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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

山の 上の てっとうは、どうやって たてるの?

山の上に送電鉄塔を建てる ── 道づくりから、鉄塔に支えられて伸びるクレーンまで

山岳地の送電鉄塔は、どう建てるのか ── 運搬手段、深礎基礎、クライミングクレーン

分野:技術

山の 上に、大きな てっとうが たって います。まわりに 道は ありません。あんな ところへ、どうやって ざいりょうを 上げたのでしょう。

てっとうを 作る 人たちの くふうを、たどって みましょう。

山の尾根や頂上近くに、送電線を支える鉄塔が立っています。車が入れる道のない場所もあります。そういう場所には、鉄骨を積んだトラックも、コンクリートを運ぶミキサー車も行けません。

この記事では、まず資材を山へ上げる方法、次に地面の下の基礎、最後に鉄塔を組み上げるクレーンの順に、建設の流れを見ていきます。

山岳地に建つ送電鉄塔は、資材を運ぶ手段の確保から始まる。運搬手段が部材の重さを決め、深礎基礎で足元を固め、鉄塔自身を支えにするクレーンで組み上げる[1][6]。

このメモでは、電力会社や送電工事会社の資料を突き合わせて、その流れを追う。なお、電線を張る延線は主題にせず、最後に一言ふれるにとどめる。

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1. まず、なにを 作るの?

1. 鉄塔より先に、荷物の通り道を作る

1. 建設地点まで、資材をどう運ぶか ── 仮設道路・索道・ヘリコプター・モノレール

てっとうを たてる 前に、まず ざいりょうを 運ぶ 道を 作ります。大きく 4つの 方ほうが あります[1]。

ひとつは、かりの 道を つくる やり方。ほかに、ロープで つる さくどう、ヘリコプター、山を のぼる 小さな でんしゃの ような モノレールが あります。

さくどうは、ロープウェイと にた しくみです[2]。山の ふもとから 上まで、ロープに にもつを ぶらさげて 運びます。

ヘリコプターは、さくどうも 作れない 山で 使われます[2]。

4つの運び方

公道から鉄塔を建てる地点までの運搬方法は、大きく4つに分けられています。仮設道路、索道、ヘリコプター、モノレールです[1]。

索道はロープウェイに近い構造で、公道から遠く、標高差の大きい現場で多く使われるそうです[2]。地形や距離を見てモノレールのほうが費用面で有利なら、そちらを選びます。索道すら設置できない山岳地では、ヘリコプターの出番です[2]。

つまり、山の形と距離で、最初の一手が変わります。鉄塔の設計より前に、「どうやって荷物を上げるか」の答えが要るのです。

公道から各鉄塔の建設地点までの資機材運搬は、仮設道路、索道、ヘリコプター利用、モノレールの4種に大別される[1]。

選択の目安は地形と費用にある。公道から遠く標高差のある現場で道が作れなければ索道(ロープウェイに類する構造)が多く用いられ、地形・距離から費用面で有利ならモノレール、索道が設置できない山岳地ではヘリコプターとされる[2]。

ただし、これは施工会社が示す選択の目安だ。

2. ぶひんの おもさは、だれが きめる?

2. 部品の重さは、運ぶ手段が決める

2. 運搬重量制限と部材の分割

さくどうや ヘリコプターは、いちどに 運べる おもさが きまって います。だから てっとうの ぶひんは、その おもさより かるく なるように 分けて 作られます[1][2]。

さくどうで 運ぶ ぶひんは、運べる おもさを こえないように 分けて 作ります[1]。

たとえるなら、ちいさな カバンに 引っこしの にもつを つめる ときの ようです。カバンに はいる 大きさに 分けて つめます。ただし 本当は、てっとうの ぶひんは 1つ 1つが とても おもい 金ぞくです。

運べる重さから逆算する

鉄塔の部材は、好きな大きさで作れるわけではありません。索道で運べる重さは、約2〜3トン以下という目安が示されています[1]。ヘリコプターも同じで、機種の運搬能力に合わせて部材の重さが制限されます[2]。ある資料では、ベル214Bというヘリコプターの例で、約2トン以下とされています[1]。ただし上限は機種ごとに違うので、これはあくまで一例です。

そのため、鉄塔の部材は運べる重さより軽くなるよう分けて作られます。設計の段階で、運搬の都合が形を決めているわけです。

索道の運搬重量制限は約20〜30kN(2〜3tf)とされ、部材の単体重量はそれ以下に配慮して設計される。ヘリコプターについては、ベル214Bで20kN(約2,000kgf)程度以下とする例が示されている[1]。

この上限は機種により変わるため、2トンを一般値とはせず、あくまで一例として読むべきである。別の資料も、ヘリコプターの運搬能力に合わせて部材の重量が制限されると述べる[2]。

鉄塔は完成形から逆算して作られるのではなく、運搬手段の制約が部材の寸法・重量に先に効いている。この点は、次章のクレーン部材(1〜2tf以下)にもつながる。

3. つちの 下は、どう なって いるの?

3. 地面の下に、円筒形の深い穴を掘る

3. 基礎工事 ── 深礎基礎の掘削から埋め戻しまで

てっとうは、つちの 下にも ひみつが あります。山の 上に たてる 大きな てっとうの きそは、ふかさが 数十メートルに なる ことも あります[3]。

さいごに 大切な ことが あります。工事が おわると、ほった ところを うめもどして、もとの 山に ちかい かたちに もどします[4]。

山にふさわしい「深礎」

山岳地で起伏の激しい場所には、深礎(しんそ)基礎という方法が向くとされています[3]。円筒形の深い穴を掘り、そこにコンクリートを詰める基礎です。

穴は直径数メートル、深さは数メートルから数十メートル。掘るときは、鋼製のライナープレートという板を壁に入れながら、少しずつ掘り進めます[1]。基礎の深さは一般に3〜25メートル程度で、数十メートルに届くのは山岳地の大型鉄塔の一部です[4][3]。

ミキサー車が入れないときは、ヘリコプターなどでコンクリートを運びます[3]。工事の順番は、掘削、鉄筋、コンクリート、養生、埋め戻しです。終わると、敷地を元の地形に近い形へ復元します[4]。

起伏の激しい山岳地には、円断面・筒形の深礎基礎が適する[3]。寸法は直径数m、深さ数m〜数十mで、ライナープレートの高さ分だけ掘っては挿入し、これを繰り返して掘り進める[1]。基礎の深さは3〜25m程度とされ、数十mに達するのは山岳地の大型鉄塔の場合に限られる[4][3]。

工程は、掘削、鉄筋、コンクリート打設、養生、埋め戻しの順。養生が終わると掘削地を埋め戻し、原地形に近い形へ復元する[4]。コンクリートミキサー車が鉄塔位置まで入れない場合は、ヘリコプターなどでコンクリートを運ぶ[3]。

4. クレーンは、どこに 立つの?

4. 鉄塔に支えられながら、鉄塔と一緒に伸びるクレーン

4. クライミングクレーン工法 ── 鉄塔に支えられて組み上げる

山の 上に、大きな クレーンを 運ぶのは たいへんです。そこで、クレーンを てっとうの まんなかに 立てます。

てっとうが 高く なるのに あわせて、クレーンの はしらも つぎたして、のびて いきます[5]。てっとうと いっしょに せが のびる クレーンです。

この クレーンは、ばらばらに して 運べます[6]。だから 山の 上でも 使えるのです。

鉄塔と一緒に、クレーンも高くなる

山の上に大型クレーンを据えるのは難しいので、鉄塔の中心にクレーンの鉄柱を立て、組み上げた鉄塔の部材に支えを取って安定させます。鉄塔を下から組み上げるのに合わせ、クレーンの鉄柱も継ぎ足して高くしていきます[5]。先端のブームで部材を吊り上げ、所定の位置に組みます[6]。

このクレーンは分解して運べるので、主に山岳地の組み立てに使われます[6]。ただし能力には限りがあり、ある施工会社の資料では、作業できる高さは100〜200メートル、扱う部材は1つ約1〜2トン以下に抑えるとされています[1]。

前の章と同じく、運べる重さに合わせて部材を分けて作ります。

クライミングクレーン工法(タワークレーン工法)は、鉄塔の中心にクレーンの鉄柱を立て、先端のブームで部材を吊り上げて組む。鉄塔の組み上がりに合わせてクレーン側の鉄柱も継ぎ足して高くしていく[5][6]。クレーンを分解して運搬できるため、主に山岳地の組立に適用される[6]。

能力の目安は、最大吊り荷重×作業半径で約300〜600kN・m、作業可能な高さは100〜200m、部材の単体重量は約10〜20kN(1〜2tf)以下。この工法は、索道やヘリコプターの制限に合わせて部材を小さく分けることで成り立つ[1]。

5. さいごに ボルトを とめるのは、だれ?

5. 最後は、高い所で人の手が留める

5. 高所でのボルト締結と鉄塔の規模

クレーンが つり上げた ぶひんを、高い ところで 人が ボルトと ナットで とめます[5]。さいごは、人の 手です。

てっとうの 高さは、いろいろです。でんりょくがいしゃの せつめいでは、40〜60メートル ほどが ふつうですが、うみを こえる ところでは 200メートルを こえる ものも あります[8]。

クレーンで吊り上げられた部材は、高所で待つ職人がボルトとナットで留めます。最終的には人の手で取り付けられます[5]。

完成した鉄塔の大きさは、送電電圧や立地条件によって違います。ある資料の標準的な2回線鉄塔では、500kV級で高さ70〜90メートル、質量50〜100トン程度です[7]。電力会社の説明では、一般的な送電鉄塔の高さは40〜60メートル程度、海峡を渡る場所では船との間隔を取るため200メートルを超えるものもあります[8]。

電線を張る作業には、ヘリコプターが使われることもあります。それはヘリコプターの記事で取り上げています。

クレーンで吊り上げた部材は、高所で待つ職人がボルトとナットで留める。最終的な取り付けは人の手による[5]。

鉄塔の規模は電圧階級や立地条件で異なる。標準的な2回線鉄塔で、66〜154kV級は高さ30〜50m・質量7〜30t程度、500kV級は高さ70〜90m・質量50〜100t程度、1000kV級は高さ90〜110m・質量200〜400t程度とされる[7]。一方、電力会社は一般的な送電鉄塔の高さを40〜60m程度と説明し、海峡横断箇所では航行船舶との離隔確保のため200mを超えるものもあるとする[8]。両者の数字は分類の切り方が異なるため、単純には比べられない。

電線を張る延線作業は本メモでは扱わない。ヘリコプターを使う延線は、当サイトの別記事で扱っている。

6. てっとうを 見つけたら

6. 鉄塔を見かけたら、遠くから確かめてみる

6. 出口 ── 現地観察と、資料の読みどころ

さんぽや 車の まどから、てっとうを さがして みましょう。足もとに、コンクリートの どだいが 見えるでしょうか。ふもとの 道は あるでしょうか。

ちかづいたり、のぼったり しては いけません。かならず 遠くから 見ます。

散歩や車の窓から、鉄塔を探してみましょう。足元にコンクリートの土台が見えるでしょうか。近くに、資材を運んだかもしれない道はあるでしょうか。

柵の中には入らず、鉄塔にも近づかず、遠くから見るだけにします。もっと知りたくなったら、電力会社の「鉄塔の役割」のページ[8]や、鉄塔ができるまでの解説[3]を読んでみてください。

身近な鉄塔を遠くから観察し、根元の基礎の形と、周囲の地形・道の有無を見比べると、運搬手段の選択(第1章)を想像しやすい。敷地内には立ち入らず、鉄塔にも近づかないこと。

資料を読むなら、施工会社の「建設工事施工」[1]が、運搬重量制限からクレーン能力まで数値つきで読める。ルート選定の考え方は電力会社の解説[8]にあり、起伏・地層・気象・生活環境・保守点検・費用などを調べて検討するとされる。地図で送電線と尾根の位置を見比べ、この検討項目と照らしてみるのもよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:送電工事会社・施工会社の解説と、電力会社の説明ページを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. タワーライン・ソリューション「建設工事施工」。https://www.k-tls.co.jp/overhead-tml/kouji.html (運搬方法の4分類、運搬重量制限、深礎基礎の寸法、クレーンの能力)
  2. 平野電業「仮設工事」。https://hirano-ele.co.jp/electric_solution/temporary (索道とヘリコプターの使い分け、ヘリの運搬能力による部材重量の制限)
  3. 「鉄塔ができるまで(TRANSMISSION TOWER)」。https://tettou2019.net/ (基礎の深さ、深礎基礎、ヘリコプターによるコンクリート運搬)
  4. 西嶋電設「基礎工事」。https://www.nden.co.jp/kiso (基礎工事の順番、埋め戻しと地形の復元、基礎の深さ)
  5. 三興工業「送電・無線鉄塔の組み立て」。https://sanko-kougyou.co.jp/business-construction/ (クレーンの継ぎ足し、高所での人の手によるボルト留め)
  6. 岳南建設「送電工事の流れ」。https://www.gakunan.co.jp/work/flow/ (タワークレーン工法、分解して山岳地へ運べること)
  7. タワーライン・ソリューション「架空送電線の分類と規模」。https://www.k-tls.co.jp/overhead-tml/shurui.html (電圧別の鉄塔の高さ・質量)
  8. 中国電力ネットワーク「鉄塔の役割・機能」。https://www.energia.co.jp/nw/safety/facility/tetto_photo/about.html (一般的な鉄塔の高さ、ルート選定の考え方)

なおした ところ

更新履歴

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