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ヤクルトの ようきの 形は、だれの もの?

ヤクルトの容器の「形」は誰のもの? ── 商標・意匠・著作権のちがい

商標権・意匠権・著作権の違い ── 容器の「形」が商標になるまで

分野:社会・くらし

ヤクルトの ようきを 手に もって、字を ゆびで かくして みて ください。それでも「ヤクルトだ」と わかりませんか。

じつは この ようきの 形だけで、「ヤクルトの もの」と みとめられた ことが あります。形を まもる きまりは 1つでは ありません。商標しょうひょう、意匠いしょう、著作権ちょさくけんの ちがいを たどります。

ヤクルトの容器は、1968年の発売から形を変えずに売られてきたと、ヤクルト本社は説明しています[13]。文字を指でかくしても、あの形を見れば「ヤクルトだ」と思う人は多いはずです。

この形は、2010年に裁判所の判断を経て、商標として登録が認められる道が開かれました。デザインを守る法律には、商標のほかに意匠、著作権もあります。3つは何がちがうのか、この容器を手がかりに見ていきます。

2010年11月16日、知的財産高等裁判所は、ヤクルトのプラスチック容器について、立体商標の登録を認めなかった特許庁の審決を取り消した。この容器は1968年から形を変えずに販売されてきた[13]。

形やデザインを守る制度は、商標権・意匠権・著作権の3つがある。守る対象、権利の発生のしかた、存続期間はそれぞれ異なる。条文と特許庁の整理をもとに違いを確かめ、なぜ容器の形が商標になり得たのかを、2つの裁判の例から考える。

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1. 形は、だれかの ものに なるの?

1. 文字がなくても「あの会社の商品だ」と分かる形

1. 文字のない容器の形を巡る2つの判決

ヤクルトの ようきは、1968年から ずっと おなじ 形だと いわれます[13]。おなじ 形の ボトルが 50年 いじょう 前から あると いう ことです。

2010年、この 形だけを「ヤクルトの しるし」と して 登録とうろくして ほしいと いう 話で、裁判所さいばんしょが、国の 特許庁とっきょちょうの「みとめない」と いう 決めごとを 取り消しました[13]。

形が「しるし」に なる。ふしぎですね。まず、形や デザインを まもる 3つの きまりを ならべて みましょう。

ヤクルトのプラスチック容器は、1968年から形を変えずに販売されてきました。2010年11月16日、知的財産高等裁判所は、この容器の立体商標の登録を認めなかった特許庁の審決を取り消しています[13]。

文字のない容器の形が商標として認められるのは、コカ・コーラの瓶に続いて2例目とされます[13]。商標というと名前やマークを思い浮かべがちなので、形だけでいいのかと不思議に思うかもしれません。

その前に、形やデザインを守る法律を3つ並べて、守るものがどうちがうのかを整理しておきます。

知財高裁は2010年11月16日、ヤクルトのプラスチック容器(1968年から形を変えず販売)の立体商標登録を拒絶した特許庁の審決を取り消した。文字なしの容器の形としては、コカ・コーラ瓶に次ぐ2例目とされる[13]。

商標は一般に名称やマークを想起させる。形状のみで登録が争われた点が、この事例の要点である。ただし取消しは特許庁の判断が誤りとされたという意味で、以下では法の仕組みと判決の理由づけを分けて確かめる。

まず、形やデザインに関わる3つの権利がそれぞれ何を守るのかを整理する。

2. 3つの きまりは、なにを まもるの?

2. 「どこの商品か」「見た目」「表現」── 守るものがちがう

2. 商標法・意匠法・著作権法の目的の違い

3つの きまりは、まもる ものが ちがいます。

商標しょうひょうは、「これは どこの 会社の 商品か」を しめす 名前や しるしです。ものを 買う 人が まちがえないように、会社の 信用しんようを まもります[2]。たとえるなら、商品に つけた 名ふだです。ただし 本当は、名前だけでなく、形や 色や 音も 商標しょうひょうに なれます[1]。

意匠いしょうは、ものの 形や もようの デザインです。新しい デザインを つくる ことを はげまして、ものづくりを 元気に します[3]。

著作権ちょさくけんは、絵や 音楽や 文章など、人が つくった 作品を まもります。文化が 育つ ことが ねらいです[10]。

商標法の目的は、商標を使う人の仕事の上での信用を守ることです。あわせて、買う人の利益も守るとされています[2]。商標は文字・図形・記号・立体的な形・色・音などで、商品やサービスに使うものです[1]。たとえるなら、商品につけた名札のようなものですが、名札は名前だけでなく形や色や音でもかまいません。

意匠法が守るのは、物の形・模様・色などのデザインです。新しいデザインを創り出すことをはげまし、産業の発達に役立てるのが目的です[3]。見た人が美しさを感じるものであることが、意匠の条件の1つになっています[4]。

著作権法は、著作者の権利を守るとともに、作品を公正に利用できるようにして、文化の発展に役立てることを目的にしています[10]。

同じ「形」でも、商標は「どこの商品か」を、意匠は「見た目の新しさ」を、著作権は「表現そのもの」を見ている、と整理できます。

商標法第1条は、商標を使う者の業務上の信用の維持を図り、産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする[2]。商標は、文字・図形・記号・立体的形状・色彩・音などのうち、商品や役務に使うものを指し、名称に限らない[1]。

意匠法第1条は、意匠の保護と利用を図って創作を奨励し、産業の発達に寄与することを目的とする[3]。意匠は、物品などの形状・模様・色彩で、視覚を通じて美感を起こさせるものとされる[4]。

著作権法は、著作者等の権利の保護と文化的所産の公正な利用への配慮を通じて、文化の発展に寄与することを目的とする[10]。

3法の目的は、商標=出所への信用と需要者の保護、意匠=創作の奨励、著作権=文化の発展、と重心が異なる。産業財産権(意匠・商標など)が「産業の発達」を掲げ、著作権が「文化の発展」を掲げる点も対照的である。

3. 3つの きまりは、いつ はじまって、いつ おわる?

3. 登録して始まる権利と、創ったとたんに始まる権利

3. 方式主義と無方式主義 ── 発生と存続期間の比較

はじまり方も ちがいます。

商標しょうひょうと 意匠いしょうは、国の 特許庁とっきょちょうに 出願しゅつがんして、しらべて もらい、登録とうろくされて はじめて 権利けんりに なります[5][1]。著作権ちょさくけんは、絵や 文章を つくった ときに、なにも しなくても 生まれます[6]。

おわりの 時期も ちがいます。商標しょうひょうは、登録とうろくから 10年で いちど おわりますが、更新こうしんすれば つづけられます。意匠いしょうは 出願しゅつがんから 25年で おわります。著作権ちょさくけんは、つくった 人が なくなってから 70年まで つづきます[7][6]。

商標しょうひょうは、同じような ものを 先に 出願しゅつがんした 人が 登録とうろくできる きまりです[8]。

商標権と意匠権は、特許庁に出願し、審査を受け、登録されてはじめて発生します[5]。特許庁の整理でも、産業財産権は登録で生まれ、著作権は作品をつくった時点で生まれるとされます[1]。著作権には、登録などの手続きは要りません[6]。

続く長さも異なります。商標権は設定登録の日から10年で終わりますが、更新の申請をすれば延ばせます。意匠権は出願の日から25年で終わると定められています。著作権は作品ができたときに始まり、原則として著作者の死後70年まで続きます[7][6]。数え始める日が、商標は登録日、意匠は出願日と、そろっていないことにも気づきます。

登録制の商標には、もう1つ特徴があります。同じ商標や似た商標が複数出願されたとき、登録できるのは原則として最初に出願した人だけです。先に使っていた人が必ず勝つわけではありません(承諾や先に使った人の権利など、例外もあります)[8]。

特許庁の整理では、産業財産権(特許・実用新案・意匠・商標)は出願・審査・登録を経て発生する方式主義、著作権は創作の完成で自動的に発生する無方式主義である[1]。条文上も、意匠権は設定の登録により発生し[5]、著作権の享有には方式の履行を要しない[6]。

存続期間は、商標権が設定登録の日から10年(更新登録の申請により更新可)、意匠権が出願の日から25年、著作権が創作の時から原則として著作者の死後70年である[7][6]。起算点も、商標は登録日、意匠は出願日で異なる。

日本の商標は先願主義をとり、同一・類似の商標に複数の出願があれば、最先の出願人のみが登録を受けられる(商標法第8条第1項)[8]。承諾を得た場合などの例外があり、先使用権も別に定めがあるため、「必ず早い者勝ち」とは言えない。

4. 形が「しるし」に なれた わけ

4. 使われ続けた形が、商標になれた理由

4. 立体商標と使用による識別力 ── コカ・コーラ瓶からヤクルト容器へ

形を 商標しょうひょうに できる 立体商標りったいしょうひょうの しくみは、1997年に はじまったと いわれます[11]。ペコちゃん人形や カーネル・サンダースの ぞうなども 登録とうろくされて います[11]。

ただし、ふつうの 形は、どの 会社も 使う ものなので、「この 会社の しるし」とは みとめにくい ものです。それでも、長い あいだ 使われて、買う 人が「あの 会社の 商品だ」と わかるように なっていれば、登録とうろくできる きまりが あります[9]。

2008年、裁判所さいばんしょは コカ・コーラの ようきの 形を、長い あいだ おなじ 形で たくさん 売られ、たくさん 知らされた ことを ふまえて、みとめました[12]。2010年の ヤクルトも おなじ 流れです[13]。

形が 商標しょうひょうとして みとめられる ためには、長く 使われた ことだけでなく、買う 人が 形を 見て 商品を みわけられる ことが 大切です。

形そのものを商標にできる立体商標の制度は、1996年の商標法の改正を受けて1997年に始まったと紹介されています。ペコちゃん人形、カーネル・サンダース像、ヤクルト容器などの登録例があります[11]。

ただし、ありふれた形は、どの会社も使うものなので、そのままでは登録できません。それでも商標法は、使われた結果として、買う人が「どこかの会社の商品だ」と分かるようになっていれば登録できると定めています[9]。

2008年5月29日、知財高裁はコカ・コーラの容器の形について、長年にわたる一貫した使用、大量の販売、多額の宣伝広告があったことなどから、形に積み重なった識別力が極めて強いと判断しました。文字や図形のない容器の形の登録としては初の例とされます[12]。2010年のヤクルトは、これに続く2例目とされます[13]。

ありふれた形でも、長く使われて、買う人が形から「あの会社の商品だ」と見分けられるようになれば、商標として認められる場合がある。制度の側から見ると、そんな筋道です。

立体商標制度は、1996年の商標法改正を受けて1997年に導入された。ペコちゃん人形、カーネル・サンダース像、ヤクルト容器などの登録例がある。この記述はWikipedia由来なので、施行年は特許庁の資料でも確かめたい[11]。

ありふれた形は識別力が弱く、本来は登録を受けにくい。商標法第3条第2項は、使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であると認識できるものは登録を受けられるとする[9]。

知財高裁は2008年5月29日(平成19年(行ケ)第10215号)、コカ・コーラ容器の立体的形状について、長年の一貫した使用・大量の販売実績・多大な宣伝広告から、自他商品の識別力が極めて強いとして、登録を認めなかった審決を取り消した。文字や図形のない容器の形そのものの登録としては初の例とされる[12]。

ヤクルトは2010年11月16日に同様の判断が出た2例目で、1968年からの長年の使用により、形状だけでも識別力を獲得したとされる[13]。共通するのは、形が最初から商標に向いていたのではなく、使用の積み重ねが識別力を生んだ点である。

5. じぶんでも しらべて みたく なったら

5. 自分でも調べてみたくなったら

5. 自分でも調べてみたくなったら

やってみよう。おうちに ある おかしや のみものの ようきを 1つ えらんで、字や マークを ゆびで かくして みましょう。形だけで、どこの 商品か わかりますか。わからない ものと わかる ものを くらべて みると、おもしろいですよ。

もっと 知りたい ときは、おうちの 人と いっしょに、特許庁とっきょちょうの ホームページで、商標しょうひょうや 意匠いしょうの ことを しらべて みましょう。

次のようなことを、調べたり試したりできそうです。

  • 家にある飲み物やお菓子の容器を選び、文字やマークをかくして、形だけで何の商品か分かるか試してみましょう。分かるものと分からないものは、何がちがうのでしょうか。
  • 「どこの会社か」を示すもの、「見た目の新しさ」に関わるもの、「作品」として楽しむものを、身の回りから1つずつ探してみましょう。
  • 特許庁のサイトで、産業財産権と著作権のちがいの説明を読んでみましょう[1]。

確かめられることが、資料の側にも身の回りにもある。

  1. 家にある容器から、文字を隠しても識別できそうな形のものを1つ選び、その理由(長く使われている、独特の形状など)を考えてみる。
  2. e-Govの条文(商標法第3条・第8条・第19条、意匠法第1条・第20条など)を読み、この記事の要旨と食いちがう点がないか確かめる[9][8][7]。
  3. コカ・コーラ判決・ヤクルト判決の本文を裁判所や判例集で探し、識別力の判断理由が紹介記事の要約と同じかを確かめる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:e-Gov法令検索の条文(要旨で使用)、特許庁の解説、ヤクルト本社の発表、判決の紹介記事、Wikipediaを突き合わせた。条文と判決の本文は取得結果の要約をもとにしており、原文の一字一句までは確かめていない。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 特許庁「産業財産権について」。https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/seidogaiyo/chizai01.html (産業財産権と著作権の発生のちがい、商標・意匠の説明)
  2. 商標法第1条(e-Gov法令API)。https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=334AC0000000127;article=1 (商標法の目的)
  3. 意匠法第1条(e-Gov法令API)。https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=334AC0000000125;article=1 (意匠法の目的)
  4. 意匠法第2条(e-Gov法令API)。https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=334AC0000000125;article=2 (意匠の定義)
  5. 意匠法第20条(e-Gov法令API)。https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=334AC0000000125;article=20 (意匠権が登録で発生すること)
  6. 著作権法第51条(e-Gov法令API)。https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=345AC0000000048;article=51 (著作権の始まりと期間)
  7. 商標法第19条(e-Gov法令API)。https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=334AC0000000127;article=19 (商標権と意匠権の存続期間)
  8. 商標法第8条(e-Gov法令API)。https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=334AC0000000127;article=8 (先願主義)
  9. 商標法第3条(e-Gov法令API)。https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=334AC0000000127;article=3 (使われた結果登録できる場合)
  10. 著作権法第1条(e-Gov法令API)。https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawId=345AC0000000048;article=1 (著作権法の目的、要旨のみ)
  11. 「立体商標」Wikipedia。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%8B%E4%BD%93%E5%95%86%E6%A8%99 (立体商標の導入時期と登録例)
  12. Westlaw Japan「知財高裁 コカ・コーラ容器判決」(2008年)。https://www.westlawjapan.com/column/2008/080707/ (コカ・コーラ容器の判決の紹介)
  13. ヤクルト本社ニュースリリース。https://www.yakult.co.jp/news/article.php?num=515 (ヤクルト容器の判決日と容器の販売開始年)

なおした ところ

更新履歴

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