。ギリシャやトルコ、多くの中南米諸国などでは、使用済みの紙を便器横のゴミ箱に捨てる習慣が定着している[8]。
韓国では、1970年代までくみ取り式トイレが主流だったが、1980年代の水洗化の急速な普及に紙質の改善が追いつかず、紙詰まりを防ぐためにゴミ箱へ捨てる習慣が広まったとする説がある。くみ取り式の時代、屎尿を肥料として使うために紙などの異物を混ぜないようにしていた名残だという説もある[8]。
じぶんでも やって みる
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
家に ある トイレットペーパーの ふくろを 見て、古紙(こし。つかい終わった 紙)が どれくらい つかわれて いるかや、1つの ロールの 長さが 何メートルかを しらべて みましょう。
もし 外国に 行く きかいが あったら、トイレの よこに ゴミばこが あるか どうかを 見て みましょう。
家にあるトイレットペーパーの袋を見て、古紙(使い終わった紙)がどれくらい使われているかや、1つのロールの長さが何メートルかを調べてみましょう。
もし外国に行く機会があったら、トイレの横にゴミ箱があるかどうかを見てみましょう。
身近な製品を確かめてみる
家にあるトイレットペーパーのパッケージ表示を確認し、原料(古紙パルプかバージンパルプか)や、古紙配合率、ロール1個あたりの長さを調べてみる。海外製の紙製品を入手する機会があれば、厚みや長さの違いを見比べてみるとよい。
資料を読む
- 古代ローマの共用衛生用具の実際の用途について、専門的な記事や資料で調べてみる。[2]
しらべた ところ
参考にした情報源
参考にした情報源
- Hektoen International「Of toerags and spice boxes: Sanitation at sea」、Wikipedia(英語版)「Head (watercraft)」。 https://hekint.org/2024/04/25/of-toerags-and-spice-boxes-sanitation-at-sea/ (帆船の水夫が船首の便所〔ヘッド〕で麻縄をほぐした共用のロープを使い、使用後は海面に垂らして波で洗われるのを期待したこと、この習慣が赤痢や腸チフスなどの感染症の一因になったと考えられていること)
- Wikipedia(英語版)「Xylospongium」、ナショナルジオグラフィック日本版「トイレットペーパーがない時代、人々はどうやって尻を拭いたのか?」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Xylospongium (古代ローマの共用トイレにあった、木の棒に海綿を付けた道具〔クシロスポンギウム/テルソリウム〕の従来の解釈〔共用の肛門衛生用具、使用後は酢や塩水で洗浄〕と、最近の研究がトイレブラシだった可能性を指摘していること)
- コトバンク「籌木」、Japaaan「木片で尻ぬぐいですと!?超びっくり!な日本のトイレの歴史」。 https://kotobank.jp/word/籌木-567298 https://mag.japaaan.com/archives/89691 (紙が貴重だった時代の日本で、幅約3cm・長さ約15cmの木片「籌木」が使われたこと、福岡市の鴻臚館跡など古代トイレ遺構から現物が出土していること)
- Wikipedia(英語版)「Toilet paper」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Toilet_paper (589年ごろの学者・顔之推による、紙を清拭に使うことへの言及が最古級の記録とされること、14世紀初頭の浙江省での紙製トイレ用品の量産、1393年に明の皇室向けに香り付きの柔らかい紙1万5000枚が特別に製造され宮廷全体では年間約72万枚が使われたとされること)
- Farmers' Almanac「What Did People Use Before Toilet Paper?」、New York Almanack「Albany's Seth Wheeler: Inventor of Modern Toilet Paper」、Wikipedia(英語版)「Joseph Gayetty」。 https://www.farmersalmanac.com/before-toilet-paper https://www.newyorkalmanack.com/2023/04/albanys-seth-wheeler-inventor-of-modern-toilet-paper/ (アメリカの農村部で1920年代ごろまで乾燥とうもろこしの芯が使われたこと、1857年のジョセフ・ゲイエッティによる商業用トイレットペーパーが普及しなかったこと、1871年のセス・ホイーラーによるミシン目入りロール紙の機械特許、1883年のトイレットペーパー専用特許)
- ロシナンテス「紙?水?石?お尻を拭くための選択肢とは」、Wikipedia(日本語版)「イスラム世界の便所マナー」。 https://www.rocinantes.org/blog/3606/ https://ja.wikipedia.org/wiki/イスラム世界の便所マナー (世界人口のおよそ7割が水と手で洗う文化圏に属するとされること、イスラーム世界の「イスティンジャー」の作法、東南アジア・中東での手持ちシャワーヘッド〔ビデホース〕の普及)
- きになるノート「トイレの歴史 ── 水洗トイレは、なぜ2度発明されたのか」。 ../articles/toilet-history.html (温水洗浄便座〔ウォシュレット〕の開発経緯と普及率については、この記事で詳しく扱っている)
- クートンブログ「あの国はトイレットペーパーが流せる?流せない?」、アジア経済研究所「第4回 韓国──紙、流すべきか、流さざるべきか」。 https://blog.qooton.co.jp/entry/2016/03/01/113200 https://www.ide.go.jp/Japanese/IDEsquare/Column/ISQ000019/ISQ000019_004.html (下水管の細さや水圧の弱さから紙をゴミ箱に捨てる国が多いこと、韓国で1970年代までくみ取り式が主流だったこと、1980年代の水洗化に紙質改善が追いつかずゴミ箱に捨てる習慣が定着した経緯、屎尿を肥料利用していた名残という説)
なおした ところ
更新履歴
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