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ここに書いてあることは、誰かが実際に手を動かして調べ、考え、作り上げてきたものを拾い集めています。専門の本や論文、作品、そしてそれを生み出した人たち。気になったことがあれば、ぜひそのおおもとに直接ふれてみてください。このメモには書ききれない熱を、感じてもらえると思います。

めがねと コンタクトレンズと 手術しゅじゅつ、なにが ちがうの?

メガネ、コンタクトレンズ、レーザー手術 ── 見え方を直す道具は、何がちがうのか

視力を直す3つの道具 ── メガネ・コンタクトレンズ・手術は、光をどこで曲げているか

分野:からだ

めがねを かけます。コンタクトレンズを つけます。手術しゅじゅつを うけます。どれも「見えかたを なおす」ための ものですが、めの どこを かえて いるかは、それぞれ ちがいます。

このメモでは、めが わるく なる わけでは なく(それは べつの メモで しらべました)、それを なおす どうぐの しくみだけを しらべました。日本の 学会の しりょうや、めがねと コンタクトレンズの れきしを しらべた ろんぶんを よんで まとめました。

メガネをかけます。コンタクトレンズをつけます。レーザーの手術を受けます。どれも「見え方を直す」という同じ目的のために使われますが、目のどこに手を加えているかは、それぞれまったくちがいます。

このメモで調べるのは、近視や老眼がなぜ起きるかではなく(それは別のメモで調べました)、それを直すために使われている道具そのもののしくみです。日本眼科学会や日本近視学会の資料、メガネとコンタクトレンズの素材の歴史をたどった論文を読んで、メガネのレンズ、コンタクトレンズ、寝ている間につけるレンズ、レーザーの手術まで、順番にまとめました。

メガネをかける、コンタクトレンズをつける、レーザーで手術を受ける。この3つは「見え方を直す」という同じ目的のために使われるが、光をどこで曲げているかは、まるでちがう。メガネは目の外側の空中、コンタクトレンズは角膜の表面、手術は角膜そのもの、あるいは目の内部だ。

このメモで調べるのは、近視や老眼がなぜ起きるかではない(それは近視のしくみと目のピント合わせの別のメモで調べた)。ここで見ていくのは、そのずれを直すために使われている道具そのものの中身だ。メガネのレンズは何でできているのか、コンタクトレンズはなぜ目にのせても見えるのか、寝ている間だけつけるレンズがあるのはなぜか、レーザーの手術は目の何を変えているのか。日本眼科学会・日本近視学会の資料と、メガネ・コンタクトレンズの素材の歴史をたどった論文を読んで整理した。

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1. めがねを かけると、なぜ きゅうに はっきり 見えるの?

1. メガネをかけると、なぜ急にはっきり見えるのか

1. 光の通り道を変える ── 道具はどこで、光を曲げているか

めに はいった ひかりは、角膜かくまくという めの まどと、めの なかの レンズで まがって、おくの まくに うつります。まがりかたが ぴったり あわないと、ぼやけて 見えます。

コップに 水を いれて、ストローを ななめに いれて みましょう。水に つかった ところだけ、おれまがって 見えます。ひかりが、くうきから 水に うつる とき、すすむ むきが かわるからです。とうめいな ものを、ひかりの みちに おくだけで、見えかたは かわります。

めがねも、コンタクトレンズも、手術しゅじゅつも、この「ひかりを まげる」を つかって います。ちがうのは、その とうめいな ものを、めから どれくらいの ところに おくかです。めがねは、めの すこし まえ。コンタクトレンズは、めの おもてに ぴったり。手術しゅじゅつは、めの なかまで かえます。この じゅんばんで 見て いきましょう。

目に入った光は、角膜かくまくと水晶体という2枚のレンズで曲げられて、網膜の上に像を結びます。この曲げ方がぴったり合っていないと、像は網膜の前や後ろでぼやけてしまいます[1]。近視や遠視、老眼がなぜ起きるのかは、別のメモ(近視のしくみ、目のピント合わせ)で調べました。このメモで見ていくのは、そのずれを直すために使われている道具そのものです。

コップに水を入れて、ストローを斜めに入れてみると、水につかった部分だけ折れ曲がって見えます。光が、空気から水という別のものに移るときに、進む向きが変わるからです。透明なものを、光の通り道に置くだけで、像の見え方は変わります。メガネもコンタクトレンズも、レーザーの手術も、もとをたどれば同じ原理です。ちがうのは、その透明なものを、目からどれくらいの位置に置くかです。

メガネは、目の手前およそ1〜2センチの空中に置きます。コンタクトレンズは、角膜の表面に直接のせます。手術は、角膜そのものの形を変えるか、目の中にレンズを足します。外から目の中心へ、道具の置き場所がだんだん近づいていきます。この順番で、3つの道具を見ていきます。

目に入った光は、角膜かくまくと水晶体という2枚のレンズで曲げられ、網膜の上に像を結ぶ。この曲げ方がぴったり合っていないと、像は網膜の前や後ろでぼやけてしまう[1]。近視や遠視、老眼がなぜ起きるかは、別のメモ(近視のしくみ、目のピント合わせ)で調べた。このメモで見ていくのは、そのずれを直すために使われている道具そのものだ。

コップに水を入れて、ストローを斜めに入れてみると、水につかった部分だけ、折れ曲がって見える。光が、空気から水という別のものに移るとき、進む向きが変わるからだ。透明な物を、光の通り道に置くだけで、像の見え方は変えられる。メガネもコンタクトレンズも、レーザーの手術も、原理はここに戻る。ちがうのは、その透明な物を、目からどれくらいの位置に置くかだ。

メガネは、目の手前およそ1〜2センチの空中に置く。コンタクトレンズは、角膜の表面に直接のせる。手術は、角膜そのものの形を変えるか、目の中にレンズを足す。外から目の中心へ、道具の置き場所がだんだん近づいていく。この順番で、3つの道具を見ていく。

2. めがねの レンズは、なにで できて いるの?

2. メガネのレンズは、何でできているのか ── 重さと割れにくさの工夫

2. メガネのレンズの素材 ── ガラスからプラスチックへ

めがねの レンズが、とおくが 見えにくい 人には まんなかが へこんだ レンズ、ちかくが 見えにくい 人には まんなかが でっぱった レンズに なって いる ことは、べつの メモで しらべました。ここでは、レンズが なにで できて いるかを 見て いきましょう。

むかしの めがねの レンズは、ガラスで できて いました。ガラスは おもいし、われやすいです。見えにくさが つよい 人ほど、レンズは あつく なり、めがねが おもく なりました[2]。

1940年代に、アメリカで あたらしい プラスチックが つくられました。1947年には、この プラスチックで、はじめての めがねの レンズが できました[3]。プラスチックの レンズは、ガラスの はんぶんくらいの おもさで、われにくいです[3]。

いまの めがねの レンズは、おおくが プラスチックで できて います。おもくて われやすいと いう こまりごとを、素材そざいを かえる ことで なおして きた、という れきしが あります。

メガネのレンズが、近視には凹レンズ、遠視や老眼には凸レンズになっていることは、目のピント合わせのメモで調べました。ここでは、レンズが何でできているかを見ていきます。

昔のメガネのレンズは、ガラスでした。ガラスは重く、割れやすい素材です。度数が強い人ほど、レンズは分厚くなり、メガネそのものが重くなっていました[2]。

1940年代のアメリカで、CR-39というプラスチックが開発され、1946年ごろから、メガネのレンズとして大量に作られるようになりました[2]。1947年には、カリフォルニアの会社が、このプラスチックで最初のメガネのレンズを作りました。プラスチックのレンズは、ガラスのおよそ半分の重さで、割れにくいことが分かりました[3]。1972年には、アメリカで安全基準が変わり、割れにくいレンズがいっそう求められるようになりました[2]。

いまのメガネのレンズの多くは、プラスチックでできています。ガラスの弱点だった重さと割れやすさを、素材を変えることで解決してきた、という歴史があります。

メガネのレンズが、近視には凹レンズ、遠視や老眼には凸レンズになっていることは、目のピント合わせのメモで調べた。ここでは、レンズが「何でできているか」を見ていく。

19世紀までのメガネのレンズは、ガラスだった。ガラスは重く、割れやすい。度数が強い人ほど、レンズは分厚くなり、メガネそのものが重くなった[2]。

1940年代、アメリカでCR-39というプラスチック樹脂が開発され、1946年ごろから、メガネのレンズとして大量に作られるようになった[2]。カリフォルニアのアーモルライト・レンズ社は、1947年に、このプラスチックで最初のメガネのレンズを作った[3]。プラスチックのレンズは、ガラスのおよそ半分の重さで、割れにくい[3]。1972年には、アメリカで安全基準が変わったことも、割れにくいレンズが広まる後押しになった[2]。

いまのメガネのレンズの多くは、プラスチックでできている。重くて割れやすいという欠点を、素材を変えることで解決してきた、という歴史がある。

3. めがねを かけると、もっと めが わるく なるの?

3. メガネをかけると、もっと目が悪くなるって本当か

3. 「メガネで近視が進む」という心配 ── 何が根拠にされているか

「めがねを かけると、もっと めが わるく なる」と 心配する 人が います。でも、めがねという どうぐ じたいは、めの そとで ひかりの むきを かえるだけで、めの ながさや かたちを、じかに かえる ちからは ありません。

スマホや パソコンを、ちかくで ずっと 見つづける ことが、見えにくさに かんけい すると いわれて います。めがねを かけた こと じたいが、げんいんでは ありません[4]。

「めがねを かけたり はずしたり すると めに わるい」と いう はなしも、たしかな もとは 見つかりません。めがねは、はずせば ひかりを まげる はたらきが なくなるだけで、めの なかまでは かわりません。

「メガネをかけると、もっと目が悪くなる」という心配は、よく聞かれます。しかし、メガネという道具そのものは、角膜や水晶体の外側で光の通り道を変えるだけで、目の長さや、角膜・水晶体の形を直接変える力はありません[1]。近視のしくみのメモで調べたとおり、国際近視研究所(IMI)は、メガネの度数をわざと弱くする「低矯正」について、近視の進みを遅くする根拠はなく、むしろ速める可能性があると報告しています。

日本眼科学会のQ&Aでも、視力が落ちる原因として挙げられているのは、スマートフォンやパソコンを見続けるなど、近くを見る作業が続くことで、メガネをかけること自体ではありません[4]。

「メガネをかけたり外したりすると目に悪い」という話も、根拠は見当たりません。メガネは、レンズを通して光を曲げているだけの道具で、外せば、その効果がなくなるだけです。着けたり外したりという行為そのものが、角膜や水晶体の形を変える証拠は見当たりません。

「メガネをかけると、もっと目が悪くなる」という心配は、よく聞かれる。だが、メガネという道具そのものは、角膜や水晶体の外側で光の通り道を変えるだけで、目の長さや、角膜・水晶体の形を直接変える力はない[1]。近視のしくみのメモで調べたとおり、国際近視研究所(IMI)は、メガネの度数をわざと弱くする「低矯正」について、近視の進みを遅くする根拠はなく、むしろ速める可能性があると報告している。

日本眼科学会のQ&Aでも、視力が落ちる原因として挙げられているのは、スマートフォンやパソコンを見続けるなど、近くを見る作業が続くことであって、メガネをかけること自体ではない[4]。

「メガネをかけたり外したりすると目に悪い」という話も、根拠は見当たらない。メガネは、レンズを通して光を曲げているだけで、外せば、その効果がなくなるだけだ。着けたり外したりという行為そのものが、角膜や水晶体の形を変える証拠は見当たらない。

4. コンタクトレンズは、どうして めに くっつけても 見えるの?

4. コンタクトレンズは、なぜ目にのせても見えるのか

4. 角膜にのせるレンズ ── ガラスから、台所で生まれたやわらかい素材へ

コンタクトレンズは、はじめは ガラスで できて いました。1880年代に、スイスの お医者さんが、目に のせる ガラスの レンズを 作りました。でも おもくて、目が くるしくなり、すこしの 時間しか つけて いられませんでした[2]。

1930年代には、かるい プラスチックが 使われる ように なりました。でも、この プラスチックは 酸素さんそを とおしません。角膜かくまくは、くうきから すこしずつ 酸素さんそを もらって いるので、こまった ことに なりました[2]。

これを かいけつしたのが、チェコの ウィフテルレと いう 人です[7]。1961年の クリスマスに、むすこの おもちゃの くみたてキットと、じてんしゃの ライトの はつでんきを つかって、じぶんの 台所で、水を ふくむ やわらかい レンズを、はじめて 作る ことに せいこうしました。じぶんの 目に のせて みると、ちょうど いい 度数では なかったけれど、つけごこちは よかったそうです[6]。

やわらかい コンタクトレンズは、なみだの うすい まくの うえに、うくように のって います。まぶたと、なみだの ちからが、レンズを 目に そわせて います。目が うごけば、レンズも いっしょに うごきます。だから、目に のせても、ちゃんと 見えます。

コンタクトレンズの最初の記録は、1880年代にさかのぼります。何人かの医師が、それぞれ別々に、目に直接のせるレンズを考え出しました。スイスの医師フィックは、ガラスを吹いて作った、目玉より少し大きいレンズを、白目の部分にかぶせるように装着しました[2]。ガラスは重く、角膜が呼吸できず、数時間しかつけていられませんでした[2]。

1930年代には、PMMAというプラスチックが登場し、レンズは軽く、割れにくくなりました[2]。それでも、このプラスチックは酸素を通しません。角膜には血管がなく、空気から直接、酸素を受け取っています。硬いプラスチックでふさいでしまうと、角膜は酸素不足になってしまいます[5]。

この壁を破ったのが、チェコの化学者かがくしゃ、オットー・ウィフテルレです[7]。ウィフテルレは、水を含むとやわらかくなるHEMAという素材を、1950年代の終わりに開発しました[2]。問題は、この素材をどうやってレンズの形に固めるかでした。1961年のクリスマス、ウィフテルレは、息子のおもちゃの組み立てキットと、自転車のライト用の発電機を組み合わせた手作りの機械を、自宅の台所に持ちこみました。妻とふたりで機械を回し、その日のうちに、初めてのやわらかいレンズを作ることに成功しました[6][14]。できたレンズを自分の目にのせてみると、度数は合っていなかったものの、つけ心地は良かったそうです[6]。

このやわらかい素材のレンズは、1972年に世界で発売されました[2]。さらに1990年代の終わりには、酸素をよく通すシリコーンハイドロゲルという素材が登場し、目への負担がさらに減りました[2]。

では、なぜ目にのせるだけで見えるのでしょうか。コンタクトレンズは、角膜の表面をおおう、涙のうすい膜の上に浮かんでいます。まぶたと、涙の表面張力が、レンズを角膜に沿わせて支えています。メガネとちがって、目が動けば、レンズも一緒に動きます。光を曲げる場所が角膜のすぐ上に来るので、メガネより軽い力で、同じだけ光を曲げられます[2]。

コンタクトレンズの最初の記録は、1880年代にさかのぼる。何人かの医師が、それぞれ別々に、目に直接のせるレンズを考え出した。スイスの医師フィックは、ガラスを吹いて作った、目玉より少し大きいレンズを、白目の部分にかぶせるように装着した[2]。ガラスは重く、角膜が呼吸できず、数時間しかつけていられなかった[2]。

1930年代に、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)というプラスチックが登場し、レンズは軽く、割れにくくなった[2]。それでも、PMMAは酸素を通さない。角膜には血管がなく、空気から直接、酸素を受け取っている。硬いプラスチックのレンズでふさいでしまうと、角膜は酸素不足になる[5]。

この壁を破ったのが、チェコの化学者オットー・ウィフテルレだ[7]。ウィフテルレは、共同研究者リムとともに、水を含んでやわらかくなるHEMAという素材を、1950年代の終わりに開発した[2]。問題は、この素材でどうやってレンズの形に固めるかだった。1961年のクリスマス、ウィフテルレは、息子のおもちゃの組み立てキットと、自転車のライト用の発電機、蓄音機のモーターを組み合わせた手作りの機械を、自宅の台所に持ちこんだ。妻とふたりで機械を回し、その日のうちに、初めてのやわらかいレンズを作ることに成功した[6][14]。できたレンズを自分の目にのせてみると、度数は合っていなかったが、つけ心地は良かったという[6]。

このやわらかい素材のレンズは、1972年に世界で発売された[2]。さらに1990年代の終わりには、酸素をよく通すシリコーンハイドロゲルという素材が登場し、目への負担がさらに減った[2]。

では、なぜ目にのせるだけで見えるのか。コンタクトレンズは、角膜の表面をおおう、涙のうすい膜の上に浮かんでいる。まぶたと、涙の表面張力が、レンズを角膜に沿わせて支えている。メガネとちがって、目が動けば、レンズも一緒に動く。光を曲げる場所が角膜のすぐ上に来るので、メガネより軽い力で、同じだけ光を曲げられる[2]。

5. ねて いる あいだに つける レンズが あるって、ほんとう?

5. 寝ているあいだにつけるレンズで、なぜ昼間見えるようになるのか

5. オルソケラトロジー ── 角膜を一晩だけ押して形を変える

ねて いる あいだだけ つける、とくべつな コンタクトレンズが あります。かたい レンズで、ねて いる あいだ、角膜かくまくの まんなかを そっと おしつづけます。すると、角膜かくまくが すこし たいらに なります[8]。

あさ おきて レンズを はずしても、この かたちは しばらく つづきます。だから、ひるまは、めがねも コンタクトも なしで すごせます。でも、これは いっときの ことで、つかうのを やめると、すうじつで もとの かたちに もどります[8]。

めに あわない つかいかたを すると、角膜かくまくが 感染かんせんして しまう ことも あります。かならず 眼科がんかで みて もらいながら つかいます[9]。

コンタクトレンズには、寝ているあいだだけつける特殊な種類もあります。オルソケラトロジーと呼ばれる方法で、カーブがゆるい、硬いコンタクトレンズを夜に装着します[9]。

硬いレンズは、寝ているあいだ、角膜の中央を軽く押しつづけます。角膜の表面をおおう細胞は、押された形に合わせて並びかたを変え、角膜の中央が少し平らになります[8]。目を覚ましてレンズを外しても、この形はしばらく保たれ、日中は裸眼でも、近視のぼやけが軽くなって過ごせます[9]。

ただし、この変化は一時的です。レンズの使用をやめると、角膜の形は数日のうちに元に戻ります[8]。効果を保つには、レンズを使いつづける必要があります。

アメリカでは2004年に、日本では2009年4月に、それぞれ承認された、比較的新しい方法です[8]。矯正できる範囲には限りがあり、日本近視学会のまとめでは、目安として近視の度数が−4D程度までとされています。角膜を強く押す方法のため、正しい処方と管理を守らないと、角膜が感染症を起こし、重い場合は視力に関わることもあります[9]。

コンタクトレンズには、寝ているあいだだけつける特殊な種類もある。オルソケラトロジーと呼ばれる方法で、カーブがゆるい、硬いコンタクトレンズを夜に装着する[9]。

硬いレンズは、寝ているあいだ、角膜の中央を軽く押しつづける。角膜の表面をおおう細胞は、押された形に合わせて並びかたを変え、角膜の中央が少し平らになる[8]。目を覚ましてレンズを外しても、この形はしばらく保たれ、日中は裸眼でも、近視のぼやけが軽くなって過ごせる[9]。

ただし、この変化は一時的だ。レンズの使用をやめると、角膜の形は数日のうちに元に戻る[8]。効果を保つには、レンズを使いつづける必要がある。

アメリカでは2004年に、日本では2009年4月に、それぞれ承認された、比較的新しい方法だ[8]。矯正できる範囲には限りがあり、日本近視学会のまとめでは、目安として近視の度数が−4D程度までとされる。角膜を強く押す方法のため、正しい処方と管理を守らないと、角膜が感染症を起こし、重い場合は視力に関わることもある[9]。

6. レーザーの 手術しゅじゅつは、めの なにを かえて いるの?

6. レーザーの手術は、目の何を変えているのか

6. 屈折矯正手術 ── 角膜を削る方法と、レンズを足す方法

むかし、めとは べつの けんきゅうを して いた、アメリカの けんきゅうじょが ありました。そこで つくられた とくべつな レーザーは、ものの おもてを、とても せいみつに けずる ことが できました[10]。

1983年、めの いしゃが、この レーザーを つかって、角膜かくまくを けずる じっけんを しました[10]。ここから、レーザーで 角膜かくまくの かたちを かえて、見えかたを なおす 手術しゅじゅつが うまれました。

いまの 手術しゅじゅつでは、角膜かくまくの おもてに ふたを つくって めくり、その したを レーザーで けずってから、ふたを もとに もどします[11]。けずった 角膜かくまくは、うすく なったまま、もとには もどりません[11]。

角膜かくまくを けずらずに、めの なかに ちいさな レンズを たす 手術しゅじゅつも あります。こちらは、あとから レンズを とりだす ことも できます[13]。どちらも、見えかたを なおす ための 手術しゅじゅつですが、めの どこを かえるかが ちがいます。

1970年代、アメリカのIBM研究所で、目とはまったく関係のない研究が進んでいました。エキシマレーザーという特殊な紫外線のレーザーが、プラスチックなどの有機物の表面を、熱でこがさずに、ごく薄く正確に削り取れることが分かってきたのです[10]。

この性質に目をつけたのが、コロンビア大学の眼科医トロケルたちです。1983年、トロケルはIBMの研究者らとともに、エキシマレーザーを牛の角膜にあてる実験を行い、角膜の表面を、狙った形に精密に削れることを報告しました[10]。これがきっかけとなり、レーザーで角膜の形を変えて視力を矯正する手術が発展していきました。

現在の代表的な方法がLASIK(レーシック)です。フェムトセカンドレーザーで、角膜の表面にふた(フラップ)を作って一度めくり、その下の角膜実質にエキシマレーザーをあてて、狙った形に削ります。フラップを元に戻せば終わりです[11]。手術のあと、角膜は以前より薄くなります[11]。

新しい方法のSMILEでは、角膜の中をレーザーで切り、削り取る部分をひとかたまり(レンチクル)として、2ミリほどの小さな切れ目から取り出します。LASIKの約20ミリの切開に比べて傷が小さく、角膜の神経が傷つきにくいため、目が乾きにくいとされています[12]。日本では2023年3月に承認されました[12]。

どちらの方法も、角膜そのものを削るので、元には戻せません。これに対して、有水晶体眼内レンズ(ICL)という方法は、角膜を削らず、虹彩の後ろ、水晶体の前にあたる場所に、やわらかいレンズを差しこみます。角膜に開ける傷は3ミリほどで、レンズは取り外すこともできます[13]。角膜を削る方法と、レンズを足す方法。どちらも「見え方を直す」という同じ目的のために、目の中のちがう場所を変えています。

1970年代、アメリカのIBM研究所で、目とはまったく関係のない研究が進んでいた。エキシマレーザーという特殊な紫外線のレーザーが、プラスチックなどの有機物の表面を、熱でこがさずに、ごく薄く正確に削り取れることが分かってきた[10]。

この性質に目をつけたのが、コロンビア大学の眼科医トロケルたちだ。1983年、トロケルはIBMの研究者らとともに、エキシマレーザーを牛の角膜にあてる実験を行い、角膜の表面を、狙った形に精密に削れることを報告した[10]。これがきっかけとなり、レーザーで角膜の形を変えて視力を矯正する手術が発展していった。

現在の代表的な方法がLASIK(レーシック)だ。フェムトセカンドレーザーで、角膜の表面にふた(フラップ)を作って一度めくり、その下の角膜実質にエキシマレーザーをあてて、狙った形に削る。フラップを元に戻せば終わりだ[11]。手術のあと、角膜は以前より薄くなる[11]。

新しい方法のSMILEでは、角膜の中をレーザーで切り、削り取る部分をひとかたまり(レンチクル)として、2ミリほどの小さな切れ目から取り出す。LASIKの約20ミリの切開に比べて傷が小さく、角膜の神経が傷つきにくいため、目が乾きにくいとされる[12]。日本では2023年3月に承認された[12]。

どちらの方法も、角膜そのものを削るので、元には戻せない。これに対して、有水晶体眼内レンズ(ICL)という方法は、角膜を削らず、虹彩の後ろ、水晶体の前にあたる場所に、やわらかいレンズを差しこむ。角膜に開ける傷は3ミリほどで、レンズは取り外すこともできる[13]。角膜を削る方法と、レンズを足す方法。どちらも「見え方を直す」という同じ目的のために、目の中のちがう場所を変えている。

7. じぶんでも しらべて みたく なったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

コップの みずに ストローを いれる じっけんを、いろいろな かどで やって みましょう。まがりかたが かわるのが わかります。むしめがねで とおくと ちかくを 見くらべても おもしろいです。

まわりに、めがねや コンタクトレンズを つかって いる 人が いたら、いつから つかって いるのか、きいて みるのも いいでしょう。ただし、人の めがねや コンタクトレンズを かりて じぶんで つけるのは しません。めの ど数が あわないと、めに よくないからです。

めや めがねに ついて、もっと しりたく なったら、眼科がんかで そうだんして みましょう。

コップの水にストローを入れる実験を、角度を変えて何度かやってみると、光の曲がり方が、角度によって変わることに気づきます。虫めがねのような凸レンズをのぞいて、遠くの景色と近くの文字がどう見えるかを比べてみるのも面白いです。

身近に、メガネやコンタクトレンズを使っている人、手術を受けた人がいたら、いつから、どんなきっかけで使い始めたのか、話を聞いてみるのもよいでしょう。ただし、レンズを借りて自分でかけてみることは、度数が合わず、目に負担をかけることがあるので、しないようにします。

日本眼科学会や日本近視学会のサイトには、LASIK・SMILE・ICL・オルソケラトロジーなど、それぞれの手術や道具について、もう少し詳しい説明が公開されています。自分の目に合う方法かどうかは、必ず眼科で相談して決めます。

コップの水にストローを入れる実験を、角度を変えて何度かやってみると、光の曲がり方が、角度によって変わることに気づく。虫めがねのような凸レンズをのぞいて、遠くの景色と近くの文字がどう見えるかを比べるのも面白い。

身近に、メガネやコンタクトレンズを使っている人、あるいは手術を受けた人がいたら、いつから、どんなきっかけで使い始めたのか、話を聞いてみるのもいい。レンズを借りて自分でかけてみることは、度数が合わず、目に負担をかけることがあるので、しない。

日本眼科学会や日本近視学会のサイトには、LASIK・SMILE・ICL・オルソケラトロジーなど、それぞれの手術や道具について、もう少し詳しい説明が公開されている。自分の目に合う方法かどうかは、必ず眼科で相談して決める。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

出典について:日本眼科学会・日本近視学会の一般向けページ、眼鏡とコンタクトレンズの素材の歴史をまとめた総説論文、エキシマレーザーを角膜手術に応用した最初期の論文、オットー・ウィフテルレとオルソケラトロジーについての百科事典の記述を使った。英語の資料には、何の資料かを日本語で添えた。

  1. 日本眼科学会「眼の構造」(一般向けページ)。 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/structure/item01.html (角膜と水晶体が光を屈折させ、網膜に像を結ぶという、目の光学的なしくみ)
  2. Pillay R, Hansraj R, Rampersad N「Historical Development, Applications and Advances in Materials Used in Spectacle Lenses and Contact Lenses」(Clinical Optometry、2020年。眼鏡・コンタクトレンズの素材の歴史をまとめた総説)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7532918/ (ガラスレンズの重さ、CR-39の登場、1972年の安全基準、コンタクトレンズの歴史全般、Wichterleの素材開発、1972年の発売、シリコーンハイドロゲル)
  3. 英語版ウィキペディア「CR-39」(プラスチック素材の説明ページ)。 https://en.wikipedia.org/wiki/CR-39 (1947年、アーモルライト・レンズ社が最初のCR-39眼鏡レンズを製造、ガラスの約半分の重さ)
  4. 日本眼科学会「眼科Q&A」(一般向けページ)。 https://www.nichigan.or.jp/public/qa/ (遠くが見にくくなった相談への回答で、近見作業の慢性化が近視化に関係する可能性を指摘)
  5. 英語版ウィキペディア「Contact lens」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Contact_lens (角膜が血管を持たず空気から酸素を得ていること、初期の硬いレンズが酸素を通さなかったこと)
  6. 英語版ウィキペディア「Otto Wichterle」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Otto_Wichterle (1961年のクリスマスに自宅の台所で、おもちゃの組み立てキットと自転車の発電機を使った手作り装置でソフトレンズを作った逸話)
  7. 日本語版ウィキペディア「オットー・ウィフテルレ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/オットー・ウィフテルレ (人物の日本語表記、生没年、化学者であること)
  8. 日本語版ウィキペディア「オルソケラトロジー」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/オルソケラトロジー (角膜を平らに変える仕組み、効果が数日で戻ること、米国2004年・日本2009年4月の承認)
  9. 日本近視学会「近視の進行抑制治療」(一般向けページ)。 https://www.myopiasociety.jp/general/care/flow.html (オルソケラトロジーの装用方法、矯正できる度数の目安、角膜感染症のリスク)
  10. Trokel SL, Srinivasan R, Braren B「Excimer laser surgery of the cornea」(American Journal of Ophthalmology、1983年。エキシマレーザーを角膜手術に応用した最初期の報告)。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6660257/ (要旨。IBMの研究者との共同研究、エキシマレーザーで角膜表面を精密に削る実験)
  11. 日本眼科学会「LASIK」(治療解説ページ)。 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/treatment/item08.html (フラップ作製とエキシマレーザーによる角膜実質の切除、術後に角膜が薄くなること)
  12. 日本眼科学会「SMILE」(治療解説ページ)。 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/treatment/item09.html (レンチクルの摘出方法、LASIKとの切開の大きさの違い、2023年3月の国内承認)
  13. 日本眼科学会「有水晶体眼内レンズ」(治療解説ページ)。 https://www.nichigan.or.jp/public/disease/treatment/tabid357.html (角膜を削らずレンズを挿入する方法、可逆性、傷の大きさ)
  14. Science History Institute「Politically Unreliable: The State v. Otto Wichterle」。 https://www.sciencehistory.org/stories/magazine/politically-unreliable-the-state-v-otto-wichterle/ (科学史専門機関による記事。1961年のクリスマスイブに、自宅の台所で、おもちゃの組み立てキット・ホットプレート・蓄音機のモーターを使い、ソフトコンタクトレンズを作った経緯)

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