1. 20トンの にもつは、どこまで ふつうの こと?
1. 空でも28トンの機体に、20トンの荷物
1. Mi-26 の数字 ── 空虚28.2t、積載約20t、離陸重量56t
Mi-26の おもさは、なにも のせて いない ときで 28トン ぐらいです。にもつは 20トンまで のせられます[1]。
ぜんぶ あわせて 56トンまで、じめんから はなれる ように つくられて います[1]。からっぽの ときの、およそ 2ばいです。
上に ある プロペラ(ローター)の 大きさは、ちょっけいが 32メートルです[1]。ふつうの 学校の プールの ながさ(25メートル)より、ずっと 大きいのです。
Mi-26 の空虚重量は約28,200kg、最大離陸重量は56,000kgです。積める荷物は最大で約20トンとされています[1]。離陸できる重さは、空っぽのときのおよそ2倍という計算になります。
メインローターの直径は32m、ブレード(羽根)は8枚です[1]。学校の25mプールより、羽根の回る円のほうが大きいことになります。荷物を積める機体は、まず羽根が大きい。数字を見るだけでも、そのことが伝わってきます。
Mi-26 は、量産されたヘリコプターとして最も重い荷物を運ぶ機体のひとつ、と紹介されています[1]。
Mi-26(初飛行1977年)の主な諸元は、空虚重量28,200kg、最大離陸重量56,000kg、最大積載約20,000kg、メインローター直径32m・8枚ブレードとされる[1]。28,200+20,000=48,200kgなので、最大離陸重量との差は約7,800kgだが、この差の内訳は今回の資料では確認できない。
「量産ヘリとして最大級」という位置づけは資料の書き方によるもので、世界一といい切れるかは基準しだいだ。二次資料のWikipediaによれば、Mi-26 は「2,000mまで持ち上げた質量」の国際航空連盟(FAI)世界記録(56,768.8kg、1982年)を今も持つと記されている[1]。
2. おもさを ささえる 力は、どこから くるの?
2. 荷物の重さも、羽根が空気で支えている
2. ホバリングは揚力と重量のつり合い ── 荷物の重さも足される
ヘリは、大きな はねを まわして、空気を 下へ おくります。すると、ヘリは 上へ おされます。
この 上へ おす 力(ようりょく)が、ヘリと にもつと ねんりょうを あわせた おもさと ちょうど おなじだと、空で とまります。もっと 大きく なると、上へ のぼります[2]。
にもつを のせたり ぶらさげたり すると、その おもさも たされます。にもつが かるく なる わけでは ありません。だから、おもい にもつほど、力の 大きな ヘリが いるのです。
ヘリコプターが空中で止まるとき、上向きの力(揚力)と、下向きの重さがつり合っています。揚力が、機体・燃料・荷物を合わせた重さを上回ると、上昇します[2]。
揚力の元は、回る羽根が空気を下に押し出し、その反動で自分が上に押されることです。ヘリは羽根の角度を変えて、この力を調整します。羽根の回る仕組みの詳しい話は、竹とんぼを扱った別のメモに任せます。
吊った荷物の重さも、ヘリが支える重さに足されます。機体の下に吊るしたからといって、荷物の重さが減ったり消えたりはしません。だから重い荷物を運ぶ機体は、羽根が大きく、力が大きくなります。
3. にもつは、おなかの 下の フックで はこぶ
3. 機体の腹の下に荷物を吊る「カーゴフック」
3. カーゴフック ── 機体下面に付けて外部吊り下げを行う
ヘリの おなかの 下には、「カーゴフック」という かぎが ついて います。にもつを ひっかけて、ぶらさげて はこびます[3]。
CH-47(チヌーク)という ヘリは、おなかに フックが 3つ あります[5]。まえと うしろに 大きな ローターが 1つずつ あって、たがいに ぎゃくむきに まわります[4]。
ヘリコプターの外に荷物を吊る道具が、カーゴフックです。機体の腹の下に付いていて、飛んでいる間、外部の荷物を運べます[3]。主なフックは、胴体の下面に直接取り付けられます。
付ける場所も考えられています。ある資料には、機体の重心の真下あたりに置くことで、吊り荷が飛行に与える悪い影響を減らす考え方がある、と説明されています[3]。
CH-47 チヌークは、前後に1つずつローターを持つタンデム方式で、腹側に3つの外部カーゴフックがあります[4][5]。2つのローターが逆に回るので、尾部の小さな反トルク用ローターがいらず、出力を揚力と推進に回せる、と説明されます[5]。
カーゴフックは、機体下面に懸架し、飛行中の外部吊り下げ輸送を可能にする装置だ。主フックは胴体下面に直接取り付ける[3]。設置位置は重心直下または回転系の直下と説明され、吊り荷が飛行に及ぼす悪影響を減らすためとされる。
CH-47Fはタンデム(前後2つ)ローター方式で、Boeingは有用荷重27,700lb(12,565kg)、最大速度302km/hと公表する。ただし有用荷重は燃料なども含む値で、吊り荷だけの数字ではない[4]。腹側に3つの外部カーゴフックを持ち、CH-47Dでは最大約26,000lb(約12,000kg)を機外に吊れると記される[5]。逆回転の2ローターにより尾部の反トルクローターが不要になり、出力のすべてを揚力と推進に使える点が特徴とされる[5]。
4. にもつだけを はこぶ、空とぶ クレーン
4. 荷物を積む部屋のない「空飛ぶクレーン」
4. S-64 スカイクレーン ── 外部吊り下げ専用に設計された機体
アメリカの S-64 スカイクレーンは、にもつを のせる へやが ありません。ぶらさげて はこぶ ために つくられた、「空とぶ クレーン」です[6]。
大きな はねは 6まいで、ちょっけいは 22メートルぐらいです[6]。
山火事を けす ときは、1まんリットルぐらいの タンクを つけたり、みずを つぎたして もらったり できます。45びょうぐらいで、いっぱいに できると いわれます[6]。
5. ぶらさげた にもつが ゆれたら、どうする?
5. 吊った荷物が揺れ出したら、手放すという選択
5. 吊り荷の振れ ── 速度が上がるほど強く、ときに切り離す
ぶらさげた にもつは、ぶらんこの ように ゆれる ことが あります。大きくて かるくて、かたちが ふぞろいな にもつは、あるはやさで ゆれはじめる ことが ある、と 書かれて います[7]。
だから、さいしょは ゆっくり すすみます。それでも ゆれが とまらない ときは、じめんに おろします。ひとが あぶなくない ように 気を つけて、にもつを はなす ことも あります[7]。
ヘリは「はこぶ」だけでなく、「はなす」と きめる ことも あるのです。
吊った荷物は、飛んでいる間、機体と違って自由に動きます。英国民間航空局(CAA)の資料には、フックが1つだけの場合、荷物はねじれたり、風の抵抗が大きい向きになったり、回ったり、振り子のように揺れたりしうる、とあります[7]。
この影響は、速く飛ぶほど強くなります。フック1つのヘリは、本来出せる速度を出せないことも多い、という説明です[7]。また、大きくて軽く、形が不規則な荷物は、ある速度で揺れ始めることがあります。そのため、最初はゆっくり加速します。
それでも荷物が落ち着かないときは、地面に降ろすか、地上の人の安全に配慮したうえで、すばやく切り離します[7]。運んでいた荷物を手放すのが、いちばん安全な選択になる場合があるのです。
6. あつい 日や たかい ところでは、力が おちる
6. 暑い日、高い場所では、持ち上げる力が落ちる
6. 高温・高い気圧高度・多湿は性能を下げる ── 最大能力は固定値ではない
おなじ ヘリでも、いつも おなじ おもさを もちあげられる わけでは ありません。とても あつい 日、たかい 山の 上、しめった 日は、ヘリの 力が 大きく おちる ことが あると されて います[7]。
パイロットは、力が たりないと 思ったら、しごとを やめます[7]。ですから、「この ヘリは 20トン」という 数字は、いつでも 使える 数字では ないのです。
ヘリコプターの性能は、周りの空気の状態で変わります。CAAの資料は、高温、高い気圧高度、多湿は、どれもヘリの性能を大きく下げうる、と述べています[7]。パイロットは、十分な性能が残っていないと判断したら、作業を中止します。
だから、カタログに載っている「積める重さ」は、いつでも使える固定の数字ではありません。Mi-26 の20トンも、CH-47 の約12トンも、S-64 の約9トンも、条件しだいで小さくなる数字として読む必要があります。
7. やまの てっとうと、ヘリコプターの 意外な しごと
7. 山の送電線工事で、ヘリが運んでいるもの
7. 出口 ── 山の送電線工事は「何を吊るか」の工夫
山の 中に、電線を ひっぱる てっとうを たてる ときも、ヘリが つかわれます。でも、ヘリは 重い 電線を そのまま はこぶのでは ありません。かるい ナイロンの ロープを まず はって、そのあとに、ワイヤー、電線と、じゅんばんに 入れかえて いきます[8]。
やって みよう:ペットボトルに 水を はんぶん 入れて、ふたを しっかり しめます。ふたに ひもを つけて、ひもの 上を もち、まわりに ひとや ものが ない ところで、まえと うしろに ゆっくり うごかして みましょう。うごかす はやさを かえると、ゆれかたは どう かわるでしょう。
日本の山岳地の送電線工事では、電線そのものは重くて運びにくいので、ヘリで運べる軽いナイロンロープを鉄塔の間に張ります。そのあと、順にワイヤーロープ、電線へと入れ替えていきます。関西電力送配電の例では、約12kmに30基の鉄塔があり、工事は4か月かかっています[8]。ヘリは、軽いものを運ぶことで重い仕事を助けていたのです。
やってみよう:ペットボトルに水を半分入れ、ふたをしっかり閉めて、ふたにひもを結びます。ひもの上を持ち、周りに人や物がない場所で、手を前後にゆっくり動かしてみてください。動かす速さを変えると、水の入ったボトルの揺れ方がどう変わるかを観察できます。吊った荷物の動きの、ごく小さな再現です。
近くに山の送電線があれば、鉄塔を見上げてみるのもよいでしょう。
関西電力送配電の工事例では、電線を直接ヘリで運ぶのではなく、ヘリで運べる軽いナイロンロープを鉄塔間に張り、順にワイヤーロープ、電線へ交換していく。約12kmに鉄塔30基、工事期間は4か月とされる。吊り上げ能力の数字は同ページにはない[8]。「吊り上げ能力の大きさ」だけでなく、「何を吊るか」を選ぶ工夫が、山の工事を支えている。
やってみよう:ペットボトルに水を半分入れて蓋をしっかり閉め、蓋にひもを結ぶ。ひもの上を持ち、周りに人や物がない場所で、手を前後にゆっくり動かし、次に速さを変える。吊り荷が振り子のように動く様子を観察できる。
資料を読むなら、送電線工事の紹介ページが日本語で読みやすい[8]。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:機体の数字は、メーカー公式ページと百科事典の記述を使った。吊り荷の運用は、英国民間航空局(CAA)の資料を使った。日本の工事の例は、電力会社の公式ページを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- "Mil Mi-26" Wikipedia, The Free Encyclopedia。 https://en.wikipedia.org/wiki/Mil_Mi-26 (Mi-26の重さ・ローターの大きさ・積載量・世界記録について)
- ホームメイト「ヘリコプターの仕組み」。 https://www.homemate-research-heliport.com/useful/17560_facil_041/ (空中停止が揚力と重力のつり合いで成り立つことについて)
- "Cargo hook (helicopter)" Wikipedia, The Free Encyclopedia。 https://en.wikipedia.org/wiki/Cargo_hook_(helicopter) (カーゴフックの位置と役割について)
- Boeing「H-47 Chinook」。 http://www.boeing.com/defense/military-rotorcraft/h-47-chinook (CH-47Fの有用荷重・タンデムローター・最大速度について)
- "Boeing CH-47 Chinook" Wikipedia, The Free Encyclopedia。 https://en.wikipedia.org/wiki/Boeing_CH-47_Chinook (CH-47のフック3つ・逆回転ローター・機外吊り下げ量について)
- "Sikorsky S-64 Skycrane" Wikipedia, The Free Encyclopedia。 https://en.wikipedia.org/wiki/Sikorsky_S-64_Skycrane (S-64の設計・ペイロード・消火タンクについて)
- 英国民間航空局(CAA)"CAP 426 Helicopter external sling load operations"(2021)。 https://www.caa.co.uk/publication/download/12326 (吊り荷の振れ・切り離し・高温高地の影響について)
- 関西電力送配電「ヘリコプターを利用した送電線の新設工事」。 https://www.kansai-td.co.jp/supply/initiatives/mission/aerial-06.html (山岳地の送電線工事で運ぶものの工夫について)
なおした ところ
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