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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

マヨネーズの あかちゃんは だれ?

キユーピーのマークは、100年以上前の雑誌のイラストから来た

キユーピーのマークの由来 ── 1909年の雑誌のイラストから、1925年の商標、1957年の社名へ

分野:歴史・文化

マヨネーズの ふくろに、はねの ついた かわいい あかちゃんが います。かみの けは、てっぺんが とがって います。

この あかちゃんは、はじめから マヨネーズの ために うまれたのでは ありません。ずっと むかしに、ある ひとが えがいた えから はじまった そうです。どうして かいしゃの なまえと マークに なったのか、しらべて みました。

マヨネーズの袋やびんには、羽のある赤ちゃんの絵が描かれています。頭の上は、ちょんと尖った髪です。あの絵は、会社が自分で考えたものではなく、もとはアメリカの雑誌に載ったイラストだったといわれます。

それがどうして、日本の食品会社の名前とマークになったのでしょうか。このメモでは、イラストの生まれ、人形としての広まり、大正時代の流行、社名になるまでの道すじを、会社の公式サイト、新聞記事、弁理士事務所の解説で調べました。マヨネーズの中身についてはマヨネーズのメモで扱ったので、ここでは名前とマークの話に絞ります。

マヨネーズの容器に描かれた、羽のある赤ちゃんのマークは、1909年にアメリカのイラストレーター、ローズ・オニールが描いたキューピーに由来する。日本では1925年のマヨネーズ発売で商標に使われ、1957年には社名にもなった。

このメモでは、イラストの生まれ、人形としての広まり、大正期の流行の中でブランド名に選ばれた経緯、そして商標をめぐる知財高裁の判断を、企業の公式資料、新聞、弁理士事務所の解説で調べた。ただし、助言者や商標の扱いなど、二次資料でしか確かめられなかった点は、その旨を書く。マヨネーズそのものについてはマヨネーズのメモで扱った。

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1. さいしょは、ざっしの えだった

1. 最初は、雑誌に載った1枚の絵だった

1. 1909年12月号 ── Ladies' Home Journal に載ったイラスト

キューピーを えがいたのは、アメリカの ローズ・オニールさんです。1909ねんの 12がつごうの ざっしに、はじめて のりました[1]。

なまえは、ローマの かみさまの キューピッドから きて います。キューピッドは、あいの かみさまです。

オニールさんは、キューピーの ことを「まるくて ちいさな ようせいで、みんなが たのしく やさしく なるように おしえる」と せつめい した そうです[2]。かわいい だけでは なくて、ねがいが こめられた えだった のです。

キューピーを描いたのは、アメリカのイラストレーター、ローズ・オニールです。1909年12月号の雑誌『Ladies' Home Journal』に載った漫画が、世に出た最初とされます[1]。名前は、ローマ神話の愛の神キューピッド(Cupid)から来ています。

オニール自身は、キューピーを「陽気で親切であることを、人々に教えるための、小さな丸い妖精」と説明したと伝えられています[2]。夢で見た姿だという話も語られますが、本人の談とされる話なので、ここでは事実としては書きません。

キューピー(Kewpie)は、米国のイラストレーター、ローズ・オニール(Rose O'Neill)が創作し、1909年12月号の雑誌『Ladies' Home Journal』に掲載された漫画で世に出た[1]。名称はローマ神話に登場する愛の神キューピッド(Cupid)に由来する。この点は、美術館の解説と英語版Wikipediaで一致する[2]。

オニールはキューピーを、人々に陽気で親切であることを教える「小さな丸い妖精」と説明したとされる[2]。「夢で見た」という誕生譚もあるが、本人の談とされるにとどまり、一次資料では確認していない。

2. にんぎょうに なって、せかいへ

2. 人形になり、日本でも大流行した

2. 1912年の人形化と、大正期の日本での流行

えは、やがて にんぎょうに なりました。1912ねんごろ、ドイツで、やきものの にんぎょうが つくられはじめた そうです[2]。その あと、ざいりょうも いろいろに ひろがりました。

にほんには、たいしょうの はじめに にゅうりました。とても はやって、たくさんの かいしゃが「うちの マークに したい」と おもった と いわれます[5]。

いまで いえば、おおにんきの キャラクターを、みんなが ほしがった ようなものです。

絵が人形になったのは、1912年ごろのことです。ドイツで、ビスク人形(陶磁器のような焼き物の人形)としてキューピー人形の製造が始まり、その後、素材もさまざまに広がっていきました[2]。オニールは一時、アメリカで最も高収入の女性イラストレーターと評されたそうです。

日本には、大正の初めに西洋から入ってきました。あっという間に流行し、多くの会社が自社の商標にしようとする動きになったと、経済メディアの記事は伝えています[5]。今なら、大人気のキャラクターの絵を、みんなが自分の商品につけたがるようなものです。

つまり、のちにマヨネーズに使われるキューピーは、その流行の中で選ばれた一つでした。

人形化は1912年ごろ、ドイツで始まる。ビスク人形が最初に作られ、のちにコンポジション、セルロイドなどの素材に広がった[2]。オニールは一時、米国で最も高収入の女性イラストレーターと評されたという。

日本には大正初期に西洋から入り、流行したため、多くの企業が便乗して商標にしようとした、とされる[5]。この記事は二次資料であり、当時の商標の実数は確かめていない。ここで押さえておきたいのは、キユーピーがこの流行の中で選ばれたブランドの一つだったことである。

3. マヨネーズと キユーピーの であい

3. マヨネーズの発売と、ブランド名の選択

3. 1919年の創業と、1925年のブランド名採用

キユーピーの かいしゃは、1919ねんに できました。さいしょの なまえは「しょくひん こうぎょう」です。ソースや かんづめを つくって いました[3]。この ころは、まだ キューピーの マークを つかって いません。

1925ねんに、にほんで はじめての マヨネーズを うりだしました。その ときに、なまえに キユーピーを えらびました。かいしゃの ホームページには、その ころ にんきの キャラクターだったから、と あります[4]。

かいしゃの おおもとの ひとの そばには、「ブランドが だいじだよ」と すすめた ひとが いた そうです[6]。しんぶんの きじには、その ひとが すすめた のは「キユーピー」と かかれて います。

そうだんした ひとの なまえは、しんぶんの きじの ほうでは わかりません。べつの きじでは、たかさきさん という ひとだった と かかれて います。ほんとうに そうだったのか、しりょうが わかれて いるので、ここでは こまかく かきません。

会社の始まりは、1919(大正8)年です。前身は「食品工業株式会社」で、ソースや缶詰を作る会社でした。この時点では、まだキューピーのマークは使っていません[3]。

1925(大正14)年、日本で初めてのマヨネーズ「キユーピー マヨネーズ」を発売し、このとき商標を使いました[4]。公式サイトは、ブランド名には当時人気だったキャラクターの「キユーピー」を採用した、と説明しています。

創業者の中島董一郎に、ブランドの大切さを諭して、キユーピーを勧めた人がいたと、新聞のインタビュー記事は伝えています[6]。この助言者は、別の記事では、中島の水産講習所時代の先輩の高碕達之助とされています[5]。

同じ記事によると、缶詰用にキューピーの商標を先に登録していたのは、日魯漁業でした。中島は「日本語でも英語でも通じ、絵にもできる名前」を探していて、高碕の仲立ちで、使えるようになったとされます。ただし、譲ってもらったのか、使う許可をもらったのかは、資料によって書き方が違うので、断定しません。

会社の前身は、1919(大正8)年に設立された食品工業株式会社で、ソース類や缶詰の製造から始まった[3]。この時点ではキューピーのマークを使っていない。1925(大正14)年に日本初のマヨネーズ「キユーピー マヨネーズ」を発売し、そのときキユーピーの商標を使用した。公式サイトは、ブランド名には当時人気だったキャラクターを採用したと説明する[4]。

採用の経緯は、日本経済新聞のインタビュー記事に、「ブランドが重要だと諭され、キユーピーというブランドを勧められた」とある[6]。助言者について同記事に名前はなく、Diamond Onlineは、創業者・中島董一郎の水産講習所時代の先輩で、日魯漁業とも関わりの深い高碕達之助としている[5]。

Diamond Onlineによれば、日魯漁業は缶詰用にキューピーの商標を先に登録しており、中島は日本語でも英語でも通じ、イラストにできる名前を求め、高碕の仲介で使用が可能になった[5]。日経の記事は「譲って」と書き、Diamondは使用許可に近い書き方で、譲渡か許諾かは資料によって異なる。どちらかは、社史や登録原簿などの一次資料で確かめる必要がある。

4. にんぎょうが、マークに なるまで

4. 人形が商標として登録され、有効とされた理由

4. 商標登録と、知財高裁の判断

キューピーは、せかいじゅうで ひろく しられて いました。それなのに、どうして 1つの かいしゃの マークに できたのでしょう。

キユーピーの しょうひょうは、1922ねんに にほんで とうろくされた、と べんりしの じむしょが かいせつ して います[7]。あとで、この とうろくが ゆうこうか どうかが、あらそわれました。

さいばんしょは、この とうろくを ゆうこうと はんだん しました。りゆうの ひとつは、こうです。キューピーの にんぎょうは、つくった ひとが オニールさんだとは しられずに、せいようの ぶんかから きた、あかちゃんの すがたの キャラクターとして、だれでも じゆうに つかって よいと おもわれて いた、と いう ものです。

さいばんしょが「ゆうこう」と はんだんした りゆうは、ほかにも あったかも しれません。ここでは さいばんの くわしい ことは かきません。ただ、「つくった ひとが しられず、だれでも じゆうに つかえると おもわれて いた」ことが、りゆうの ひとつに なりました。

キューピーは、世界中で広く知られていました。それなのに、なぜ1つの会社のマークにできたのでしょうか。

弁理士事務所の解説によると、キユーピーの商標は1922年に日本で登録されました[7]。その後、この登録が有効かどうかが争われました。知的財産高等裁判所は、登録を有効と判断しました。

その理由の一つとして、裁判所は次のように述べたと紹介されています。商標を出願した時点までに、キューピー人形は、創作者がオニールだとは認識されないまま、西洋文化に由来する幼児姿のキャラクターとして、誰もが自由に使えるものと理解されていた、というものです[7]。

出願のとき、創作者が知られず、誰もが自由に使えるキャラクターと理解されていたことなどが、登録を有効とする判断の理由の一つになりました。少し不思議な話です。裁判の細かい内容は、ここでは書きません。

マークス国際弁理士法人のニュースレターによれば、キユーピーの商標は1922年に日本で登録された(米国では1965年)[7]。ロゴが広まったのは、マヨネーズを発売した1925年からとされる。登録年と発売年を混ぜないよう、注意が要る。

その有効性が争われた事件で、知財高裁は登録を有効とした。同ニュースレターによると、判断の理由の一つは、出願時までに、キューピー人形が、創作者がオニールであると認識されることなく、西洋文化に由来する幼児姿のキャラクターとして誰もが自由に使用できるものと理解されていた、というものである[7]。

出願時に、創作者が知られず、誰もが自由に使えるキャラクターと理解されていたことなどが、登録を有効とする判断の理由の一つになった。判決の日付や事件番号は確認しておらず、ここでは述べない。また、1922年の登録は二次資料による記述で、特許庁のデータベースでは確かめていない。

5. かいしゃの なまえに なるまで

5. 社名になるまでと、名前の書き方

5. 1957年の社名変更と、表記・羽の謎

1957ねんに、かいしゃは なまえを かえました。「しょくひん こうぎょう」から「キユーピー」に なったのです[4]。マヨネーズが うられて 30ねん いじょう、みんなに したしまれた ブランドを、そのまま かいしゃの なまえに した そうです。

なまえの かきかたには、ひみつが あります。ふつうは「キューピー」ですが、この かいしゃは「キユーピー」と かきます。「ユ」が おおきい のです。かいしゃは、デザインの りゆうだと いって います[8]。

もうひとつ、はねの ことです。むかしの マークには、はねが なかった と いわれます。いつから はねが かかれた のかは、わかって いません。

1957(昭和32)年、食品工業株式会社は、キユーピー株式会社に社名を変えました[4]。マヨネーズの発売から30年以上、親しまれてきたブランド名を、そのまま社名にしたのです。

名前の書き方にも、こだわりがあります。一般には「キューピー」と書きますが、会社の正式な表記は「キユーピー」で、「ユ」が大きい文字です。会社は、デザイン上の理由としています[8]。

マークの羽については、もとは描かれていなかったといわれますが、いつから描かれたのかは、はっきりしていません。2013年からは、イスラム圏向けの商品に、羽のないキユーピーを使っていると紹介されています。天使と誤解されないため、と説明されています[9]。ただし、羽の有無は会社の公式資料では確かめていません。

1957(昭和32)年、食品工業株式会社はキユーピー株式会社に社名を変更した。マヨネーズ発売から30年以上親しまれたブランドを、そのまま社名にしたものである[4]。創業者・中島董一郎の志は、おいしく栄養のあるマヨネーズを生活必需品となるまで広く普及させ、日本人の体格と健康の向上に貢献することだと、公式サイトは紹介している。「誰からも愛されるように」という願いが込められた、という説明は二次資料の表現で、中島本人の言葉とは断定できない[8]。

表記は「キユーピー」で、小さい「ユ」の「キューピー」ではない。同社はデザイン上の理由としている[8]。ロゴの羽は、かつてはなく、いつから描かれたか不明とされる。日本語版Wikipediaによれば、2013年からイスラム圏向けには羽のないキユーピーを使い、天使と誤解されないためとされる[9]。羽の有無は公式資料では未確認である。

6. しらべて みよう

6. 身の回りのマークを確かめ、資料を読む

6. 身の回りで確かめる、資料にあたる

いえに、キユーピーの マヨネーズや ドレッシングが あれば、ふくろや ラベルを 見て みましょう。なまえは、「ユ」が おおきい かたちで かかれて いるでしょうか。あかちゃんの せなかには、はねが あるでしょうか。

ほかにも、いえに ある しょくひんの ふくろや はこを 見て、キャラクターや マークが ついて いる ものを さがして みましょう。その マークは、いつごろ からあるのか、かいしゃの ホームページの「これまでの あゆみ」で しらべられる ことも あります。

家にキユーピーのマヨネーズやドレッシングがあれば、容器やラベルを見てみましょう。名前の「ユ」は大きく書かれているでしょうか。マークの赤ちゃんに羽はあるでしょうか。

ほかにも、家にある食品の袋や箱で、キャラクターやマークのついたものを探してみます。そのマークがいつごろからあるのかは、会社の公式サイトの沿革ページなどで調べられることがあります。マークが選ばれた理由は、会社ごとに違うかもしれません。

公式サイトの「歩みと未来」のページや社史には、助言者や商標のやりとり、羽の由来がどう記録されているでしょうか。読んで確かめてみましょう。

家にキユーピーの容器があれば、社名の「ユ」の大きさと、マークの羽の有無を見てみるとよい。ほかの食品の袋や箱でも、キャラクターやマークを探し、その由来を会社の公式サイトの沿革で調べられることがある。

資料を読むなら、まずキユーピーの公式サイトの沿革「キユーピーの歩みと未来」が入口になる[4]。本文で保留にした点(助言者、日魯漁業との商標の扱い、1922年の登録、羽の由来)は、社史や特許庁の商標データベース(J-PlatPat)など、一次資料で確かめる余地がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。英語の資料は、内容を日本語にして説明しました。

  1. Springfield Art Museum「Rose O'Neill and the Kewpie Comics」。 https://www.sgfmuseum.org/257/Rose-ONeill-and-the-Kewpie-Comics (1909年12月号の初出と、名前がキューピッドに由来すること。英語)
  2. Wikipedia(英語)「Kewpie」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Kewpie (初出の確認、オニールの説明、1912年の人形化。百科事典)
  3. キユーピー「沿革(企業情報)」。 https://www.kewpie.com/company/about/history/ (1919年の創業と、最初の事業。会社の公式ページ)
  4. キユーピー「キユーピーの歩みと未来」。 https://www.kewpie.com/history/ (ブランド名の採用、1925年のマヨネーズ発売、1957年の社名変更。会社の公式ページ)
  5. Diamond Online「大正時代に乱立した“キューピー商標”の実態」。 https://diamond.jp/articles/-/389823 (大正期の流行、日魯漁業の先行登録、助言者の名前。経済メディアの記事)
  6. 日本経済新聞「マヨネーズは劇的進化 キユーピー会長語る100年」。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40405600U9A120C1000000/ (ブランド名を勧められた経緯。新聞のインタビュー記事)
  7. マークス国際弁理士法人「ニュースレター118」。 https://japan.marks-iplaw.jp/newsletter-118/ (1922年の商標登録と、知財高裁の判断の理由。弁理士事務所の解説)
  8. Wikipedia(日本語)「キユーピー」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%BC (羽の有無と、イスラム圏向けの商品について。百科事典)

なおした ところ

更新履歴

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